妖刀との出会い~三人の最悪の世代   作:幸福野郎

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ファーザー

 王城のある町の西に広がる広大な森。

 森には色取り取りの果実が溢れ、咲き誇る花達のおかげで景観は美しい。そんな森の一角に普段見慣れない光景が広がっていた。

 木々は倒れ、地面は抉れている。地面には鉄屑が散乱していて、その中には半壊した兜がある。

「――片付いたか」

「ええ、片付きましたファーザー!ニョロロ!」

 ファーザーと呼ばれる、黒い帽子を被った短足の男は、その光景を眺めている。

「箱の中だと、覇気が強化される場合があるというが」

 手にはガトリング銃を持ち、かなり疲れた様子だ。

「手こずったな。・・・・・・武装を使い過ぎた」

「強力な武器も大分消費した上、犠牲者もそれなりに出てしまいましたしね・・・・・・         でも、森の中で奇襲作戦とか、ジェルマみたいだったレロ!」

「・・・・・・お前は本当にジェルマが好きだな、ヴィト」

「ええ!何せジェルマはおれのヒーロー!空想の存在だろうと好きなものは、好きなんだ!」

 口から飛び出た長い舌が印象的な男、ヴィトは興奮して語る。

「ジェルマ・・・・・・空想上の悪の軍隊か。敵がこんなガラクタじゃなければ、もっと、らしいことをやれたんだが・・・・・・」

 ファーザーは足元の鉄屑を蹴飛ばしながら、不満を口にする。その声は妙に冷たさを含んでいた。

「まあ、何とか全滅させたんだし、良かったんじゃないでしょうか?」

「まだまだ兵はいるだろうし、王城の守りは堅いが……敵は、おれ達を舐めていたみたいだからな」

「?」

「もしも奇襲されても、大丈夫だと思っていたんだろうよ。ハハハ、油断結構!」

 笑う彼の笑みは、狩人のものだ。

「奴等にはおれ達の存在を把握する術があるみてェだが、おれの【中】までは把握できなかったみてェだ。・・・・・・それでも、この様だが」

 自らのボロボロの服を見て、しかめっ面になるファーザー。彼はそのまま深刻な顔つきで数秒考え込み、ある決断を下す。

 

「よし着替えるか! あと、このガラクタどもの武器を回収しておけ!」

 

 身だしなみには細かいファーザー。

 最近の侵入者、カポネの姿がそこにあった。

 

◆◆◆

 

 目を開けた彼が最初に見たのは、天井で光を放つランプと、仲間達の心配そうな顔だった。

(なんだ・・・・・・?頭が冷たい)

 ローは頭に濡れたタオルが置かれた状態でベットに寝ていた。自分がべットに横になっていることを理解したローは、頭のタオルを右手でおさえながら、上半身を起こす。

「・・・・・・心配かけやがって!」

「まったくだ!」

「キャプテーン!!」

 ベポが嬉しさのあまりローに飛び付いてきた。

「ぐっ!?」

 ローは少し苦しさを感じながら、状況を把握する為、頭を働かせる。

(ここは・・・・・・) 

 寝ていたベットを含めて、四台の木で出来たベットが置かれているだけの簡素な部屋。ベットは部屋の左端に二台、右端に二台、対照的に置かれている。

(右斜め前にはドアが一つ。ドアの反対側の壁にはカーテン付きの窓が一つ。窓の下には刀と帽子が置かれている)

 何故、この場所にいるのか。 

「意識ははっきりしてるか、キャプテン?記憶は?なんでここにいるか、分かるか?」

「・・・・・・」

 言われてローは、自分の記憶を探る。

「そうか・・・・・・おれは・・・・・・」

 彼はここに至るまでの経緯を思い出す。

 鎧達との戦い、鎧の中の老人、どこかで見たような力、そして、途切れた意識。思い出すほどに、彼の表情は厳しいものに変わっていく。

「情けねェ・・・・・・おれの考えが甘かった。・・・・・・悪い」

 ベポ達に向かって頭を下げるロー。元々、陽気な声を出す人間ではないが、陰鬱な声を出す。

「キャプテン・・・・・・」

「・・・・・・」

 ベポ達は謝罪に対して、気分を落ち込ませた。

「・・・・・・まあ、おれ達が好きでキャプテンに勝手に付いていってるんだから、気にしなくていいぜ。・・・・・・それに、おれ達も情けねェ」

「まったくだ!すげェ無様な逃げっぷりだったぜ!」

「おれ達もっと強くなるから、キャプテンも一緒に強くなろう!」

 だが、落ち込んでいたのは僅か数秒、彼等は元の明るい雰囲気を取り戻す。その前向きさに、ローは少し面食らった表情になる。

「・・・・・・ああ、そうだな」

 ローが出す声はまだ暗いままだったが、少しだけ明るい色が混じっている。ベポ達はそれを感じ取ったのか、ますます明るくなり、すっかりいつもの調子に戻った。

「よーし、そうと決まれば稽古だ!稽古!」

「よし!相手になるぜ!」

「おれもやる!」

 騒がしい、いつものハートの海賊団。ローはその光景を眺めている。

(おれは、)

 ベポ達を見て、彼の頭に浮かぶのはかつての仲間達。

 

 ――――ロー!来ねェのか!?一緒に行こう!

 

(おれは仲間に恵まれた)

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