ライダー世界が異聞帯になったら   作:鮫田鎮元斎

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ふと思い浮かんだネタ。

他の型月作品は知らないからその辺の設定は反映できない。


Lostbelt No.■ 超常■■■■ 風都 『地球に選ばれた家族』
プロローグ1


 僕ほど家族を愛している人間はいない。

 

 ビルが溶け、人が消える。そんな不思議な街に住む一家、それが僕の家族だ。

 

 

 

 父さんは恐怖の帝王みたいに怖いとこはあるけど、そこは普通の家庭と同じかな。まさに威厳のある父親って感じ。

 

 母さんは家出した。“事業”に関して父さんと喧嘩したみたいだ。正直あんまり覚えてない。

 

 姉さんと妹はすごく仲が悪い。僕が止めなきゃ延々と喧嘩し続ける。“メモリ”を使いそうなときは本気で怒るけどね。

 

 そして弟もいたけど、幼くして死んでしまった。でも、実質生きてはいるけど。

 

 

 

 

 

 

 だがすべて喪ってしまった。

 

 僕が海外でフィールドワークをしているうちに、“仮面ライダー”とかいう奴によって殺されてしまった。

 

 大切なものを奪ったあいつを許す気はない。でも復讐をしようと思うほど僕は愚かではない。

 

 今度は“家族”を護り抜く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たとえ――他の人類を見殺しにしてでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

……

 

 

『――聞いてるの? あなたさっきから上の空のようだったけど』

「ああ、ごめんよオフェリア。どうも異聞帯(ロストベルト)にいると感傷に浸っちゃって」

 

 通信機越しだが、呆れたため息が漏れた。

 

「もう僕が好きだったスイーツ屋さんはない、って考えるだけで落ち込むよ」

『ははっ! 違いねえ。俺の異聞帯も殺しはあるが――どうも味気なくて仕方ない』

 

 賛同したように軽口を叩くベリルだったが、その発言は場の空気を少しだけ悪くしていた。

 

『……随分余裕があるみたいだな、リュウト。君はレイシフト適正と戦闘能力だけでAチームに配属されたんだ。もう少し魔術に関する勉強をしないと』

「あー、どうも僕はそう言ったオカルトチックなことが苦手でね。根源? だっけ、正直意味不明でやる気が起きない」

 

 全員から白い眼を向けられ、彼は肩をすくめる。

 

「文句ならマリスビリーに言ってくれよ。僕は彼から直々にスカウトされたんだからさ」

『……ここにいる我々の中で未知数の可能性を秘めているのはリュウトの他にはいないだろう。そろそろ、君の異聞帯の報告も聞きたいものだが』

 

 先程同様に注目が集まる。

 

 キリシュタリアの評価はそのまま期待に変わっている。

 

「ま、報告してなかったのはすることが無かったからだよ。みんなと違って僕の担当は“最も新しい剪定事象”だから現代とあまり相違がないし争いもない。幸か不幸か、王は僕に近しい人物だからすんなりと認めてもらった。まあ、敵がいないわけではないけど」

 

 穏やかな笑みを浮かべていたリュウトの表情が消えた。

 

 ぞっとするくらい何もなかった。

 

『うらやましいな。僕と違って君は運も持ち合わせているみたいだ』

 

 過酷な異聞帯を担当するカドックは自虐的に笑う。その目にはいつも以上に濃い隈ができていた。

 

『無理は禁物よ、カドック。たまには休まないと、体を壊すわよ?』

「それには同感。折角美人のサーヴァントを召喚したんだから楽しまないと」

 

 オフェリアに睨まれている。彼は気にせずに続けた。

 

「――そう睨まないでくれ。僕も久しぶりに()()と話ができて舞い上がっているんだからさ」

 

 彼女はバツが悪そうに顔を背けた。

 

『ふん……僕はそうは思っていないけどな』

 

 カドックはそう吐き捨てて通信を切った。

 

『私も玉座に戻らせてもらうわ――リュウト、例の物は用意できているの?』

 

 芥 ヒナコは読んでいた本越しに問いかけた。

 

「うん。後で届けるよ」

『分かった。早く届けて。こちらの王もそろそろしびれを切らす頃合いだわ』

 

 彼女も通信を切る。

 

『“ガイアメモリ”――だッけか? 簡易的な魔術礼装が流通するなんざ世も末だな』

「欲しければ格安で販売するけど」

『いや、触らぬ神に祟りなし、だ。生憎と日々の闘争を楽しむので精いっぱいだからな』

 

 飄々とした態度を崩さぬまま、ベリルも通信を切った。

 

『どうやらお開きのようね。私も退散させて――ああ、思い出したわ。リュウト、私の異聞帯にある“四角”について調査を頼めるかしら?』

「いいよ。後で妹に頼んでおく」

 

 通信が切れる。

 

『皮肉だな。最も魔術に疎いお前が最も魔術師たちの悲願に近いところにいる』

「嫌味かい? よければこっちに来てくれてもいいんだよ」

『……遠慮しておく』

 

 沈黙を保ったままだったデイビットもまた、最低限の発言をして持ち場に戻ったようだ。

 

「……ビルが溶け、人が消える。その点で言えば僕の異聞帯は油断ならないけどね」

 

 そしてリュウトも通信を切り、クリプター達の会議から抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

「――会議とやらは終わったのかね?」

「うん。みんな元気そうで嬉しかったよ」

 

 異聞帯の王が僕に語りかける。

 

 懐かしいようで、懐かしくない。彼は僕の父親だけど、父親ではない。

 

 この世界での僕は、生まれる前に死んでいるのだから。

 

「それは何よりだ。君の交友関係は我が“ミュージアム”の未来に関わるからね」

 

 僕の居場所はここにない。

 

 でも家族であることには変わりない。

 

「わかってるよ、父さん」

「父さん、か。なんだか妙な気分だね。この世に生まれてもいなかった息子が、こうして存在しているのは」

 

 彼は笑いながら廊下の奥に消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 僕の名は園咲 リュウト。

 

 汎人類史では何もできなかった。

 

 だからこそ――異聞帯では家族を護る。もうあの日の後悔は味わいたくないから。

 

 

 

\DISASTER/

 

 

 

 メモリを起動させ、ベルトに装填した。

 

 この体にはあらゆる災害――地震、噴火、地割れ、津波、大火災、嵐、そのすべてが宿っている。僕の体には地球が持つ“災害の記憶”が取り込まれているのだから。

 

 逃走したカルデアの残党は近いうちに姿を現すはずだ。

 

 来るなら来ればいい――全部返り討ちにしてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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異聞深度 E- A.D.2010

 

Lostbelt No.■ 超常■■■■ 風都

 

『地球に選ばれた家族』

 

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・キャラクター紹介

『園咲 琉人(リュウト)

サーヴァント:不明
担当:“ガイアインパクト”が成功し地球の記憶と繋がった人類の暮らす日本


 誰よりも家族を愛する男を自称する青年。レイシフト適正と戦闘能力以外は一般人と何ら変わらず、魔術の魔の字も知らない。“ミュージアム”と呼ばれる組織とかかわりがある。



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