銀雷轟く銀滅龍   作:太刀使い

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モンハンライズ発売おめでとう!
早速やっていますがなかなかに面白いですねこれ。ただモンスターを攻撃する時の効果音はワールドの方が好きかなぁ?


第51話.家族

 私の名前は澪音。前の世界で死んでこの世界に転生してきた転生者だ。そして目の前にいるのは士狼。私の大切な人。

 今は士狼に連れられて新大陸というところに来ている。なんでもそこで大きなエネルギー? が観測されたとかなんとか。でもぶっちゃけて仕舞えば私はそれに関してあまり興味がない。私にとって一番は士狼だし、二番目なんてない。士狼がいてくれればそれでいい。なので悪いとは思っているのだが、士狼が群れのジンオウガ達の仇を討ちたいと言った時には咄嗟に嫌な顔をするのを抑えてしまった。

 群れのみんなには良くしてもらったし、そこに恩義は感じている。それは本当。でも彼らのために士狼が危険の中に飛び込んでいくというのは、どうしても耐えがたいことだった。

 

 前世で彼を失った時私は目の前が真っ白、ううん。目の前から全てのものが消え去ってしまうような、そんな感覚に陥った。本当に奇跡に奇跡が重なってこうして再び士狼と会えたわけだけど、もう2度と士狼を失うつもりはない。ない、けど士狼はそんなつもりはないみたい。彼はああ見えて義理堅く情に熱いところがあるから。失った仲間のためにも立ち止まってくれることなんてないと思う。まあそんなところが彼のいいところでもあるから。

 

 私はもう2度と士狼の側を離れるつもりはないと誓った。だからどんなに事態が私の理想とはかけ離れた場所へと動こうとしても、私が士狼のそばから離れるなんて選択肢はない。ないのだ。

 

 え? なんでこんな話をしてるのかって? それは……

 

「嫌」

「分かってくれ澪音。たった数日のことじゃないか。な?」

「無理」

「だってお前、こんなクソほど広い森を固まって歩いててもしょうがないだろ……せっかく2人いるんだしここは手分けするのが効率的だと思わないか?」

 

 士狼があろうことか二手に分かれて探索をしようと言ってきたからだ。

 確かに狩りとかで分かれて行動することはあった。あったけどそれはせいぜい半日ほど。それぐらいだったら私だって我慢する。でも今回は数日、もしかしたら数週間離れ離れになってしまうかもしれないのだ! 私が、士狼と、離れ離れ……そんなことは許されない! そう、断じて!! 

 

「澪音。俺だって奇跡的に会えた家族と別れるのは辛い。でもさ、固まって動く利点がないことは澪音にも分かってるだろ? それに俺はお前のことを何より信用している。俺の妹は必ず俺の想像以上の結果を出してくれる奴だってな」

 

 う、そ、それはずるい。そんな言い方されたら……

 

「でも……」

「な、頼むよ澪音?」

「う、あ、うん。分かった……」

「おお、分かってくれたか!」

 

 そんな目で見つめられたら断れるわけない……士狼はずるい。

 そう、そうだ。士狼にはこれがある。油断している場合ではないのだ。きっとこんな感じでほかの女とも接してきたに違いない。例えば……そう、ティナ。あの子アマツを倒す前と後では随分士狼との距離感が違ったような? 

 

「澪音さんチョロくて助かった……ん? さ、殺気なんて漏らしてどうした?」

「え、あぁ。何でもない。それより何か言ってた?」

「いぃや? 何にも言ってないぞ?」

 

 士狼の態度は怪しさ満点だったが、分かれてる間の行動方針なんかを話している間にはぐらかされてしまった。くそう。

 

 

 

 ……Now loading……

 

 

 

 さて、士狼と別れてから1日が経とうとしている。そろそろ士狼成分が欠如してきた。これが無くなると私は死ぬ。かもしれない。

 まあ冗談はこれぐらいにしといて、ぼちぼちと探索をやっていくとしよう。といっても私の感覚器官をフル活用して周りの様子を調べる程度だけど。私にだって件のエネルギーとやらは感知できない。そもそもどのようなエネルギーなのか分からないのに、どうやって感知するんだっていうね。それに士狼が期待してるのはそこじゃない。

 

 多分士狼はティナ達と合流して情報を得たいんだと思う。だから私が探すのは大きなエネルギーとやらではなく、人間の痕跡。ふふん。言われずとも士狼が何をして欲しいのかがわかる。流石私。流石士狼の魂のベストパートナー。

 

「ギャオオオオオォォォォォォォォ!!!!」

 

 うるさいな。折角士狼と魂のつながりを感じているところだったのに。それに何だこいつは? イビルジョーの親戚みたいな見た目だな。でも全身に毛が生えてる。黒とピンクの体毛とか派手な奴。後咆哮してた時チラッと見えたけど背中から大きな何かが出てた。あれは……そう、スピノサウルスの背中についてるみたいなやつ。

 

 あ、というかこいつ瘴気にやられてるじゃん。やっぱり終龍はここに来てるんだ。士狼の予想は当たってたってこと。士狼はすごい。最強。イケメン。

 

「グルルルルルルル」

 

 心の中で士狼のことを称賛しまくってたら、そんな感じで低く唸られた。瘴気にやられてるのにすぐに飛び込んでこないんだ。なかなかやるじゃん。

 でもまあそりゃ殺る気はまんまんですよね。めちゃくちゃ殺気放ってるし。ただでさえ喧嘩っ早そうだもの。プラスで瘴気でしょ? あー、この世界の生き物ってなんか血の気が多くて疲れる。ま、モンスターなんだしそれが正常か。こいつは異常だけど。

 おっと。暫定ティラノスピノが突撃してきたから横にジャンプすることでそれを避けた。するとティラノスピノは勢い余って大木に激突。大きな音を立てながら、ぶつかった大木がグラグラと揺れる。衝撃で枝に溜まっていた小鳥達が一斉に逃げ出していった。

 

 うーわバカだ。いきなり飛び出してこないのはすごいと思ったけど、やっぱり瘴気にやられてるやつはまともな思考をしていない。さて私もそろそろ反撃するとしようか。あなたのせいで全く探索が進んでないしね。このままじゃ士狼に幻滅されてしまう。それは必ず回避する。

 黒い霧を放出。範囲は最低、威力は……最高でいっか。そんなに長い間展開しなければ大丈夫大丈夫。

 黒い霧がティラノスピノの全身を包み込む。と同時に霧に付与されたさまざまな状態異常がティラノスピノに襲いかかった。今の私の霧ならば、たとえ古龍といえども無傷で済ますことはできないだろう。と聞いた。士狼から。古龍って遠目でアマツのことを見ただけなんだけど、結構やばそうな感じだった。本当にそんな奴らにこれが効くのかね? 私そんなに強くないと思う。

 

「グガァァァ……グァァァ」

 

 おっと、火傷と感電と凍傷でダメージを受け、幻覚に頭痛に吐き気、催眠で思考能力が低下しているティラノスピノがうめいている。実際には脱水症状みたいなのとか小さいものだと腹痛とかもあるけどそこは割愛。全部言ってたら時間かかるし。そういえばこの黒い霧を使ってるせいで私はほとんど超帯電状態になったことがない。だってなる前に大体終わってるし。そもそも私ジンオウガのくせにあんまり力無いから超帯電状態になってもねぇ。

 

 ま、とりあえずここまできたらいくらティラノスピノといえどもそこら辺のトカゲと変わらない。確かに瘴気は脳のリミッターを外して限界以上の能力を引き出す結構恐ろしいもの。だったらその能力の最大値を限りなくゼロにしちゃえば、多少限界突破されても怖くないよね? じゃ、さよなら。

 

 

 

 ……Now loading……

 

 

 

「なに、人間の痕跡を見つけた!?」

「うん」

「でかしたぞ澪音! これで運良くあいつらと会えたら、色々情報を聞き出せるかもしれない。よし、早速その痕跡があった場所に行ってみよう!」

「……分かった」

 

 よっしゃー! 士狼に褒められた〜褒められた〜努力した甲斐があったってもんよ。このために数日かけて極限まで集中して情報収集してたからね。全てはこの時のため。あぁ何という幸福……

 

「おーい。なにしてんだ? 早く行こうぜ」

「あ、うん。今行く!」

 

 私は澪音。この弱肉強食の世界を士狼とともに生きていく、1匹のジンオウガだ。

 

 

 

 

 

 

 




たまにはこういうのもありかと思った

澪音はあんまり喋んないやつですけど、中身はこんな感じなんです。

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