魔法少女リリカルなのは 〜the cross of moon light〜【凍結】   作:たけのこの里派

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大学が始まって中々執筆が進まずかなり遅れてしまいましたが、漸く更新。
今回は軽い戦闘シーンがありますが、あまり派手な事はしません。

というか、人がバンバン死んでも大したことが無い型月世界なら兎も角、リリカル世界で主人公は原作キャラ相手に本気を出すことが出来るのでしょうか?



二話

 

 

 

 

 

 

 私立故に制服着用の学校なのに、校長に魔眼で暗示かけて制服を改造した千歳児の小学生こと、俺アークライト・ブリュンスタッドは、学校が終った夜、月村邸前に再び来ていた。

 

 フッ! まずは高町の言う翠屋に行くと思ったか? 残念だったな、それは錯覚だッ!!!

 

 あ、ごめんなさい石投げないで。

 

 いやだってアレだろう? 折角明日甘味(スウィィィィィトッ)食べに行くんだって事になったんだ。まずは当面の用事片付けてから行くだろう。

 てな感じに学校ですずかっちに『今日お前ん家のお父さんかお母さん――ていうか家主さんに話があるから行って良い?』つって、戸惑いながらもすずかは了承してくれたので来たのだ。

 

 ちなみにすずかの両親は既に他界済み。今はお姉さんの忍さんが御当主だそうで。

 俺は凄まじい罪悪感に苛まれ、すずかに謝り続けた。

 

 『アークライト・ブリュンスタッド』という存在を造り出したのは『月』という天体だが、保護、教育してくれた存在は居なかった。前世の記憶が有った頃なら兎も角。

 明確な教育を施してくれた『親』という存在が居ない俺の謝罪は、やはり軽くなるのだろう。

 

 

 今回の管理者(オーナー)に対しての挨拶でシャーレイは同行ない。複数で行ったらより警戒される可能性があるからだ。それに魔術工房の作成も必要だ。この魔術工房こそ、地脈に拘った最大の理由なのだ。

 

 それに今日友達になった月村は普通にエエ子やったから、家の人もエエ人なのかもしれへんやん。なんて思考もしてしまう。

 それを考えれば、学校に入学したのは正解だった。月村の家が混血に類じた物であることも、月村すずか自身の人と成りも知ることができた。

 

 

 「とはいえ、子供の純真さが親に比例するかが問題なんだよなぁ……特に魔術師とかは」

 

 

 頼むから話の解る人が出てきて欲しい。過去の事例でまるで話を聞かない人が多すぎたからだ。

 

 遠野の妹ちゃんはヤダなぁ。あの子愛しのお兄様(殺人貴)以外眼中に無いからな。

 それにしても、彼処はあんまり介入出来んかったな。一応妹ちゃんの父親を魔眼で暗示固めにし、反転衝動を双子の唾とかションベンや唾で解決したぐらいしか出来んかったし。

 しかもそん時にロアとか忘れてたし。思い出したのは随分後だったからな。

 まぁあのマキリの糞蟲はほぼ見敵決殺(サーチアンドデストロイ)だったが。あれほど醜悪な悪党は今ではそうは居ない。

 魔眼で魔力刻印絞り出させて自壊させて害虫駆除するのに躊躇いはなかったし、遠慮もしなかった。比較対象にするのは失礼にも程があるがな。

 

 思わず()()()()()()()()()()

 

 

 ん? もしかして今まで話の判る奴なんて、メレムか橙子、黒桐君以外居ない?

 

 

 

 『――――そんな装備で大丈夫か?』

 『大丈夫だ、問題無い』

 

 魔力ラインから魔術工房を作っているシャーレイから、ネタを降ってくる。

 

 ――――我汝に問う。右手に持つ物は何ぞや?

 

 茶菓子が入った、時間固定(魔術)で硬めた包装紙で巻かれた小箱。

 

 ――――Amen(エイメン)。

 

 

 

 「いざ……参るッ」

 

 

 そんな感じで意気込んだ俺は、某冬木の虎みたいなノリで月村邸のインターホンを押した。

 まぁ、前チラ見した遠坂邸にはインターホンすら無かったのだが。

 

 『―――はい、どちら様ですか』

 

 スピーカーから流れた声は、凛とした、しかし何処かあの遠野家に仕える双子の片割れの様な、しかしあまり感情が乗っていない女性の声だった。

 

 「月村すずかさんのクラスメイトの袴灯緋月といいます。今回はすずかさん関係なく月村の御当主に色々とお訪ねしたい事があり、お伺い致しました」

 

 あの小学校は早熟が過ぎるなと、今日の事を振り返えりながら答えた瞬間、ピーという音が鳴り、扉が開いた。

 

 「入れってか」

 

 

 そのセキュリティオートロックの利便性に驚愕しつつ、扉の奥に足を踏み入れる。

 そこは玄関なのだろう。勿論一般家庭と比べ遥かにデカイが、コレぐらいは慣れている。

 しかし暗い。暗闇とか無問題(モーマンタイ)な俺だったから良いものの、普通は殆ど見えないだろう。

 まぁ別に俺は暗闇とか大丈夫だから、迷わず足を進めたのだが、

 

 

 

 

 「へぇ」

 

 

 

 瞬間、銃声が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 暗闇の中で宣告抜きの銃撃がアークライトに襲いかかった。

 しかしそれは、アークライトに対してあまりに稚拙。

 

 「オイオイ、ゴム弾かよ」

 

 

 そして本来は避けるのではなく罠ごと睨んで吹き飛ばすのだが、残念ながらソレをやれば建物が大変な事になる。

 ここには話をしに来ただけなのだから。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 銃弾はアークライトに命中せず、アークライトの前で()()()()

 

 

 『――――ッ!?』

 

 「(成程、善人決定だな)」

 

 アークライトは普段から危険に晒されているて言っても過言ではない。幾ら聖堂教会で不干渉が決められていても、他の機関がちょっかいを出さないとは言えないのだから。事実アークライトも、死徒二十七祖の第五位『タイプ・マーキュリー(ORT)』と同じく、様々な機関がちょっかいをかけられてきては撃退している。

 

 それにアークライトに加え、アークライトによってマキリの魔術刻印を根刮ぎ手に入れ、青崎燈子特製の人形を体とした『架空元素』の間桐桜。

 彼女の英霊(サーヴァント)である騎乗兵(ライダー)、地母神メドューサ。

 真祖の原型たるアークライトの死徒、『原液持ち』である封印指定の魔術師のシャーレイ。

 魔術師にとっては宝(研究材料)の宝庫なのだ。真っ正面から襲ってくる敵など皆無に等しいが、外道な手を使ってくる相手の方がザラなのだ。

 

 銃弾どころか黒剣の嵐やガンドの豪雨は当たり前。アークライトが一人だった数世紀昔では、N2爆雷級の爆撃が来る時もあったほどだ。アークライトが軽い気持ちで足を踏み入れたのも、どんな事にも対応出来る自信があったかろこそ。

 

 千三百年の戦闘経験はそれだけ重い。

 もしアークライトが全力で逃走を図れば、プライミッツマーダーやORTすら、恐らく逃げ切れるだろう。事実過去に後者から逃げ切った事がある。

 

 対霊長最強のガイアの怪物(プライミッツ・マーダー)が日本に居る場合は話は別だが、だからといって何時も居る訳ではなかったし、というかプライミッツが居ると言うことは、アルトルージュと共に居るという意味だ。つまりアルトルージュの護衛の白騎士と黒騎士も居る。

 

 つまり死徒二十七祖が五人。そんな魔境に手を出してくる奴が、まともな手で来る訳がない。

 

 

 故にゴム弾という『不殺』で来る相手は、アークライトにとって非常に優しいのだ。

 寧ろコレぐらいならアトラクション気分。

 

 

 「しかしこう言う趣向の遊びは久し振りだなァ。ホワイトハウス以来か? ハハッ」

 

 

 ジャングルジムを見た子供の様な、そんな足取り手で月村邸を王は進む。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 「何よ……()()……」

 

 月村忍はカメラを観ながら絶句していた。

 

 クレイモア地雷が見えない壁で阻む様に打ち落とされ、銃器は睨まれるだけで分割される。

 発煙筒や催眠ガスは室内にも関わらず吹き荒れた風に吹き吹き飛ばされ、落とし穴に至ってはまるで存在しないかのように空中を歩く。

 

 

 忍も、地獄をとは言わないが、それなりに裏の世界を知ってきたつもりだ。

 月村家は、代々『夜の一族』のトップを務めてきた家。

 

 しかしカメラに映る存在は、そんな常識は通用しなかった。忍が知るそんな非常識がまるで意味を為さなかった。

 

 「義父さんから連絡が来て、さくらさんや恭也がいるからって決して楽観視してなかったとは言えないけど……」

 「アレを予想出来る者は、今のところ私のデータには存在しません」

 

 忍はチラリと横目でノエルを見る。ノエルは人間ではなく、人形なのだ。

 自動人形という、月村家の蔵に未完成なまま存在し、忍が独力で完成させた忍にとって妹のすずかと同じくらい大切な家族。

 

 しかしそんなロボットと言える非常識も、アークライトに比べれば塵も等しい。

 

 忍やノエルには、アークライトが何をしているのかまるで判らないのだ。

 

 忍は今確かに恐怖していた。

 

 それは自分が窮地に追い込まれる恐怖では無く、トラップを抜けた先で待機してくれている恋人に危険が迫る事に対して。

 

 恭也は裏でも通用する一流の剣士。それに万が一の為に自分の叔母も居てくれている。しかしそれでも、忍は心配してしまうのだ。

 

 その異質極まりない空気の中、その侵入者の場違いの様に右手に持つ茶菓子箱が存在していた。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――そしてその刃は、アークライトが落とし穴。クラスター爆弾にクレイモア地雷。ロボット式のゴム弾にスタングレネード。発煙筒に非殺傷の重火器を飄々と潜り抜けた瞬間現れた。

 

 「!?」

 

 驚愕したのは、しかしアークライトではなく刃の主。

 煌めいた、常人では視認自体が難しい小太刀による一閃を、アークライトは素手で防いだ。

 

 

 「よーやく人が出てきたらイキナリコレか。最近の歓迎の仕方はコレが通例なのか? この態度は子ギルでも首ぐらい刎ねるぞ?」

 「クッ!」

 

 刃の主は冷や汗をかきながら小太刀を翻し、片手に持ったもう一つの小太刀を素手とは思えない硬さのアークライトの腕を弾いて、反作用で飛び退いた。

 

 

 「……なるほど腕も良い。見たところ強化の魔術も掛かっていないのによくやる。精々高校生か大学生にしては中々……。だがまぁ――――」

 

 

 化物(俺)を殺す剣じゃあない。

 

 

 刃の主は、二十歳前後の黒髪に二本の小太刀を持った美男子。

 しかしその容姿にそぐわぬ殺気と猛烈な怒気が、彼を戦士と顕していた。だが彼が纏う怒気が、ただの敵に対しての物にしては余りに強いのがアークライトにとって疑問だったが、しかし答えはすぐに現れた。

 

 

 「貴様……何の目的でなのはに近付いた……ッ!!」

 「…………………は?」

 

 

 

 ただし、今日友達になったばかりのクラスメイトの名前が出たのは、流石にアークライトでも予想外だったが。

 

 「えっ? もしかして高町のご家族の方? いや、だったら何だってこんな紛争地帯も真っ青な要塞屋敷に?」

 「俺の質問に答えろッッ!!!」

 

 もし月村家を片っ端から調べ上げたのならば、目の前の彼の発言の意味を理解していたのかもしれないが、魔術師かどうかも判らないクラスメイトの家を調べ上げるのは、中途半端な常識を持つアークライトには遠慮させた。

 

 彼の名前は高町恭也。月村忍の恋人にして高町なのはの紛れもない兄。

 

 

 「……マジか。これは怪我させて帰えしたらイカンな。折角楽しみにしていたシュークリームが台無しだ」

 「飽くまで答えないか……」

 「答えるよ。あの子と友達になったのは全くの偶然だ。それとも小学校でクラスメイトと友人関係になってはいけないのか?」

 「偶然だと?」

 

 

 アークライトとしてはなのはに対し純粋な好意での友人である。そもそもすずかは混血の匂いこそ漂っていたが、悪意など無く。なのはに至っては少々早熟とは言え、裏の世界など全く関係が無い子供と判断していた。

 

 幾ら過去で、今は亡き妻のジャンヌ・ダルク捕縛の為という口実で進軍して来た、当日10万の十字軍を壊滅させ、ジャンヌを政治の道具に利用しようとした高官共を皆殺しにした事があるアークライトだが、流石に無関係な一般人の子供を殺す程外道ではない。

 

 

 「此方が求めるのは月村当主との対話と交渉。話がしたいたげだ。そこに交戦は含まれない。

 故に貴様には用は無いよ、高町兄?」

 「高町恭也だ。そんな言い分を信じられると?」

 「ならイキナリ切りつけられて正当防衛以外どうすれば良い?」

 「……」

 「黙ってたら判んねェよ」

 「――――――ッ!!?」

 

 

 気が付いた瞬間、恭也はアークライトに顔面を掴まれ、奥のトラップ地獄(アトラクション)の扉(ゴール)に向かって、投げつけられる。

 

 

 物凄い速度で。

 

 

 「ぐ―――――ァあ――――――ッッ!?」

 

 そのままぶつかれば、扉をブチ破り奥の部屋の壁に叩き付けられ、怪我どころか壁の染みになるのだが、勿論アークライトは友人の兄を壁の染みと言う愉快な死体(オブジェ)するのは御免被る。

 

 だからアークライトは王族(ブリュンスタッド)の力を使う。

 

 

 ――――空想具現化(マーブル・ファンタズム)。

 

 

 自身の意思で世界に干渉させることによって、これを思い描いた通りに変貌させる世界干渉能力。簡易的な『異界創造』。

 真祖の中でも王族のみ(一人例外)が使える、王族(ブリュンスタッド)が王族たる最大の理由であり、資格であるチカラ。

 精霊を除く、この世で現存する個体でコレを使えるのはアークライトと、亡き朱い月を除いて三名。

 

 真祖の処刑人。真祖の姫君、アルクェイド・ブリュンスタッド。

 死徒二十七祖第九位。真祖と死徒の混血。黒血の月蝕姫。死徒の姫君。アルトルージュ・ブリュンスタッド。

 死徒二十七祖第二十一位。海魔スミレのみ。

 

 ただし、コレには欠点が有り、変貌させられるのはあくまで自然のみで、自然から独立した存在(人間)には直接干渉できないという点である。が、たったそれだけ。利便性は非常に高い。

 

 

 

 

 

 

 さて問題だ。

 世界を、地上の大部分を占める自然とは、何だ?

 

 

 

 

 

 

 ――――そう、『空気』だ。

 

 

 先程銃弾を防いだのは、空気を使って超臨界流体を具現化した物。落とし穴を歩いていたのは、大気中のマナを密集し固定させる事で空中に足場を作った。

 

 そして今、アークライトは空気を具現化し、風の大砲で扉をブチ破り窒素のクッションを恭也の着弾点に具現化する。

 

 これで人を潰れたトマトにする威力が、精々常人に体当たりされた程度で済む。

 

  恭也が扉の向こうに入って、風のクッションに命中したのを確認すると、一跳びで少し離れた扉を潜り、部屋入る。

 

 

 

 「さてと、漸くゴールか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 オリンピックのフルマラソンで一位を取ったみたいなフザけた挙動で部屋に入った俺は、率直に疑問を投げ掛ける。

 

 「さて、ここがゴールかな? そしてアンタがここの当主か?」

 「……ッ!!」

 

 リビングの様な部屋に入ると、先程吹っ飛んできた高町兄を懐抱しているすずかをそのまま成長させた感じの女性と、その二人を庇う様に立つメイドさんがいた。あの女性が月村忍か、すずかも将来あんな美人になると思うと、この世界の美形がかなり多いと実感する。

 にしても随分堪えてるな高町恭也君。なんで………あぁ、ぶつかった時のダメージは無いけど、カッ飛ばされた時の衝撃は緩和出来なかった訳か。

 

 うん、ごめんなのは。

 お前の兄ちゃん、全身打撲ぐらいしてるかも知れない。

 

 「にしても何だ……俺が悪人みたいな構図だな」

 

 いや、間違いなく俺は悪くない。菓子箱持ってきた見た目小学生に、あんなトラップ仕掛けた上、イキナリ斬り付けられたのだ。全身打撲ぐらい勘弁してくれ。

 

 俺は悪くない。だって俺は悪くないんだから。

 

 

 「侵入者は悪いと思うわよ? 侵入者さん」

 

 

 ナチュラルに思考に入ってきた声と共に放たれる拳を屈む事で避け、そのまま背後の存在から距離をとる。

 

 殴り掛かった女性は……『ピンク』の髪をした二十歳ぐらいで、スタイルの良い女性だった。

 

 ハッ! 高々ピンク髪程度、小萌先生という未確認宇宙外生命体を担任に持つ今の俺が、動揺すると思ったか!

 

 「さくらさん!」

 

 いや、別に殺しても良いなら腕を振るって終わりなのだが、それは戦場だけ。他所様の家で血溜まり作るとかイカンとですたい。

 て言うか明らかに月村さんの人だと思うので論外だ。

 

 「チャイム鳴らして解錠された門から入った子供を侵入者扱いとはなァ。随分鬼畜な世の中になったモンで。いつの間にか理不尽となった日本の常識に殺意を覚えた、まる」

 「子供は侵入者用の迎撃のトラップをあんな理不尽な方法で突破しないと思うけど?」

 「コッチは話がしたいだけなんだけど?」

 「よくぬけぬけと!!」

 

 さくらさんと呼ばれた女性が、まるで獣の様に俺に飛び掛かり、爪を振るってくる。確かに膂力は人間と比べるとあり得ないほど高い。が、如何せん俺にしてみれば『死徒程度の膂力しか無い』という悲しい評価になってしまうのだが……って、

 

 

 「何だその犬耳はッ!!?」

 「アラ? 人狼のハーフを見るのは初めてかしら!!」

 「イッちゃん印象深かった混血がトンデモ妹キャラだったんで、獣系は新鮮なんだよ」

 

 犬耳の女性の突き出した腕の手首を掴み、女性の足を自分の足で掬い上げながら腕の関節を折るようにして地面に叩き付ける。

 

 

 「逆腕絡み……だったか?」

 「ガはッ!?」

 「体のスペックに頼りすぎな人は、搦め手で来られたら大変だぞ?」

 「貴様!」

 「援護します」

 

 

 ビフォー■フター風に解説してたら、高町兄が復活。腕からブレード付けたメイドさんを引き連れてきた。

 更に女性と同時に攻撃を仕掛けてきて面倒臭くなったので、鎖を具現化。三人を拘束する。

 

 

 「なっ!?」

 「一体、何処から――!?」

 

 

 空想具現化は本当に便利だ。

 風による窒素装甲(オフェンスアーマー)や超電磁砲(レールガン)の再現とかマジ感動した。

 

 「ノエル! さくらさん! 恭也!!」

 「これでそちらの戦力は封じた訳だけど、どうする?」

 「ッ!」

 

 彼女の怒りで目が赤く染まる。フム、なるほどアレが月村の特性か。殆どビジュアルが死徒か真祖と同じ。まぁ戦力的には月とスッポンだが。

 

 「その程度の魔眼の暗示なら俺には効かんぞ? 俺に対抗したけりゃ『バロール』でも持ってこいや」

 「!? 此方の手の内はバレバレって訳? 一体何処のハンターよ貴方……!!」

 

 ハンター? この世界にもあんだな。聖堂教会や魔術協会の痕跡は無かった筈だが……まぁ良い。

 

 「つーかよ、俺としては怒ってもイイと思ってるんだ。いきなりのトラップ地獄に剣士、果てはわんわんおわんわんおだ。……後の口上はさっき言ったよな?」

 「まるで貴方が敵じゃないみたいな言い様ね。すずかに近付いておいて、よく言う……」

 「だから偶然だと言っているだろうが。そもそも何であんなに警戒されてたのが激しく気になるんだが……ただの問答では誤解を解くのは難しいみたいだな。

 ――――だから少々強引にでも話をさせてもらう」

 「…………?」

 「人生は『重要な選択肢の連続』って見方も有ることだし、早速選択して貰おう」

 

 後になって忍さんに聞いた話だが、その時の俺の眼は普段の赤眼では無く、代わりに、

 

 「――――さてここで選択肢だ。三人を解放して俺の持ってきた茶菓子頬張りながら話をを聞くのか、このまま俺の話を聞かずにこの三人の首が飛ぶのか――――」

 「――――ッ」

 

 

 思わず見惚れてしまう様な、呑み込まれて仕舞うような、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「五秒で決めろ」

 

 

 虹色の万華鏡の様だったそうだ。

 

 

 

 




11/29修正。
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