妖刀との出会い~三人の最悪の世代   作:幸福野郎

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 ハートの海賊団が村に来てから数日ほど経った。

 その間、ロー達は様々な脱出方法を試したが、その全てが見えない壁に阻まれた。空も地中も塞がれた国、それでも彼等は試し続ける。

 

「いや、助かるねー。クマさん」

 

「これをあそこに運んで」

 

「アイアイ!」

 

 時には村人の手伝いをして、報酬を貰ったりした。

 

「キノコ狩りだー!」

 

「それ、毒キノコじゃねェか? カラダカラキノコガハエルダケとかいう……」

 

 時には村の川や、近くの森などで食料を調達したりした。この国はとても食料が豊富で、ロー達はそれに助けられていた。

 

「この前はありがとよ! ほんのちょっとのお礼だ!」

 

「サンキュー! おっさん!」

 

 なんだかんだで村人たちとハートの海賊団の仲は良好のようだ。村人たちを助け、村人たちに助けられ、そんな感じで日々は過ぎていった。

 

「さて、まずは・・・・・・」

 

◆◆◆

 

「この店か」

 ある日の朝の事、ローは古めかしい店の前に立って、それを眺めている。店の外装は、少し花が飾り付けられているだけのシンプルなものだが、どことなく独特の雰囲気を感じさせる。店の前に存在する不細工な鳥の置物もそれの一因だろう。

 少女がおすすめした事もあるこの店に、ローは村人の頼みで用事があった。

 彼が店のドアを開けると、鈴の音が店内に響く。店内は少し埃っぽく、いくつもの棚が並んでいる。棚の上には様々な置物が置いてあって、見栄えがいい。

 ローが店内を見回していると、右側の棚の影から店員らしき男が姿を現した。

「いらっしゃいませ!初めて来店したお客様ですね!おすすめの商品はジェルマをイメージして作った、ジェルマ・パイレーツレロ!」

 男は特徴的な外見だった。口から飛び出た長い舌、大きな両手、それらの特徴は、どこかで聞いたことがあるようなものだ。

「悪い、店を間違えた」

 その場で反転して店を出て行こうとするロー。

「お客様!冷やかしは困るレロ!」

 しかし、素早く近づいてきた店員に両肩を掴まれ、逃走は阻止される。

「・・・・・・お前は確か、ヴィトだったか?」

 ローは逃走を中断して、ヴィトに向き直る。

「・・・・・・その通り。ちゃんと知ってもらえているようで何よりだ、同志よ!」

 ローを同志と呼ぶヴィトは、店員としての態度を崩す。

「同志か、助けてくれたことには感謝するが、理由は」

「当然、力を貸してほしいからだ。この島から出たい気持ちは一緒だろう?」

 なんでもない事の様に、あっさりと言うヴィト。そこに偽りの感情は一切含まれていない。

「そちらとしても悪い話じゃない筈だ。・・・・・・連絡取ろうにも電伝虫、ここでは使えないのは困ったもんだが。何か用事があるときは、この店に訪ねてきてくれ。いつでもいる訳じゃないがな。逆にこっちが用事ある時は、あんた達の拠点を訪ねよう」

「・・・・・・分かった。早速だが、出来る限りの情報共有をしたい」

「了解!」

 

 しばらくの間、ローとヴィトは情報共有の為に話し合った。新鮮な情報もそれなりにあり、ヴィト達の情報収集能力の高さを感じ取ったロー。

「・・・・・・こんな所だな」

「そうだな、・・・・・・それじゃあ、商売に戻るか。お客様!お探しの商品はなんでレロ?可愛いのカッコいいの不気味なの、開運的なの・・・・・・色々ありますよ!」

 情報交換を済ませると、ヴィトは店員としての態度に切り替える。

「・・・・・・動物を模した物はないか?あまり大きくないやつで」

「ありますが、種類は?」

「特に指定はない」

「分かりました。では、こちらヘどうぞ!」

 言うとヴィトは、ローを店の左奥の棚ヘと誘導する。

 その棚には、犬、猫、鳥、などの多種多様な動物の置物が置かれていた。それぞれの商品には値札が貼られていて、棚の前に立つローはそこに書かれた値段も考慮しながら、買う商品を決めようとしている。

「決められませんか?ならば!おすすめはこのジェル」

「よし、これにしよう」

 ヴィトの言葉を遮るように決定の意思を示す。

「・・・・・・お買い上げありがとうございます」

 ローから紙幣を受け取りながら、ヴィトは微妙に肩を落とした。

「五千ベリー、丁度ですね。・・・・・・他にも何かお求めの商品は」

「ないな」

 そっけなく言い放ち、買った商品を背負ったリュックの中に収め、店から出て行こうと思ったその時に、店内に呼び鈴が鳴り響いた。

 誰かの来店。ローは思わず背にある店の出入り口に振り返る。振り返った先には少女と、少し白髪が混じった金髪の老人、どちらにも見覚えがあった。

「いらっしゃいませー!」

「おはようヴィトさん!・・・・・・あれ?もしかして、ローさん?」

 ローの姿を店の中に見つけた少女は、彼の元ヘと歩き寄る。

「おはよう!・・・・・・もしかして、私の言葉で気になっちゃった?」

「いや、ただの村人の頼みだ」

「そうなんだ。ローさん達、皆と仲良くやってるみたいで良かった!ウルージさんやヴィトさん達も、みんな良い人達だし・・・・・・良かったね!村長!」

 少女の言葉は、背後の老人に向けて放たれたもの。

「ああ、君達には本当に助けられている!」

 人の好さそうな笑みを浮かべながら、村長は言う。

 助けられているのはこっちだ、と口にしようとしてローは止めた。どうせ謙遜されるだけか、と判断した為だ。この前の邂逅で、それくらいは予想できる。

「よし」

 目的は果たした、やる事は多い。

「ローさん、もう行くの?」

「ああ」

 店の出入り口に向けて歩を進める。

 すれ違いざま、少女の不満そうな顔が視界に映った。やはり調子が狂うと思いながら、彼は店を後にした。

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