「やりますなッ!!フンッ!!」
「ぎはははッ!!そっちこそッ!!」
大きな川を足場に、二つの巨体が殴り合っている。
一方の男は黒衣を纏い、もう一方の男?は白い体毛を纏っていた。
「おもちゃ箱の主、このホワイト様相手によくやりおるッ!!」
体毛に覆われた顔を楽しそうに歪める、全身真っ白男。
その大きな拳が空気を抉りながら、ウルージの腹部にめり込んだ。
「ぎゃはははははっ! ホワイトさんのパンチはキツイだろう!?」
「やっちまえー!! ホワイトさんっ!!」
二人の周りの陸地では、ホワイトと似たような白く小さい者達が騒いでいた。
「僧正ッ!!」
「負けないでください! 僧正ー!!」
応援は敵側だけではなく、ウルージにも向けられている。
彼らの纏う服は、ウルージと同種のもの。それもそのはず、彼らはウルージが率いる海賊団「破戒僧海賊団」の、メンバーなのだから。
「おおおおおッ!!」
「ぬおおおおおッ!!」
加熱する、強靱な肉体同士の殴り合い。
拳と拳がぶつかるたびに空気が震え、凄まじい音が鳴り響く。一切の邪魔が入らないそれは、熱き男たちの決闘であった!
露出したウルージの上半身には、いくつもの痣があった。血の痕跡があった。
ホワイトの体は所々がひび割れていた。激闘の痕跡があった。
それでも二人は笑っていた。
重ねた時間は、一秒、一分、一時間、倍の二時間。それでもギャラリーの注目は途切れる事なく、二人の熱意は衰えることない。
ウルージとホワイト。彼らは互いに目前の敵を強敵と認め、全力で戦っていた。
一撃入る度に空気がはじけ、水しぶきが舞い、周囲から歓声が沸く。
「そこだーッ!!ホワイトさんッ!!」
「僧正ーッ!!」
拳の応酬は積み重なり、やがて――。
「ふんッッ!! 因果晒しッ!!」
「甘いわッ!! ホワイト・ショックッ!!」
お互いの必殺技が炸裂する。
拳と拳がぶつかり合い、周りに轟音が響き渡った。その強烈さに、驚きの表情を浮かべるギャラリー達。
「……決着か?」
誰かがそう呟く。そう思わせるほどの、激しいものだった。
「どっちだ?どっちが、勝った?」
「バカか!!ホワイトさんに決まってるだろッ」
「いや、僧正だッ」
「なんだとッ!てめェッ!!」
喧嘩になりそうなギャラリー。
「――はッ、まいったな。こりゃあ」
それを鎮めたのは、ホワイトの重々しい言葉だった。
よく見ると彼の体には、突きだした腕からヒビが広がっていた。
「ぎははッ! まっ、強者が生き残り、弱者が無様に散っていく、当たり前のことなんだがァ」
ヒビは顔まで広がり、なのにホワイトは笑って空を見る。
「……よい天気だッ。散るに相応しいッ。俺の嫌いな青空だッ!!」
何がそんなに嬉しいのか、誰にも分からない。
「存分に、強者の栄光を味わうがいいぜッ!! それでこそ、俺も嬉しいッ!! ぎははははッ!!」
「ホ、ホワイトさん!!」
「そんなバカなーッ!!」
最後に腕を広げ、豪快に笑うと、強靱な肉体はバラバラに砕け散った。玩具としての意味を表すように。
「……」
ウルージは、川の底に沈んでいく破片をみつめていた。
ただ静かに数秒の間見て。やがて言葉を発する。
「――南無」
「……倒したか」
川の周辺に存在する木々から姿を見せたのは、刀を持ったロー。続けて、ベポ、シャチ、ペンギン。シャチの右手には望遠鏡が握られている。
「ああ、倒しましたぞ。強敵だった」
「そうみてェだな。……助かったよ」
「なになに、役に立てたなら何よりだ」
川から陸に上がり、笑顔でロー達に近づくウルージ。
水で濡れた足が点々と土を濡らしていく。
「いやー、マジで凄い戦いだったッ。手に汗にぎっちまったぜ! 男と男の決闘ってやつ!」
「ほんと頼りになるなー! 念の為の監視なんていらねェよ!」
ロー達は、ウルージの戦闘を林の中から伺っていたようだ。
「念には念をだ。用心するに越したことはねェ。相手は、得体のしれないオモチャだぞ?」
「それもそうだな。そんな相手にウルージさんは律儀だ! 一対一の決闘とかよッ」
「いやいや、ああも正々堂々お願いされてはな……」
ウルージは、困ったように頭を掻く。しかし、後悔はなさそうな様子だ。
「まあ、ウルージさんだしな。これがキャプテンだったら……」
もしもローなら、あの手この手で敵を追い詰めて確実に破壊しようとするだろう。倒し難い強敵ならなおさらそうだ。と、ペンギンは考えた。
「結果おーらいだわ。勝てたんだから、よしッ!!」
「そういってくれると、助かりますな」
笑顔のウルージ、彼の元に仲間たちが集まってくる。
「僧正!お怪我はッ」
「おーおー、問題ないですぞ」
彼を案じる、多数の船員たち。その光景は、ウルージの人柄を良く表している。
「……キャプテン、ウルージさんのおかげでやったな!」
ギャラリーがいた地点、そこに散らばる破片に目を向け。左にいるローに、真剣な声で尋ねるペンギン。
「ああ、これで」
ローもまた、真剣に未来を見据えながら言葉を口にした。
「破壊できたオモチャ箱は8。順調に敵の戦力を削ってる」
原作の雰囲気が感じられるか
-
かなり
-
普通
-
微妙