銀雷轟く銀滅龍   作:太刀使い

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10月下旬から11月上旬にかけて、中間テストや学園祭など学校行事が目白押しなので、しばらく週1更新が続くかも知れません。
執筆できたとしても、投稿はかなり不定期になりそうです。


第19話.圧倒

 キリンとの戦闘から一週間後、俺はついに火山地帯に到達していた。

 

 ようやくついたか……故郷の渓流を出てから3ヶ月と半分くらい。随分と遠くまで来たよ。しみじみと思い出を振り返ってみると、戦闘と修行の記憶しか出てこなかった。あんまりにも殺伐とした記憶しかなく、がっくりと首を下ろしたのは内緒だ。

 

 別にそれはいいんだよ。実はこの1週間、自分の能力と改めて向き合っていたのだ。突然手に入った意味不明な力に翻弄されつつも、なんとかその全容をある程度理解するに至ったぞ。

 結果としては、やはり俺は半古龍化しているということだな。何故半かというと、古龍的要素が欠けているからなんだよな。まずキリンが出来ていた天候操作。試してみたけど、雷を3、4発落とすのが限界だった。キリンのように一瞬で空を暗雲で覆うなんて芸当は出来ない。

 

 あとは、古龍の血とか。古龍の血といえばほとんど全ての古龍から採取出来たものだが、キリンの角を食う前と後で自分の血に変化があったとは到底思えない。勿論、この世界に古龍の血なんてものがない可能性もあるけど。

 

 それに龍脈についてもだ。おそらくだけど、俺はこいつを完璧には使いこなせない。何がダメなのか分からないが、龍脈の力を最大効率で運用することが出来ないんだよな。

 まあキリンの角をほんの少し食べただけだし、能力吸収の力が完全に働かなかったのかもしれない。勿論半古龍化したことによるパワーアップは凄まじいけどな。もはや自分の事をジンオウガと呼んでいいのか分からなくなって来た。悲しい事だが……

 

 とまあ、俺の力についてはここまでにしておこう。前にも言ったが後悔なんて微塵もないし、新たな力は進んで取り込んでいきたい程なんだから。

 

 さて、火山についてだ。ぶっちゃけ火山に着いたはいいんだけど、ここがどこなのか全然分かんないんだよなぁ。なんせこの火山めちゃくちゃデカイし。軽く迷子である。

 それでも麓の方にはアプトノスとかはいるし、生活出来ないわけではない。こうなったら全部周る勢いで探索してみるとするか! 

 

 

 

 ……Now loading……

 

 

 

「グァァァァァァアアア!!」

 

 はい、初っ端からアグナコトルに喧嘩を売られています。いやな? 縄張りに入っちまったのは悪かったよ。でもさ、どこからが縄張りかなんて、分かんないじゃん? マーキングとかしてるとしてもさ、アグナコトルでもない俺に分かるわけないじゃん? 

 

 チュイン! 

 

 アグナコトルが放った熱戦が、俺の真横を通り過ぎた。途端に切断された地面からマグマが噴き出し、辺りを真っ赤に染める。

 やっぱ戦うしかないか……あちらさんは逃す気なんて微塵もないっぽいし。

 そう思い、いつもの調子で超帯電状態になった。この頃の日課であった、龍脈での強化(・・・・・・)を無意識に行いながら。

 

 

 ドオオオオオォォォォォォォン!!! 

 

 あ、やべ。ついやっちまった。龍脈を使うとただの超帯電状態でも、段違いの性能を発揮してしまうのに……

 現に俺からあふれ出した雷はそこらへんを纏めて焼き尽くし、悉くを炭に変えていっている。

 突然の俺の変容にアグナコトルは驚いたのか、警戒したのか、ピタリと攻撃をやめてしまった。

 

 こうなってしまったら仕方ない。そっちから仕掛けて来たんだ。恨み言はナシだからな! 

 強く踏み込み大地を駆け抜ける。その速度たるや、ディノバルド戦でみせた真帯電状態時のスピードが遅く感じるレベル。まさに高速移動というにふさわしい速度だ。

 そもそもジンオウガは超帯電状態時に、電力で筋肉組織を刺激して身体能力を高めるという特性がある。俺の扱える雷は恐らく通常のジンオウガより多いだろうし、身体強化の割合もそれだけ高まるって事だ。

 

 反応できてないアグナコトルに対して、黒く染まった前脚の爪を突き出す。それは、ノーガードだったアグナコトルの喉元に突き刺ささった。そして突き出した勢いを乗せたまま、突き刺さった爪をひと思いに振り抜く。そうする事で傷口が広がると同時に、相手の体を吹き飛ばすことが出来るからだ。

 

 今や俺の黒い爪の威力は、半端じゃないことになっている。ある程度硬い岩盤を爪で突き刺しても、プリンにスプーンを突き立てているぐらいの抵抗しか感じられない。

 ラノベでよく見た表現だが、地面をバターのように切り裂くことも、今の俺なら出来るかもしれない。する意味がないのでそんなことはしないがね。閑話休題。

 

 吹き飛ばされたアグナコトルは、喉元から夥しい量の血を流して蹲っている。

 そのまま出血多量で死ぬかと思われたが、相手は弱肉強食の世界を生き抜くモンスター。素早くマグマに浸かり、その熱で傷口を焼いて血を止めるという荒業を行なったのだ。これには流石に驚かされた。

 

 しかし痛めた喉が完治した訳でもないので、熱戦攻撃はできなくなってしまったようだ。そして遠距離攻撃を失ったアグナコトルなど、恐るるに足らず! 

 

 雷光虫を呼び寄せてより一層電力を高め、その高めた電力を背中の雷電殻から放出させる。青白いスパークが辺り一面を照らし、限界を超えた雷がバチバチと空気中に霧散していく。

 その電力を無駄にしないよう早めに行動しなければな。ジャンプして空中に躍り出ると同時、体をひねって地面を背中側にする。要するに、背中から着地しようというのだ。

 普通なら自殺行為だが、あるんだよなぁ。この体勢から繰り出せるジンオウガの高威力技が。そう、ゲームで普段はほとんど当たらないが、気を抜いたハンターを幾人と葬り去って来たあの技! 背面ジャンプ攻撃だ。

 

 アグナコトルは傷が深いため、素早く動くことができない。背面ジャンプ攻撃の唯一の問題点。攻撃が決まるまでに時間がかかりすぎる、というものを今なら克服できるのだ。

 

 ドンっ! という巨大が地面に叩きつけられた音が響いたのとほぼ同時に、膨大な量の雷が放出された爆音が轟いた。電気を放出しきりその場から飛び退いてみると、こんがり黒焦げとなったアグナコトルが横たわっていた。勿論即死だったろう。

 ちなみにこの技、何で背中から飛び込むのかというと、ジンオウガの背中にはもともと蓄電殻という電気を溜める器官があり、それを最も有効活用する方法が背面ジャンプなのだ。電気を逃さないようにする帯電毛も、背中は生えてる密度が高いからな。

 

 それにしても、やっぱ段違いの威力になってるよな。背面ジャンプがいくら強力だとは言え、前まではここまでの威力にはならなかったし。

 でもやっぱりこの力を使いこなせてないような気がする。何つーか、力に振り回されている感じ? 制御してるんじゃなくて、強大な力をただ闇雲に振り回しているだけって気がするんだよな。ここは要矯正だな。

 

 ともかく、今の一番の目標はこの半端な古龍の力を使いこなすことに決定だ。龍脈操作は常に意識するとして、力の扱いは実践の中で練習していくしかないかな。

 

 

 

 ……Now loading……

 

 

 

「本当に火山まで来ちゃったわね」

「でも、行き先的にあのジンオウガが火山に向かった可能性は高いよ」

 

 白いジンオウガがアグナコトルと戦う前、ティナ、カナト、エリンの3人が火山にたどり着いていた。

 

「この火山は結構広いですからね。探すのに手間がかかるでしょう」

「ティナさんはこの火山に来たことがあるの?』

「ええ。2年前に、2人でアカムトルムを討伐しに来ました」

「ア、アカムトルム……」

 

 黒き神の異名で知られる覇竜の話が出てきて、カナトとエリンは顔を引きつらせる。

 

「まあその時は討伐まで行けずに、撃退で止まってしまったのですが」

「それでも凄いことに変わりないよね」

「そうね……」

 

 2人が改めてティナへの尊敬の念を深めたその時、

 

 ドオオオォォォォン!!! 

 

 遠くから爆発音のようなものが聞こえてきた。

 

「な、何だ!?」

「分かりません。ですが、相当な力の持ち主が近くにいるようです」

「それってもしかして!」

 

 エリンの言葉にティナはコクリと頷く。

 

「可能性はあります。行ってみましょう!」

 

 

 

 

 

 

 




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