マザーがメルクやカゲボウズ達と子供を作る環境を整える為、人形達と一緒に片付けていく。倒れている棚を起こし、カートを元の位置に戻し、瓦礫をサイコキネシスなどで運びだしていく。捕まえたゴーストやゴルバット、クレッフィ、ミミッキュにも手伝わせているので早い。
クレッフィは鍵穴のような形状の口に、ストラップのような胴体、頭部と角の間からリング状に繋げた細長い腕が生えているという不思議な形状。ゴルバットは大きな顔に羽を持つコウモリポケモン。ミミッキュはピカチュウの被り物をしているが中身はとっても怖いなにか。ゴーストは暗闇から人間を狙う。冷たい舌に舐められると日に日に弱り死に至る。
このように物騒なポケモンもいるが、霊的なスポットと考えたら当然のことだと思う。それとゴーストはその進化前であるゴースもいるし、ゴルバットの進化前のズバットもいる。それら全ては捕まえてあるので、危険はない。
一時間ほどかけて人海戦術ならぬポケモン海戦術で多数の瓦礫を排除し、メルクとメタングのサイコキネシスで倒れていた棚を整えた。使えそうにない壊れた物は端っこに置いておく。これらはまた別の事に使えるだろうからだ。とりあえず、棚や瓦礫を退けて広い場所を確保したら、そこをポケモンバトル用のフィールドにして、アリスお母さんから貰った魔導書をもとにして結界を張っていく。魔力は土地から吸い取ればいいし、ゴースト達がいるので彼等からも微量ながら徴収する。だいたいスーパーの半分をこれにした。
それが終われば外に出て魔法陣を描いてこちらも結界を用意する。用意した結界は私のバリアと似たような感じにしてベクトルを操作する。操作物は恨みなどの怨念だ。ここはパワースポットとしてそういうのを集めやすいので、それをより強く強化して吸い寄せる。同時に他に拡散しないように結界で覆ってしまう。つまり、内側はゴーストタイプのポケモン達が過ごしやすい環境になる。
これらの結界は非効率でまだまだ洗練出来そうだけれど、初心者魔法使いにはそこまで強力なのはできない。本当は警備にだって魔法や魔術を使うのだが、そこはポケモンで代用する。ああ、それとフェンスの所に私有地につき立ち入り禁止と書いておく。もちろん、勝手に侵入した場合、危険なポケモンを放しているので敷地内で何が起きても関与しないことを記しておく。御用がある方はこちらの電話番号に……とも載せておくので連絡がこなかったら知らん。一応、殺さないようには言っておくが、負のエネルギーが強化されたポケモン達が素直に聞いてくれるかはわからない。
さて、一日掛かりの仕事になったが、中身は綺麗になった。続いて屋根に上がって雨漏りを直す。方法は復元の魔法。高度な魔法なので魔導書を片手に何度も間違いながら行った。魔力の六割が一瞬で消えてしまったが仕方がない。
綺麗になった屋根や直した屋上にはヒノヤコマ達鳥ポケモンや普通のポケモン達が出られるように設置されていた扉に穴を開けて通路を作った。ダンバルとかなら通れるだろう。メタングは外からになるが、別にいい。ここは日光浴ができるようにしたり、水飲み場を整備したりする。基本的にヒノヤコマ達の繁殖所にもなる場所だろう。
管理人室や従業員室だった場所には発電機とポケモン回復装置を置く予定だ。発電機を外に出さないのは盗まれたら困るから。いたずらされても嫌だ。
それ以外の場所の残り半分。これを更に半分にした四分の一をポケモン達の自由に過せる場所にする。ただ。ヒノヤコマ達を配置し、卵を置くつもりでもいる。残りの四分の一は私の工房として作業台などを配置した。ここでひたすら人形を作って飾っていく予定。
本日はここまでだ。帰ってアセロラ達と遊ぼう。
次の日。瓦礫を積み上げて壁を作る。同時に駐車場に穴を開けて飲み水を得られるようにしてやった。深い穴だけどまあ、仕方がない。それにすぐ近くに海があるので必要なかったかもしれないが、真水は大事だろう。
後は搬入が終わるまで暇なのでひたすらポケモン達を自由にさせる。私は私で人形作りに精を出す。赤ずきんを作っているのだけど、ジュペッタの身体になってくれるかわからない。そもそもちゃんと童話の怪物になってくれるかもわからない。そもそも童話の怪物って使い魔なんだから、中身あるよね。
できたらいいなぐらいな感覚だ。童話を伝承と捉えてグラードンやカイオーガの人形を作ってみようとは思うが、どうせなら……ああ、そうか。そうだ。あの方法なら私はちゃんと、十全にコントロールできるかもしれない。よし、その方向で行こう。玉の入手は絶対だけど問題ない。
一先ずグラードンとカイオーガの対策は思い付いたので人形をいっぱい作ろう。作れば作るだけ腕が上がっていくので楽しい。目指す先はすでにわかっているだけあって、技術の上がる速度がおかしいというのもある。
作った人形は棚に飾っておく。するとゴースやゴースト達が中に入って上海達と遊び出してしまった。まあ、好きにさせよう。壊さなければ怒ったりしない。それに人形の中には入るのなら、私のコントロールが利くしなんの問題もない。
「アリス、いる~?」
「その声はアセロラ?」
「そう、アセロラちゃんです」
声が聞こえたので、扉を開けると庭にアセロラが入ってきていた。その後ろには子供達もいる。
「どうしたの?」
「遊びに来たんだよ。アリス、全然戻って来ないし……もう二日だよ?」
「いつの間にかそんなに経ってたのね」
「うん。それで中に入っていい?」
「いいよ」
「皆、いいって。行こ~」
子供達を連れて皆で中に入る。中は暗いので灯りとして魔弾を生み出していく。仄かに光るそれは蝋燭の灯りや人魂のようにみえて子供達は怖がっている。
「電球は?」
「買ってない。必要ないと思うし……」
「要るよ!」
「それもそうだね。あ、この子達ってゴーストポケモン達は大丈夫なの?」
「大丈夫だよ」
「それは良かったわ」
手を叩いて皆を呼ぶと、コウモリの翼が生えた黒い服を着た金髪灼眼の可愛らしい無数の人形達が飛んでくる。
「わ、可愛い」
「そうか?」
「お人形さん……」
子供達と遊ぶのはいいが、怪我をさせないようにだけ糸を通じて伝えておく。
「あれ、どうやってるの?」
「中にゴースやゴースト達が入っているの。背中の翼はズバットね」
「なるほど」
「カゲボウズやジュペッタが生まれてくれたらいいんだけど……」
「あの、アリス? この子達ってジュペッタとかと変わらないと思うよ?」
「……」
「ミミたんの中身だってゴースみたいなものだし……」
「なるほど。言われてみればそうかも」
カゲボウズやジュペッタ、ミミッキュはあくまで外装によって変わるだけで、中身は同じなのかも知れない。そこから成長する過程と身体の外装に合うように育つから違うだけなのかもしれない。この理論があっていれば、ここは魔術工房として素晴らしい。
「あの、アリスお姉ちゃん、ぬいぐるみが欲しい……」
「私もー」
「動かない子で大事にするのなら、作ってあげる。動くのはポケモンさんが中に入っているだけだからね。それでもいい?」
「それでもいい!」
「お願い!」
「じゃあ、希望を聞くよ」
「俺達はポケモンバトルがしたい!」
「確かに……」
「アセロラ、そっちは任せられる?」
「任せて~」
女の子達は私と一緒に行って、男の子達はアセロラとポケモンバトル。ここに居る子達は全部私のポケモンだし大丈夫。というか、一つ試してみよう。
「ゴースト、戻って」
「?」
不思議がっているゴーストにモンスターボールの光線を当てて中に戻す。すると人形だけが落ちた。慌てて人形を掴んで、ゴーストを出して入ってもらう。今度は人形もゴーストだと認識して試してみる。すると一緒には入らなかったが、人形は引き寄せられた。
「なるほど。ありがとう。自由にしていいわ。遊んできて」
「ご」
これでわかったことがある。おそらく、アセロラが言っていることはある程度は正しい。必要なのは定着させる時間だ。ポケモンとトレーナーが人形を身体だと認識したらそのようになる。素晴らしい。これならもっと色々と試してみたい。
「お姉ちゃん?」
「ああ、ごめんね。それじゃあぬいぐるみを作ろうか。どんなのがいい?」
「えっとね、ピカチュウ!」
「マリルリさん!」
「あの子!」
「任せて」
机に材料を置いてから、椅子に座って布に魔力を込めて縫っていく。その間に女の子達はゴースト達が入った人形達とおままごとやお手玉とかしている。基本的に好戦的な人形達以外はこちらに来ていて、タンバルや好戦的な人形、タツベイ達はポケモンバトルをしている。
一時間半ぐらいでできたぬいぐるみを渡すと、子供達は嬉しそうに遊びだした。アセロラの方に行ってみると、アセロラのカゲボウズがメタングとの対戦中にジュペッタに進化したところだった。
「ジュペッタになった!」
「すげー」
「おめでとう」
「あ、アリス。みてみて~」
「ええ、見せてもらうね」
ジュペッタの身体を触りながら確認していくと、身体の中に負のエネルギーがあるのがわかる。色々と測定しながら、中を覗かせてもらう。中身は真っ黒で深淵を覗いているような気がしてくるし、負の波動が伝わってくる。面白い。実に面白い。だから、少し操作してこの場に集まっている負の力を注いでみる。
「ジュッ!」
「ちょとっ!?」
身体が大きくなり、両手など身体中にファスナーが現れた。そこから赤い手がでてくる。メガジュペッタ。どうやら、集まっている負のエネルギーと私の人形を操る程度の能力によってキーストーンとメガストーンの代わりになってしまったようだ。キーストーンもメガストーンもいらないとか、人形限定とはいえチートだよね。
「はい、ありがとう。この子は元気になったよ」
「大丈夫なの?」
「じゅぺっ!」
「そう。じゃあ、ポケモンバトルの続きだよ」
「望むところだ! 行くぞ、メタング!」
「ガァ!」
相手が待ってくれていたので、女の子達も含めてポケモンバトルを見学する。アセロラが身体を左右に揺らしながら、メガジュペッタに指示をだしていく。
「シャドウボール!」
「じゅぺっ!」
数十センチのシャドウボールが数メートルまで大きくなる。どう考えても、やばい大きさだ。
「なにこれ! アリス、何かしたでしょ!」
「え? 私?」
「アリスしかいないからね!」
「……ち、地形効果? ここ、ゴーストタイプやエスパータイプは強化されるから。特にゴーストタイプは……」
周りのエネルギーはメガジュペッタに入っていっている。なんていうか、主ポケモン化してそうな感じだ。
「避けて!」
「サイコキネシスで撃ち落として!」
放たれたシャドウボールが空中でサイコキネシスに迎撃されて黒い奔流の爆発を起こす。それをうけて吹き飛ばされそうになる私達の身体を、ゴーストが入った人形達が身体を押しとどめてくれる。前をみると、メガジュペッタはおらず、メタングの後ろに移動していた。
「呪いからの祟り目だよ!」
シャドウボールの余波だけで特防が下がっているところに呪いでステータスを下げ、そこから瞬時に祟り目によって攻撃する。祟り目は状態異常の時、威力が2倍になるので65が130の攻撃になる。しかもそこで呪いによってHPが四分の一ずつ削られていく。本来なら。
「だが、残念。メタングはクリアボディ持ち」
「そうだけど、倒せちゃったよ?」
「弱点だしね」
男の子達は悲しそうにして、メタングに謝っていた。罪悪感が半端ない。それに周りをみれば子供達のほとんどは気分が悪そうにしている。シャドウボールの余波のせいだろうし、仕方がない。
「マッドスウィートケイク」
聖夜の旅人アリスの力を使って大量の魔力を消費し、回復効果のあるケーキとケーキテーブルが無から生み出された。普通に回復魔法だと思っていたら、ケーキが生み出されるとかナニコレ。とりあえず、一口食べてみると普通に美味しい。大丈夫そうなので皆に配って食べてもらう。
「美味しい!」
「なにこれ、こんなのはじめて!」
「うまー!」
「おかわり!」
「はいはい、沢山あるから食べてね」
大量に現れたケーキはポケモン達も食べられるようで、食べたら傷とかが綺麗に治った。うん、確かに狂っている。
「アリス、これって……」
「作ってみたの。食べてみてよ」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。たぶん」
「アリスぅ~?」
「毒味はしたよ!」
「まあ、いいか。ん、美味しい~」
私も食べてながら、人形達にお願いしてお茶を淹れていく。そう、今は人形やゴースト達、メルク達と一緒にマッドティーパーティーを開く。アリスらしい楽しいお茶会だ。
お茶会をしていると、マザーが卵を持って来てくれた。どうやら、ちゃんとできたようだ。何の卵かはわからないが、ヒノヤコマ達に任せて期待しよう。
「そういえば、アリスは今日戻ってくる?」
「どうしようかな……」
「戻ってきた方がいいよ」
「どうして?」
「だって、臭うし」
「……え?」
「お風呂入った?」
「……あ……」
「服の洗濯は……」
「そういえば、していない……」
「はい、強制連行~」
「……はい……」
こればかりは仕方がないので帰るとしよう。ここに風呂場も設置したらいいだけだけどね! そうだ、どうせなら露天風呂を作ろう。屋上に作れば柵もいらないし、火はヒノヤコマ達に出してもらえばいい。
「あ、あとアリス」
「ん?」
「人形の値段っていくら?」
「いらないよ?」
「いや、ここまでの腕だと売り物になるんじゃない?」
「たぶん。でも、大事にしてくれる娘にあげても、売り物にはしないと思う」
「そっか。売れると思うんだけどな~」
「人形劇とかならいいと思うけれど、場所がね……」
「場所ならあると思うけど……」
「正直言って、人前にでたくない。人形劇はしたいけど人前じゃ恥ずかしいし……」
「それなら動画配信とか、どう?」
「……その手があった」
ノートパソコンを取り出して調べてみると、確かにできるようだ。それにこのノートパソコン、最新機種なだけあって録画機能もマイクもしっかりと取り付けられている。後はサイトに登録して動画を作成、アップロードするだけでよかった。登録自体はトレーナーカードがあればできるようなので必要な道具は人形劇だけだ。
「ありがとう。できそう」
「良かった。人形劇、アセロラ達にも見せてね」
「もちろん。そうと決まれば材料を注文しないと……」
人形を作る材料と舞台を作る素材を集める。人形劇の内容は東方の異変にしよう。紅霧異変にしようかな。アレが一番最初だし……いや、待て。勝手にやるのはまずい。東方世界に行って許可を取って、人形をしっかりと作らないと絶対に後々殺される。止めておこう。今は赤ずきんにしよう。狼はルガルガンの真夜中の姿にすればいい。赤ずきんは今作っている子でいいし、お婆さんは最悪いなくてもいい。狩人はどうするか……蓬莱でいいか。手持ちの人形達でやればそこまで準備に時間はかからないし。
「それじゃあ帰ろうか」
「あーもうちょっと待って。今日、荷物が届くから」
「それじゃあ、もうちょっと遊ぼうか」
「そうだね。でも、何して遊ぶの?」
「泳ごう」
皆で海で戯れることにした。ついでなので水ポケモンも捕まえる。ぺリッパーを捕まえて、アセロラとの連絡手段にしてもいいしね。あ、スーパー跡地から出たらジュペッタのメガ化は戻って普通のジュペッタになったよ。
海で遊んでいたら業者の人が搬入してくれた。水着姿での対応だけど、きっと大丈夫。何か目が怪しかったけど、きっとたぶん大丈夫。
管理人室に発電機を設置し、電気部分の工事も追加でしてくれた。ポケモンの治療装置も設置したので、ポケモン達が自分達で回復も可能。使い方はしっかりと教え込んだし、大丈夫。例え泥棒が入っても、どう考えてもその人の方がやばいし。警備がゴーストが入った人形達で、メタングやダンバル達もいる。メルクやマザーも当然いるし、最悪な時はファイヤーを解き放てと言ってある。その前に地形効果でゴーストタイプやエスパータイプはかなり強化されているし、ゴーストタイプに限ってはすぐに回復するので倒すのは困難を極めるだろう。
さぁ、侵入者諸君は私の可愛い
ちなみに可愛いアリスだけが住んでいる家に侵入して襲ってくる人に容赦することはありません。警告し、それでも侵入してくる者は容赦しなくていいと言ってある。最悪、殺されはしないけれど廃人になるだろうね。ちなみに小さい子供は適応外だよ。といっても、基本的に悪戯好きなゴースト達の判断次第だけど。
エーテルハウスに戻り、お風呂に入っていたらアセロラと小さな女の子達が乱入してきて、皆で洗いっこになった。流石に断ろうとしたけれど、泣かれたら仕方がない。小さい子には勝てない。それにアリスちゃんも幼女だから大丈夫。大丈夫。あ、といっても私はノータッチだよ。上海と蓬莱にお願いしたからね!
スーパー・メガやす跡地
可愛い金髪幼女が一人で住む人形の家。コウモリの羽が生えた無数の人形が飛び回っており、侵入者を容赦なく撃退する。幼女を狙った者達は悪夢を見せられて自我が崩壊し、次の日には悪戯されて発見される。酷い時はホモになっていたら、虚ろな瞳でぶつぶつと喋るだけになる。
討伐しようと頑張ったトレーナーもいたなが、無尽蔵に回復してくる上におかしな威力の技を複数から放たれるので対処不可。気が付けば背後を含めた360度、全方位からも強襲されてまずトレーナーが潰される。続いてポケモンから入る。見つかった瞬間、瞬時に数が現れるので大変危険。
屋上から侵入しようとしても、ヒノヤコマ達が警備にあたっており、見つかったら中から大量のゴースト達がでてくる。そして、最奥に到達するとファイヤーが解き放たれるとかなんとか。その前にヒノヤコマやぺリッパーから通報を受けた警察とかがくる。
戦いはドズル閣下の言う通り、奇襲と数だよね。byアリス
PS.襲撃者のポケモンは警察に渡された後、アリスちゃんが引き取って再教育を施し、自軍の戦力に加えられます。やったね!
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