ワァァァアァァアァァアァァア!!
観客「キタァ!!」
観客「成田ァ!!」
観客「きゃぁぁあ!! 成田く〜んっ!!」
実況『二度のピッチャー強襲で、我妻投手が負傷したためマウンドを降り、代わってマウンドに上がるのは、皆さんご存知!! 世代No. 1と呼び声高い羽丘高等学校エース!! 成田空がダイヤモンド中央に君臨しますッ!!』
──────────
成田 空(1年)
投球回:4回
被安打:0
四死球:0
失点 :0
奪三振:12
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綿部『登板した回のアウトは全て三振ですか……とんでもないですねぇ』
実況『左オーバースローの超速球派投手!! 球種は一気に浮き上がると評判高い最速155キロのストレートを軸に、スライダー、カットボール、そしてチェンジアップと、何れも一級品!!』
綿部『一、二塁のピンチですが、ツーアウトです。無駄に気負わないことが、両者ともこの回のポイントとなるでしょう。
大地「緊急登板だが、もう心の準備はできているか?」
空「ふ、愚問だな。大地」
「……おしっこ、今すぐ行きたい。ちびりそう」
大地「……オマエー、しばくぞー」
空「棒読みのくせに、ガチの顔するのやめて。いや、やめてください。ふざけたオレが悪かったので!!」
大地「はぁ……その様子だと、力んではなさそうだな」
空「力み? なんじゃそりゃ、美味しいのか?」
大地「クッソ不味い」
空「ガチの返答ありがとさん!」
大地「とにかく、次のバッターは二番の木ノ下さんだ。技巧派に見えるが、あのガタイの割に、普通にスタンドまで運ぶパワーを兼ね備えているオールラウンダーだ。慎重に、大胆に行くぞ」
空「あいよー」
大地「久々のバッテリーな気がするな」
空「……そういえば、そうだったな」
大地「最近は矢来に活躍の場を奪われていた、エース殿。このマウンドの感想は?」
空「……我妻が不本意な形で下されちゃったからな。あんまし、気乗りしない……わけ、ないな」
「我妻には悪いが、ここはいつ来ても最高だよ」
大地「そうか……」
空「あぁ、そうだ」
大地「抑えるぞ。絶対に」
空「おう! 我妻のためにも、絶対抑えてやる!」
山本(早瀬田実業 2年生 背番号1 )「……我妻、降りちゃったのか。ま、やむなしかな」
垣谷(早瀬田実業 2年生 背番号2)「そうだな。むしろ、頭ぶつけてから150キロ出したくらいなんだから、大したもんだろ」
山本「久々に面白いピッチャーが出てきたと思ったんだけどなぁ……」
垣谷「とはいえ、どちらかと言えば、オマエの本命は、今あのマウンドにいるアイツだろ?」
山本「まぁね。どこまでのやつか……気になるじゃん?」
垣谷「データ取りは忘れちゃいけないけど、普通にコイツの投球は見たいな」
審判「プレイっ!」
実況『さぁ、成田! セットポジションから足を上げて、注目の初球!!』
木ノ下(最速は155キロだけども、コントロールは最近荒れ気味。狙い球は甘く入ったストレート。代わったばかりの初球を叩くのは鉄則! 狙ってくぜ!)
大地(直球な。腕は振れ。ボールの勢いで圧倒するぞ)
空「……」(コクン)
なぁ、我妻。オマエはやっぱりすごいなぁ。
どうしてそこまで、自分の身を粉にしてまで投げようと思える?
どうしてそこまで憧れの存在に手を伸ばそうと出来る?
どうして我妻は諦めない?
俺は世間一般で言うなら、天才だとか、神童だとか持て囃されてきた。
けども、そんな声は心底どうでもよかった。世間体なんてどうでもいいんだ。
誰だって死ぬ程努力すれば、その道の頂きに立てると、オレは思ってる。
結局のところ、天才と凡才の違いはそこだと思う。体格の差、技術の差、知能の差……もちろん、それだってある。
けれど、本当の天才は努力の限界を知らないんだと思う。
努力して届かないものなどないんだと、本気で思ってる奴のことだ。壁がある。だからどうしたって話になる奴らのことだ。壁があるなら、ぶち壊すなり、よじ登るなり、色々な方法がある。それが分厚ければ、ぶち壊すのに時間はかかりるだろう。それが高ければ、よじ登るのにだって手間がかかる。
その時点で凡才と呼ばれる人たちは途中で上を見上げるのも、壁を叩くのも止める。そこで打ち止めだ。
一度見て覚える天才だって、元を辿れば一度は見なければ何も覚えられないし、他人の真似事ばかりしていては、オリジナルを超えるなんて出来っこない。所詮は猿真似、ハリボテなんだから。本物には到底追いつきやしない。
そこで諦めて、なんの努力もしないなら、そいつの限界はそこだ。それ以上、上になんていけるはずなど無い。一生凡才だ。
要は、この世に天才なんていないんだよ。きっと……。
天才を蔑むやつ……何もやってこない奴ほど嫉み蔑む。なによりもソイツを見縊っているのは、ソイツ自身なんだ。
多分、ソイツは知らないんだ。かわいそうな奴なんだ。
天才の正体が皆、凡才と変わらない“人”なんだって。
“人”だから天才。“人”だから凡才。
天才と凡才の違いなんて、オレが知る限りそんなものじゃないかな?
だからこそ、尽く想う。
我妻矢来、オマエの限界はどこなんだ? ってな。
絶対に折れない不屈の精神力。意志の強さこそが、アイツの根源であり最強の武器。
どこまでも高みを目指そうとする、その姿勢。はっきり言って、オレはその存在感に一度、ボッキリと折れたよ。
この前の試合といい、今日のピッチングといい……オマエの背中がドンドン遠ざかっていく。
あぁ、初めはオレの方が圧倒的にリードしていたはずなのにな。今はもう、安定感を含めて我妻の方が上だろう。どこで差がついたのやら……。
ハハ……ふざけるな。
いつからオレはこんなに弱腰になった。
いつから我妻に負けていると思った。
そもそもなんでオレが最初から勝っていた気がしていた。
違う。オレは初めから勝ってもいなければ、負けてもいない。まだスタートラインにも立てていないんだから、勝負もクソもあるかよ。
実況『投げるッ!!』
“敵は我妻でも、打者でもない! 本当の倒すべき敵は、己の慢心だ!”
ビュッゴォォォォオォォオッ!!
木ノ下(直球─────ッ!?)
ズッッバァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアーーーンンンンゥゥゥゥッッ!!!!
《 155Km/h 》
審判「ットライーク!!」
ワァァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアッッ!!!!
実況『自己最速の直球ッ!! これがアウトコーナーに決まりますッ!!』
笠元「よっしゃあ!! ええ球や!!」
結城「落ち着いていけよ!!」
大地(……はは、構えたところドンピシャかよ)
空「……よし、ワンストライク」
大地(しかも、このボール……イップスが治った頃よりも遥かに─────)
実況『テンポ良く二球目!』
木ノ下(ストレート、一本で絞って、狙ってるのに─────)
ズッッバァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアーーーンンンンゥゥッッ!!!!
木ノ下(反応すらできないなんて……!?)
実況『外から内へ!!驚異のストレートと抜群の制球力で、好打者木ノ下をあっという間に追い込んだッ!!』
誰かに負けるのはいい……。
実況『カウントツーストライクから、3球目!!』
だけど─────!
ビュッゴォォォォオォォオォォオォォッッ!!
木ノ下(……そんなバカなこと!?)
ズッッバァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアーーーンンンンゥゥゥゥッッッ!!!!
“─────自分だけには、負けられないッ!!”
《 156Km/h 》
審判「ストラックアウトォォ!!」
空「シャァァァアァァアァァア!!!!」
ワァァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアッッ!!!!
大地「ナイスピッチ!!」
結城「ナイスボールだ!!」
笠元「おっしゃぁあ!!」
帯刀「最高じゃぁあ!!」
秋野「いい感じだねぇ!!」
実況『全球直球で三球三振ッッ!!!!』
『最後は自己最速更新!! アウトロー一杯!! 会心のストレートォォ!!!! バッター木ノ下に、バットを一度も振らせることなく捩じ伏せたぁっ!!』
『一、二塁のピンチを渾神の直球で薙ぎ払って見せた!! 一年生エース、成田空ッ!!!!』
『神童ここにあり!! 至高の存在がマウンドに君臨だぁっ!!』
前書きが少なすぎて泣きそう。(なら増やせって話ですよね!)
ヒロインは何処から選ぶべき2
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アフグロ
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それ以外は以前の集計結果から選択します