Stand in place!   作:KAMITHUNI

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藤浪さん復活を切に願います!


頂上にいる者

大地「オッケー、ナイスピッチだ。だいぶゴリ押しの打開法だったけどな」

空「それでもこのチーム相手に手加減なんてしてらんないでしょ。チマチマやられるぐらいなら、強引だろうがパワーで押したほうが手っ取り早い」

大地「百理あるな」

結城「まさか初球からエンドランかけてくるとはな。しかも敢えてスタートを遅らせて油断を誘われた」

大地「松伊さんを塁出さない事が一番いいですが、そんなに簡単じゃないんですよ。あの追い込み方して、決め球のチェンジアップを初球から弾かれた。しかも、アウトローギリギリのベストボールをです」

空「あれ拾われたら、本格的に投げる球がなくなってくるんだけど」

大地「慥かにな。けどあの人も人間である以上、ミスショットがない訳じゃない。カウント有利に進めていけば大きなプレッシャーだし、打ち取り方は幾数ある」

空「だな。少し楽に思っとこうかな」

 

 

ズッッドォォォォォーーーンンンッ!!

 

 

ズッッドォォォォォーーーンンンッ!!

 

 

ズッッドォォォォォーーーンンンッ!!

 

 

秋野「やっぱり近くで見ると凄い角度だね」

舘本「……低めは厄介」

秋野「監督の言ってた通り、カーブは捨てて振り抜く意識だね」

舘本「……うん」

 

 

 

松伊 純也《捕手・主将》「恭介! 落ち着いていけよ!」

浦山 恭介《投手・一年》「……わかってますよ」

 

 

 

実況『マウンドの浦山恭介は、一回戦の松鵜商業を五回無失点2四球11奪三振。三回戦の柳沼高校を四回無失点無四死球9奪三振。先日の五回戦、宮岸高校では2回から4回まで無失点4奪三振と言ったように、12イニング投じて与えた四死球はたったの2。奪三振はなんと24! ここまでは素晴らしい投球を披露しています! 今夏の最速は153キロを誇る剛腕一年投手です!』

 

 

 

アナウンス『一回の裏、羽丘高等学校の攻撃は、1番センター、秋野くん』

 

 

 

審判「プレイッ!」

 

 

秋野(浦山恭介。U-15の2mピッチャー。最速は153キロ。決め球は通常のカーブよりもトップスピンが強く球速の速いパワーカーブ。ストレートに威力があって、本人にも自信があるのか積極的に低めに集めてくる)

 

 

松伊(1番秋野。脚が速く渋いバッティングがウリの面倒な打者。初球は見逃してくるケースが多いが、花咲川戦では初打席で初球打ちで得点に貢献している)

浦山(……サインは前もって決めといてくださいよ)

松伊(ある程度は見立ててあるが、改めて対峙すると色々変わったりするんだよ)

浦山(……ふーん)

 

 

秋野(虎金の初球を狙った感じは悪くなかった。甘い球は積極的に初球からがっつくよ!)

 

 

 

実況『さぁ注目一年浦山の初球、ノーワインドアップから、豪快に投げ下ろす!』

 

 

ゴォォオォオオオオ!!!!

 

 

秋野(甘い! もらった!!)

松伊(流石にな)

 

 

カクンッ!!

 

 

秋野(え……!?)

 

 

ズッッドォォォォォーーーンンンッ!!

 

 

 

実況『初球真ん中から落ちていくフォークを空振りでワンストライク!』

 

 

 

秋野(……落ち始めが異常に遅いね)

松伊(いい角度、いい変化量)

秋野(変化が鋭い上に、スピードもある。言うならばスプリットかな)

松伊(勝負を焦らずともいいな)

 

 

ズッッドォォォォォーーーンンンッ!!

 

 

審判「ボールッ!!」

 

 

 

実況『二球目はアウトコースに外してカウントワンストライクワンボール!!』

解説『素晴らしい腕の角度です』

 

 

 

浦山(指の掛かりは悪くない……あとはどれだけ俺がこれを制御できるかだな)

 

 

ズッッドォォォォォォオオオオォォォォォオオオオォォォォォォォォォォォオオオオォォォォォォオオオオォーーーンンンゥゥッッ!!

 

 

秋野「うっ……!」

 

 

 

実況『アウトコース低めのストレートに手が出ず! ツーストライクワンボールと追い込んだ!!』

 

 

秋野(カウント不利。相手も余裕があるし初球に空振りしたフォークか、食い込んでくるスライダーか、鋭く強いパワーカーブとかで遊んでくるか?)

 

 

浦山(成田 空? 慥かに凄い投手かもしれないが……俺を誰だと思ってる)

 

 

 

実況『追い込んでからの四球目!!』

 

 

 

ゴォォオォオオオオォォォォォ!!!!

 

 

秋野「……え?」

 

 

ズッッドォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオーーーンンンゥゥッッ!!!!

 

 

 

 

浦山「…………」

 

 

「名門のマウンドを託された者として、気高いプライドを持って─────」

 

 

「─────今日も相手を無慈悲に撃ち砕く」

 

 

 

審判「ストライクスリィィィーーー!!」

 

 

《 154km/h 》

 

 

 

実況『自己最速154キロ、渾身のインコースに炸裂ッッ!!!!』

 

 

『成田ではなく俺を見ろ!! そう言わんばかりの豪快なストレートで1番 秋野咲耶を圧倒ッッ!!!!』

 

 

 

秋野(……これが次世代の【巨神】・浦山恭介)

 

 

(打席で打てないって、思ったのは……初めてだ)

 

 

アナウンス『2番セカンド、舘本くん』

 

 

 

舘本(……浦山の2メートルから投げ下ろす角度は厄介。腕を立てて高さを際立たせて思いっきり振り切ってくる分、重さもスピードも増してくる)

 

 

 

澤野「ここ最近、機能していない1、2番コンビだが、2番舘本のコンタクト能力は本物だ」

雄介「春の都大会では打率.714だっけ、コイツ」

澤野「そうだ。ほとんどミスショットがない」

宮城(徳修高校 正捕手 3年:三回戦で早瀬田実業とぶつかり惜敗)「ぶっちゃけ咲山と結城に続いて打ち取れる気がしなかったわ」

虎金「俺は結局春も夏も打たれなかったですけどね」

宮城「普通、オマエの150キロ台を簡単に弾き返せるかよ」

虎金「そういうもんですかね? そっちの峰田さんには2年でもライトスタンドに運ばれましたけどね。そん時は140ちょっとでしたけど」

宮城「恭二、オマエのこと打ちやすいって言ってたぞ」

虎金「……なんか腹立ちますね」

 

 

リサ(あそこだけなんかメンツが凄いねー)

モカ(ガチ勢ですね〜)

 

 

 

ズッッドォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオーーーンンンゥゥッッ!!!!

 

 

審判「ットライーク!! ツー!!」

 

 

 

実況『アウトコースへのスライダーを見逃しでカウントツーツーと並行カウント!!』

 

 

 

松伊(スライダーに反応してはいるけど、食いついてこない。単純に見送ってるだけか?)

舘本(……スライダーが多い。ストレート主体って情報と違う。意図的?)

 

 

浦山(だいぶ引き付けるバッティグしてくるな。ギリギリのところでスライダーを見極めて見逃してる)

松伊(ストレート狙いには変わりないが、スライダーは途中で見極めて無視してくるな)

 

 

 

澤野「舘本の俯瞰的思考は相変わらず頭抜けてるな。ボールだけではなく投手と捕手も見渡しているようだ」

宮城「打つ際に視線と軸足が一切ブレず、首から下だけが回転し、バットが巻き付いてヘッドを遅らせながら出して軸足を回転させている。あれは下手すりゃ天才かもな。誰も真似できねぇよ」

澤野「だからこそ打率も当然高くなるって訳か」

 

 

巴(会話のレベルが高すぎる!?)

つぐみ(ついていけないよ〜!)

 

 

 

舘本(……スライダーだけで並行カウント。もっと他の球を見たい)

 

 

松伊(次はコレだ)

浦山(しつけぇな)

 

 

 

実況『五球目!』

 

 

 

ゴォォオォオオオオォォォォ!!!!

 

 

舘本(これもスライダー……)

 

 

カククッ!!

 

 

舘本(コースに入ってる、カット……)

 

 

カコーン!!

 

 

審判「ファール!!」

 

 

 

実況『アウトコースのスライダーをカットしてカウント変わらず!』

 

 

 

浦山「ふーん……」

松伊(今ので明らかだな─────舘本はスライダー系が苦手だ)

 

 

浦山(じゃあ、最後はコレっすね?)

松伊(正解。外高めストライクコースからボール球のスライダー)

 

 

カコンッ!

 

 

 

実況『アウトコース高めのスライダーを打ちに行きますが、これはセカンド真正面のゴロ。1年生神奈元が捌いてツーアウト!!』

 

 

 

舘本(最後もスライダー……しかもアウトハイ……打ち気を利用された)

 

 

結城「ドンマイ。舘本には一貫してスライダー勝負だったな」

舘本「……ん」

結城「弱点だとバレてるなら、次も同様の手口で攻めてくるはずだから、次こそは狙っていきたいな」

舘本「……そのつもり」

 

 

 

アナウンス『3番ファースト、結城君』

 

 

 

松伊(珍しく立ち上がりから安定してる。このまま押していきたい)

浦山「ふんっ!」

 

 

ズッッドォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオーーーンンンゥゥッッ!!!!

 

 

審判「ットライーク!! ワン!!」

 

 

《 154Km/h 》

 

 

結城(速いっ)

 

 

 

実況『初球インコースへ最速154キロでワンストライク!!』

解説『珍しく初球からインコースから入って来ましたね。これは手が出ません』

 

 

浦山(打たれる気がしない)

松伊(いいボールだ。ジンジンくるな)

 

 

 

実況『二球目!!』

 

 

 

ゴォォオォオオオオォォォォォ!!!!

 

 

結城(高い! 打てる!)

 

 

ガキャーン!!

 

 

 

審判「ファール!!」

 

 

 

実況『二球目はストレート、すこし甘く入ったボールを結城が打ちに行くも、これはボールの勢いに押されたようにファール! これでツーストライクノーボール!!』

 

 

 

松伊(内側高めの甘いストレートを押し負けてファール。コースは褒められたもんじゃないが、今日の恭介のストレートはホンモノだな。角度だけではなくスピンも効いてる)

 

 

結城(いいボールだ。この勢いあるストレートに押し負けないようにスイングを強く走らせなければ)

 

 

松伊(外にスライダーで誘う)

浦山(嫌です)

松伊(とうとう出たな、生意気小僧が)

浦山(表、成田にやられたんだ。仕返しぐらいさせてくれ……っす)

松伊(……何言っても無駄なんだろ?)

浦山(当然)

 

 

 

実況『マウンド上の浦山、キャッチャーのサインに3度首を振り、さぁ3球目!』

 

 

結城(浦山は首を振った後は、必ずと言っていいほどにストレートが来る。それを狙う)

 

 

浦山「……このグラウンドで誰が一番頂上にいるか、知ってるか?」

 

 

「─────俺だよ」

 

 

ゴォォオォオオオオォォォォォ!!!!

 

 

結城(スト─────!?)

 

 

ズッッドォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオォオォオオオオーーーンンンゥゥッッ!!!!

 

 

結城「な、んだと……?」

 

 

審判「ットライークスリィィィーーー!!」

 

 

《 151Km/h 》

 

 

 

実況『見逃し三振ッッ─────!! アウトローへ緻密に制球されたストレートに好打者結城が手が出ず!!』

 

 

浦山「ハンッ……!」

松伊「生意気一年が、ナイスボールだ!」

武良木(俺の背番号って本当に御飾りだぜ。俺より実力が2、3段違うからな……大学では野手に転向しようかなぁ)

 

 

結城(ストレート狙って……手が出ない!?)

 

 

 

実況『一回の表、羽丘のエース成田空が156キロで三者連続三振で仕留めたと思えば、八川三校の一年浦山恭介も負けじと最速154キロで二つの三振を奪ってねじ伏せた!!』

 

 

 

片矢(羽丘高等学校 監督)(……哲が手も出せず三球三振か。想像以上だ)

唯蔵(八川大学第三高等学校 監督)(恭介の心配は皆無。あとは成田をどうやって崩すか)

 

 

大地(あっちの一年投手も絶好調か……厄介な)

秋野(あれはちょっと厳しいね)

 

 

空「………………」

 

 

片矢「成田……」

 

 

「手加減はせんでいい」

 

 

「─────オマエの望むままに投げ込んでこい」

 

 

「チーム全員で、この一戦を制してこい!!」

 

 

 

空「最初からそのつもりでしたよ、監督」

 

 

「必ずや封じきってみせます─────」

 

 

(求めるのは世界最高のピッチング。このチームで日本の頂点に立つために、俺が名門を捻じ伏せる。この試合は花咲川戦のように上手くことが運べるとは限らない。かならず一点勝負になる。そうして託されたエースとしてのピッチング。監督からの期待)

 

 

(オレは応えなくちゃいけない)

 

 

「エースとしての矜持を胸に、オレは投げ抜く─────」

 

 

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