あと今回短いです。すいません……
「おさまったか?」
今回の揺れは先程のものと比べてかなり大きかった。普通の人ならあまりの揺れに立っていられないほどのものといえばその大きさが伝わるだろうか。まあこの場に普通の人間なんて存在はいないんだけどな!
「はい。かなり大きな地震でしたね」
「ああ、それに……」
さっきの地震が起きていた際、俺は確かに聞いたのだ。かすかだが地の底から響くような巨大な生物の咆哮を。
「ゾラ・マグダラオス。ついに活動を再開したのね」
「エスメダちゃん、ゾラ・マグダラオスとは?」
「ええ、溶山龍とも呼ばれる古龍のことで、私たちが今回の古龍渡りで特に注目していた古龍よ」
エスメダの話を纏めると、今回発見されたゾラ・マグダラオスとやらは今まで確認されたどんな個体よりもはるかい大きい個体らしい。彼はまもなく天寿を全うしきる極めて老熟した個体で、死に場所を求めて古龍渡りをしてきたのではないかと考えられているらしい。
そして古龍渡り自体が古龍が死に場所を求めるための大移動だと考えた調査隊は、その死に場所というものを探していた。
「今回は偶然ここに落ちてきたわけだけど、私は確信したわ。此処こそが古龍達、いえそれだけでなく新大陸に住まうすべてのモンスター達の死に場所だってね」
確かにエスメダの言葉には一理ある。此処は屍が積み重なるようにして出来上がった場所。多くのモンスターが死に場所として選んできたというのなら、此処が形成された理由も納得できる。
「話は理解した。んでこれは興味本位なんだが、そのゾラ・マグダラオスってのはどれぐらい大きいんだ?」
「観測班の報告だと全長は250mを超えているらしいわよ」
250m!? んな馬鹿でかいモンスターが存在しているとは……まあ4Gで出てきたダラ・アマデュラは400mを超えるって設定だったし、この屍の谷を形作ったダラ・アマデュラっぽい骨の大きさも規格外だが……実際にそんな大きな生物が今存在しているということに驚きを隠せなかった。
「恐らく此処がゾラ・マグダラオスが求めていた地のはず。でもおかしいわね? さっきの地震は明らかにマグダラオスが移動している感じだった。これ以上一体どこに?」
「求めていた死に場所が此処ではなかったとか?」
「うーん。カナトの言う通りかもしれないわ。ともかく一度アステラに帰って報告した方がいいかも。ここのことも他のみんなに伝えないとだし」
ティナ達は一度帰ることで話がまとまりそうだ。俺たちはどうしようか。せっかくだしそのゾラ・マグダラオスってのを見に行くのも面白いかもしれない。
「シロウ。私たちはアステラ……えーっと拠点に帰ります。貴方達は?」
「まあ俺たちは俺たちで終龍の痕跡を探してみるさ。ゾラ・マグダラオスってのにも興味あるしな」
「調子に乗って喧嘩を売らないでくださいよ?」
「いや売らねぇよ。俺のこと何だと思ってんだ? まったく」
「ふふふっ」
その時、先に戻ろうと上へ上がる道を歩いていたエスメダが振り返って叫ぶ。
「ちょっとー! イチャイチャしてないで早く戻るわよ!」
「な、い、イチャイチャなどしてません! そ、それではまた!!」
「お、おう」
ティナのやつすごい顔して走っていったけど……イチャイチャしていたと言うかただ話していただけだったが、俺と話すのはそんなに嫌だったのだろうか?
「士狼」
「何だよ澪音……!?」
振り返るとこちらはこちらですごい顔をした澪音が俺を睨んでいた。なんだなんだ、俺が何かしたってのか。
「ど、どうしたんだ。そんなに鬼気迫った顔をして」
「むー。何でもない」
「本当か?」
「本当。士狼が朴念仁で助かった」
最後の方は小声だったから何を言っているのかわからなかったが、まあ何でもないならそれでいいんだ。
「さて、俺たちはどうしようか。俺的には件のゾラ・マグダラオスってのを一目見ておきたいと思うんだが?」
「賛成。大賛成。ぜひ見ておくべき」
さすが澪音。超大型生物には目がないな。恐らくゾラ・マグダラオスいるのは地脈の道だろう。とりあえず入り口まで戻って探してみるか。
……Now loading……
再び地脈の道に戻ってきたわけだが、ゾラ・マグダラオスがどこにいるのかは一瞬でわかった。何故なら奴が通ったであろう場所はことごとく溶岩が転がっているからだ。エスメダに聞いた話じゃ背中に火山を背負ったような龍だと聞いているがなるほど、ガチなほうの火山のなのか。
そうして地脈の道を辿っていくとついに見つけた。初めは本当に地下火山があるのかと思った。だがその火山がゆっくりとだが動き始めたので流石に驚いた。
「これがゾラ・マグダラオス……」
「大きい」
「大きい、なんて言葉じゃ表せないレベルだなぁ」
溶山龍ゾラ・マグダラオス。それは真の意味で動く火山だった。全身をザッと見た感じ、姿はラオシャンロン系の骨格をしていそうだ。だが何より特筆すべきなのは背中に背負った火山だろう。あれは火山のような何かではなく、本物の火山といっても差し支えないんじゃないか? そんなレベルの代物が、こいつの背中には存在している。
あとこいつの全身は黒に近いゴツゴツしたもので覆われているが、恐らくそれはマグダラオスの背中から流れ出た溶岩が、溶けて固まった物だろう。言うなれば溶岩の鎧だ。もしこいつと戦うんだったら、何層にも積み重なった溶岩をどうにかしない限り、ダメージを与えることすらできないだろうな。
だがよく見たらこいつの体のあちこちには排熱機関と思われる突起物が存在している。あれを壊せば奴の体温コントロールを狂わせることが出来るか……おっと、別に戦うわけでもないのに、勝手に思考が戦闘よりになってしまっていた。
「グオオオオオォォォォォ……」
地面の上から聞いても響くぐらいの唸り声だ。この至近距離で聞くと、別に声を張り上げてる風でもないただの声でもうるさい。もしこいつが本気で咆哮したら、人間の鼓膜程度簡単に破壊できるんじゃないか?
「それにしても、こいつは一体どこに向かってるんだ?」
「んー、この先はなんかエネルギーが集まってる感じ」
となると新大陸の核みたいなところに向かってるのか。でもなんのために? こいつはもう時期に死ぬみたいだし、今更力を求めてってわけではあるまい。もしかしたら理由なんてないのかもな。ただ大きな力に導かれて歩いているだけかも。
ん? 確か死した古龍はその身に内包するエネルギーを大地へと解き放って、次の命の循環の糧となるんだったか。
んでこいつは長い年月を生きてきた
「解き放たれたエネルギーは地脈に乗って新大陸全土に行き渡ることになる……」
「そうなるとどうなるの?」
「過剰なエネルギーが核というデリケートな場所で一気に放出されたことで地脈が暴走、最悪の場合新大陸が吹き飛ぶか、最低でも火の海は免れないぞ……!」
こんなところで油を売ってる場合じゃねぇ! 急いでティナ達と再合流して、このことを伝えなければ!
感想と高評価でオラにパワーを!