Stand in place!   作:KAMITHUNI

61 / 100
起きた瞬間に足がつる悲しみ……


高揚

試合後ミーティング

 

 

 

片矢「……今日の試合、負けていてもおかしくはなかった」

 

 

 

「なぁ? こんな試合を展開しておいて、本当に甲子園に行けると思ってるのか?」

 

 

チーム一同『……』

 

 

片矢「黙るな。答えろ。なぁ! キャプテンッ!! こんなワンサイドに頼り切った戦いを続けて都大会を勝ち続けられるのか答えろッ!」

 

 

結城「……どだい無理な話だと思います」

 

 

 

片矢「だろうな。今日の試合で評価できるのは我妻の完全試合と咲山の二本の本塁打、それと秋野のファインプレーだけ。あとは軒並み最低だな」

 

 

「1、2番は初打席で対峙して、そのあと対策の一つでも立てて二打席目以降に入ったか? 入ってなかったな」

 

 

「好投手を攻略するにあたって必要なのは機動力とバント。それをわかっていながら、貴様達は独り善がりのバッティングでチームの足を引っ張った。その自覚を持て!」

 

 

秋野・舘本『はいっ!』

 

 

片矢「積極性と早打ちを履き違えて、相手の術中に嵌り、本塁打で乱したリズムを再度刻ませてしまった5、6番! もっと状況を見て打席に立てッ!」

 

 

「これからは咲山が要警戒されて歩かされる場面も増えることだろう。そうなってくれば試合を決めるのはオマエ達だ。もっと状況にあったバッティングを心がけるようにしろッ!」

 

 

帯刀・村井『はいっ!』

 

 

片矢「田中、冷静さと無策は別物だと知れッ! 初球を見るのは構わないが、球道を確かめた初打席とは違って、二打席目以降は目が慣れているにもかかわらず簡単に見逃したな」

 

 

「そこに気づいた相手捕手が敢えて真ん中を要求させ、陳に投げさせてカウントを稼がれて不利な状況に追いやられたはずだッ! もっと自分のストライクゾーンを意識してバットを振れッ!」

 

 

田中「はいっ!」

 

 

片矢「笠元、たしかにオマエの守備は一級品かもしれん。だが丁寧さに欠けるぞッ!」

 

 

「今日は我妻が初回から奪三振を量産していたから、打球は飛んでこなかったが、それでも集中力を欠かさず、足を常に動かしておくのは守備の要として当然の義務だろッ! もっと自分を見直せッ」

 

 

笠元「はいっ!!」

 

 

片矢「咲山、打撃に関しては言うことなしだが、守備面での細やかなミスは少々あった」

 

 

「正捕手ってのは代えが無い。大味な配球で打ち取ったことに満足するな。

俺がオマエに求めている捕手像にはまだ届いてないぞ。

そこに座る以上、学年は関係ない。捕手として成長してみせろッ!!」

 

 

大地「はいっ!」

 

 

片矢「哲、オマエはこのチームの何だ?

主将で柱だろ?」

 

 

「今日の試合で、オマエはチームの柱として何ができた? いや、何もできていないよな?」

 

 

「三打席無安打。不幸なアウトがあったのも事実だが、それでもこれがプロ注目候補の打撃だとは誰も思わないだろうな」

 

 

「誰よりもバットを振っているのは知っているし評価もしているが、己のスイングを全うできない打線の柱はないも当然だ」

 

 

「結果を出してくれ、とはいわん。だが結果を残せ。

それがチームの柱であるオマエの最低限の仕事だろう? 努力が無駄ではないことをしっかりと世間に思い知らせろッ!」

 

 

結城「ハイッッ!!」

 

 

片矢「そして我妻……」

 

 

「結果は出た。だがようやく一歩目を踏み出せたことに自覚があるな?」

 

 

我妻「はい」

 

 

「自分は今日初めて投手になれました。けどそれだけです。完全試合、たしかに嬉しくないわけではありませんが、それだけです」

 

 

「まだ何一つ本懐を遂げていない。俺はもっと上へ行けます」

 

 

「終盤、疲れがきてコントロールが甘くなったのも自覚してますし、天狗になるつもりは全くありません」

 

 

(俺はもう迷わない)

 

 

片矢「……わかっているならいい。次も期待しているぞ」

 

 

我妻「っ! はいっ!」

 

 

片矢「レギュラーメンバーだけではないッ! ベンチワーク含め、猛省すべき点はいくつもある」

 

 

「次の相手は全員知っての通り恐らく、花咲川になるだろう」

 

 

「そう、球技大会のデモンストレーションで俺たちがコテンパンにやられた花咲川だ」

 

 

咲山(……あの時の試合か。俺は怪我でベンチ、空もイップスの影響で登板を回避してたとはいえ、矢来が打ち込まれてた印象があった。たしかにアレはボコボコだったな)

 

 

(結果は4-2で点差がついてないように見えるが、試合内容に差があったのは明確だった)

 

 

(七回まで無安打無失点に抑え込まれ、虎金さんと変わった曽根山から終盤で2点を取って追いつくも、4回からのロングリリーフで珍しく好投していた吉村先輩が突然の乱調で、最終回に突き放されてそのままゲームセット)

 

 

(虎金さんからは結局一本もヒットを打てずじまいな上に、主砲の澤野さんにも一発浴びせられた)

 

 

(まさに主軸二人に完膚無きまでに叩き潰されたのが、以前の結果。意識しないわけがない)

 

 

片矢「慢心などしてみろ。簡単に足元を掬われて、前回と変わらない結果になるのは目に見えている」

 

 

「今日の反省を必ず活かせ。落ちるところまで落ちたなら、尚更な」

 

 

チーム一同『はいっ!』

 

 

片矢「よし。では今から花咲川の試合をベンチ入りしている全員で見る。ベンチメンバー以外の者は任意だ。帰って練習をするなり帰宅したりする者達は付き添いの城山先生の指示に付き従って帰ること。一人勝手に帰ることは許さん」

 

 

「報告は以上だ。ここで一時解散にする。挨拶っ!」

 

 

チーム一同『ありがとうございましたッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香山(花咲川高等学校 背番号20 1年 外野手)「主将。羽丘と滝沼の試合が今さっき終わりました」

 

 

澤野(花咲川高等学校 背番号2 3年主将 捕手)「そうか。それで結果はどうなった?」

 

 

香山「2対0で羽丘が勝ちました。先発だった我妻が9回を投げ切って完全試合達成です」

 

 

坂山(花咲川高等学校 背番号4 3年 二塁手)「へぇ、あの時の見分けが楽なシュート使いが滝沼相手に完全試合達成したの? 多少はマシになったか」

 

 

伊達(花咲川高等学校 背番号7 2年 左翼手)「とかいってますけど、坂山先輩ってこの前の試合で我妻から一本もヒット打ってませんよね? そんな人が上から目線で物言うのはやめといたほうがいいかと思いますよ」

 

 

坂山「それは言わないお約束だッ! てか先輩相手なんだからもうちょい気を使えよぉ!」

 

 

 

高山(花咲川高等学校 背番号5 2年 三塁手)「はは、たしかに我妻は凄いですけど、今は目前の敵に集中しましょうよ」

 

 

木ノ下(花咲川高等学校 背番号6 2年 遊撃手)「そうだーそうだー!」

 

 

笹野(花咲川高等学校 背番号13 3年 一塁手)「俺、久々のスタメンなんだよ。なんでも次戦も使う可能性があるからそれの最終チェックだってさ」

 

 

司永(花咲川高等学校 背番号15 3年 右翼手)「あ、それ俺も言われた」

 

 

紀伊山(花咲川高等学校 背番号18 1年 投手)「左打者の笹野先輩に、右打者なのに右投手に異様に強い司永先輩の起用ってことは我妻・雪村対策ですかね?」

 

 

幽ノ沢(花咲川高等学校 背番号8 2年 中堅手)「そうじゃねぇの? エースの成田は温存もできるし、初戦の感じだとまだコントロールにムラがあるから制球力が安定した我妻か雪村をウチ相手に使いたいんじゃないか?」

 

 

澤野「……ま、監督の采配が気になるのはわかるが、まだ俺たちが勝ち上がったわけじゃない」

 

 

「次の試合のことを考えるのは、この試合に勝ってからにしよう」

 

 

花咲川一同『応ッ!!』

 

 

滝宮(花咲川高等学校 背番号12 1年 捕手)「あれ? そういえば虎金さんはどこにいったんだ? さっきから見当たらないけど……」

 

 

曽根山(花咲川高等学校 背番号10 1年 投手)「あぁ、あの人ならほら、ウチの学校で有名なゆるふわ美人な先輩に会いにいってたぞ。なんでも迷子を送り届けるとかなんとか」

 

 

滝宮「何それっ!? その話もっと詳しくっ!!」

 

 

紀伊山「松原先輩と、ど、どどど……どういう関係だってばよっ!」

 

 

曽根山「動揺しすぎだろ……。本人に聞いたことあるけど、なんでも、虎金さんと松原先輩は家同士の付き合いで小さい頃からの幼馴染らしいぞ」

 

 

滝宮「何その裏山設定ッ!!? 流石はイケメンエース様だッ!! けど許さん」

 

 

紀伊山「と、ととと……ということは、もう付き合ってたり……?」

 

 

曽根山「いや、その辺をそこはかとなく聞いてみたんだけど、仲のいい異性の友人って部類に入ってるらしい」

 

 

滝宮・紀伊山『ならいいやっ!』

 

 

曽根山「……オマエら、あとで虎金さんにドヤされても知らんからな」

 

 

「それに松原先輩、既に彼氏がいるからな。狙ってたなら諦めろ」

 

 

滝宮・紀伊山『ウェ……ッ!?』

 

 

曽根山「ついでにお相手は今日の滝沼戦で主役の座を掻っ攫った我妻な。付き合いたてホヤホヤだからイチャイチャ具合も惚気具合もヤバいんだって虎金さんが苦笑しながら教えてくれたよ」

 

 

滝宮「アイツ、ブチコワス」

 

 

紀伊山「ワガツマ、ピッチャーライナー、コロス」

 

 

滝宮「ワガツマ、ナゲロ」

 

 

紀伊山「コロシテヤル……」

 

 

曽根山「オマエら怖すぎな……。どんだけ怨念に身を委ねてんだよ。試合前なんだからせめて目のハイライトぐらいつけとけ。相手さんに余計な圧力はかけんなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音「ふぇぇ……。ごめんね? 龍虎くん。今から試合前なのに、送ってもらっちゃって……」

 

 

虎金(花咲川高等学校 背番号1 2年 投手)「別に構わねぇけどよ、こういう場面で彼氏に頼らずに真っ先に俺に電話かけるのは今後はやめような? 色んな誤解を他所の奴らから招いちまって、関係を拗らせんのは嫌だろ?」

 

 

花音「う、うん。本当にごめんね……次からは気をつけるようにするね……」

 

 

虎金「おう、それならいいんだ」

 

 

「それよか、我妻とはどうなんだ? 出来立てホヤホヤでアツアツゥゥなのは聞いてんだけど、具体的な話は聞いてないからな。気になって仕方がねぇ。もうキスぐらいはしたのか?」

 

 

花音「ふぇぇっ/// き、ききき、キスッ!? し、ししし、してないよ〜/// 龍虎くん、破廉恥だよぉ〜///」

 

 

虎金「……俺が破廉恥かどうかは後で議論をするとして、今更俺相手にそこまで照れる必要ねぇだろ。なんだったら昔は同じ風呂とベッドで寝た間柄なんだからよ」

 

 

花音「一体いつの話をしてるのぉ〜!?///」

 

 

虎金「ははっ。悪りぃな。花音をいじってるとつい楽しくなってきてな、悪い悪い」

 

 

花音「もう……今日の龍虎くん、いつもより意地悪だよ。もしかして何かあったの?」

 

 

虎金「っ、なんもねぇよ。いつも通りの虎金龍虎だろ? なんも不自然なことなんて─────」

 

 

花音「矢来くんの投球……だよね?」

 

 

虎金「……」

 

 

「……幼馴染ってのは、怖いな。

 

 

 

 

 

降参だ」

 

 

 

 

花音「……」

 

 

虎金「とはいっても、特別話すことはない。たんにアイツの投球に見入って、勝手に自信喪失しただけ」

 

 

花音「龍虎くんは次の試合で矢来くんと投げ合うのが怖いの?」

 

 

虎金「怖いね。間違いなく」

 

 

「別に我妻だけじゃない。羽丘の投手全員とやるのが恐ろしくて仕方がない」

 

 

「それに加えて咲山大地という怪物と向き合わなきゃならない」

 

 

「怖くないわけがない」

 

 

 

花音「龍虎くん……」

 

 

 

虎金「でも、楽しみでもある」

 

 

花音「え?」

 

 

虎金「武者震いって言うのか? こう言うのは……」

 

 

「たしかに相手は強大で、勝ち目なんてないのかもしれない」

 

 

「でもその分、俺にだって伸び代があるって実感できる。

もっと凄いボールを投げられる気がする」

 

 

「俺はもっと上に行けるんだって気持ちになれる。だからこれは高揚だ」

 

 

花音「高揚……」

 

 

虎金「そう、高揚。高ぶってるんだよ。投げたくて仕方がない。だから見ててくれよ花音」

 

 

「きっと俺は我妻よりも凄い球を投げてやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花咲川高等学校 VS 筑波大筑波高等学校

 

 

大地「……あのぉ、なんで俺がここに連行されてるのか誰か簡潔で詳細に答えてもらえるとありがたいんですけど、というか答えてくれ」

 

 

千聖「解説者よ」

 

 

大地「うん。嫌です」

 

 

紗夜「ちゃんと解説してくださいね」

 

 

大地「紗夜さん、俺が解説する前提で話を進めるのやめてください。てか、俺だってチームの都合があるんですから、そんな無茶振り─────」

 

 

沙綾「まぁまぁ、ほら、ウチのパンもあるしゆっくりしていってよ」

 

 

大地「もぐもぐ……で? 何が聞きたいんですか?」

 

 

花咲川組(((結局買収されてるしパン食べるの早っ!?)))

 

 

香澄「じ、じゃあっ! 相手高校のことを教えてくださいっ!」

 

 

大地「筑波大筑波のことですか? まぁ、あそこは兎に角『賢い』ですね」

 

 

紗夜「賢い?」

 

 

大地「はい。おそらく皆さんも知ってるでしょうけど、筑波大筑波は進学校として有名です」

 

 

「そのかわり、野球をするための設備はお世辞でもいいとは言えません。そのかわり、チームプレイを磨くよりも個人練習に趣を置いてます」

 

 

「もちろん、短い時間制限がある中でですので、私立の強豪と比べると見劣りするレベルですけど、そのかわりを埋めるのが彼らの頭脳です」

 

 

「野球偏差値がとても高いですよ。ここは。指示で出されたのが送りバントだとしても、その場に応じて個人でエンドランをかけたりプッシュバントでショート方面に転がして自身もセーフになろうとしたり……まぁ、とにかく個人個人が非常に考えてプレイしています」

 

 

「しかも監督自身も選手が考えて出した結果なら容認するタイプです。指揮も的確ですが、その場に応じたプレイを心掛けさせるあたり余程、選手の頭脳を信用している傾向があります」

 

 

「今年は特に、最速こそ130キロ台だが高い制球力と多彩な変化球で打ち取る右腕エースの霧谷純也と、二番手だが140キロ台を計測できる速球派の鍵光練の二枚を軸とした守備力中心のチームです」

 

 

「攻撃面は主軸となるべき存在がおらず、得点力不足は否めませんが、時に堅実に時に積極的に攻める全員攻撃は侮れません。

それこそ、守備で作った流れを攻撃に転じ始めたら手に負えなくなってしまうかもしれません」

 

 

香澄「へぇー……」

 

 

有咲「オマエ、聞いといて何一つ理解してないだろ」

 

 

香澄「し、しょんなことにゃいよ?」

 

 

大地(噛みすぎだろ。相変わらずわかりやすいな)

 

 

「ところで燐子先輩、そろそろ俺の腕から離れてくれませんか? 流石に恥ずかしすぎます」

 

 

燐子「……いや、です。だって、大地くん……言葉とは裏腹に、全然恥ずかしがってません」

 

 

大地「恥ずかしがるまでやめない的なムードを作るのやめてくれませんかね。俺の恥ずかしがる姿なんて見たところで誰得なんですか? 不得しかないですよ」

 

 

大地以外全員(((それはない。むしろ役得っ!)))

 

 

こころ「あら! 燐子。随分と楽しそうなことしてるのね! 私も混ぜて頂戴っ!」

 

 

美咲「あぁ……咲山。おつかれ」

 

 

大地「ツッコミ役が諦めたらダメだ。俺が死ぬぞっ!」

 

 

紗夜「大地さん……」

 

 

大地「紗夜さん!! やはり貴女なら止めてくれると思ってました! どうかこの二人を引き剥がすのに助力していた─────」

 

 

紗夜「私もやります」

 

 

大地「なんでやねんっ!!」

 

 

彩「じ、じゃあ私も参加してみたりー。な、なんちゃって……」

 

 

大地「参加しないでくださいね」

 

 

彩「私だけ完全拒否ッ! ひどい!」

 

 

はぐみ「はぐみも参加したーいッ!」

 

 

 

花咲川生徒A「なんで羽丘高等学校のやつがいるんだよ。しかも裏山ポジションで観戦とか、アイツ殺していいか?」

 

 

花咲川生徒B「まぁ待て。今からスコップ持ってくるから落ち着くんだ」

 

 

花咲川生徒A「冗談だからな!? オマエが落ち着けよ! 本当に持ってこようとすんなっ!」

 

 

花咲川生徒C「いやいや、スコップじゃ生温いね。俺なら刀で喉元割くね。血の雨が待ってるぜ」

 

 

花咲川生徒A「オマエはサイコパスだっ! 目からハイライトを消しながら舌なめずりするなっ! 怖すぎだわッ!」

 

 

 

千聖「相変わらず彼の周りは何時も騒がしいわね」

 

 

花音「……」

 

 

千聖「花音?」

 

 

花音「……っ、ご、ごめんね。ボーッとしてたよ〜。な、何か言った?」

 

 

千聖「……何かあったの?」

 

 

花音「ふぇ? な、なんのこと?」

 

 

千聖「……調子が悪いわけじゃなさそうだし、血色もいい。けど無理しちゃダメよ。しんどくなったらすぐ言いなさい。いいわね?」

 

花音「う、うん。千聖ちゃん、心配してくれてありがとう……」

 

 

 

ザッ……

 

 

 

空「だ、大地の居場所? さ、さぁ? オレはさっぱり─────」

 

 

友希那「惚けても無駄よ? あんなに騒がしい場所に彼がいないこと自体おかしな話じゃない?」

 

 

空「わ、わかってるならオレに聞く意味は無いですよね!? てか怖いから胸倉掴むのやめてくださいよ!」

 

 

蘭「聞く意味がない? そんなことない。正確な場所を知っとかないと、周りにいる人が巻き添えになるかもしれないから、配慮しときたい」

 

 

空「オマエら大地に何するつもりだよっ!? 巻き添えとか物騒なこと言ったよな!? 今!?」

 

 

日菜「隊長っ! (BB弾の)アサルトライフルの弾倉、装填完了しましたっ! 目標も目視完了、いつでも撃てますっ!」

※現実では持ち込みをしてはいけません。これはフィクションです。絶対にマネしないでください。

 

 

リサ「現在無風、いつでもいけるよ!」

 

 

空「大地ぃいぃ!! 逃げろォオォオオ!!」

 

 

我妻(バカだな……)

 

 

 

ザッ……

 

 

 

澤野(? 虎金……?)

 

 

曽根山(虎金さん……?)

 

 

 

都築(筑波大筑波監督)「オマエたちなら相手が虎金龍虎でも勝てる。自信を持って攻めて来なさい!」

 

 

筑波大筑波選手一同『ハイッ!』

 

 

都築(虎金龍虎、花咲川高等学校の二年生でありながら絶対的エース)

 

 

(身長184cm、体重85kgの大柄なガタイから鞭のように撓った速球は、春の大会で出した最速154km/hの威力を持っている)

 

 

(加えて空振りの奪えるキレの良い速いスライダーに加え、右打者から逃げるように沈むサークルチェンジと、胸元抉るカットボールといった球種の充実からもレベルの高さが伺える)

 

 

(荒さは抜けきれてはいないが、コントロールも良い部類。ただしエンジンがかかり切らない序盤に失点するケース有り)

 

 

(去年の都大会で全試合登板して、二試合完投するタフネスから持久戦はこちらが不利)

 

 

(好投手を相手にするときの鉄則。追い込まれる前に崩すことを心掛けろ。仕掛けるなら初回から。さぁ我々の野球を貫こう)

 

 

 

ザッ……

 

 

 

大地「……」

 

 

「……ウソだろ?」

 

 

紗夜「大地さん……?」

 

 

 

ザッ……

 

 

空「……あの人、誰だよ」

 

 

全員『は?』

 

 

笠元「誰って、花咲川のエース、虎金龍虎やないか。オマエ、アホなんはわかっとったけど、そこまでボケてるとは思わんかったわ」

 

 

空「流石にバカにしすぎでしょっ! それぐらいは知ってますよ! ただ……」

 

 

結城「ただ?」

 

 

空「ただ、別人に思えただけです。オレから見たらね」

 

 

我妻「……やべぇ、投げ合いたい」

 

 

片矢「……」

 

 

 

「オマエら、見とけ─────」

 

 

 

 

 

筑波大筑波1番打者(初球からセーフティを仕掛け─────)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズッッッッッ───────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────バァァアァァアァァアァァアァァアーーーンンンンッッッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

筑波大筑波1番打者(─────は?)

 

 

 

(今、ボール。ちゃんと通過した?)

 

 

 

(全く視認出来なかった……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎金「……」

 

 

澤野(虎金、オマエ……!)

 

 

(また一つ、階段を登りやがったな!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スピードガン表示《155km/h》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片矢「─────あれが俺たちが超えなきゃいけない絶対的な壁だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖「……なんという威力」

 

 

「あれが人の投げるストレートとは思えないわ」

 

 

 

花音「多分だけどね……」

 

 

 

千聖「?」

 

 

 

 

花音「……龍虎くんは負けないよ」

 

 

 

千聖「この試合は勝つってことかしら? たしかに、虎金くんは調子良さげのようだけど、初回で決めつけるのは早計─────」

 

 

花音「違うよ」

 

 

千聖「え?」

 

 

花音「この試合だけじゃない。次の試合も多分負けない」

 

 

「龍虎くんが上を目指してる時はいつもそう……」

 

 

「……追い越されて挫折を知ったら無敵なんだ。だから─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズッッッバァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアーーーンンンンッッ!!!!

 

 

 

 

 

審判「、ットライーク!! バッターアウッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音「─────龍虎くんはいつも『ヒーロー』であり続けられるの」

 

 

 

 

 

大地「初めから『ゾーン』……? しかもあのストレート」

 

 

 

「空と同等の─────」

 

 

 

 

 

 

空「……おもしれぇな。虎金龍虎。オレはアンタと本気でやり合いたくなって来ちまったぞ」

 

 

「我妻の宿敵ってことで目を瞑ってやりたかったが、無理だな。抑えきれない」

 

 

 

 

我妻「100球以上投げたし、中三日で先発は無理かと思ったけど、やっぱりあの人と投げ合いたいっ!」

 

 

「中六日あけてる成田には悪いけど、無理だな。抑えきれないや」

 

 

 

 

 

 

空・我妻((俺(オレ)は、あの人と全力でぶつかり合いたいッ!! 譲りたくないッ!!))

 

 

 

花音(だから、もし……。今の龍虎くんに勝てる人がいるなら、それは─────)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、圧倒的な虎金の前に為すすべを無くした筑波大筑波は勢いにも飲まれたまま自慢の守備力で自壊し、五回コールド負けを喫した。

 

 

五回で終わった為、参考記録になってしまったが、虎金は5回を投げきり四死球0、被安打0、エラー0の完全試合を達成。

 

 

打線は4番の澤野を主軸に、二枚看板のダブルエースを玉砕し11安打16得点の猛攻で格の差を見せつけた。

 

 

筑大|000 00|0

花咲|434 5×|16

備考:花咲川高等学校 背番号1 虎金龍虎 参考記録ながら完全試合を達成。

同校 背番号2 澤野弘大 3打数3安打1四球8打点2HR




虎金くん、もっと自制しようか……

ヒロインは何処から選ぶべき2

  • アフグロ
  • それ以外は以前の集計結果から選択します
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。