わたしの名前は白。
というらしい。
らしい、というのも、私は兵器として生み出され、そう育てられたから。
顔面が白いからそう名付けた博士のネーミングセンスを理解できないのだ。
お父さんはそうやって呼んでくれないから、少し寂しいけど。
さて、そのノーセンスの博士に屋敷に連れられてから数日。
習っている言葉の復習の為に、日記をつけ始めた。
今日からよろしくね、ノートさん。
○月○日 雨
常識が薄いはずのわたしでも分かる奇人である博士のキャラが薄く感じるほど、この家には変人しか居ない。
今日だって、メイドさんの姿をした変態(名前は無いらしい)に襲われかけたのだ。
部屋に1人で居たら、唐突に大きな音と共にクローゼットが開いた。
驚いてそちらの方を向くと、下着を履かないままスカートをたくし上げ、それを見せつける変態が1人。
その時始めて知ったのだがそのメイドさんは男だったようだ。
そそり勃つ棒を嫌という程見せつけられたので分かってしまった。
お父さんに拾われる以前、わたしを購入したらしいペドフィリアにも同じものを見せつけられた。
その時はわたしも無知で、その汚ったないモノを触ってしまった。
今回はそんなヘマをすることは無い。
一瞬困惑したが、歩み寄って、モノを蹴り上げた。
思ったよりわたしは動揺していたようで、つい裸足で蹴り上げてしまった。
失敗だ、今後こういう輩が来たら気をつけよう。
わたしの知識では、男のブツに強い衝撃を与えると悶絶するはずなのだが、そのメイドは逆に恍惚とした表情になり感謝の言葉を大声で叫んでいた。
非常に度し難い。
その後、声を聞いたお父さんが駆けつけ、変態は頚動脈を締められて眠らされていた。
○月☆日 雨
今日も雨。
変態は今日も変態だ。
いっそ清々しいほどに。
今日は博士に勉強を教えてもらっていたのだが、気配に気づいて振り返ると誰もおらず、向き直ったら博士の背後に変態がいた。
博士は全く気づいていなく、わたしが背後を眺めているのを不思議そうにしていたのだが、変態によって状況を思い知らされることになる。
唐突に博士の胸から下半身に掛けてを怪しい手つきで触り始めたのだ。
それに博士が艶っぽい声を出したのがいけなかった。
出た声を恥ずかしそうにする博士を見て、下卑たらしい笑みを浮かべた変態はさらにボディタッチを激しくし始めたのだ。
当然、そんな声を聴いて助手が駆けつけないはずがなくその後新薬の実験台にさせられていました。
一通り実験が終わった後、研究室でそのまま盛り出したのは見なかったことにしよう。
心にしまっておくのです。
…今日は念のため、お父さんの所で寝よう。
別にお父さんのことが好きなわけでは無いが、変態が来そうだし、博士のところだとなんか気不味いから、消去法で。
○月×日 雨
やっぱり博士の助手は変態だ。
ご飯の時間だから、助手の部屋まで呼びに行ったのだが返事がない。
扉に手をかけてみると鍵が開いていたので、中を覗いてみることに。
蝶番が軋む音が響き、扉は開く。
そこには暗闇の中、誰かに押さえつけられ涙目になって苦しそうにしている博士が壁に映写されており、ヘッドホンをつけた助手がそれを見てうっとりと、恍惚とした表情でいたのだ。
とても気持ち悪い。
つい本来の目的を忘れ、扉を勢いよく閉めてしまった。
もう、あいつはご飯要らないよね…
因みに食事は変態メイドが作っている。
お父さんや博士の料理しか食べたことがないのでよくわからないが、とても美味しいのだと思う。
お父さんとの約束で人の肉は食べてはいけないから、偶に物足りなくなってしまうこともあるのだが、そういう時は変態メイドがステーキをたっぷり焼いてくれる。
案外優しい。変態のくせに。
この日の夜、博士を狙った刺客が来たのだが。
偶然わたしが博士の部屋で寝ていたので事なきを得た。
別に寝る前に怖い話を聞かされて、1人で寝れなかったからとか、そういうので博士と一緒に寝てたわけでは無い。
寝惚けていたので、変態が夜這いに来たのかと勘違いしてつい股間を蹴り上げてしまった。
その悲鳴を聞いて漸く我が家の変態達では無いことがわかった。
その後、刺客は助手によって溶かされていた。
物理的に。
そんな中でも博士はスヤスヤと寝ていたので、凄いなと思った。
少女はペンを机に置き、日記帳をパタンと閉じる。
昨日の出来事は書き終えた。
さて、今日はどんな事が起きるのだろう。
ウキウキとした足取りで、朝食を食べに食堂へと向かうのだった。
今日も、良い日でありますように。