けものフレンズR  Returning a favor   作:社畜狂戦士

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ユキヒョウとオコジョ  2

…ごこん。

 

地鳴りのように響く、何か大きな物が動く音。

 

 

しゅ、う……

 

次いで、閉じ込められていた何かが抜け出すような音が漏れ。

 

 

 

……目の前の岩肌が、なめらかにスライドしていく。

 

 

 

「………へ?」

 

言葉にしようとして、言葉にならなかったのか。

 

ともえの口から気の抜けた声が漏れ。

イエイヌはぽかんと口を開けてたまま固まっている。

 

 

 

岩肌にしか見えなかったそこに隠されていた、機械仕掛けの通路。

 

ラッキービーストとユキヒョウの持っていた四角。

その二つが揃って初めて姿を現す、パークに眠る秘密の一部。

 

 

 

「の?の?どうじゃあ?すごいじゃろこれ♪」

 

 

その反応を待っていた、とばかりにはしゃぐユキヒョウ。

 

「…本当は皆に見せたいんじゃがのう」

「機密事項ダカラ、ダメダヨ」

「……の?ラッキーはつれぬのー」

 

ラッキービーストに釘を刺され、すねたような口調でおどけて見せる。

 

 

「さ、この奥じゃ。休むにも話すにも都合がよいしの」

 

ちらり。

オコジョの方へ視線を送り。

 

 

「秘密というのは、理由があるから隠しておるのじゃ。

…ちと、早いかもしれぬが。こうなったからにはぬしにも動いてもらうぞ?オコジョよ」

「……はいっ!!」

「よい返事じゃ♪」

 

 

迷いなく、目を輝かせるオコジョにユキヒョウが笑う。

 

ゆきやまのふもと…じゃんぐるにいたゴリラやイリエワニ、ヒョウ達と似た間柄。

でも、ふたりの間の空気と距離感は、ゴリラ達とは違っていて。

 

長という役割を、ともえは少しだけ教えてもらったように感じた。

 

 

「誘導灯ノ点灯ヲ確認。ジャア、ツイテキテネ」

 

 

ひょい、と一番最初に動き出したのはラッキービースト。

 

先導に警戒する素振りもなく、するりと中へ入っていくユキヒョウ。

オコジョも遅れないように後を追い、ともえ達もおそるおそる後に続く。

 

 

…岩の上とも、さっきまで歩いていた半ば凍った雪の上とも違う、靴底の感触。

平らな……自然に出来た物とはまったく違う、無機質な平坦さ。

 

 

「やっぱり…慣れませんわ、ここ」

「歩きやすいんじゃがのー。…勝手が違いすぎるのも困りものじゃのう」

 

 

進行方向を示すように並ぶオレンジ色の光が、暗い通路の足元だけを照らし。

何気なく触れた壁はざらざらとした、土とも石とも違う質感。

 

 

ぼんやりと、闇に慣れたきた目がひろう通路の全容。

 

ごにんで歩いて、まだまだ余裕のある広さ。

みんなが荷物を抱えていたとしてもおそらく普通に通れるだろう、目的を持った機能性。

 

この通路が自然に出来たものでないと主張する、壁に埋め込まれた金属の枠組み。

それなりの距離の先、ぽっかりと口を開けている通路の出口がなんとか視認できる。

 

 

…暗闇の中、規則的にずらりと並ぶ金属の枠とオレンジの誘導灯。

そこを進む自分達は、まるで巨大な何かの喉を通り抜けようとしているようで。

 

理由も分からない不気味さが、ともえの口数を減らす。

 

 

 

―――その光景が、記憶のどこかを刺激するのか。

 

 

視界と脳裏にちらつくノイズ。

白昼夢とも幻覚ともつかない、正体不明の影が揺れる。

 

 

 

…分からない。

思い出せない。

 

でも、知っている。

あたしは、きっと……

 

 

 

「………ともえさん?」

「……う、ううん。なんでも、ないよ…」

 

 

 

……ここに、来たことがある。

 

 

 

気にかけてくれたイエイヌに、なんとか返事をして。

 

 

きゅっと。

何気ない素振りでイエイヌが手を取った。

 

 

「…もう少しですから。がんばりましょ、ともえさん」

 

 

つないだ手から伝わる体温。

不思議なほどに不安が薄らいでいく。

 

それ以上の追求をしないイエイヌの気遣いが、今のともえには嬉しくて。

 

 

「……うんっ」

 

 

出来るだけ元気な声で、ともえはそう返事をした。

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