「はあ」
名門、椚ヶ丘大学に通う赤髪の青年――赤羽羯磨は講義室で一人溜息をついていた。そんな彼からは妖艶な雰囲気が醸し出されており周りの女子からの視線の的となっていたが悩める男子、羯磨は気づいていない。
「羯磨さんが溜息つかれたわよ!?」
「悩んでいる姿も素敵だわぁーっ!!」
一部の女子、いやかなり大半の女子から人気を持つ羯磨。当たり前だろう。赤羽家の顔のスペックは凄い。その為業だって性格さえ良ければモテる程の顔のスペックの良さだ。
確かに羯磨は昔グレていた。しかしそれは昔のことで今は違う。少し皆に優しくすれば普通の女子なんて直ぐに落ちるものである。
そんな羯磨に近づく男が一人。
「やぁ、羯磨。溜息なんてついて悩める男だねぇ。どうしたの?悩みでもあるの?」
癖のある茶髪にヘラヘラとしたチャラい男。羯磨の数少ない友達である。そんな友の言葉に羯磨はまた一つ溜息をついて答えた。
「俺の、俺の弟が…大切な弟が……どうやら彼女を作ったらしいんだ…」
羯磨の右手に持っているのはクシャクシャになった写真。その写真はついこの前、羯磨が業の球技大会で撮った物である。
友は羯磨のてからスっと写真を取り上げる。そしてクシャクシャになった写真を綺麗に広げた。そして感嘆な声を漏らす。
「うわぁ、体育服を着ていても彼女、可愛いね」
兄と似た赤髪の横にいるのは少し驚いた顔をした青髪の女性。その子は小柄で何とも可愛い。友の言葉を聞いて羯磨はゴンと机に頭を打ち付けた。
「……そうなんだよ、可愛いんだよ…可愛いから、辛いんだよっ……!!」
「羯磨は女を見る目が無いからなぁ」
呆れたように友は溜息をついた。
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六限目が終わり、学校では皆が帰る準備をしていた。それは業も同じで大切な友達、潮田渚に一言声をかけて帰ろうとしていた。
「カルマくん」
「あ、渚くんちょうど良かった。帰ろうよ」
「う、うん。ちょっと待って。ここ教えて欲しいんだ」
渚がそう言って業に差し出したのは数学のプリントだった。
「これ、宿題?」
「うん。ちょっと分からない所があって」
業の担任、殺せんせーは一人一人違うプリントで宿題を出す。その為業の今日の宿題は理科だったのだがどうやら渚は違ったらしい。
業は申し訳なさそうな顔をして頼んでくる渚を見ていいよと了承する。そして教えようとした時思い出した。朝、兄から言われた言葉だった。
「…交換条件でさ、渚くん」
渚は何か嫌な予感がして身震いした。
「俺ん家、来ない?」
あれ?案外身構えなくて良かった?と思った渚だった。
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「へぇー、この子が…へぇー」
「え、えと…潮田渚、です」
ジロジロと渚を見ているのは業の兄、羯磨。渚は何故こんなにもジロジロと見られているのか分かっていない。業は分かっているため少し苦笑いをしていた。
「(な、なんでこんなに見られてるの!? 業くん!?)」
「(ははは、何か兄貴、渚くんが俺の彼女だと勘違いしてるみたいなんだよね)」
「(え、ええーっ!? カルマくんちゃんと否定してくれたよね!?)」
「(面白そうだから放っておいた)」
「(何でっ!?)」
業が浮かばせる笑みは悪魔の笑みである。渚の頬に一筋の汗が浮かび上がる。それを見た羯磨は何を勘違いしたのか「仲がいいな…」と呟いた。
「ご、誤解ですお兄さん!!」
「お兄さん……?」
「あらら、渚くん更に誤解招いちゃった」