妖刀との出会い~三人の最悪の世代   作:幸福野郎

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船長

「ここに一本の妖刀がある」

 

「この妖刀は持ち主を選ぶ」

 

「この妖刀は未来を見る」

 

「その未来で選ぶ」

 

「――持ち主に足るかどうかを」

 

◆◆◆

 

 その日は曇りだった。

 だが、その町の惨状はそんなものでは収まらない。

 家が燃えている。・・・・・・いや、町が燃えている。町のあちこちから煙が上がり、悲鳴が聞こえた。

 レンガの家は崩れ、人の営みが破壊されていく。町に刻まれた破壊の跡は、いまだに広がり続けている。

 その町は、海賊達に蹂躙されていた。

 

「ギャハハハハハハハハハ! 奪え!!」

「他人に構うな! 誰にも構うな!」

「殺して! 奪って! 楽しんで! 己を満たすことだけ考えろ!」

「何故なら俺達は海賊!! 海賊ってそんなもんだろ!?」

 

 海賊達のリーダーと思われる眼帯をつけた男は、燃える街中で声高に部下達を鼓舞する。

 次々と吐かれる言葉はまさしく外道のもの。

 その言の葉に応じて、一般人の血が次々と流れていくような地獄。

 彼に逆らえるような勇敢な者は現れず、それを助長するかのように、見せしめで民を惨殺する海賊の頭。

 

「うわああああああー!!」 

 

「キャー!!」

 

 泣き叫ぶ人々。昨日まで幸せだった人も、そうでなかった人も、皆平等に蹂躙される。どれだけ抵抗しても、まるで無意味だ。どれだけ罵倒しても、それが何になる。

 

「いやだー!! たすけてー! たすけてください!」

 

 命乞いをしても逆効果だ。海賊達は面白がって。

 

「ああああああああ――――――――・・・・・・」

 

「ギャハハハハ!」

 

 正に地獄の様な光景。それを嘲笑う海賊達。

 その海賊達を率いる船長は、最近有名になってきた海賊で、利己主義の塊のような男だ。部下すらも自分の為に存在する道具としか思っていない。

 

「あ~あ~楽しすぎるぜ!いや本当海賊になって良かった!」

「無様! 無力! 無能!」

「弱い奴っていうのは何やっても滑稽だな。オイ!」

「これが良いんだよ! これが!」

 

 意気揚々と言葉を吐き続ける船長。弱者を踏み躙る快楽に酔い、顔は喜色に染まっている。

 海兵ですら下手に手を出せない危険人物だ。

 その瞳には、他者を害する悪意が渦巻いているようである。

 

「だからこそ、海賊にっ!! なったんだ!!」

 

 彼は今までも東の海や北の海を旅して、似たような光景を見てきたが、やはり強者とは絶対であると思わずにはいられない。

 そんな船長に、海賊達のシンボルマークを左腕に刻んだ人物が近づいてきた。

 

「ん?何だ、お前か。どうした?」

 

「キャ、キャプテン大変です! か、海賊が!」

 

「はっ?」

  

 焦った様子で何かを伝えようとする男。海賊団の一員と思われるその男は、深呼吸して落ち着いてから再度話し始める。

 

「み、港の方から海賊船と思われる船が近づいてきてるんです!」

 

「・・・・・・どんな感じの海賊旗だ?」

 

「こ、こんな感じです! まじやばい!!」

 

 予め用意していた、海賊旗を模写した紙を船長に見せる船員。

 

(これは・・・・・・違うか。なら問題ねェな。)

 

 船長は数秒間紙を眺めた後、問題なしと鼻を鳴らした。

 

「フン!どこの海賊だか知らないが、邪魔しようってんなら仕方ねェ!アレを使うか!」

 

「アレって!? 以前、海軍船をまるごと吹き飛ばした【悪魔の実】の能力を!?」

 

 悪魔の実。食すことで非現実的な力を扱えるようになる、不思議な果物。

 船長はそれによって能力を得た、能力者だった。

 その能力を使って彼は以前、海軍船ごと海軍大佐を吹き飛ばした。ある条件を満たせばそれほどの強力なカを扱える能力を、男は有していた。

 

「【三幹部】に、連絡しておけ。一応な」

 

「!? 三幹部までー!? やばい!」

 

 驚愕する部下、それに構わず、船長は敵の排除に向かう。

 その歩き姿は、正に威風堂々。強力な威圧と、強大な威厳に満ちている。

 ――新世代の海賊が、敵を排除せんと動き出す。

 

「――――――さて久しぶりの本気だ」

 

 

 

 

 

「ぜっ?」

 

 船長の視界が傾く。上下反転する。落ちていく。頭を地面にぶつける。転がる。体と向き合う。

 

「アレ?オレのからだ?」

 

 自分の体が見えている。

 

 何故?見える?何故?見上げてる?何故?頭がない?何故?何故?何故?何故?何故?なんでだよっっっっ!?

 疑問が延々と脳内で浮かびながら、新たな疑問。

 アイツは何処だ? さっきまでオレと話をしていたアイツは何処に?

 

「――――ここだ」

 

 言葉と同時だった。船長の髪が鷲掴みにされ体が、いや、頭だけが持ち上げられる。

 

「なんっ!?」 

 

 彼はそこでようやく現実を認識する。自分が生首状態である現実を。なのに何故か生きている非現実を。

 

「なんでっ?なんでだっ!?てめェは誰だ!?」

 

 船長は、自分をこんな状況に追い込んだであろう何者かに問いかける。

 それに対して何者かは、冷たい声色で言葉を放つ。

 

「答える義理はないな。弱い奴は死ぬのみだ。テメェもそう思うだろ?」

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