「そっ、そんなこと聞いたこともないわ!どうせ私達を混乱させるハッタリでしょう!?」
「お前たち程度の者にそんな事をしてどうするというのだ。
そもそも疑問に思ったことは無いのか?
どうして天使が増えないのか。
どうして完全な敵である堕天使や悪魔に攻撃を仕掛けてこないのか。」
「··········ッ!」
今まで一度も疑問に思ったことが無かったことでも、そこまで言われれば自然と考えてしまう。
考えた結果、どこにも矛盾はないと思えてしまう。
「で、でも証拠なんてないわ!」
「証拠ならばソコにあるさ。
今禁手に覚醒した騎士。ソイツの禁手は聖魔の融合·····。
これは聖書で魔を司る四大魔王が死んだと同時に、聖を司る神が死んだ事で、その両方のバランスが崩れたが故に起きたものだ。
そら、いい証拠だろう?」
その言葉を否定する材料は、無い。
知識が足りず、経験も無い彼女等ではそれが嘘か本当かの区別がつかない。つけられない。
「仮に!仮にそれが本当だとしても何故貴族である私も知らないのかしら!?」
「·····そんなこともわからんのか?
例えば会社の社長が自分の家族親戚だからといって機密情報を教えるわけがないだろう。
そもそもこの事は三大勢力の上層部で隠蔽することが決まっていたのだからな。
それはそうと、良いのか?こんなに話し込んでも。魔法陣が起動するまであと10分程しかないぞ?」
「ッ、皆まずはコカビエルを倒すわよ!」
例え現状の危険さに気付いたとしても彼女等では油断の無いコカビエルを倒す事は不可能に近い。
それこそ御都合主義に覚醒を繰り返すか、代わりに倒してくれる者が現れるかだけである。
しかし今のコカビエルは死ぬ為にここにいると言っても過言ではない。
友の為、種族の為、そして勢力の為である。
ならばどんな最後も受け入れようと、覚悟を決めてここに来ていた。
しかし、この様な無様な無能に殺されるのは戦争を生き残った幹部としてのプライドが許せなかった。
せめて、せめて彼女等が貴族として、領主としての責務を全うしていればどれほど弱くても殺されてやれただろう。
しかし、なんだ奴らは。
戦闘中に乳繰り合い、敵の言葉を間に受けて隙をさらし、普段では侵入してきたはぐれ悪魔の討伐すら大公から連絡が来なければ行わない。
こんな者に殺されるなどありえない。
それならばこの場で殺してシトリーの方に殺されてやろう。
そうコカビエルが決めた時、結界内の空間が塗り潰された。
「くぁ〜ぁぅ、ちょっとだけ寝すぎたな。まあ間に合ったしいいかな。
えー、あんたがコカビエルでいいんだよな?」
「·····そうだ。貴様、何者だ?
空間を塗り潰すことなど出来るものは限られている。俺が知っている者の中にお前はいないぞ。霧が出ていなかったから違うとは思うが
「うーん、まあ言ってもいいかな!
俺は名前が無いからナナシ!