銀雷轟く銀滅龍   作:太刀使い

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お久しぶりです皆さん。2ヶ月ぶりでしょうか……
話したいことはありますが、とりあえず本編をどうぞ!


第12話.古代竜人

「流石。祖龍様の御使殿」

「誰だ!?」

 

 とっさに振り返ってみてみると、岩の上にそいつはいた。傘のような被り物から垂らした布で顔を隠した、小さな人型の生物だ。

 

「我ら、古代竜人。祖龍様の御言葉聞こえた。だからここに来た」

 

 古代竜人……確かゲーム内でたまーに出てくる謎の人種だったか。竜人よりも遙か昔から生きているという彼らには、いろんな考察が飛び交っていたっけ。

 しかし、さっき俺の問いに返してきたよな。まさか俺の言葉が分かるのか? 

 

「俺の言葉が分かるのか?」

「然り。我ら古代竜人。意思ある龍の言葉、分かる」

 

 意思ある竜、ね。要するにこの世界には、俺のように人間レベルで思考するモンスターが存在してるってわけだ。古龍は極めて知能が高いという設定があったが……どうやら想像以上にそいつらの知能は高そうだ。

 おっと思考がそれた。それは今はいいんだ。問題は祖龍の御言葉って部分だ。

 

「それで、古代竜人が俺に何の用だ?」

「祖龍様言った。アイツ(・・・)が目覚めようとしている。時間がない、と」

「アイツ……? アイツって誰のことだ」

「それ、禁忌。口外禁止。決まり事。でも時間ない。だから我ら手伝う。汝の成長」

 

 うーむ、不可解だな。何故あったこともない祖龍が、俺に助力してくるかってことだ。まぁ俺は例の神に転生させてもらった身だし、珍しく思われたのかもしれない。だが、それだけの理由で……? 

 まぁ、レベルアップを手伝ってくれるっていうのは、願ったりかなったりなんだが。それに不思議なんだが、こいつには協力してもらったほうがいいと、本能が告げているのを感じる。感覚の話なんだけどな。

 

「話はわかった。そちらの提案を受け入れよう。それで、具体的には何をしてくれるんだ?」

「汝、今困ってること、ある。それ解決する」

 

 困ってること……なんかあったっけ。あ、このあいだのあれか? 

 

「戦闘中に意識がなくなって、気付いた時には大破壊の跡が残ってたって言う件か?」

「然り。それの克服の仕方、教える」

 

 おお、それはありがたい。戦闘中に意識がなくなるとか結構危ないし、気にはなってたんだよな。それにあの規模の破壊を、どうやって引き起こしたのかも知りたいし。

 

「あれ、怒り状態。汝、モンスターの怒りの感情に囚われた」

 

 淡々と古代竜人が述べた事実に、俺は動揺を隠しきれなかった。

 

「怒り状態だと!? じゃあ何か、あの時俺は怒りで我を忘れてたってわけか?」

「そう。モンスターの怒りの感情。汝が思ってるより巨大。意思ある龍も、飲まれる可能性あり」

 

 そうか……

 俺は、感情は理性で抑えきれるとどこかで勝手に思っていた。実際生前は何回もそうしてきたしな。でもこの体は人間のそれじゃない。だったら、感情面でなんらかの変化が出てもおかしくはない。

 考えてみたら案外単純な話だったってことか。

 

「モンスターの怒り状態。絶大なパワー得られる。しかし制御するの困難。今から汝には、怒りの制御の練習。してもらう」

「了解した」

 

 こうして怒り状態を制御するための特訓が始まった。

 

 

 ……Now loading……

 

 

「怒り状態。モンスターが危機に陥ると起こる。即ち、自己防衛機能の一つ」

 

 古代竜人が言うには、怒り状態とはモンスターが己の身に危険が及んだ時、脳のリミッターを解除して暴れまわると言う、最終防衛手段らしい。生物の脳には負担がかからないようリミッターがかかっているが、モンスターも同じなんだな。

 怒り状態になるとモンスターは全ての身体能力や、特殊能力なんかも向上し、かなりのパワーアップが施されるんだそうだ。

 

 だが勿論、デメリットも存在する。リミッターを外すと自我が無くなり、疲れ果てるまで暴れ続けることになるそうだ。また、脳への負担もなかなかのものらしい。かなり危険な代物だ。

 しかし、これを制御できるようになると、パワーアップをしたまま自我を保ち、なおかつ脳へのダメージもほとんど無くすことが出来るんだとか。

 話を聞く限り、怒り状態の克服は今後の俺の生死にも関わってきそうな重要なことだった。早めに知れて良かった。

 

「んで、克服するには具体的にどうすればいいんだ?」

「怒り状態になる前、声聞こえたはず。声に飲まれないよう、精神を鍛える」

 

 声……声か。ぶっちゃけあの時の記憶は結構朧げなんだよなぁ。うーん、そういえばあの場にいた3人のハンター達ではないナニカから、話しかけられていたような……? 

 

「すまない。あの時のことはよく覚えてないんだ」

「承知。なら今から試す」

「……は?」

 

 そう言うや否や、古代竜人は手に持った杖を前に構え、なにやら呪文のようなものを唱え始めた。

 

「お、おい。なにをする気なんだ?」

「祖龍様から力、授かってる。これで汝、強制的に怒り状態にする」

「いやいやちょっと待ってく……ぐぁ!?」

 

 制止の声をかけようとしたが一歩遅かったようだ。途端に俺の頭の中に、ナニカの声が響き始める。

 

『コロセ』

『コロセ』

『コロセ』

 

 こ、これか……! とんでもない破壊衝動っ。今すぐにでも暴れ出して、全てを壊したいっ……! 

 ダ、だメだ。意識をタもってイられナイ……

 

「グゥオォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 ここで俺の意識は、完全に怒りの感情に飲まれてしまった。

 

 

 ……Now loading……

 

 

 う……こ、ここは……? 

 

「気がついた。汝力の使いすぎ、倒れた」

 

 倒れた俺の顔を覗き込むようにして、古代竜人がそう言ってきた。

 

 あぁそうか。俺はまた怒りの感情に飲まれてしまったようだ。しかしあれが怒りの感情……恐ろしいものだった。アレに声をかけられた途端、思考が破壊の一言で埋め尽くされてしまった。

 

「しかし驚いた。汝、怒り状態の身体向上、異常すぎる」

「それはどういう……ってなんじゃこりゃ!?」

 

 俺の周りは、それはもう悲惨なことになっていた。穴ぼこだらけの地面が広がっており、激しく暴れまわったのがみて取れる。壁も随分と崩れてしまっているようだ。

 俺の安住の地が……ま、まぁまだ住めなくはないしギリギリセーフか。

 

 俺が驚愕とともにその光景を見ていると、古代竜人が再び話しかけてきた。

 

「汝、怒り状態なると変化すごい。まず雷。電圧上がって、オレンジ色になってた」

「オ、オレンジ色? 纏う雷がか?」

「そう。これ証拠」

 

 そういうと古代竜人はおもむろに手を突き出してきた。よく見てみると手の中に雷光虫がいる。そしてその雷光虫が帯びている電気は、確かにオレンジ色に見える。

 

「た、確かに。他には? 他にはなにか変化はなかったか?」

「ふむ。特筆すべきは身体能力。多分3倍ある。すごい上昇」

 

 どうやら俺は怒り状態になると、身体能力が約3倍になり、電力が強化されたオレンジ色の雷、緋雷を纏うようになるらしい。

 えぇ……なんだかジンオウガの範疇から外れてきたような気がする……これも転生した時もらった加護が関係してるんだろうか。

 

「これすごい……もし制御できたら、一気に生物としての()、上がるはず」

「ん? 何か言ったか?」

「何でもない。十分休んだ。特訓続ける」

 

 生物が何ちゃらとか言ってた気がしたんだけど……まぁいいか。

 それより怒り状態の制御だ。現状俺では怒り状態をどうすることもできない。なった途端、黒い意識が濁流のごとく俺の思考を塗りつぶしていくのだ。理性だけでどうにかなる代物ではないだろう。

 

「さっき見た感じ、今のままじゃ制御無理。精神を根本から鍛える必要ある」

「精神ね……これでも精神面は結構鍛えてきたと思ったんだがなぁ。まあいいや。それで具体的にはなにをすればいいんだ?」

「方法は色々ある。一つずつ試す。まずは……」

 

 怒り状態を制御するために、精神を鍛える長い特訓の日々が始まった。

 

 

 

 

 




はい、では2ヶ月放置してた理由ですが、「単純にモチベーションが上がらなかった!」です。

夏休みにたくさん投稿するとか言っておきながらこの始末……本当に申し訳ないです。
この頃ようやくモチベーションが復活してきて、投稿を再開する判断をしました。

もし私の作品を待っていたという方がいたら、本当に申し訳ないことをしたと思っています。
今はアイスボーンのお陰でモチベーションマックス状態なので、暫くは問題なく投稿できると思います。

最後に、話を完結させずに失踪することはありませんので、そこだけはご安心ください。
それでは3度目になりますが、本当に申し訳ございませんでした!

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