応援があれば書きます。時々また更新するかも。消えていたその時は作者が燃え尽きた結果だと考えてください。
渚が話せば話すほど段々と泥沼に浸かっていく。業の彼女ではないのに、そもそも渚は女では無いのに、渚の言葉が更に羯磨の勘違いを酷くしていく。
渚は頭を抱えた。
業は楽しそうに笑っている。
業が渚を助けることは、ない。
別に業は同性が好きだとかそんな訳では無い。少なくとも殺せんせーが生きているうちは業は暗殺に専念したいので彼女を作るつもりもないし、きっと渚もそうだろうと考えてやっている事だ。
もし、業に彼女が出来たら。
もし、渚に彼女が出来たら。
その時は羯磨の勘違いをちゃんとした方向へとなおす。あくまで業は渚に迷惑がかからない程度に遊んでいる。
そんなことも露知らず渚はどんどん泥沼に浸かっていく。それはもう、一種の才能ではないのかという程に。
「へー、お兄さん、お兄さんねぇ。もうその気になってるんだ」
「へっ、ち、ちが!! カルマくんは立派な友達で――」
「友達?」
ピクリと羯磨の眉が動く。異様な雰囲気がその場を包み込んだ。勿論業は助ける気は毛頭ない。ニヤニヤ笑っている。
渚は絶望した。
「付き合ってるのに友達? それは無いんじゃないのかな。君は、一体どんな気持ちで業と接してるわけ? 遊びなら許さないよ」
「い、いや…遊びというか……」
「僕、男なんですけど」その言葉はこの雰囲気では言えない。と言うか言ったら殺されるような気がする。渚は空気の読める男だ。
「業っ!! こんな奴が(彼女で)いいのか!?」
「んー、いいのいいの。こんな奴が(友達で)いいの」
「か、カルマくん!?」
勿論業は羯磨のカッコの中身が見えている。羯磨は見えていないが。簡単におっけーを出した業を見て渚は驚愕だ。
「そ、そうか……カルマがそれでいいのなら、いいんだな……」
くっ、と白いハンカチを噛み締め泣くのを堪えている羯磨を見てもう渚は考えるのをやめた。この人は僕の話を聞かない。もうなるようになれ、と。
業は悪魔の笑みで笑っていた。
▼▲▼▲▼
リビングから業の部屋へと来た渚と業。カルマの部屋は基本黒と白で統一されており、オシャレである。渚が感嘆の声をあげるが、数秒後頭を振って業に詰め寄った。
「ちょ、カルマくん!! こうなること分かってたでしょ」
「そうだけど?」
「そうだけどじゃないよ!! なんで誤解とくの手伝ってくれなかったの!?」
「だって俺が喋る前に渚くんドンドン泥沼に浸かっていくんだもん。それが面白くって」
鬼だ悪魔だ、渚は絶望した。それに業が言っていることは事実でぐうの音も出ない。
「ま、相手が渚くんだったから別に良かったし」
「え?」
「ま、まさか……」そう渚が呟けば業は「馬鹿な勘違いしてるでしょ」と渚をチョップした。
「だってこうやって兄貴騙しとけば難癖つけて渚くんを女装させることが出来るでしょ? それって楽しくない?」
「楽しくない!!」
渚は顔を青くして叫んだ。
「でも、兄貴怒ったら怖いからなあ。騙されてたって知ったら――どうなるんだろうね、俺ら」
渚は思った。ああ、もう僕の逃げる道はないんだ、と。
さよなら僕の性別――。