Fate/Masquerade 「偽聖杯戦争」で仮面ライダーとプリキュアが無双する 魔獣戦線特別編   作:水無月冬弥

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死闘! 英雄王vs騎士王

「まさか、このような傍若無人な方法を使って(おれ)の宮殿に押し入ってくるとはな……」

 

 英雄王は驚きと呆れが入り混じった表情を浮かべた。

英雄王ギルガメッシュ

 古代メソポタミア神話に語り継がれし王。

多くの英雄譚の中でも、最も古き英雄譚の英雄である彼は、Fate/stay nightではイレギュラーな8人目の英霊として登場するが、この偽聖杯戦争では、戦争の均衡を取り仕切る裁定者(ルーラー)として現出していた。

 

 ここは英雄王の宮殿

 かのバビロニアの空中宮殿には遠く及ばないものの、荘厳な神殿風の宮殿であった。

 

 この宮殿がありし場所は日本にあって、日本に非ず。

 邪力により異空間に創り上げられた決闘の宮殿であった。

 

 偽聖杯戦争の最終決戦において闘技場ともなる大広間の玉座に、英雄王は悠然と座っていた。

 黄金の髪の美麗な青年

 その体には、鮮やかな彫刻の施された黄金の甲冑に包まれており、武器は手元にはないが常時戦場の雰囲気を漂わせていた。

 

 英雄王は玉座より侵入者を見下ろす。

 だが、彼は侵入者を前にしても、玉座から立ち上がろうとしなかった。

 

 新たなる偽聖杯戦争はまだ始まったばかり

 選ばれた7人のマスターは誰もまだ敗北していない。

 本来であるならば、まだ戦う時ではないはずであった。

 

 最後の一人になるまで、英雄王はこの地よりマスター同士の戦いを観覧し、勝利者が決まった瞬間、この宮殿への門を開ける約定(ルール)であった。

 

 だが……

 

……その約定を破り、今、彼の前には1人のマスターと、サーヴァントがいた。

 マスターは10代の少年。

 地味な灰色のトレーナーにジーパン姿の少年の手には、抜き身の日本刀が握られている。

 その刀身は魔力を帯びており、ただの刀ではないようであった。

 そして、その傍らに立つサーヴァントは白銀の甲冑をまとった金髪の青年。

 気品のある顔だちは闘志にあふれ、その手に握られた両手剣からは、凄まじい魔力が迸っていた。

 

 ここに辿りついたのも、その両手剣の魔力によるものであった。

 

(おれ)の邪力を辿り、宮殿の位置を割り出したうえでの、宝具による一撃で空間を裂くとは……」

 

 マスターの背後、大広間の大扉の前の空間が裂かれていた。

 裂け目からは、雑居ビルと、道路に置かれた辻占いの机が見える。

「さすがはセイバーだと褒めてやろうか」

 

 騎士の英霊(セイバー)、それは7つのクラスの中でも最強と言われるクラス

 その名のとおり、剣を得意する英霊のみが選ばれるのだ。 

「雑種、その蛮勇だけは褒めてやろう。しかし、いいのか、雑種よ?」

 

 ギルガメッシュは尊大に言い放った。

「お前は早死にする気か?」

「死ぬ気はない……が」

 

 少年はギルガメッシュを睨む。

「なにが聖杯戦争だ。聖杯戦争はゲームの中の架空の話だ! これはただの模倣でしかない!」

 

 少年の言うとおり、これはゲームの歪な偽物(フェイク)に過ぎない。

 ゲームのように練られた設定も、計算されたキャラの関係性もない。

 

 その結果、Fate/stay nightの聖杯戦争は魔法儀式の側面を持っているが、偽聖杯戦争はただのバトルロワイヤルでしかなかった。

 

 ただ7人のマスターが戦いあい、その勝利者が英雄王と戦い……

 

 

 ……そして敗北する。

 

 それが延々と続いていく、それが少年の予測するこの偽聖杯戦争の物語だ。

 

 だからこそ、少年は偽聖杯戦争が始まるが否や、英雄王を索敵したのだ。

 

 いつもと同じように戦えば敗北は必至。

 ならば、イレギュラーを起こすしかない。

 そう考え、奇襲したが英雄王に動揺の色はない。

 

「なるほど、確かに真の聖杯戦争ではないかもしれないが、それは些細なことではないか? (おれ)には力がある。そして……」

 

 英雄王は玉座の背後に鎮座する巨大な水晶を見る。

 

「雑種、いや、シロウ。お前の大切な人は(おれ)を倒さぬかぎり、ここに眠っているだけだ」

 その水晶の中には、一人の少女の姿があった。

「桜!」

 志狼は愛する少女の名を呼んだ。

 

「それともここで、この者を殺して見るか」

「おのれ、魔獣!」

 

 志狼は叫んだ。

 

 この偽聖杯戦争は偽りばかりだ。

 

 マスターとサーヴァント

 

 英霊

 

 聖杯 

 

 魔術回路、令呪etc……

 

 ゲームの設定は、実際には存在しない。

 

 だが、この世界に魔法が存在しないわけではなかった。

 普通に生きている人々には秘匿されているだけでお、異能や魔法は確かに存在しているのだ。

 

 そして、志狼は、魔法の存在を知っている闇の世界の人間の住民であった。

 

 志狼は手にした日本刀に呪力を込める。

 闇のものを狩る術者の家系である彼の家に代々伝わる霊刀

 数多の闇のものを屠ってきた刀だが、目前の英雄王の偽物を倒すには、力が全く足らなかった。

 

 なぜなら彼は英雄王としては確かに紛い物ではあるが、世界を歪め、この偽聖杯戦争を支配できる力を持っていることは間違いないのだから。

 

 魔獣

 はるか昔より、世界を滅ぼそうとする666の異形の存在

 1000年ほど前に日本に封印されたが、20年ほど前に復活し、日本国内において世界を滅ぼそうと活動をしている異世界からの侵略者。

 その一体が、英雄王の正体なのだ。

 

 魔獣を倒すことができるのは、世界最強クラスの能力者のみ

 並の術者である志狼で太刀打ちできるはずもない。

 

 正攻法では……

「マスターよ、宝具の解放の許可を!」

 

 セイバーが叫ぶ。

 この宮殿に辿りつくために空間を切り裂いたように、彼の剣には凄まじい力が秘められている。

 彼こそ、セイバーの中のセイバー

 その手にする両手剣も、数多の魔剣、聖剣、妖刀の中でも最強クラスの聖剣であった。

「頼む! 聖剣の力を解放してくれ!」

 

 マスターの声に、セイバーが聖剣の真の力を解放する。

 

「十三拘束解放シール・サーティーン――円卓議決開始デシジョン・スタート!

《───承認。

 

 心の善い者に振るってはならない

 是は、生きるための戦いである

 

 是は、己より強大な者との戦いである事

 

 是は、人道に背かぬ戦いである

 

 是は、真実のための戦いである

 

 是は、精霊との戦いではない事

 

 是は、邪悪との戦いである事》

 

 十三の封印のうち、7つの封印が解放され、刀身がまばゆい光を放ちはじめる。

 

 いや、それは目映い程度は済まされぬ煌めきであった。

 

 そしてセイバーは8つ目の封印の解放を宣言する。

 

「是は、世界を救う戦いである!」

 

 聖剣の輝きがさらに増した。

 

 まるで地上に太陽が降臨したかのような、そんな圧倒的な輝きの中、セイバーは聖剣を振り下ろす。

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!」

 聖剣から放たれるは、戦場において必殺の一撃

 

 一瞬にして数多の戦士を屠る。

 いや、一軍すらも灰燼に還す必勝の黄金の奔流が、英雄王にむかって放たれる。

 

「おおっ!」

 

英雄王は立ち上がる。

 

「これが、貴公の、真の力か!」

 

 その体をも呑みこむ強大な光撃を前にして、英雄王の顔には笑みが浮かんできた。

「アーサー・ペンドラゴン!」

 ギルガメッシュは、セイバーの真名を叫んだ。

 

 セイバーの正体は、Fate/stay nightのセイバーのアルトリア・ペンドラゴンの原型(プロトタイプ)であり、伝説の王アーサー王の英霊であった。 

 

 彼が手にする聖剣エクスカリバーもまた世界一有名な剣であり数多の戦士、英雄、王が至高と認めた聖剣 

 すべての封印を解かれていないとはいえ、その一撃を耐え抜くものはこの世には存在しなかった。

 

  

 そう、この世の理に殉じるものであるならば。 

 

 

「無駄だ!」

 

 高らかに英雄王は告げる。

 

 その身は黄金の輝きに呑みこまれるも、その声には余裕があった。

 

 其れも当然

 

 この世界の武人全ての理想と祈りが込められたその一撃は、彼のまとう黄金甲冑に阻まれ、彼に傷一つつけることができないでいた。

 

 清冽な聖剣の輝きに反して、その黄金の甲冑の輝きは毒々しく、見たものの目を濁らせる穢れた力であった。

 

 それこそが邪力。

 この世界の存在ではない魔獣が放つ、この世界の理を歪め穢す力であった。

 

 聖剣の輝きが弱まっていく。

 マスターである志狼の魔力が尽きかけているのだ。

 

「さて、聖剣の力が尽きた瞬間、褒美をとらせてやろう」

 

 英雄王の背後の空間に魔法陣が浮かび、その中心から魔力を帯びた刀身が現れる。

 

 ギルガメッシュの宝具「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

 

 その魔法陣は彼の宝物庫につながっており、ありとあらゆる魔術装備「宝具」の原型となった法具が貯蔵されており、魔法陣を通じて、英雄王は自由自在に武器を取り出すことができる。

 

 ギルガメッシュはいつでも源魔剣を放つ準備をしたまま、力尽きるのを待った。

 聖剣の放つ光が瞬く間に消えていく……

 

「そろそろか……」

 

 英雄王が神器を放とうとした刹那、その眼前に刃が飛び出した。

「慢心したな!」

 

 志狼が叫んだ!

 魔力をほぼ使いきり、その顔は蒼白かったが、その闘志に揺らぎはない。

聖剣の一撃が終わるその刹那、渾身の力を振り絞って英雄王に肉迫したのだ。

 

 勝利を確信した英雄王が油断した、その一瞬を狙って。

 この瞬間なら、傷を負わせることができる。

 

 これまでの闘いで確信していたことだ。

 

 たとえ、聖剣に比べれば、あまりにも弱い魔力しか込められていない霊刀でも英雄王に届くのだ。

「うおおおおおお!」

 

 志狼は全身全霊をこめて一歩踏み込み、英雄王の眉間めがけて剣を突き出した。

 

 

 

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