病院での支払いを終えてからアーカラ島をメルクに乗って探索し、今度こそヤヤコマとヒノヤコマを確保する。群れで行動はしていないので11体ほど確保して諦めた。
その後、お昼を過ぎた辺りで切り上げてウラウラ島の15番水道にあるエーテルハウス。そこに時速100キロで空中を移動し、やってきた。孤児施設の前に降りメルクをボールに戻してチャイムを鳴らす。
「は~い。あ、アリスちゃん! 昨日来るって言ってたのに、来なかったらから心配してたんだよ!」
「ごめんなさい」
出て来たのはアセロラで、私はしっかりと謝る。私が悪いのはちゃんと分かっているから。
「まあ、いいよ。ほら、入ってきて」
「お邪魔します」
エーテルハウスの中に入り、案内してもらう。このエーテルハウスには孤児になった子供やポケモン達がいる。
「大人、居ないね」
「たまに来るけど、あんまりいないよ」
「あ、アセロラお姉ちゃん、ユ-ナが泣き出しちゃった!」
「わかった。すぐ行くから待ってて」
「うん!」
「アリス、ごめんね。ちょっと行ってくるから、ここで待ってて」
「うん、わかった」
食堂に通され、そこで座って待つ。ただ、手持ち無沙汰だったので、トランクケースの中からアリスお母さんが入れてくれていたティーセットを取り出し、ポットに魔法で水を作り、温めて紅茶を淹れる。ティーポットに入れてからしばらく蒸らし、カップは両手で魔法を使って温める。
ついでに上海と蓬莱も出して、紅茶を淹れるの手伝ってもらう。ついでなので、アセロラの分も用意する。ティーセットの他にもクッキーがあったので取り出していると、視線を感じて振り返る。そこにはジーとこちらを見ている女の子が二人。二人の女の子はボロボロのぬいぐるみを抱きながら、上海と蓬莱を見ている。
「人形さんが動いてる……」
「私のも動くのかな?」
私は女の子が持っている兎のぬいぐるみに魔法の糸を取り付け、操作していく。
「わっ、動いた!」
「本当だ!」
ぬいぐるみを動かして、女の子の手の中から抜け出させ、テーブルの上に浮かせてクッキーを掴ませようとして止めた。汚い可能性があるから、普通に上海と蓬莱の二体と遊ばせる。
「クッキー、食べる?」
「いいの?」
「食べる~」
「じゃあ、手を洗っておいで」
「「は~い」」
二人の女の子が手を洗いにいったので、紅茶を追加で用意する。操っていたぬいぐるみをみると、解れていたり継ぎ接ぎだらけだったりしているのが気になる。
「ただいまー」
「くっき~」
「はい、どうぞ。紅茶もあるから飲む?」
「「飲む~」」
「砂糖もたっぷり入れましょうね」
「「は~い」」
二人の女の子を世話しながら、人形劇の練習がてら三体のぬいぐるみで遊ばせていく。それを見た女の子達は喜んでくれる。
「ごめん、お待たせ……って、お茶会?」
「マッドティーパーティーにようこそ」
兎のぬいぐるみで手を上げさせ、アセロラを誘う。アセロラは泣いている女の子を連れてきた。彼女は腕の取れたぬいぐるみを持っている。
「これって……」
「待ってる間、暇だったから用意したの。迷惑だった?」
「ううん、アリスがいいならいいよ。私もお呼ばれしていいんだよね?」
「もちろん。そっちの女の子も」
「ありがとう。ほら、あなたも」
「ありが、とう……」
泣いている女の子をアセロラが椅子に座らせ、クッキーを食べさせていく。
「それでどうしたの?」
「えっと男の子とぬいぐるみの取り合いをして千切っちゃたの」
「そうなんだね。男の子はいないみたいだけど……」
「今はポケモンと外で遊んでるよ」
「なるほど……まあ、取り合えず貸してみて」
「うん」
受け取ったぬいぐるみを綺麗に治していく。同時に上海と蓬莱も動かしつつ、人形劇っぽいのもやっていく。アセロラ達も人形劇に夢中になっていたので、しばらく遊ばせていた。
人形劇が終わり、治療したぬいぐるみを女の子に渡した。
「えっと、それじゃあ部屋に案内するね。アリスの両親のことはエーテル財団の人達も探してくれているから」
「ありがとう」
意味の無いことなのに、いろんな人に手間をとらせて心苦しい。私の素性なんてこの世界にはない。私は世界と世界を渡る旅人だから。
「ついたよ。この部屋を使って」
「うん、使わせてもらうよ」
部屋に荷物を置いて、トランクケースから沢山のモンスターボールを取り出していく。
「いっぱいのモンスターボールだね。もしかして、その中にポケモンがいっぱいいるの?」
「そうです。この子達を貸してあげますから、訓練するといいでしょう」
「でも、危なくない? それに何かあれば私が守るし」
「アセロラ一人じゃ守り切れませんよ。それに子供達も自衛するための戦力は必要です」
「それは……」
「相手も集団で来ますからね。それにアセロラも一緒に強くなればいいんですよ」
「わかったよ」
まだ納得していないみたいだけど、これでいい。しばらくお世話になるので、子供達に挨拶をしてから庭にファイヤーとメルク、マザーを除いたポケモン達を放つ。その子達にはしっかりと子供達の言う事を聞いたり、子供に危害を与えないように言い聞かせる。
メタングに子守りを任せて子供達にバトルの仕方を教えていく。タンバル達は突進しかできないし、小さな子供達でも戦える。他のポケモンは技も増えるのでしっかりと教えていく。事前にこの子達は人に向けてポケモンの攻撃をしたら駄目だと教えてあるので、大丈夫だろう。
「アセロラは何かポケモンを持ってるの?」
「私はこの子、おいでミミたん」
アセロラの声に反応して出て来たのは色違いの白いミミッキュ。アセロラの傍でふわふわ浮いている。性別はおそらく♀で、纏っている布にツギハギがあり、耳元に花を飾っている。
「その子は?」
「この子はミミたん。ミミッキュの幽霊だよ」
「きゅ~」
「浮いてるけど、ポケモン?」
「それを言うなら、その子達もだよ?」
「それもそうだね」
上海と蓬莱はミミたんと楽しそうに空中を飛んで遊んでいる。しかし、幽霊って戦えたっけ?
「幽霊なのはわかったけれど、戦えるの?」
「あ~物理的な攻撃はすり抜けちゃうんだよね。私は触れるんだけど……」
「なるほど……まあ、何か対策を考えます。それで他には何がいますか?」
「後はこの子かな。来て、カゲたん!」
現れたのは黒色のてるてる坊主みたいなポケモンで、こちらも空を飛んでいる。この子が人形ポケモンのカゲボウズなのかな。
「その子が人形ポケモンだよ」
「そうなんですね……」
「あれ、なんか反応が思ってたのと違う」
「なんというか、そのてるてる坊主を人形と認めていいものか……」
「あははは、人形だよ」
「そう、ですね。よし、捕まえに行きましょう」
てるてる坊主も人形。そう思い込むことにしよう。それに私の能力で扱えたら人形に違いない。
「えっと、アリスは連れて行く子はどんな感じ? 私はクチナシおじさんに連れていってもらったし、安全かどうか確認しないと……」
「私はメタングのメルク、メタモンのマザー。後は上海と蓬莱、それに私が戦力かな」
「えっと、自分で戦うの?」
「そういう力を持ってるからね」
「ん~まあ、メタングが居るなら大丈夫かな」
よし、アセロラから許可がもらえた。これで捕まえることができる。
「では、すぐに行きましょう」
「もうすぐ夜だけど、その方がいいかな。よ~し、いっちゃお~!」
「やったー!」
「あ、でも子供達が寝た後だからね」
ずてーと転けそうになるけど、我慢してアセロラと一緒に子供達のお世話をする。男の子達にはポケモンバトルを教えたり、女の子には上海と蓬莱を使った簡易の人形劇を見せる。私は同時に皆の破れた服を縫っていく。
アセロラは料理を作っていったり火事をしている。しばらくして夜になると、子供達を寝かしつける。護衛としてメタングやタンバル達を用意したので大丈夫だろう。
そんな訳でアセロラと二人でメルクに乗って、肝試しも兼ねた夜のドライブだ。
「きゅ~」
隣に幽霊がいるけど、気にしちゃ駄目だよね。上海と蓬莱も楽しそうに遊んでいる。
「あ、あそこだよー」
アセロラが案内してくれた場所は廃棄されたスーパーの跡地だった。一応、建物としてはしっかりとしている気がしないでもない。
「ここって確か……」
「スーパー・メガやすだよ」
そういえばそんなところがあった。確か、ゴーストポケモンが沢山でてくるんだったかな。
「じゃあ、中に入るよー」
「灯りはどうします?」
「用意してあるよ」
懐中電灯を使ってアセロラが光源を確保してくれた。スーパー・メガやすのフェンスを越えて中に入ると、おどろおどろしい気配が立ち込めている。まるでここが怨念が集まるスポットみたいに感じた。
「この中にカゲボウズがいるからね。アリスちゃんの狙いはそれだよね?」
「うん。どうせならアセロラも何か捕まえる?」
「どうしようかなあ……うん、やっぱりいいよ」
「じゃあ、私がいっぱい捕まえるね」
「頑張ってね」
「ありがとう」
建物は一階建てのスーパーなだけあって、商品棚が複数あって倒れていたり、カートが置かれている。
「暗い上に見えない……その上……」
飛来してくる物体を避けようと、後ろに飛び退る。そうしたら、身体がうまくいかなくて、後ろに倒れた。その瞬間、クスクスと笑う声が聞こえてくる
「ここはゴースト達の巣窟だしね……って、大丈夫? 震えてるけど……」
身体がガタガタと震え、思い出されるのは星の精の血が上っていく姿。恐怖に震えていく中、私に向かって空中に浮かんだカートや棚が殺到してくる。
「ホラーイ!」
「シャンハーイ!」
上海と蓬莱が槍でカートを貫き、蓬莱が棚を剣で複数に切断して即座に上海の後ろに下がる。上海は盾を構えるとその前に魔法陣が展開されて防いでくれた。
「ありがとう……」
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です……」
「ふふふふ、コイツラ、ツブシテヤル」
「あわわ」
全力で弾幕を展開する。前と違って40発ぐらいは一斉に放てる。だから、周り全てに放った。一応、支柱とかには当たらないようにはしたけれど、結構な数の奴が倒れている。
ゴーストやカゲボウズ達がシャドウボールを飛ばしてくるので、蓬莱が切り裂いて守ってくれる。上海は頭上から突撃してゴーストを貫く。
「くぎゃぁああああああああああああああぁぁぁっ!」
「え?」
槍で貫かれたゴーストは何故か貫けてダメージを与えられた。魔力が籠っているから有効なのだろうか?
「うわぁ」
他のポケモン達は容赦なく倒されたゴーストに恐怖を覚えたようで、大人しくなってしまった。
「制圧しましょう」
メルクとメタングに変身したマザーがサイコキネシスを使って敵を倒していく。ファイヤーよりは弱い。だから、ゴーストが大人しくなったことで、ここを制圧できるかもしれない。
「主ポケモンがいるはずだけど、出てこないね」
「うん」
カゲボウズやゴースト達を捕まえながら、進んでいくと奥に部屋を見つけた。そこは店員用の部屋のようで、施設のようなものは何もない。
「何か居ると思う?」
「居ると思うよ」
「だよねー」
さて、警戒しているけれども何もでてこない。35分ほど待ってもでてこないので、ひょっとしたらいないのかも。
「きゅきゅ」
「ミミたん?」
そう思っていたら、ミミたんが私達の前にでてきた。そのまま奥に行って残骸を尻尾で叩いていく。
「何かそこにあるのかな?」
「探してみましょうか」
「うん」
残骸を退けてみると、そこにはなんとミミッキュのZクリスタルがあった。もしかしたら、ここのボスはミミたんだったのかも知れない。
「これはアセロラが持ってたほうがいいかな」
「いいの?」
「うん。私は別のを探すから」
「わかった」
探していくと、電話番号が書かれた紙がみつかった。どうやら、ここの所有者みたいだ。
「そういえば、ここって売りに出されてたりするの?」
「出されてるよ~。でも、ゴーストポケモン達が住み着いているから売れないの」
「そう、それは良かった」
ポケギアを取り出して電話番号を打ち込んで連絡してみる。電話がかかり、相手がでてくれた。
『こちら、ウラウラ島不動産でございます』
「スーパー・メガやすの跡地、おいくらですか?」
『そちらでしたら……』
高かったけれど、しっかりと交渉して格安にしてもらった。事故物件になってるし、相手側も持ってるだけじゃアレだしね。でも、土地だけでも5百万した。スーパー並みに広い場所となると、本当はもっと高いけれどね。
「買ったの?」
「うん。ここ、利用させてもらうから」
「そんなお金を持ってるの?」
「パトロン、あしながおじさん……あしながおばさんがいるからね」
「そうなんだ。それで、ここをどうするの?」
「ここでちょっと厳選しようと思ってね」
「厳選?」
「気にしなくていいよ」
ここは怨霊の気配が強い。ここで厳選すればいい。そんなわけで上海と蓬莱の同型人形を一体ずつ置いておく。これが成功したら素晴らしいことになる。
「そう?」
捕まえたカゲボウズ達の力を集めるためには色々と準備しないといけない。ここを改造するのはまた今度でいい。まだ正式に私達の物でもないし。
「じゃあ、戻ろっか」
「うん」
エーテルハウスに帰ってから、必要な品物を全部注文しないといけない。いつも通り、メタングに乗って帰る。
エーテルハウスで貸してもらった部屋に戻ってアセロラと別れる。それから考えていた人形を作る。カゲボウズやジュペッタの本質はぬいぐるみや人形ではなく、中身の怨霊だ。おそらく、カゲボウズの時に恨みを食べ、それによって一定値を越えたらジュペッタになると思われる。
つまり、付喪神の一種と考えられる。
じゃあ、私が作った人形にジュペッタが宿ったら、それは素晴らしいジュペッタにならないだろうか? これはミミッキュにもいえる。外装のピカチュウの身体も作ってあげたらいい。
そして、私の作る人形は
身体は上海と蓬莱の設計図を利用して作る。パーツ作りの練習にもなるし、プロイキッシャーとして作るのはいい。上海達と違ってショートヘアにして赤ずきんを装備。ライフルとかも用意して……様々な魔法を施していく。これ、完成したらゴースト、炎になるのかな。しかも伝承防御持ちなので防御力もぴか一。ふふふ、チートジュペッタだね。
どう考えても大会じゃ使用禁止。でも、反則じゃない。防御力も高いし攻撃力も高い。うん、ひどいことになりそう。
ジュペッタ(赤ずきんの姿)。メガリザートンクラスの火力持ち。しかも物理攻撃がほぼ効かない。特殊攻撃のみでお願いします。
当然、作れればになります。
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