「うわあああッ!」
「おい! 大丈夫か!?」
中庭で繰り広げられるおもちゃ軍団との戦いは、ロー達の劣勢で進んでいた。彼らは四方を兵たちに囲まれて、倍以上の物量差で徐々に押しつぶされようとしている。
「ふんばれ!!」
「おおお!!」
ロー、カポネ、ウルージの総力に近いそれでも、あまりに王が準備した兵達の数は多く、苦戦は免れていなかった。
「ちくしょう、キャプテン! 早く!」
「まずいぜ! こりゃあ!」
「ぎゃあっ!?」
「ベポ!?」
ベポは芝生の上に倒れ、周囲にいる玩具たちの剣が彼に向けられる。
「今、たすけにッ」
急いでフォローに行くシャチたち。
(くそッ! 間に合え!!!)
剣は無慈悲にベポに接近し――。
「かかれー!!」
「おおー!!」
「!?」
ベポを襲う兵達を蹴散らす、小人達。
「恩人に恩を返す時れす!!」
「一斉にいくれすよー!! ファイトー!!」
中庭の入口である門から、大量の小人達が突入してくる。彼らはローへの恩返しをしにきたのだ。
「あいつらはッ!? なんだァッ!?」
「なんにしても助かる!!」
「この時こそ!勇者のように戦うれす!!」
「恩返しパワーれすー!!」
彼等もまた王の能力によって生み出された玩具達。しかしそれは王に歯向かう牙となった。
純真な少年のような意気込みで、自らを生み出した存在に立ち向かう。
「弱点を狙うれすー!!」
「純粋なパワーでは勝てないれす!」
「スピードで翻弄するれすよ!」
機動力を活かして、オモチャの兵たちの攻撃を回避していく小人集団。彼らは的確に、オモチャたちの構造上の弱点である関節部を破壊していく。
同じ創造主によって生み出された存在であるが故か、手に取るように相手の弱みが分かるのだ。
「そうか! そこを狙えば……!!」
「野郎どもー!! やるぞー!!」
「うおおおー!!」
小人たちの動きを見て、シャチたちも倒し方のコツをつかみはじめたようだ。
実力で劣っているはずの者ですらも善戦を行えていた。
いまだ数の差はあるが、これであと少しは持ちこたえることが可能だろう。
「キャプテンを信じて、もうひと踏ん張りだ!!」
「ああ!!」
「アイアイ!!」
◆◆◆
王の間。
爆撃を受けた床には、いくつものくぼみや穴。爆煙は、まだ残っている。
「くだらないと、儂は思ったんだ」
王は語る。眼前で膝をつくローに向かって。
「恐れた他国による、圧倒的な蹂躙。ある者は判断を間違え、ある者は情に流され、その全てが裏目に出て、くたばっていった……倒れ伏した様々な死体」
ローの服は焼け焦げ、ぼろぼろだ。意識は曖昧で、定まっていない。そんな状態で話を聞いている。
「病気によって差別され、それでも懸命に生きようとした、本当に優しく信頼できる人々だった……それでも、くだらないと思ったんだ」
語っているのは辛い過去、その筈なのだが。
王はにっこりと笑った。滑稽で仕方ないという風に。
「無様な弱者に価値などない。そう思わないか?」
ローに放たれる、問いかけ。
彼は王の様子を見ている。
(ああ、そうか)
そうしてあることに気付いた。それは、自分の苛立ちの原因。
(この男が、馬鹿にしているのは)
それなら、返答は決まっている。
「――思わねェな」
彼は、そう返答した。
「……」
王は、わずかに失望の色をのぞかせて、
「死ねよ。役立たずの勇者」
憎しみをこめた刃を、振り下ろした。
「ぎゃああああああ!!!」
王の間に響く絶叫。その叫びは、痛みが凝縮したようなもの。聞く者の心すら傷つける。
だが、発しているのはローではない。
「あついッ!! 熱いッ!! あついッ!! いたいッ!! なにがァッ起きたッ!?」
絶叫を発しているのは王。彼は玩具の炎によって痛みにのたうち回る。
ローを焼いた爆撃が王を襲った。何故か、自分が放った玩具の銃弾を斬ってしまった彼。
まるで、ローと銃弾が入れ替わったかのようだ。
「消えてっ!! やつがっ!! いっ瞬でっ!!」
乱れに乱れる思考。視界は定まらず、がむしゃらに刀を振るうしかできない。
当然、まともな武装を保てるはずはなく――。
(――勝機)
その隙を彼は見逃さない。
先程いた地点より後方に離れた場所に、一瞬で移動したロー。彼は爆撃により抉れた床で立ち上がり、薄れゆく意識のままで王に向かって駆け出す。
――妹をよろしく、皆さん
(距離―速度―武器―刀を)
疾走するローの手元に刀はない。先程の猛攻で失ってしまった。
(刀、刀を―)
刀を求め、動く眼球。
(刀―)
そして、
(―見つけた)
王の後方、倒れて壊れた銅像。
そこに隠されていた、一振りの刀。
「――タクト」
ローの言葉と同時、刀が浮き上がり引き寄せられる。
(体が、くずれる)
ローの体は一歩踏み出す毎に悲鳴を上げた。激痛が体を襲い、意識を砕こうとする。
――でも、想像とは違うものね。
(まだだ、まだ)
その体を突き動かすのは、強い思い。悲鳴を押し殺して、今度こそと足を踏み出す。
――君がロー君か
――村長を助けろー!
駆けて、駆けて、あの刀を。
(掴、んだ)
気力を振り絞って駆けるローと、飛来する刀。二つの影が重なった。
(これで)
鞘から、刀が抜き取られた。
眼前には王の姿。
(終わりだ)
全力の咆哮と共に、妖刀が放たれる。
――ようこそ! わたしたちの村へ!!
「おおおおおおおおおォォォ!!!」
全ての想いを乗せた一刀が、王を両断した。
カポネ:原作らしさが出ているか
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かなり
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普通
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微妙