銀雷轟く銀滅龍   作:太刀使い

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明けましておめでとうございます!

今回はハンターサイドと主人公サイドの両サイドの話です。
あと少し短めです。申し訳ない……


第48話.新大陸へ

 新大陸に向かうため定期便に乗り込んだティナ達。新大陸へは物資の輸送などのために定期便が出されており、今回はそれに乗せてもらう形で新大陸に行くということになったのだ。

 ドンドルマの近くを流れている大河にある港から船に乗り込んだ一行は、今まさに海の上を航海している。

 

「船とか初めて乗るから、なんだかワクワクするね」

「そうね。こんなに大きなものが水の上に浮かんでいるなんて、未だに信じられないっていうか……」

 

 カナトとエリンは内陸のユクモ村で育ったため、そもそも海というものを見たことがなかった。はるか彼方まで広がる大海原はどんな湖よりも広く、カナト達は常にキラキラした目でそれらを眺めている。

 

「2人とも、景色を眺めるのもいいですがそろそろエスメダちゃんから新大陸の説明があるみたいですよ」

「あ、うん。わかったよ」

「確かに少し浮かれていたわ。変な顔見られてないといいけど……」

 

 そうして3人は新大陸の地図を広げているエスメダの前に座った。

 

「揃ったみたいね。では今から新大陸について説明するわ! まず新大陸というのがどういう場所かは、流石にわかってるわよね?」

「それはキールさんから聞いているので、省いてもらって構いませんよ」

「ならまずはあたしたちの活動拠点となるアステラについね。アステラは新大陸で唯一あたしたち人が住める拠点よ。内部には商業はもちろんのこと、武器屋や狩りに必要な道具屋。料理を提供してくれるところもあるわ! まさにハンターのための街って言ったところね」

 

 現大陸で今まで生活してきた3人にとっては、街一つが全てハンターのために存在しているという点があまりピンときていないようだった。自分たちが今まで生活していた、ハンターギルドの本部があるドンドルマでさえ街の大半は一般市民が使う施設が多く、ハンターが利用する施設が他の街より少し多いというぐらいのもの。

 それが街ひとつがハンターのためのものといっても過言ではないのが、アステラだ。エスメダの詳しい説明を聞くにつれ、ティナ達3人はアステラという街に大いに興味が湧いた。

 

「成る程、フロア一つがまるまる武器屋になっている、と?」

「そうよ! 2期団の親方が作る武器は、そんじょそこらの鍛治職人じゃ真似できない一級品。貴方達もあの腕前を見たら驚くわよ」

「それは楽しみですね……!」

 

 ティナは武器屋についてエスメダに色々問いただし、

 

「アステラの料理って美味しいの?」

「勿論! 食事はハンターにとってとっても大切なもの。アステラではハンターの為に考えられた色々な料理が振る舞われているわ。現大陸では味わえない、面白い料理もたくさんあるわよ」

「へぇ〜。レシピを覚えたら私も作ってみようかしら」

 

 エリンはアステラの料理に興味を抱いたようだ。

 

「さて、随分とアステラのことを気に入ってくれたみたいだけど、本題はここからね。古代樹の森と大蟻塚の荒地について説明するわ!」

 

 古代樹の森と大蟻塚の荒地は、現在ハンターの手が及んでいる地域のことだ。

 古代樹の森はその名の通り古代から存在すると言われている大樹が所狭しと生えている場所で、中心に生える巨木はあまりの巨大さに下層、中層、上層と区切られているほど。それぞれの層にはそれぞれの生態系が形成されていて、今のところ新大陸で一番命あふれる場所になっている。

 

 大蟻塚の荒地は、古代樹の森とは打って変わって乾燥した大地が続いている場所。沼地や砂漠の面積が増え、緑の数が大きく減るのが大蟻塚の荒地の特徴だ。古代樹の森と違って過酷な環境なので、出現するモンスターの強さも相対的に上がっている危険地帯だ。

 

「──と、今のところ分かっているのはこの2つだけ。新大陸はまだまだ広いし、今現在も調査が行われているわ。エネルギーが観測されたのは古代樹の森や大蟻塚の荒地よりさらに奥地。調査を進めてそのエネルギーのありかを探すのが、あたしたちの任務ってわけね!」

「新大陸、楽しみですね」

「まだ見ぬ未知を探しにいくってわけか……確かにワクワクするかも」

「2人とも遊びじゃないからね? 浮かれるのもいいけど、調査もちゃんとするわよ」

 

 未踏の地である新大陸に想いを馳せながら、4人が乗る船は着実に目的地へと近づいて行っている。

 

 

 

 ……Now loading……

 

 

 

「さて、ようやく着いたな」

「ここが地脈の入り口?」

「そうだ。ここから地中を通って新大陸まで行くぞ」

 

 俺たちは今地中までぽっかりと開いた穴の前に立っている。このまるで地獄まで続いていそうな大穴の正体は、地脈の入り口だ。

 この世界の地脈とは簡単に言えばエネルギーの通り道だ。この大地を循環するさまざまなエネルギーは、地脈を通って世界中へと流れていっている。そして『古龍渡り』をする古龍達の通り道となっているのも、この地脈というわけだ。そもそも新大陸というのは海の向こうにあるって話だ。どうやって翼を持たない古龍が新大陸に行ってるんだという話だが、その答えがこの地脈の通り道ってわけだな。まあ全部古代竜人からの受け売りだけど。

 

「ティナから新大陸の方角は教えてもらったし、さっさと行くとしようぜ」

「士狼のそれ、ほんとに便利」

「まあな。お陰で方角さえ分かれば道に迷うことがなくなったからなぁ」

 

 俺の古龍としての力が上がったとき、雷だけじゃなく電気に関係するものを操る力も上がっていた。今では磁力をうまく感知してどこにいても方角が分かるようになったってわけ。

 

 地脈の入り口から入るとすぐに光が差し込まない暗黒の世界が訪れた。まあ地中を進んでるわけだし、当然だが。その点は俺も澪音も暗闇の中でも完全な視力を保てるようになっているから特に問題はない。

 

「士狼、あれ」

「ん? ……うわぁマジかよ」

 

 さらに奥へと進んでいくと俺たちとは違う方角への道にとんでもないものがいた。山のような巨体で歩くだけで災害級の被害をもたらす、大きさならトップクラスの古龍。老山龍ラオシャンロンだ。

 そのラオシャンロンが巨大な体を左右に揺らしながら、ドシンドシンと遠ざかっていくのが見えた。このように地脈は各地を徘徊する古龍の通り道にもなっているのだ。本当にこの世界は不思議だよなぁ。地球の常識が悉く通用しない。

 

「ラオシャンロン、でっかい。すごい」

「澪音はラオシャンロン狩るの好きだったもんな」

「ん、狩りごたえ抜群」

「俺はもっとスピーディーなやつを狩るのが好きだったけどなぁ」

 

 澪音と2人きりになると、ついつい前世の話で盛り上がってしまう。前世では、澪音はラオシャンロンやダラ・アマデュラみたいな超巨大モンスターを狩るのが好きで、俺はタマミツネやナルガクルガみたいな素早いモンスターを狩るのが好きだった。

 素早いモンスターの方が好きだった理由は、油断するとすぐに被弾してしまうから常に緊張感を持って狩りが出来たからだ。澪音はハンターより遥かに大きいモンスターを叩き伏せるのが楽しかったみたいだが。

 

 そんなわけだから実物のラオシャンロンを見て澪音はいつになくはしゃいでいる。まるで動物園で初めてゾウを見た子供みたいで、思わず笑みが溢れてしまった。

 

「む、士狼笑うなんて酷い」

「いや、ごめんよ。はしゃいでる澪音が面白くてさ」

「士狼だって戦闘してる時、いつも目輝かしてるくせに」

「え、いやそれは嘘だろ? 俺はそんなバトルジャンキーじゃないぞ」

「嘘じゃないもーん」

 

 地脈の中はほとんど生物の気配がしないのもあって、俺たちはいつもよりかなり羽目を外して会話を楽しんでいた。

 目指す新大陸まではまだ時間がかかるだろう。それまでは大切な家族との会話を目一杯楽しんでもバチは当たるまい。

 

 

 

 

 

 

 

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