残穢ー触れてはいけない敵   作:手打うどんさん

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2話

 都内某倉庫。其処に隠れるようにして敵連合と弔の集めたチンピラたちが集結していた。

 彼らの目的はただ1つである。

 それは、ヒーローの本丸雄英高校への襲撃。

 個性を持て余して暴れたい輩や、はたまた別の考えを持つ輩。そんな有象無象のチンピラたちも、今日ばかりは一様に緊張している。

 彼らの目の前に立つ4人の敵。

 

 弔に黒霧に脳無に残穢。

 4人から放たれる圧倒的な悪意に、一介のチンピラに過ぎない彼らは畏怖していた。

 そんな彼らの内心を見透かしている弔は、彼らが有象無象で駒にすらならない使い捨ての道具だと理解した上で声を掛ける。

 残穢との出会いで成長した弔の放つ言葉は、彼らの心にも響くモノがあった。

 

 「俺たちは今から世の中に、正義の脆弱さを思い知らせる。何も遠慮する事はない。自らの力を最大限に使い必ずや今を壊す」

 

 そう纏め上げる弔。

 特別な確固たる意志がある訳でもないチンピラたちでさえ、弔の熱弁に沸き立つ。残穢や黒霧はそんな彼らを見て満足気である。

 自分たちが何かを為すんだ。

 そんな気概が感じられた。

 

 「雄英高校を襲撃する。ゲートを開けろ」

 「分かりました」

 

 黒霧たちの方に向き直るとそう命令する。

 その命令に、黒霧は静かに従った。

 後の歴史に於いて、重要な転換点となるそれは静かにそして確かな意志と共に開始された。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 「この授業では心機一転。人命の為に個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つける為にあるのではない。助ける為にあるのだとどうか心得て帰って下さいな」

 

 雄英高校の敷地内にある演習場。

 正式名称の頭文字でUSJ。

 一見巫山戯ているように見えるが、大真面目であり現在進行形で其処で授業が行われる。

 今日この時間には、ヒーロー科1年A組がスペースヒーロー【13号】と担任の【相澤消太】監督の下で救助訓練を行おうとしていた。

 13号の有難いご高説に、生徒たちが感動して拍手をする者も現れたその瞬間。

 

 USJ内に黒い靄が出現した。

 

 真っ先に気がついたのは相澤。

 その黒い靄の出現を訝しみ、中から圧倒的な悪意と共にぞろぞろ人が現れた時。

 彼は普段出さない大声を張り上げた。

 

 「一塊になって動くな!13号、生徒を守れ」

 

 突如として演習場内に現れた者たち。

 この場に於いて危機的な状況を正しく把握したのは、プロヒーローのみである。

 生徒たちはまだ理解出来ていない。

 そんな中で、生徒の1人【切島鋭児郎】が現れた者たちを呑気に見詰めながら呟く。

 

 「何だアイツら!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

 「動くな!アレは敵だ」

 

 切島の言葉を否定し被せるように、相澤は大きな声で生徒たちの意識を変えさせる。

 此処に来て生徒たちも理解し始めた。

 敵が襲撃して来たのだと。

 黒霧は、演習場内に居るプロヒーローたちを見渡すと盗んだカリキュラムと違い、オールマイトがこの場に居ないと気がついた。

 黒霧の呟きに相澤は歯噛みする。

 この前の侵入者騒動の黒幕が来たのだと。

 

 「何だオールマイト居ないのか。……まあ良い。子供を殺せば向こうから来るだろ」

 

 待つ事も勝つ為には必要だ。と呟く弔から放たれる圧倒的な悪意は、ヒーローの卵とは言えまだ子供の生徒たちには絶望を感じさせ死を間近に実感させるだけの迫力が有った。

 正しく切迫した状況。

 生徒たち全員が立ち竦む中で相澤が檄を飛ばす。

 生徒たちを13号に任せ、集団で固まる敵たちを捕縛すべく単身で乗り込む。

 

 多対一に於ける正面戦闘は、個性を消す個性を持つイレイザーヘッドには不得手。

 しかし、それは中途半端に彼を知る者の考え。

 イレイザーヘッドは合理的な人間。そう考えて弱点を突きに来る敵を逆に返り討ちに出来るべくその手の対策は出来ているのだ。

 そんなイレイザーヘッドがチンピラたちを軽々と倒して行く様を弔は忌々しそうに見る。

 その間にも、生徒たちは避難を開始した。

 

 だが、イレイザーヘッドの一瞬の瞬きの隙に黒霧が生徒たちの妨害に加わる。

 生徒たちは思わず立ち止まる。

 

 「初めまして我々は敵連合。僭越ながらこの度ヒーローの巣窟である雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして」

 

 その衝撃的な言葉は、生徒たちを驚愕させる。

 その間に、黒霧と13号が臨戦態勢に入る中で勇敢な生徒2人切島に【爆豪勝己】が黒霧を攻撃した。

 ユラめきながら攻撃を回避した黒霧。

 

 「その前にやられる事は考えてなかったか!?」

 「危ない危ない……生徒と言えど優秀な金の卵」

 

 威勢の良い生徒たちにあくまでも冷静な黒霧。

 散らして嬲り殺す。と呟きながら、彼は自らの仕事を忠実で確実に全うした。

 黒い靄を生徒たちを包み込む様に全体に広げて殆どの生徒たちをUSJの各エリアに飛ばす。

 残された一部の生徒と13号。

 その中で、13号がある決断を下す。それはクラス委員長である【飯田天哉】にUSJの外に出て学校にこの事態を伝えて貰うというモノ。

 それを黒霧が嘲笑う。

 

 「手段がないとは言え、敵前で策を語る阿呆が居ますか。随分と笑わせてくれる」

 「バレても問題ないから語ったんでしょうが!」

 

 そう豪語する13号だが、彼の目論見は外れた。

 彼の個性【ブラックホール】で黒霧を吸い込もうとしたが、逆に背後にワープゲートを設置され自分で自分をチリにしてしまう。

 呆然とする飯田に冷静な者が檄を飛ばす。

 此処に来て覚悟を決めた飯田は、個性を最大限に使い走る。途中の黒霧による妨害。

 それから【障子目蔵】が飯田を庇う。

 

 外に脱出出来た飯田。

 しかし、依然敵の脅威は過ぎ去っていない。

 飛ばされた生徒たちは、各々が当然初めての実戦を前に何とか奮闘している。

 USJの混乱は治まりそうにない。

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