さーてと、どこに向かうとしますかね。
モンハンシリーズをプレイしてると分かると思うが、ジンオウガってのは案外どこにでもいる。渓流はもちろん、火山、雪山、森丘、天空山などなど。その生息範囲はモンハンでもトップクラスだと思う。
要するに、ジンオウガはどこにでも適応することができるってわけだ。まぁ雪山とか氷海にいるのは亜種だが……
しかしそんなジンオウガが唯一出現しない地域がある。乾燥地帯だ。砂漠や砂原など、多くの乾燥地帯が存在するが、ジンオウガがそこに現れた例はない。つまり、ジンオウガは乾燥に弱いのではないか? と考えられるわけだ。
ならばここは早めに乾燥地帯に行って、ジンオウガの弱点であろう乾燥に強くなる必要がある。
てな訳で、行き先は砂原に決定! 幸いにも渓流から砂原ってのはそんなに離れてないしな。
えーと確か、渓流から南西に行くんだったっけ? 前にモンハン世界の地図を見たことがあったのだが、いかんせんうろ覚えだなぁ。少し不安だが、とりあえず行ってみよう。
……Now loading……
ふむ、一旦冷静になって考えてみようか。
俺の視界右には何が見える? それは森。オーケー。
じゃあ左側は? さらに森。オーケーオーケー。
成る程、どうやら前後にも森が見えるようだ。つまりここから導き出される結論とは……!
俺は深い森の中にいると言うことっ!
………………うん、普通に迷ったわ。
てかここマジでどこよ!? 見渡しても木ばっかとかシャレになんねーぞ! いや森の中では生きられないとか言うわけではないんだが……見晴らしの悪い森の中は、あんまり安全とは言えないってわけ。
てか空を飛べるわけでも無いんだし、普通に考えたら自分が真っ直ぐ進んでるなんて、確認しようがないんだよなぁ。
まぁ悩んでてもしょうがない。迷ったものは迷ったものとして受け止めていこう……
さて、そうなると安全な場所を探す必要があるな。どうせ今日はこの森で一晩過ごす事になるだろうし、いくら夜目が効くからと言っても、やはり夜中の移動は危険だからな。
こういう時、翼があれば迷うことなんてないんだろうなぁ。レウスとかレイアとか。羨ましい。
さて、愚痴タイム終了っと。早いとこ探索を始めなくては。影の向き的にもう午後にはなってるはず。暗くなる前に寝床の確保だ!
……Now loading……
お、こことかいいんじゃないか?
俺が見つけたのは、倒れた大木が折り重なっている場所。大木の中が空洞になっており、そこに身を隠すことができそうだ。しかも他の倒木がいい感じに積み重なっていて、外から空洞内を見ることはほとんど出来ない。
ふむ、居心地は悪くないな。
この木の性質なのか知らないが、空洞内はなかなかの適温だった。
こういう時まだ成体になってないと有難いよな。成体だったらこの木の空洞には入れなかったかもしれないし。
ふぁーあ、今日はこのまま寝る……と行きたいところだが、そうは問屋が卸さないらしい。今の今まで気づかなかったとは、不覚。
のっそりと空洞から出てみるが、辺りを見渡しても何もいない。と思うかもしれないが、俺はもう気づいている。この肌を刺すような張り詰めた殺気に。
相手はこちらの存在に気づいていたのだろう。なので隠れるのは無意味。むしろ閉所にいて奇襲されるの方がまずい。
「グルルル……」
俺は警告の唸り声を出して様子を見る。お前の居場所は分かってるんだ。出てくるならさっさと出てくるんだな!
一拍ののち、ガサガサと茂みを掻き分けて出てきたのは、漆黒の体毛にスリムな体を持った密林のハンター。
迅竜ナルガクルガだった。
ナルガクルガはいつでもこちらにとびかかれるよう、低姿勢でジリジリと距離を詰めてきている。どうやら戦闘は避けられないようだ。
この世界に来て4ヶ月余り。今までちゃんとした大型モンスターとの戦闘は避けてきた。まだ成体になってないってのもあるが、何より四足歩行のこの体に慣れていなかった。
そんな状態では負けてしまうことは必至。そしてこの世界での敗北は、死を意味する。要するにこの世界では、全てから逃げた臆病者と、全てに勝利した真の強者しか生き残れないってことだ。
俺が全てから逃げる? はっ、冗談。そんな事ではこの世界に来た意味が全くないし、何より俺のプライドが許さない。もう逃げるのは沢山だ。
そして俺の目の前にはナルガクルガ。明らかに瞳に殺意を浮かべている。俺の敵、敵は倒すまで。
……いくぞ。
意識のスイッチを戦闘状態に切り替える。前世で培った、戦闘最適化処置だ。
ナルガクルガはまだこちらを警戒して動かない。警戒するのはいい事だが、何もしないのは悪手だ。こい、雷光虫!
あたり一面に青白い光を放ちながら、雷光虫が俺の元に集う。しかし、成体になってない俺は超帯電状態になることが出来なかった。おそらく電力不足が原因。だが、今は違う。
ライゼクスから得た発電器官。こいつを使うことによって、今の俺でも理論上、超帯電状態になることができる!。
雷光虫チャージ完了。
発電器官、正常に稼働。
オールクリア。
ナルガクルガが今更になって飛びかかってくるが、時すでに遅し。
ドン! と腹に響く衝撃が走った後、雷が落ちたかのような轟音が轟いた。超帯電状態に移行できた証拠だ。
おぉ、これが超帯電状態……さっきまでとは感覚が全く違う。極限まで研ぎ澄まされた感覚は、超高性能レーダーにも引けを取らないんじゃないか? それに体も軽く感じる。これは……電気によって筋肉が活性化されてるっぽいな。
ゲームでは何気なく見ていた超帯電状態だが、実際なってみるとそのすごさが分かる。こいつはかなり優秀だ。使い方次第ではどこまでも伸びるかもしれない。
さっきの衝撃で軽く吹っ飛ばさらたナルガクルガが、再び飛びかかろうとしてくる。あの構えは、おそらく刃翼で斬りかかるつもりだな。
しかし、超帯電状態になった俺には、その行動は酷く遅く見えた。視覚を強化しているのだ。
二分の一程度の早さになったナルガクルガなど、もはやいい的だ。
空中に飛び出したナルガクルガの腹下に即座に移動。ナルガクルガは目を見開く暇もなく、螺旋サマーソルトの餌食になった。もちろん雷を纏ったサマーソルトだ。
ナルガクルガの弱点は雷。これは手痛い一撃だったようで、たった一撃貰っただけなのに、足元がフラフラしているようだ。
動かなければ、待っているのは死。間髪入れずに雷光虫弾を4発発射。と同時に再度駆け出す。
四方から迫る雷光虫弾を避けるために、奴は飛び上がるしかない。そう思ってナルガクルガが頭を上にあげた瞬間、奴の顔には絶望が浮かんだ。
その頭上では、すでに俺が攻撃モーションに入っていたからだ。強化された脚で地面を踏みしめ思いっきりジャンプ。奴の頭上を陣取り、完全に逃げ道を無くした。
逃げ道を失ったことによって、ナルガクルガはたたらを踏んでしまう。それがお前の命取りとなる。
落下の速度を完全に生かしたお手攻撃を、ナルガクルガの脳天に叩き込む。G級ジンオウガよろしく、チャージお手攻撃だ。バゴォ!という音が鳴り、奴の頭をそのまま地面に叩きつけた。
次の瞬間には4発の雷光虫弾が着弾。激しい電流が辺りに迸った。
ゆっくりとその場から離れると、ナルガクルガは頭を地面にめり込ませた状態で絶命しているのが分かった。俺の、勝利だ。
戦闘状態のスイッチを再び切り替える。その瞬間、ドッと疲れが押し寄せてきて、その場にへたり込んでしまった。
あー、疲れた! やっぱ超帯電状態は体への負担がすげーわ。これももっと成長したら、改善されるといいんだがなぁ。
雷光虫と発電器官の併用も実戦では初の試みだったけど、うまくいってよかった。練習はしてたんだが、しっかりと超帯電状態になれたのは今回が初めてだったもんな。まぁ成功したからよし!
それにしても超帯電状態、ヤバイなこれ。だってナルガクルガがほぼ瞬殺だぞ? 確かにナルガクルガは雷に弱いし、下位個体だったのかもしれない。
それにしても、なぁ? きちんと使いこなせば、ここまで真価を発揮するものなのか。
これは今後の戦闘でも期待できそうだ。
ふぁーあ。めちゃくちゃ疲れたし、今日はもう寝よう。明日には森を抜けられるといいんだが……
あ、ナルガクルガはちゃんと食べたぞ? 体毛が多すぎてモサモサしてたけどな! 早く火属性が欲しい……
翼があれば迷わない……レウスとかレイアとか……
レイア?迷子?うっ、頭が。