Stand in place!   作:KAMITHUNI

90 / 100
九回はドラマ!!


死闘! 9回裏の攻防!!

『なんか花咲川って、勝つべきところで勝ちきれてないイメージが強いよな〜』

『そこそこ勝てるけど甲子園には行けないチームね』

『中堅校以上強豪未満ってやつ』

『ちょっと勝てるから調子乗ってんだよ。だから甲子園に行けないだよ』

 

 

虎金(甲子園常連校と比べたら、そりゃあ俺たちなんてさぞ力不足に映るだろうよ)

 

 

(けど調子乗ってるから甲子園に行けないって言われた時はイラついた)

 

 

(だってそんなこと言う奴は、俺らの野球に対する姿勢をちゃんと見ようとせず、試合結果だけで判断してるってことだろ?)

 

 

(普段から俺らの姿勢を見て言ってるならまだしも、何も知らないド素人が口だけで揶揄してんなら、そりゃあ御門違いだ)

 

 

(調子乗っててこんな速い球を投げられるか?)

 

 

(調子乗ってて打席に立てると、本気で思ってんのか?)

 

 

(普段から何も知らないヤツが多いことぐらい知ってるし、これからもそう言う奴らからの視線を受け続けるんだってことはわかってるつもりだ)

 

 

(けど、調子乗ってるとか言われて、仲間のことをバカにされてるみたいなこと言われたら当然、腹立つじゃん)

 

 

(馴れ合いをしているつもりはない。遊んでここまできたわけじゃない)

 

 

(競い合って、蹴落としあって、そして最後に抱き合って笑い合うんだ。調子乗って勝ち上がるほど、高校野球は優しくない)

 

 

(そんなこと、とっくにみんな理解してんだ)

 

 

(人の努力を、友情を、姿勢をバカにしてんじゃねぇぞっ!!)

 

 

カッッキィィイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィーーーンンンッ!!!!

 

 

空「な……っ!?」

大地「ウソだろ!?」

 

 

(少し甘く入ったとはいえ、空のストレートを初見で捕らえた!? これは長打か!?)

 

 

 

実況『成田のストレートを捕らえた!! これはセンター後方に落ちるか!? センター秋野は下がる!』

 

 

 

虎金(三点差? んなもん、あってないようなもんだろうが!)

 

 

(俺らならすぐに追い越せる!!)

 

 

秋野(……! これは!)

 

 

(いける!)

 

 

笠元(咲耶はん! マジか!?)

大地(いや、いくらなんでもそれは─────!)

 

 

パシンッ……!

 

 

 

実況『ウソォ!?』

綿部『じ、じじじ! 実況! わ、わわわ忘れてますよぉ!?』

実況『し、失礼しましたぁ! しかし、センター秋野のスーパープレー!! 頭上を襲った強烈な打球を背走しながら見事キャッチ!? まさにファインプレー!!』

 

 

虎金「……ウソ、だろ?」

 

 

(長打がセンターフライとか……)

 

 

 

実況『三点を追う花咲川としては手痛いアウトか!? これでワンナウトランナー無し!』

 

 

 

虎金(不甲斐ない極まりないけど、託すしかないか……)

 

 

(どうか、オレをもう一度マウンドに上げてください─────!)

 

 

 

アナウンス『一番 セカンド 坂山君』

 

 

実況『ここでチーム一の俊足を誇る一番の坂山が右打席に入ります! 今日の試合は四打席立ってピッチャー強襲の1安打!』

 

 

 

坂山(序盤の我妻といい、後半の成田といい羽丘にはバケモノ投手が二人もいるんだな)

 

 

(だけどな、ウチのエースだって負けてねぇんだよ)

 

 

(ベスト16? 満足できるかよ!)

 

 

(去年となんら変わらない景色なんざ、もう十二分だ!!)

 

 

 

カッキィィィイィイーーーンンンッッ!!

 

 

 

実況『打った! 三遊間! これも鋭いッ!!』

 

 

 

坂山「行け! 抜けろやぁ!!」

 

 

笠元(……ここ最近、ワイは打撃面で足引っ張っとる)

 

 

(やったらせめて、咲耶はんみたいに守備ぐらい貢献せんくてどうするんや!? )

 

 

(守備は専売特許や! この球足について来れんようじゃ、ワイがグラウンドに立っとる価値はないッ!!)

 

 

パシィッ!

 

 

 

実況『三遊間深いところに追いついて逆シングルでキャッチ!! ただしバッターランナーは快足の坂山! 間に合うか!?』

 

 

 

坂山(セーフに……! 絶対にセーフになるんだ!)

笠元(絶対にアウトに─────!)

 

 

((間に合えェェェェ─────!!))

 

 

 

塁審「ヒィィーズアウトォォ!!!!」

 

 

 

坂山「くっ、そ……あと一歩……!」

 

 

笠元「シャウラァ!」

 

 

空「ナイス浪速魂です!!」

結城「ショートナイスプレー!!」

帯刀「最高じゃぁ!!!!」

 

 

 

実況『バッターランナー一歩及ばずっ!!!! 懸命のヘッドスライディングも届かず、ショートゴロ!! これでアウトカウントが二つ!! 花咲川高等学校、遂に追い込まれたッ!!』

 

 

 

アナウンス『二番、ショート 木ノ下君』

 

 

 

実況『そして此方も右打席に入ったのは木ノ下!! 最後のバッターになってしまうのか!? それとも成田を打ち、希望を繋ぐか!?』

 

 

 

大地(打ち取ったとはいえ、空のストレートを初見で虎金さんにも坂山さんにも捕らえられていた)

 

 

(……球道に慣れてないはずなのにアジャストするとか……もはや、気概だけで振ってるだけじゃねぇの?)

 

 

(これが上位校の気迫……1年と2、3年の違いか)

 

 

ズッッッバァアァアァアァァァアァァアァァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアーーーンンンゥゥゥゥッッ!!!!

 

 

審判「ボール! ワン!」

 

 

大地(インコーナーの厳しめ。けど若干外れたか……初球にストライクは欲しかったな)

木ノ下(……チャンスを潰したのは痛かったけど、成田の球はさっき見た。今なら、打てる!)

 

 

(攻める気持ちを常に持て!)

 

 

カコォーンンンッッ!!

 

 

 

実況『二球目はアウトコース高めストレートですが、木ノ下が対応してファールチップ! カウントワンストライクワンボール!』

 

 

 

ズッッッバァアァアァアァァァアァァアァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアーーーンンンッ!!

 

 

審判「ボール!! ワンツー!!」

 

 

 

実況『低めに鋭く沈む高速シンカーを見極めたぁ!! これも外れてワンツーとバッティングカウント!! 羽丘バッテリーとしましても中軸には回したくない場面!!』

綿部『素晴らしい選球です。よく見極めましたよ!』

 

 

 

大地(頭にあったとしても、今のを初見で見極めるとかキチガイの領域だろ……)

空(今のを見逃されるかー……打ち気を利用したと思ったんだけどな)

大地(ミスったら終わりのギリギリ展開で、どうしてそこまで冷静でいられる、平然と見送れる)

 

 

(貴方達だって人間でしょう? あと一つで試合が終わるんですよ……?)

 

 

(もっと動揺してくれよ!)

 

 

カッキィィィイィイーーーンンンッ!!!!

 

 

ワァァァァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァア!!!!

 

 

 

実況『高めに浮いたストレートを捕らえたぁ!!!!』

 

 

『打球は右中間を深々と破り、バッターランナーの木ノ下は悠々のスタンディングダブルッ!!!!』

 

 

『これぞ花咲川が誇る2番打者!! 外角高めを逆らわず右方向に強打っ! ボール球はきっちりと見分け、甘い球は見逃しませんでしたっ!!』

 

 

『九回の裏、三点ビハインド、ツーアウトからランナー二塁ッ!!!!』

 

 

『ここで打席に入るのは未だ不発の3番打者、世代上位候補の伊達 雄紀!!』

 

 

 

片矢「……雪村、伝令だ」

雪村「はい!」

 

 

大地「……タイムをお願いします」

 

 

審判「タイム!!」

 

 

 

実況『ここで羽丘ベンチ、守備のタイムを取ります。春までエース番号を背負っていた背番号10の雪村が監督の伝令をナインに伝えに行きます!』

 

 

 

空「……やっぱ手強いな。花咲川」

大地「あっちは負けたらそこで終わりの選手がちょこちょこといるからな。余計にハンパない威圧を感じるな」

雪村「監督は伊達に対しては変化球から組み立てろって言ってたぞ」

大地「わかりました。そっちで行きます」

空「押せ押せのストレートじゃないの?」

大地「伊達はオマエと矢来のストレートに全く合ってないのは確かだ。ストレート主体で押したいところだけど、今の木ノ下といい、この回の打者は全員雰囲気が違いすぎる。ストレート一辺倒の配球だとスコられる可能性はゼロじゃない。だからこそ、まだ伊達に見せていない外カーブから入ろうかってプランがあったんだよ」

雪村「変化球から入ることで撹乱することもできるしな」

空「わかった。なら守備の方は任せます」

結城「空も低め意識しろよ。外野はシングルに抑えられるように中間位置だ。頭越されると、忽ち厳しい状況だぞ」

空「哲さん、わかってますよ」

笠元「守備は任せい。こっち飛んできたらまたアウトにしたる」

村井「うがっ!!」

 

 

結城「ここ、抑えてベスト8に行くぞォォオ!!」

 

 

全員「シャァァアァァア!!」

 

 

 

実況『さぁ、成田と伊達。本日二度目の対決!!』

 

 

伊達(……今日の試合でオレは徹底的にやられた。おかげでチームの指揮は下がったままだった)

 

 

(初回のフォーク系統。アレが過ぎって仕方なかった)

 

 

(だから我妻と成田のストレートに全く手が出なかった)

 

 

ビュッゴォオォオオオオォオォオオオオ!!!!

 

 

(─────だからこそ、読んでたぞ)

 

 

大地(?! カーブ、読まれてる!?)

 

 

伊達(ストレートに合い始めた前打者達を警戒したアウトコースへの変化球。その上、緩急の効きやすい通常カーブ)

 

 

(この球狙ってシングル打てなきゃバッターなんざ辞めてやらぁ)

 

 

(シングルでいいんだ。後ろに繋げば、主将がいる!)

 

 

(なんとかなる!)

 

 

 

カッキィィィイィイーーーンンンッッ!!

 

 

 

空「な!?」

大地「マジで狙われてた!?」

(クソ! ストレートを初めから捨ててやがったのか!?)

 

 

(この場面で……一体、どんな肝の据わり方してんだ……!)

 

 

 

実況『外角のカーブに踏み込んで振り抜いたぁ!!』

 

 

『打球は強烈! 三遊間を襲う!!』

 

 

 

大地「ショートッ!!」

笠元「わかっとる!!」

 

 

 

実況『名手笠元、ダイビングを試みた!! 届くか!?』

 

 

 

笠元「くっ……!!」

 

 

(アカン! 球足が流石に速すぎや─────!)

 

 

 

実況『抜けたァァア!!』

 

 

 

ワァァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァア!!!!

 

 

 

実況『レフトは猛チャージッ!! 二塁ランナーは─────』

 

 

 

有原(点差は三点……! 次のバッターは澤野。無理する場面じゃない……けど!)

木ノ下(ゼッテェに引かないッ!! 行かせてくださいッ!!)

有原(鍛え上げてきた武器で攻め続けるのが俺たちの長所! 引いたら負けだッ!!)

 

 

─────引くな!! 攻めろ!!

 

 

有原「ゴォォォォ─────!!!!」

 

 

 

実況『サードコーチャー回したァァア!! 二塁ランナー木ノ下は俊足だが、レフト帯刀は強肩ッ!! 流石に分が悪いかぁ!?』

 

 

 

帯刀(クソッタレ!! 舐め腐りやがって!!)

 

 

(俺をその辺の弱肩レフトと一緒にしてんじゃねぇぞッ!!)

 

 

「タコがァァァァァァ!!!!」

 

 

 

村井「!?」

(これは─────!?)

大地「サードノー!」

(─────少し高い!!)

 

 

 

実況『送球が少し浮ついたが、タイミングは絶妙!? 判定は─────!?』

 

 

 

ズザザザッッ─────!!

 

 

 

審判「セェーーフッ!!!!」

 

 

 

ワァァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァアァァア!!!!

 

 

 

実況『花咲川高等学校、初得点ッッ─────!!』

 

 

『九回裏ツーアウト2塁の土壇場で二点差に縮めるタイムリーヒットが炸裂!! ここにきて漸く【神童】を捕らえたぁぁ!!』

 

 

 

伊達「っっ!! うしっ!!!!」

 

 

 

実況『怒涛の攻撃ッッ!! これが上級生の意地ッ!!』

 

 

『成田空、アウト一つが果てしなく遠い!!』

 

 

『九回裏、ツーアウト一塁、二点ビハインドの場面で打席に入るのは、』

 

 

『4番、澤野弘大!!』

 

 

『筑波大筑波戦では二本の満塁本塁打を放った怪物スラッガー!! そして5番には長打力に定評のある幽ノ沢! 羽丘バッテリーとしては最も対戦したくない打者が続きます!』

 

 

『一発出れば忽ち同点!!』

 

 

 

『羽丘エースが再度捻じ伏せるか!!』

『それとも花咲川主砲が全てを玉砕するか!!』

 

 

『最終回、クライマックスに相応しい注目の対決!!!! 勝利の女神はどちらに微笑むか!!?』

 

 

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