赤色の兄貴   作:フ瑠ラン

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第3話

「えっ、業修学旅行行っちゃうの!?」

「何言ってんの? 当たり前じゃん」

 

 

速報。どうやら愛しの弟が修学旅行に行ってしまうらしい。

修学旅行に行くなとは言わない。けれど大切に育ててきた弟が近くから居なくなるのが嫌で不安で。泣くのを堪えてると業が苦笑いで「ホント俺の事好きだよね兄貴は」と言ってきた。

 

俺は修学旅行なんて行ったことがない。それは両親が仕事や旅行ヤらで家をほとんど留守にしていた為残された業の身を案じてのことである。案外寂しがり屋の癖に業は見栄を張って「行ってきなよ、修学旅行」なんて俺に、お兄ちゃんに言ってくれた日にゃお兄ちゃん、涙が止まりませんでした。

ま、勿論休んだけどね。

 

そんな一時も離れたことの無い俺なので心配で心配で仕方なかった。玄関でも忘れ物がないかとか色々と検査をする。

 

 

「もー大丈夫だって。どれだけ心配性なの」

「業、この辞典みたいな栞は持っていかなくていいのか?」

「あー、それ? それウチの担任が張り切って作ってたやつだけど…重いし荷物になるからいいや」

「……ナンパとかホイホイついてっちゃダメだぞ。危ない男達に話しかけられたら一心不乱で逃げるんだ。何か危ない目にあったら俺に電話してこい。直ぐに助けるからな! 後、友達と一緒にいるからって夜更かしはダメだぞ! それから――」

「どれだけ話す気? そんな調子じゃ俺遅刻しちゃうよ」

「送ってってやろうか?」

 

 

「車出すぞ」と言えば「へーき。近いし」と帰ってきた。俺は「そうか」と告げると「行ってらっしゃい」と業を笑顔で送り届けた。

 

 

「…うん、行ってくるよ」

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

笑顔で送り届けたのはいいもののやはり心配なので自分も京都について行くことにした。予め業からどこら辺か回るのを聞いていたので直ぐに見つけることが出来た。流石、赤羽家代々伝わる赤髪。見つけやすいなおい。

 

話し声までは聞こえないけど…おいおいそこは路地だよ、危ないよ、おイタする子がわんさかいるんだよ。

隠れてウジウジしてるとホントにカルマ達が襲われた。そのまま女の子二人が車で連れ去られていく。

 

……業を助けたいのは山々だ。今すぐに大丈夫かっ!?て言って怪我がないか確認したい。でも業は喧嘩慣れしてるから大丈夫だろうと勝手に予想を付けて俺は攫われた女子達を助けに行くことにする。女の子はダメだよ。見逃せないね。

 

どんな車かは覚えてる。業を殴った罪も忘れてない。

 

 

逃がさないよ――。

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「サイテー」

 

 

茅野が呟いた。茅野達の目の前に立っている男達は忌々しげに茅野達を見下ろす。

 

 

「そうだよ、サイテーだよねぇ」

 

 

囚われている茅野達よりも遥か広報から声が聞こえた。聞き慣れない低音ボイス。声に怒気が含まれていることから何かしら怒っていると赤の他人の茅野達からでも察せられた。

 

 

「中学生の修学旅行を大人数で襲ってさぁ、女子捕まえて何が楽しいんだか。そんなに性欲強いんだ。だったら風俗にでも行けば? こんな赤の他人に迷惑かけるぐらいなら」

「何だよてめぇ!! 誰だっ!!」

 

 

黒いパーカーにフードを深めに被っているから顔までは見えない。けれど茅野の視覚から少しだけ赤髪が見えた。

 

 

「…カルマ、くん?」

 

 

ここにいるはずのないクラスメイトの名前を出してしまう。だって赤髪なんて彼しか思い浮かばない。けれど目の前にいるフードを被った男性は先程の茅野の呟きを聞いても足を止めることはしなかった。

 

目の前にいた高校をフードを被った男性は殴り飛ばす。リーダ格と思われる男性が吹き飛んだ野を見て他の高校生が殴りに行くが全て軽くあしらわれているような感じで手も足も出ていなかった。

 

一瞬にして高校生達が地面に伏せている。強い、と思ったのは茅野や神崎だけではなく高校生達もだった。

捕まっていた茅野と神崎の拘束を外すと「早く出なよ。追っ手が来る前に」と残して何処かへと去ってしまう。

 

声からしても茅野達のクラスメイト、赤羽業とは違う。けれど何か似たような雰囲気を茅野は感じ取った。

フードの男が姿を決して数秒後に業達が姿を現す。伸びている高校生を見て驚いていたけど話をすると何故か業は溜息をつき始める。

 

 

「ヌルフフフ、カルマくんどうやら何か知っているようですね」

「さあね。俺は知らないよ。でも大体理解した、ってだけ。茅野ちゃん赤髪が見えたんでしょ?」

「え? うん」

「一瞬でこの数を倒せる赤髪なんて俺が知る中じゃあの人しかいないね」

 

 

「ていうかなんでいるの」と1人理解している業に誰もついていけなかった。

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「ねえ、兄貴。今何処にいる?」

『えっ、今大学に向かってるけど?』

 

 

電話の相手、兄貴にそう問えば安直な答えが帰ってきた。そして次に聞こえてきた言葉が俺を確信づかせる。

 

 

『殴られた頭大丈夫だったか? 痛まないか?』

 

 

なんで俺が殴られたこと知ってんの? は声に出さずに俺は悪魔の笑みを浮かべて兄貴に言う。

 

 

「へえ、やっぱり居たんだ。この京都に――」

 

 

『やべっ、墓穴掘った』とか聞こえたけど軽く無視する。俺の事が心配で京都までつけて来たことには軽く殺意がわく。けど今はそんなことよりも伝えなくちゃ行けないことがある。

 

 

「…茅野ちゃん達助けてくれたんでしょ。一応、お礼言う」

「……業の友達なら当然だよ。仲良くしろよ!!」

 

 

そう言ってブツと切られる電話。あっちが逃げた感半端ないがまあ問い詰めるのは家に帰ってからでも出来るので今日は辞めておく。

 

はあ、と溜息をつけば「カルマくんにお兄さんが居たんだ」と声がした。

 

 

「…渚くん」

 

 

「聞いてたんだ」と聞けば「ごめんごめんごめん。たまたま聞こえちゃったんだ」と返ってきた。

 

 

「別にいいよ。隠す程のことでもないし。聞かれても面倒なこと言ってないし」

 

 

俺がそう言うと渚くんは「あはは」と苦笑いをした後に「でも以外だなぁ」と言った。

 

 

「勝手な偏見だけど、何かカルマくんは一人っ子って感じがするよ」

「……今度ウチに遊びに来る?兄貴が友達見せろって五月蝿いんだ」

「うん。暇な時お邪魔させてもらうね」

 

 

「カルマくんのお兄さんってどんな人?」と渚くんに聞かれ「唯の普通のなイカれた20歳だよ」と答える。すると渚くんは苦笑いしたながら「それって普通なの?」と返ってきた。それに俺は「さあ、どうだろうね」と返した。

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