妖刀との出会い~三人の最悪の世代   作:幸福野郎

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突入

 静寂に包まれた部屋。高窓から見える外は、黒く染まっている。

 

「全滅か。まいったな」

 

 王の間で、王が呟く。様子に、動揺は見られない。

 

「その様子を見ると、予定通りか。どういうつもりなんだ、一体」

 

 いつも通りの不機嫌な態度で、兵士長は玉座に座る王に問う。

 

「いやなに、挑発のようなものさ。……約束は破ってない。狙ったのは村人だ」

 

「……貴方は何がしたいんだ? あの村には親友もいたはずだ。何故襲う?」

 

 王の破天荒な行動などいくらでも見てきた兵士長ではあるが、流石に今回の行動には大きく首をかしげた。

 

「はて、自分でもよく分からないな。どうあれ、村の者達にはくたばってもらう。元々、そのつもりだったんだ。そういう遊びだった。・・・・・・不安か? 兵士長」

 

 王は兵士長に問う。彼は暗に、自分を見限るなら今の内と告げている。

 

「――あんたがどんな人間だろうと、あの環境からオレを救ってくれたのは事実だ」

  

 だから最後まで付き合う。言葉は続かなかったが、届きはした。

 

「……そうか。悪いな兵士長」

 

 珍しく、言葉に真髄な気持ちが込められている事を、兵士長は感じとった。

 

「まあ、儂など可愛いものだ。本当の悪とはもっと恐ろしい」

 

 王は、かつてあった人物を思い出す。

 不敵な笑みを絶やすことない、強大な力を秘めた悪のカリスマ。支配欲の塊のような男は、自分に近いとも少しだけ思った。しかし。

 

「奴はもっと根深いか。ハハハ!」

 

「?」

 

「さて、次はどうしようか。動かないようなら、もう一度……うん?」

 

 王の顔が訝しげに変わる。

 

「どうした?」

 

「探索に出していたオモチャが戦っている。奴等、動き出したようだな」

 

 王は、鎧の状態をある程度把握することができる。それによって、探索の網を形成していた。そして王城を囲む網は、確実に敵の存在を感知する。

 網の正体は索敵用のオモチャ。王城に近づく敵を察知し、鎧達に伝えるそのオモチャは、像に偽造して町に設置してある。とても頑丈で破壊するのは困難。

 

「……では、色々な準備を済ませるか。王よ。奴等が、次の網にたどり着く前に」

 

 大きな山を越え、この王城にまでたどり着く時間は把握している。

 

(当然、奴等も製造される前にたどり着こうとするだろうが・・・・・・こちらには、製造時間を短縮する術がある)

 

 それだけの時間があれば、新しいオモチャを製造できるだろうと兵士長は考える。

 しかも既に王城周辺に配置してあるオモチャたちは、そのどれもが最高レベルのものだ。

 

「そうだな。とっておきのオモチャもあるし、お前もいる。十分だとは思うが……!?」

 

 王の目が大きく見開かれた。それは驚愕によるもの。

 

「今頃、驚いてやがるだろうな」

 

 満月に照らされた草花の上で、笑みを浮かべるカポネ。彼の周りでは激しい戦闘音が響き渡っていた。

 

「準備する余裕なんざ与えねェ。さっさと終わらせる」

 

 カポネがいる場所は王城の中庭。

 彼等は既に敵の居場所に到達していた。

 王城を囲む様に張り巡らされた、鎧達。本来ならそれでカポネ達の接近を知ることが出来るはずだった。

 しかし、それを覆す方法が存在した。

 

(町に隠された秘密の地下道……役に立ったか)

  

 山を無視して地下の道を行き、更にカポネの能力によって全員を中に収め、移動形態に変形した彼の凄まじい速度で王城に運ぶ。

 こうして王達の想定より早く、王城にたどり着いた。

 

(かつての王族、国から姿を消し行方をくらました王、奴にどんな事情があったのかは知ったことじゃねェが、感謝はしよう)

 

 カポネの得た情報によって、状況は好転。

 

「――それでは、少々暴れますかな」

 

 中庭で轟音と共に鎧達が砕け、吹き飛ぶ。城の入り口に行かせまいと殺到する鎧達、それをウルージは、巨大な棒状の武器を振るって一蹴する。

 

「ウルージさんに続けー!」

 

「うおおおおお!」

 

 多数の鎧を吹き飛ばすウルージ。その光景を見て、勢いづく味方の軍勢。

 

「化け物が。そんなに村人が大事か」

 

「そうですね。・・・・・・ちゃんと村人の安全を確保するあたり、ファーザーも律儀レロ」

 

「……フン」

 

 カポネもまた、ヴィトと共に戦いの中へと駆けていく。

 

「思った以上に敵の残存兵力が多く、強い……。こりゃ、急がねェとまずいかもな」

 

 彼が目指すは、王の首。

 

「ウルージさんは、やっぱりすごいな!」

 

「頼りになるぜ本当に! 負けてられねェ!」

 

 鎧達をなぎ払うペンギンとシャチ。発揮される技量は、以前戦った時より研ぎ澄まされている。

 

「おれも!」

 

 それはベポも同様。更に素早い動きで敵を翻弄する。

 

「腕を上げたな、お前ら」

 

 ローは襲い来る敵を軽くいなす。それは本命との戦いの為。

 

「……もう一度聞くけどよ、勝算はあるんだよな」

 

「ある」

 

 仲間の問いに、ローは迷いなく返答する。

 

「そうか。なら、まかせたぜ!」

 

 絶対の勝算などない。それは分かっているが、キャプテンのことを信じよう。

 三人の意見は固まった。

 

「道を切り開くぞ!」

 

「おうよ!」

 

「アイアイ!」

 

 王城の入口に立ちふさがる鎧の群れに、突っ込む三人。

 

「……」

 

 ローは確かな頼もしさを感じながら、王の元ヘと走り出す。

 彼の目的は刀だけではなくなった。

 

(敵の数はこちらの倍以上。早く王を仕留めて、能力を解除しないと……まずいか)

 

 悪魔の実の能力には、本人の気絶で解除される場合とされない場合がある。ローが集めた情報によれば、王の能力はその前者に該当するようだ。

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