十一月三十日。アテネの誕生日。
起床したアテネが腹を空かして食堂に来ると、クラッカーが鳴った。
「きゃ!?」
ビックリするアテネ。
「アーたん、誕生日おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
「みんな……、ありがとう」
「じゃ、ロウソクに火点けますね」
ハヤテがロウソクに火を点けようとすると、マックシーバーが鳴った。
「こちら綾崎!」
マックシーバーは怪獣が出現したことを伝えた。
「アーたん、ごめん。仕事出来ちゃった。誕生日会はまた今度ね」
ハヤテは駆け出して行った。
怪獣出現ポイントに駆け付けたハヤテとワタル。
「頼むぞ、ハヤテ」
「はい!」
ハヤテは怪獣に向かって走って行く。
逃げ惑う人々の中に
「伊澄さん!?」
「ハヤテ様?」
「何してるんですか!? 早く逃げて下さい!」
「そうしたいんですけど、この塀の向こうから人の声がするんです」
「じゃあ見てきます」
「あの怪獣、何て言うんですか?」
「ガロンです!」
ハヤテはそう答えると、塀の中へ移動した。
そこでは瓦礫に埋もれた
ハヤテは瓦礫を
やっとの思いで瓦礫を退かすことに成功したハヤテは救急車を呼び、れおと共にアスカを病院まで連れて行った。
手術室の前で落ち込んでいるれお。
「僕はMACの綾崎って言うんだけど、君は確かれおくんでしたよね?」
「はい、山本 れおです」
「れおくんたちはどうしてあんな所に?」
「今日は、アスカの誕生日だったんです。それで、お父さんとご飯を食べに行くことになってて、そしたら怪獣が」
「そうでしたか」
ハヤテの中のレオは思い出す。故郷のL77星で死に別れた弟、アストラのことを。
「実は、僕にも弟がいたんです。でも、凶悪な怪獣のせいで……」
「え、綾崎さんも?」
「あの怪獣はきっと僕が倒してあげます」
ハヤテはそう答えると、駆け出した。
病院の入り口にワタルが立っている。
「隊長……」
「馬鹿やろう! どうして教えなかったんだ! 今のお前の役目は、ウルトラマンレオに変身して怪獣を倒すことじゃないのか?」
「ですが、子どもたちが……」
「子ども達は俺に任せるべきだったな。俺はMACの隊長としては、レオには頼りたくはない。だが、同じウルトラ戦士としては、お前だけを信頼しているんだ。分かったらあの怪獣を倒しに行け」
「……はい!」
ハヤテは病院を出た。
近くで怪獣が暴れている。
ハヤテは怪獣の下へ向かうと、レオに変身した。
怪獣は弱く、レオの敵ではなかった。
怪獣を圧倒するレオ。
隊員たちにレオを援護するよう指示を出すワタル。
しかし突如大きな地震が起こり、ガロンとそっくりの怪獣が現れる。
「ワタルくん、あの怪獣、兄弟ね」
それは伊澄の予想通りガロンの弟リットルであった。
病院を襲うリットル。
病院を守るレオ。
「止めろレオ、先にガロンを倒すんだ」
レオは兄弟怪獣のタッグ攻撃になす術なし。
腕を負傷するレオ。
ウルトラ念力で怪獣の動きを封じるワタル。
怪獣は退散しレオは助かるがワタルはかなりのダメージを受ける。
炎に包まれるアストラを思い出すハヤテ。
そこにワタルが現れる。
「今病院へ行ってきた。アスカはあの小さな体で必死に戦っていたよ。お前はあの兄弟の中に自分を見たんだろ。しかし、そのために本来のお前を見失ってしまった。お前と弟のアストラの間にどんなことがあったか俺は知らない。だが、いつまでも昔の思い出に捕らわれていてはいけない」
「僕は──」
「言うな!」
「僕は弟を助けることができなかったんです」
「ハヤテ、お前たち兄弟を引き裂いた宇宙人や怪獣を憎いと思うか。ハヤテ、見てみろ。この平和な地球が奴らが現れるたびに荒らされていくんだ。そして今度こそ、我々の第二の故郷も終わりを迎えることになるかも知れん。俺の力はもう彼らには通用しない。MACは今や全滅寸前だ。しかしMACは全滅を覚悟で愛する地球を守るため戦おうとしている」
「隊長。僕も地球を愛している気持ちは変わりません」
そこへ怪獣出現の報が。
現場へ向かう二人。
兄弟で街を破壊する怪獣。
レオに変身するハヤテ。
しかし、腕を負傷したレオは兄弟怪獣のタッグ攻撃に手も足も出ない。
絶体絶命のレオ。
そのとき空から赤い玉が飛来した。
その中から現れたのは、レオの弟アストラだった。
アストラは生きていたのだ。
二対二になったレオとアストラは優勢に。
最後は兄弟力を合わせた光線、ウルトラダブルフラッシャーでガロン、リットルに止めを刺した。
手を取り合って再開を喜ぶレオとアストラ。
アストラは宇宙に帰って行く。
レオの弟アストラはどうして生きていたのか。どこから来たのか。そしてまたどこへ行くのか。それは誰も知らない。