妖刀との出会い~三人の最悪の世代   作:幸福野郎

16 / 23
ウルージ

「やりますなッ!!フンッ!!」

「ぎはははッ!!そっちこそッ!!」

 

 大きな川を足場に、二つの巨体が殴り合っている。

 一方の男は黒衣を纏い、もう一方の男?は白い体毛を纏っていた。

「おもちゃ箱の主、このホワイト様相手によくやりおるッ!!」

 体毛に覆われた顔を楽しそうに歪める、全身真っ白男。

 その大きな拳が空気を抉りながら、ウルージの腹部にめり込んだ。

「ぎゃはははははっ! ホワイトさんのパンチはキツイだろう!?」

「やっちまえー!! ホワイトさんっ!!」

 二人の周りの陸地では、ホワイトと似たような白く小さい者達が騒いでいた。

「僧正ッ!!」

「負けないでください! 僧正ー!!」

 応援は敵側だけではなく、ウルージにも向けられている。

 彼らの纏う服は、ウルージと同種のもの。それもそのはず、彼らはウルージが率いる海賊団「破戒僧海賊団」の、メンバーなのだから。

「おおおおおッ!!」

「ぬおおおおおッ!!」

 加熱する、強靱な肉体同士の殴り合い。

 拳と拳がぶつかるたびに空気が震え、凄まじい音が鳴り響く。一切の邪魔が入らないそれは、熱き男たちの決闘であった!

 

 露出したウルージの上半身には、いくつもの痣があった。血の痕跡があった。

 ホワイトの体は所々がひび割れていた。激闘の痕跡があった。

 それでも二人は笑っていた。

 

 重ねた時間は、一秒、一分、一時間、倍の二時間。それでもギャラリーの注目は途切れる事なく、二人の熱意は衰えることない。

 ウルージとホワイト。彼らは互いに目前の敵を強敵と認め、全力で戦っていた。

 一撃入る度に空気がはじけ、水しぶきが舞い、周囲から歓声が沸く。

「そこだーッ!!ホワイトさんッ!!」

「僧正ーッ!!」

 拳の応酬は積み重なり、やがて――。

 

「ふんッッ!! 因果晒しッ!!」

「甘いわッ!! ホワイト・ショックッ!!」

 

 お互いの必殺技が炸裂する。

 拳と拳がぶつかり合い、周りに轟音が響き渡った。その強烈さに、驚きの表情を浮かべるギャラリー達。

「……決着か?」

 誰かがそう呟く。そう思わせるほどの、激しいものだった。

「どっちだ?どっちが、勝った?」

「バカか!!ホワイトさんに決まってるだろッ」

「いや、僧正だッ」

「なんだとッ!てめェッ!!」

 喧嘩になりそうなギャラリー。

「――はッ、まいったな。こりゃあ」

 それを鎮めたのは、ホワイトの重々しい言葉だった。

 よく見ると彼の体には、突きだした腕からヒビが広がっていた。

「ぎははッ! まっ、強者が生き残り、弱者が無様に散っていく、当たり前のことなんだがァ」

 ヒビは顔まで広がり、なのにホワイトは笑って空を見る。

「……よい天気だッ。散るに相応しいッ。俺の嫌いな青空だッ!!」 

 何がそんなに嬉しいのか、誰にも分からない。

 

「存分に、強者の栄光を味わうがいいぜッ!! それでこそ、俺も嬉しいッ!! ぎははははッ!!」

 

「ホ、ホワイトさん!!」

 

「そんなバカなーッ!!」

 

 最後に腕を広げ、豪快に笑うと、強靱な肉体はバラバラに砕け散った。玩具としての意味を表すように。

「……」

 ウルージは、川の底に沈んでいく破片をみつめていた。

 ただ静かに数秒の間見て。やがて言葉を発する。

 

「――南無」

 

「……倒したか」

 川の周辺に存在する木々から姿を見せたのは、刀を持ったロー。続けて、ベポ、シャチ、ペンギン。シャチの右手には望遠鏡が握られている。

「ああ、倒しましたぞ。強敵だった」

「そうみてェだな。……助かったよ」

「なになに、役に立てたなら何よりだ」

 川から陸に上がり、笑顔でロー達に近づくウルージ。

 水で濡れた足が点々と土を濡らしていく。

「いやー、マジで凄い戦いだったッ。手に汗にぎっちまったぜ! 男と男の決闘ってやつ!」

「ほんと頼りになるなー! 念の為の監視なんていらねェよ!」

 ロー達は、ウルージの戦闘を林の中から伺っていたようだ。

「念には念をだ。用心するに越したことはねェ。相手は、得体のしれないオモチャだぞ?」

「それもそうだな。そんな相手にウルージさんは律儀だ! 一対一の決闘とかよッ」

「いやいや、ああも正々堂々お願いされてはな……」

 ウルージは、困ったように頭を掻く。しかし、後悔はなさそうな様子だ。

「まあ、ウルージさんだしな。これがキャプテンだったら……」

 もしもローなら、あの手この手で敵を追い詰めて確実に破壊しようとするだろう。倒し難い強敵ならなおさらそうだ。と、ペンギンは考えた。

 

「結果おーらいだわ。勝てたんだから、よしッ!!」

 

「そういってくれると、助かりますな」

 

 笑顔のウルージ、彼の元に仲間たちが集まってくる。

「僧正!お怪我はッ」

「おーおー、問題ないですぞ」

 彼を案じる、多数の船員たち。その光景は、ウルージの人柄を良く表している。

「……キャプテン、ウルージさんのおかげでやったな!」

 ギャラリーがいた地点、そこに散らばる破片に目を向け。左にいるローに、真剣な声で尋ねるペンギン。

「ああ、これで」

 ローもまた、真剣に未来を見据えながら言葉を口にした。

 

「破壊できたオモチャ箱は8。順調に敵の戦力を削ってる」

原作の雰囲気が感じられるか

  • かなり
  • 普通
  • 微妙
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。