魔法少女リリカルなのは 〜the cross of moon light〜【凍結】 作:たけのこの里派
この作品の注意点。
最強。
オリ主。
作者の衝動に駈られたッ! って感じのグダクダ感。
型月要素ある癖に軽い部分アリ。
以上に対し不快感が催す方は閲覧をご控えをお勧めします。
ではどうぞ。
「うん? “彼”について?」
とある聖堂教会埋葬機関に所属している『王冠』の二つ名を冠する代行者は、とある存在と深く交流を持っていた。
「それは君達の知っての通り……えっ? 人柄? うーん、そうだね。確かに彼は『王』に相応しい要素を多く持ち合わせていた。空想具現化。虹の魔眼。でも――――」
それは偏に彼が人ならざる存在。死徒と呼ばれる吸血鬼であるが故。
彼の名はメレム・ソロモン。死徒二十七祖第二十位、『フォーデーモン・ザ・グレイトビースト』。しかし二十七祖に名を連ねる死徒でありながら、死徒の敵対組織である埋葬機関に所属する異端者。
「カリスマとか、多分無かったと思うよ? 『王』として必要なのは力だからね。
彼、僕が忠誠を誓った『主』と違って、恐ろしく俗物だったから」
そんな彼が指す『王』とは、十世紀以上昔、全ての真祖を生み出し人類を滅ぼそうとしたが、『とある理由』で彼の魔法使いに滅ぼされた月の王と、
「彼は精神的に君達人間と非常に近く、時には愛し、時には殺した。
彼は自分より別格と言っていたけど、あの第一位と第五位と同次元である彼が、僕達以上に人間と異なっている彼だよ? フフッ。彼がもう少し弱かったら、あの『紛い物』を殺して間違いなく僕のコレクションにしたかったよ」
あのガイアの魔犬が居るから、どうせ無理だろうけど、と彼は続ける。
真祖の処刑人である真祖の姫君や、死徒の姫君の様な月の王を元にしたプロトタイプではなく魔眼最上位の“虹”を持ち、更には空想具現化すら操る、月が生み出した完全な後継機。
朱い月とは全く違う方向性の精神を持った、まるで人間の様な新たな『王』。
「でも気をつけてね。彼のお気に入りに手を出したら、彼は彼の人間性をかなぐり捨てて君達を殺しにかかるから。彼、第一位と第五位と同じくらい君達を殺し尽くすの速いらしいし。
嫌でしょ? 『アラヤ』が動かない程度に人類の総数が減るのは」
死徒二十七祖第三位『Brunestud』、新たな月世界の王。『タイプ・ムーン』『アリストテレス』。
朱い月の正統後継、『緋い月』を冠する
――――“アークライト・ブリュンスタッド”と、そう言った。
「ぬぁああぁぁあッ! 聞いてよゼルえもーん!」
「何だ? のびライト君。お主をいじめられるジャイアンとかマジ想像できんのだが。
お主の事だ、どうせしょうもない事なのだろう?」
「ざっけんなジジイ、こちとら背徳感で自殺も考えたんたんだぞこの野郎」
「だから何だと言うのだ。ついにあのマキリの娘かアルトルージュにでも夜這いでも仕掛けられたのか?」
「…………………………………」
「お主まさか……」
「ぐぁああああああああああ!!!!! いっそ殺してくれッ!!」
そんな彼がこの世界から姿を消し、とある並行世界にて姿を現したのは、この会話の数時間後だった。
◆◆◆
アークライト・ブリュンスタッド。彼は転生者である。
いやイキナリ何言ってんだテメェと思うだろうが、彼は前世の記憶を有して生まれた。だが、問題は彼の生まれた場所と状態と世界であった。
そう。彼が生まれた、目覚めた場所は地球から38万4,400km以上も離れた月面であった。
「
それが彼の第一声。
いやまぁ、一度死んだとは言えただの一般人がイキナリ月面に立っていたらそんな事を言うかもしれないが、幸い彼に対して月は優しかった。
月からのバックアップ。それが彼が呆然自失状態から脱した要因だ。
月から流れて来る莫大な知識。
そうして漸く、彼は自身の置かれた状況を理解した。
「ガガーリン、確かに地球は青かったぜッ……」
勿論暫く現実逃避していた。
時速360km以上で、地球より重力が軽い筈の月面を走り回ったり、空想具現化でネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を何台も作ったり、地球には無い宝石の原石掘りまくったりしたが、数時間後、彼は自身が新たな『
「よりにもよって型月ェ……もしくはきのこェ。私利私欲でナチュラルに他人をホルマリン漬けとかする世界かい」
月から得た、自分が生まれた理由は単純明快。
先代の『
勿論そんな事は原作を知っている彼にとっては既知なのだが。
アリストテレスの消失、それに対しての防衛本能として彼は生まれた。
現代一般人の人格と記憶を携えるという謎を抱えて。
「あれ? 朱い月って、【鋼の大地】で復活するんじゃないの?」
残念ながら、月からの返答は無かった。勿論きのこなんて居ない。
その後彼は、月面での孤独感からの脱却の為に、故郷である地球に降り立ち様々な事を行った。
朱い月が創り出した千年城跡でトラフィム・オーテンロッゼにイチャモン付けられフルボッコしたり。
生まれたてのアルトルージュ・ブリュンスタッドを引き取り育てたり。
アルクェイド・ブリュンスタッドの成人の儀に立ち合ったり。
アルトルージュを撃退した死徒二十七祖番外位の初代ミハイル・ロア・バルダムヨォンをブチ殺したり。
史実では火炙りの刑に処されたジャンヌ・ダルクを、コンピエーヌの戦いで拐う様に助けて色々あって結婚したり。数十年後、彼女の最後を看取ったり。
襲い掛かってきた埋葬機関の代行者にトラウマを負わせたり。
アリマゴ島で不完全な死徒となったシャーレイを死徒にし、更に使い魔にして最低限自立出来るように育てたり。
第四次聖杯戦争後、十年間教育という名の虐待を受け続ける筈の間桐桜を助けたり。
三咲市で十八代目ロアに襲われた弓塚さつきを助け、同じくロアに殺されそうなアルクェイドを助け、ロアを首を残し消滅させて頭部をカレーの人に渡し止めを刺させたり。
第5次聖杯戦争でライダーに死んだフリをさせ生き残らしたり。
心臓を奪われたイリヤスフィールの魂を確保、蒼崎燈子の人形にブチ込んだり。
衛宮士郎とギルガメッシュの戦いの最中、固有結界内に乱入して乖離剣をパクって止め刺したりと様々。
そんな彼は、死の淵に追い込まれていた。少なくとも精神的に死にかけていた。
そんな彼のそばにいる老人が一人。
キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。
現存する『魔法使い』の一人であり、彼の朱い月を滅ぼし代償として死徒となった、死徒二十七祖第四位のハッチャケジジイである。
「先ずは詳しい経緯を教えてくれんか」
「経緯なんてモンねェよ。何時も通りに桜やライダー、シャーレイとアルトルージュと楽しい一日を過ごして寝た。本当に何時もと変わらなかったんだ」
「ふむ」
「だが寝ている最中、下半身に違和感を感じ、目が覚めたら――――」
そう、彼は、
「裸の桜達が、俺の上で腰振ってたんだッ……!!」
「………………………………」
道徳とか倫理とかもろもろで死にかけていた。
寧ろ死ね。リア充爆発しろ。
「はぁ……別に良いではないか。愛されとる証拠だろうが、この幸せモンが」
ゼルレッチが冷たい視線を送るが、アークライトはそんなものを気にしている余裕などありはしない。
「ライダーやシャーレイはまだ良いよ! でも桜とアルトルージュって何だ!!? 俺にとっては妹みたいな二人だぞ!?
背徳感と罪悪感で死にたくなるわ!
てか、まだ良いって何だ、何様だ俺」
「何を大層な……」
「お前にとって孫同然のアルクェイドに同じことされたらどうすんだ」
「…………ッ!!!(汗だく)」
思わずゼルレッチの顔が青ざめる。
死徒二十七祖の頂点達は、意外と人間臭かった。勿論この二人限定だが。
「ならばお主、これからどうするのだ。マスター権はマキリの娘にあるが、確か彼の
「この世界から消えたい……」
顔を隠すように両手当て疲れきった、消耗仕切った今の彼を見て、おそらく誰もあの死徒二十七祖第三位とは思わないだろう。
それほど、彼の表情はアレになっていた。
具体的には、思春期に到達した娘に毛嫌いされた父親の様なアレに。
あり得ないが、おそらく彼の第一位であるガイアの魔犬も、アルトルージュに『プライミッツなんて大ッ嫌い!!』と言われたら同じ顔をするかもしれない。
いやたぶん。
「(末期だのう……)……解った。ならば暫く儂が並行世界に送ろう。時が経てば迎えに行く」
ゼルレッチの司る魔法、第二魔法・並行世界の運営。世界に孔を穿ち、その孔を通って並行世界を旅する紛れも無き奇跡。
彼の魔法があれば、確かにこの世界から文字通り『消える』事が出来るだろう。しかも迎えに来てくれる辺り、彼等の仲の良さが窺える。
「マジでッ!? ウッハッ有り難ッ!! 流石魔法使い!! ムシャクシャしてアリストテレスの一角ヌチ殺しただけはあるッ!
そこに痺れる憧れるぅぅう!!!」
「貶しとるのかお主」
少なくとも褒めてはいないだろう。
「此方が1年程経ったら迎えにいこう。
とは言え、此方の時間と送る並行世界では時間軸がズレとるかもしれんから分からんが。まぁ大丈夫だろう。
まぁ良い、では直ぐ様送るぞ」
「ちょっちょっちょっ、書き置きぐらい残させて! イキナリ消えたら桜が黒くなるし、アルトルージュがプライミッツをけしかけたらマジ死ねるッ!!!」
二人の脳裏に、あの霊長の殺戮者が悠々と並行世界の壁をブチ抜く様が、容易に浮かび上がる。
「ヤベェ、自分から言ったけどマジ想像出来るわ」
「だのぅ……」
そんな会話をしている内に書き置きを書き終えたアークライトが、手紙をゼルレッチに渡す。
「では送るぞ」
「あぁ、俺のささやかな傷心旅行へ」
「何が傷心旅行だ」
「ウッセっ」
ゼルレッチが懐から、宝石の様な剣を取り出す。
この剣こそ、ゼルレッチを魔法使いたらしめる剣。宝石剣キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。
「て言うかジジイ。オマ、自分の名前をまんま剣に付けるとかネーミングセンス終わってんじゃねェの?」
「何を言う。カッコイイではないか」
「マジで終わってた……」
何の魔力も無かった剣に、七色の光が灯る。それを振るい、空間に人間大の裂け目が生まれ、
「では、気を付けての」
「あぁ、行ってくるよ」
「行ってきます!」
その裂け目が、
「アレ?」
一人の月の王と、その使い魔の死徒を。