アリスと不思議な世界達   作:ヴィヴィオ

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短期アンケートで盾の勇者の成り上がりに決定!

前の話は後で少し弄ります。具体的にはあのままハスターとした状態で盾の勇者の成り上がり世界に召喚されました。優しいハスター様ですが、お仕置きも用意されております。


盾の勇者の成り上がり世界で修行1
岩谷尚文


 

 

 

 

 図書館でラノベを探していると、四聖武器書という本をが落ちて来た。その本を拾って読んでみたら気が付けば意識を失い、別の所に飛ばされていた。倒れていた床には魔法陣が光り輝いており、前方を見ればローブを着た男達が何やらこちらを見詰めている。

 

「「「おお……」」」

「なんだ?」

 

 感嘆と驚愕する声に俺はハッと我に返り、纏まらなかった周りを見渡せばと俺以外にもこの状況を飲み込めていないだろう男が三人いる。一体どうなっているのか、首を傾げる。

 俺はさっきまで確かに図書館に居たよな、なんで……ていうかここはドコだ? 

 キョロキョロと天井や壁を見渡すと煉瓦で作られただろう石造りの壁が目に入るが、まったく、見覚えの無い建物だ。間違っても図書館ではない。下を見ると蛍光塗料を塗られて作られたかのような幾何学模様が書かれた魔法陣と祭壇。その祭壇に俺達は立たされていた。

 

 でだ……なんで俺、盾を持ってるんだ? 

 妙に軽く、ピッタリと引っ付く盾を俺は持っていた。何で持っているのか理解に苦しむので地面に置こうとするのだけど手から離れない。

 

「ここは?」

 

 とにかく、どうなっているのか気になっている所で前に居る剣を持った奴がローブを着た男に尋ねた。

 

「おお、勇者様方! どうかこの世界をお救いください!」

「「「「はい?」」」」

 

 異口同音で俺達は喋っりながら考える。このフレーズはネット小説とかで読んだ事があるような気がしないでもない。そう思っていると、異変は更に起こった。祭壇にある魔法陣であろう物が更に光出したのだ。

 

「なっ、なんだこれは……」

「もしかして帰れるのかもしれませんね」

「そ、そうか。それは嬉しいな」

「俺は……」

 

 すぐに三人魔法陣から出てしまった。俺はどうしようかと考えているうちに光が強烈になってくる。ローブの男達が慌てて詠唱を開始していくが、どうやら効果がないようだ。いや、待て。連中が詠唱しているのはやばい呪文だ。それに目が虚ろだ。

 

「「「いあ いあ はすたあ はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ いあ いあ はすたあ」」」

 

 やばいやばいやばいやばいっ! 何かはわからないけれどまずい! ハスターってクトゥルフ神話の奴だろっ! そんなのを召喚するとか、勇者とか言って生贄する気満々じゃねえか! 

 俺は必死に魔法陣から出ようとすると、光の壁に邪魔をされる。

 

「あははは、終わった……」

 

 そう思った瞬間。光は中心部に収束していき、だいたい110センチ前後になった。その光が失われると、中にはボロ布めいた黄色い衣を身に纏い、青白い仮面をつけている小さな可愛らしいと思われる女の子がいた。白いシャツに青いフリルのついたスカート。頭部には青いヘアバンドをしている。胸にはハスターの紋章が刻まれた縞瑪瑙のブローチをつけていて、彼女の手には大きな本と卵が二つ握られていた。

 

「―――」

 

 その女の子は意味のわからない言葉を発しながら、周りを見渡す。そして、俺に気が付いたようでこちらによってきて、手を差し出してくる。俺は恐る恐る手に触れると、身体中が調べられるかのような悪寒に襲われた。

 

「大丈夫か?」

 

 悪寒が終わると、彼女は可愛らしい声で()()()()()()()()()()()聞いてきた。周りを見渡せば何時の間にか魔法陣も沈黙しているので、ローブの男達が答えていく。

 

「ああ、ありがとう」

 

 起き上がり、恐る恐る彼女を見詰めると、その装備はクトゥルフ神話と呼ばれる物に出てくるハスターの化身に似ていた。ボロボロになった黄衣に青い仮面。なにより縞瑪瑙のブローチをつけている。いや、あれはつけていれば襲われるのだったか。つまり、この子は被害者であり、ハスターの器となっているのか? 

 

「まさか、もう一人の勇者を召喚できるとは……」

「これは何かの間違いでは……」

「いやいや、それよりも……」

 

 ローブ達の結論はでないようで、俺達は放置されて話し合いがされている。召喚した時の記憶は存在しないようだ。

 

「そこの美しいお嬢さん。そのような無粋な仮面を外してはいかがかな?」

「阿保か、止めろ!」

「なんだお前。俺はその子に話しかけているんだ、邪魔をするな」

 

 金髪のロン毛が彼女をナンパしようとしているのか、話しかけるが、わかっていないのか? 下手をすればこの世界が消滅する危機かもしれないんだぞ? 仮面を取っただけで正体が露見して全員が狂気に犯されて直葬されちまうんだぞ! お前の自殺に俺を巻き込むなっ! 

 

「まあまあ、お嬢さんは勇者か巻き込まれた者ということでいいのではないですか?」

「そうだな。何れにしてもすぐにわかるだろう。それに仮面に関しては何かるかもしれないからな」

「ちっ、わかったよ」

「ふふ」

 

 彼女は笑うだけで何も答えない。むしろ、持っている本に何かをしているようだ。そんなことをしていると、ローブの男達は結論に達したようだ。

 

「こほん。勇者の皆様。この世界は今、存亡の危機に立たされているのです。勇者様方、どうかお力をお貸しください」

 

 ローブを着た男が深々と俺達に頭を下げるが、確かに現在進行形で世界の危機だろうよ。邪神の現身が隣に召喚された可能性があるんだからよ! だが、こいつらは気付いていないみたいだから仕方がない。召喚呪文を唱えた記憶もないみたいだし。

 

「まあ……話だけなら――」

「嫌だな」

「そうですね」

「元の世界に帰れるんだよな? 話はそれからだ」

 

 俺が話を聞こうと喋っている最中、遮るように他の三人が言う。

 

 はい? 

 

 必死に頭を下げている奴になんて態度で答えるんだよコイツ等。話だけでも聞いてから結論を述べれば良いだろうに。俺が無言の眼力で睨むと三人は俺に視線を向ける。

 ……なんで半笑いなんだよ。微妙にテンションが上がってるのが分かるぞ。

 こいつら、実は嬉しいんだろ。まあ、これが真実なら異世界に跳躍できたという夢を叶える状況だけどさー……。お前らの態度も常套句だよな。でもさ、だからこそ話を聞いてやれよ。特に今回はデストラップがあるんだぞ。ご本人様は我関せずといった感じで本を読んでいらっしゃる。いや、いつの間にかペンを呼び出しているので書いているのかも知れない。

 

「人の同意なしでいきなり呼んだ事に対する罪悪感をお前らは持ってんのか?」

 

 剣を持った男、パッと見だと高校生くらいの奴がローブを着た男に剣を向ける。

 

「仮に、世界が平和になったらっポイっと元の世界に戻されてはタダ働きですしね」

 

 弓を持った奴も同意してローブの男達を睨みつける。

 

「こっちの意思をどれだけ汲み取ってくれるんだ? 話によっちゃ俺達が世界の敵に回るかもしれないから覚悟して置けよ」

 

 槍を持った奴が下手をしたら敵に回ると宣言する。これは、アレだ。自分達の立場の確認と後の報酬に対する権利の主張だ。どれだけたくましいんだコイツ等は、なんか負けた気がしてくる。女の子はまたもや完全無視だ。

 

「ま、まずは王様と謁見して頂きたい。報奨の相談はその場でお願いします」

 

 ローブを着た男の代表が重苦しい扉を開けさせて道を示すが、納得できる内容だ。下っ端に決められることでもないだろうしな。

 

「……しょうがないな」

「ですね」

「ま、どいつを相手にしても話はかわらねえけどな。お嬢さん、行きましょう。この国の王様が話してくれるらしいです」

「わかった。ついていってやろう」

 

 女の子は偉そうに言いながら、たくましい奴らに付いて行く。俺も置いて行かれないように後を追うのだった。

 それから俺達は暗い部屋を抜けて石造りの廊下を歩いて階段を登っていく。

 ……なんだろう。空気が美味しいと表現するだけしか出来ないのは俺の語彙が貧弱だからだろうか。

 窓から覗く光景に俺達は息を呑む。

 どこまでも空が高く、そして中世ヨーロッパのような町並みが其処にはあった。思わず見とれていると、他の奴等が海外に旅行した時のことを言ってくるが、そんなの俺は行ったことなんてない。

 

 

 

 

 

 そんな町並みに長く目を向ける暇は無く、俺達は廊下を歩き、豪華な扉がある謁見の間に辿りついた。扉が開かれ、絨毯が引かれた中を歩いて立ち止まる。

 

「ほう、こやつ等が古の勇者達か」

 

 謁見の間の玉座に腰掛ける偉そうな爺さんが俺達を値踏みして呟く。どことなく印象が良くない感じがする。人を舐めるように見る奴を俺はどうも好きになれない。それにそんな視線をやると、何時殺されてもおかしくない。そう思ったのだが、女の子は王様の言葉も完全無視である。

 

「ワシがこの国の王、オルトクレイ=メルロマルク32世だ。勇者共よ顔を上げい」

 

 さげてねーよ! と、突っ込みを入れたい衝動に駆られたが一応は目上の相手だし、王様らしいからグッと我慢する。それよりも彼女が爆発しないか気が気でない。

 

「さて、まずは事情を説明せねばなるまい。この国、更にはこの世界は滅びへと向かいつつある」

 

 王様の話を簡単に纏めるとこうだ。この世界には終末の予言と言うものが存在し、いずれ世界を破滅へ導く幾重にも重なる波が訪れる。その波が振りまく災害を撥ね退けなければ世界は滅ぶというのだ。

 

 その予言の年が今年であり、予言の通り、古から存在する龍刻の砂時計という道具の砂が落ちだしたらしい。この龍刻の砂時計は波を予測し、一ヶ月前から警告する。伝承では一つの波が終わる毎に一ヶ月の猶予が生まれるとのことだ。当初、この国の住民は予言を蔑ろにしていたそうだ。しかし、予言の通り龍刻の砂時計の砂が一度落ちきったとき、災厄が舞い降りた。

 

 次元の亀裂がこの国、メルロマルクに発生し、凶悪な魔物が大量に亀裂から這い出てきた。その時は辛うじて国の騎士と冒険者が退治することが出来たのだが、次に来る波は更に強力なものとなるのは予言で知らされてわかっていた。このままでは災厄を阻止することが出来ない。そこで国の重鎮達は伝承に則り、勇者召喚を行った。というのが事のあらましだ。ちなみに言葉が分かるのは俺達が持っている伝説の武器にそんな能力があるそうだ。だが、このことを考えると彼女は勇者ではないのかもしれない。何せ、最初は言葉がわからなかった。だが、今では俺達と普通に話せている。まるであの時に適応したかのように。まさか、俺に触れられた時に調べられたのか? 

 

「話は分かった。で、召喚された俺たちにタダ働きしろと?」

「都合のいい話ですね」

「……そうだな、自分勝手としか言いようが無い。滅ぶのなら勝手に滅べばいい。俺達にとってどうでもいい話だ」

 

 先ほどの笑い方から、内心は大喜びの癖にぬけぬけと何を言っているのやら。まあ、俺も便乗するか。今のところ、特大の爆弾は大人しくしてくれているし、情報を集めた方がいいだろう。

 

「確かに、助ける義理も無いよな。タダ働きした挙句、平和になったら、さようならとかされたらたまったもんじゃないし。というか帰れる手段があるのか聞きたいし、その辺りどうなの?」

「ぐぬ……」

 

 王様が臣下の者に向けて視線を送る。

 

「もちろん、勇者様方には存分な報酬は与える予定です」

 

 俺を含め、女の子を除く勇者達はグッと握り拳を作った。よし! 話し合いの第一歩。

 

「他に援助金も用意できております。ぜひ、勇者様たちには世界を守っていただきたく、そのための場所を整える所存です」

「へー……まあ、約束してくれるのなら良いけどさ」

「俺達を飼いならせると思うなよ。敵にならない限り協力はしておいてやる」

「……そうだな」

「ですね」

 

 どうしてコイツ等は常に上から目線なんだよ。現状、王国が敵になったら一番困るのは俺達だぞ。まあ、ここはしっかりしておかなきゃ骨折り損のくたびれもうけになりかねないからしょうがないか。

 

「では勇者達よ。それぞれの名を聞こう」

 

 ここで俺は気が付いた。これ、さっきまで読んでいた本。四聖武器書に似ていないか? 

 剣に槍に弓、そして盾。女の子はイレギュラーっぽい召喚の仕方がされたし、この際関係ないと判断すれば、勇者という共通項もあるしな。という事は俺達は本の世界に迷い込んでしまっているのかもしれない。

 考え事をしていると剣の勇者が前に出て自己紹介を始める。

 

「俺の名前は天木錬だ。年齢は16歳、高校生だ」

 

 剣の勇者、天木錬。外見は、美少年と表現するのが一番しっくり来るだろう。顔のつくりは端正で、体格は小柄の165cmくらいだろうか。女装をしたら女の子に間違う奴だって居そうな程、顔の作りが良い。髪はショートヘアーで若干茶色が混ざっている。切れ長の瞳と白い肌、なんていうかいかにもクールという印象を受ける。細身の剣士という感じだ。だが、高校生といっても彼等にはわからないだろう。

 

「じゃあ、次は俺だな。俺の名前は北村元康、年齢は21歳、大学生だ」

 

 槍の勇者、北村元康。外見は、なんと言うか軽い感じのお兄さんと言った印象の男性だ。錬に負けず、割と整ったイケメンって感じ。彼女の一人や二人、居そうなくらい人付き合いを経験しているようなイメージがある。髪型は後ろに纏めたポニーテール。男がしているのに妙に似合っているな。面倒見の良いお兄さんって感じだが、彼女に声をかけた時のことを考えるとそうでもないのかもしれない。純粋に心配してならいいのだが……

 

「次は僕ですね。僕の名前は川澄樹。年齢は17歳、高校生です」

 

 弓の勇者、川澄樹。外見は、ピアノとかをしていそうな大人しそうな少年だ。儚げそうな、それでありながらしっかりとした強さを持つ。あやふやな存在感がある。髪型は若干パーマが掛かったウェーブヘアー。大人しそうな弟分という感じ。みんな日本人のようだ。これで外人とかだったら驚くけどさ。おっと、次は俺の番か。

 

「次は俺だな、俺の名前は岩谷尚文。年齢は20歳、大学生だ」

「ロリコンさんですよね」

「違うわ!」

「でも、その子をよく見てますよね?」

「それには理由がある。後で話す」

 

 王様が俺を舐めるように見る。背筋が何かむず痒い。

 

「……」

「そこな少女よ、名前を……」

「……」

 

 完全に無視され、王様が目に見えて機嫌が悪くなってくる。すると、恐ろしいことに元康が彼女に話しかけていった。今回は止めなくていいだろう。どうなるかふからないしな。

 

「美しいお嬢さん、お名前は?」

「……名前? 我に名を問うのか」

「あっ、ああ、教えてくれないかな?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「アリスちゃんだね。良い子だ」

「中二病という奴でしょうか?」

「かもしれん」

 

 アリスと名乗ったハスター。これはいよいよやばいかも知れない。ただの中二病だったらありがたいが、違えば世界の破滅だ。それに俺は身体の中を精査されたからか、本物だとわかる。

 

「ふむ。レンにモトヤスにイツキ、アリスか」

「王様、俺を忘れてる」

「おおすまんな。ナオフミ殿」

 

 まったく、抜けた爺さんだ。そりゃあ……なんとなくこの中で俺は場違いな気もするが其処はこう、忘れないで欲しい。

 

「では皆の者、己がステータスを確認し、自らを客観視して貰いたい。こちらとしては四人のつもりが五人というので、ステータスで判断させてもらいたいのです」

「へ?」

 

 ステータスってなんだっ!? 

 

「えっと、どのようにして見るのでしょうか?」

 

 樹がおずおずと王様に進言した。いきなりステータスとか何の話だよ。そんなゲームみたいなことある訳ないだろう。

 

「何だお前ら、この世界に来て真っ先に気が付かなかったのか?」

 

 レンが、情報に疎い連中だと呆れたように声を出す。知るか! というか、何だその情報通ですって顔は。

 

「なんとなく視界の端にアイコンが無いか?」

「え?」

 

 言われるまま、俺は何処を見るでもなくぼんやりとすると視界の端に何か妙に自己主張するマークが見える。

 

「それに意識を集中するようにしてみろ」

 

 ピコーンと軽い音がしてまるでパソコンのプラウザのように視界に大きくアイコンが表示された。

 

 

 岩谷尚文

 職業 盾の勇者 Lv1

 装備 スモールシールド(伝説武器)

 ストームシールド(未開封)

 異世界の服

 スキル 無し

 魔法 無し

 

 

 さらっと見るだけで色々な項目があるけれど割愛する。ステータスとはこれの事か。っていうかなんだよこれ! 妙にゲームっぽいな。まさか本当にゲームなのか? 

 それにストームシールドって何だ。直訳すると嵐の盾か。未開封になっているが、それでもかなり強力な物のようだ。もしかして、ハスターに身体を調べられた弊害か、プレゼントなのだろうか? 

 

「Lv1ですか……これは不安ですね」

「そうだな、これじゃあ戦えるかどうか分からねぇな」

「というかなんだコレ」

「勇者殿の世界では存在しないので? これはステータス魔法というこの世界の者なら誰でも使える物ですぞ」

「そうなのか?」

 

 現実の肉体を数値化して見ることが出来るのが当たり前なのか、これは驚きだ。

 

「それで、俺達はどうすれば良いんだ? 確かにこの値は不安だな」

「ふむ、勇者様方にはこれから冒険の旅に出て、自らを磨き、伝説の武器を強化していただきたいのです」

「強化? この持ってる武器は最初から強いんじゃないのか?」

「はい。伝承によりますと召喚された勇者様が自らの所持する伝説の武器を育て、強くしていくそうです」

「伝承、伝承ね。その武器が武器として役に立つまで別の武器とか使えばいいんじゃね?」

 

 元康が槍をくるくる回しながら意見する。それもそうだ。というか俺は盾。武器ですらない物を持たされているのだから必要なものだ。

 

「そこは後々、片付けて行けば良いだろ。とにかく、頼まれたのなら俺達は自分磨きをするべきだよな」

 

 異世界に勇者として召喚されるという燃えるようなシュチエーション。是が非でもやってみたいという思いが沸々と湧いてくる。なんていうか夢一杯の状態で興奮が冷めそうに無い。それは他の連中も同様でみんな己の武器に御執心だ。

 

「俺達五人でパーティーを結成するのか? 子供を危険な旅に連れていくのはどうかと思うが……」

「お待ちください勇者様方」

「ん?」

 

 これから冒険の旅に出ようとしていると大臣が進言する。

 

「勇者様方は別々に仲間を募り冒険に出る事になります」

「それは何故ですか?」

「はい。伝承によると、伝説の武器はそれぞれ反発する性質を持っておりまして、勇者様たちだけで行動すると成長を阻害すると記載されております」

「本当かどうかは分からないが、俺達が一緒に行動すると成長しないのか?」

 

 ん? なんか武器の所に伝説の武器の使い方とかヘルプがついていた。みんな気が付いたようで目で追っている。

 

 注意、伝説の武器同士を所持した者同士で共闘する場合。反作用が発生します。なるべく別々行動しましょう。

 

「本当みたいだな……」

 

 というか何このゲームっぽい説明は。まるでゲームの世界に入り込んだみたいだ。ズラーっとこの武器の使い方が懇切丁寧に記載されているけれど、今は全部読んでいる暇はなさそうだ。

 

「となると仲間を募集した方が良いのかな?」

「ワシが仲間を用意しておくとしよう。なにぶん、今日は日も傾いておる。勇者殿、今日はゆっくりと休み、明日旅立つのが良いであろう。明日までに仲間になりそうな逸材を集めておく」

「ありがとうございます」

「サンキュ」

「さて、勇者様達はよいとして、問題はそちらの少女だ。本当に勇者かどうか、ステータスを見せてもらえぬかな?」

 

 王様の言葉に今度はそちらに視線をやる女の子。

 

「断る。我が親類の内を知ろうなど不敬にもほどがある」

「なんだとっ!」

 

 王様相手に逆に不敬だと言い切る彼女の言葉に、王様が手を上げると騎士達が剣を抜いていく。これはやばい。

 

「おいおい、子供に剣を向けるとか何を考えているんだ!」

「そうですね。これはないでしょう」

「ああ、そうだな」

「見せてもらわねば勇者かどうか判断できぬ! こればかりは勇者様方でも聞いてもらいますぞ! ステータスを見せるだけでよいのですからな!」

「それは……そうですね」

「断る。貴様等に見せる必要性を感じない」

「ならば、捕らえて無理矢理にでも見せて貰おう」

 

 王様の言い分もわかる。どう考えてもイレギュラーな存在だからな。だが、ハスターの機嫌がかなり悪くなり、彼女を中心として周りに風が集まりだしている。これは仕方ない。

 

「ど、どうかお心を鎮め、無知蒙昧な我等にお教えください」

 

 俺は土下座して懇願する。このままじゃ俺達は全滅し、世界も終わる可能性が非常に高いからだ。

 

「おいおい、幼女に土下座とか……笑うんだけど」

「ないですね」

「馬鹿野郎! いいから、お前らもしろ! 殺されるぞ!」

「そんな訳……」

 

 話している最中にパンッと開かれていた大きな本が閉じられる。彼女の方を向けば俺の方をみていた。

 

「貴様には借りがあったな。いいだろう、尚文、貴様に免じて貴様には見せてやろう」

 

 そう言うと、俺の視界にしっかりと表示された。

 

 アリス(ハスター憑依状態)

 職業 旧支配者   Lv計測不能

 人形師    Lv26

 魔導書の勇者 Lv1

 装備 Grimoire of Alice(アリスの魔導書)(伝説武器)

 黄衣の外套(神器)

 アリス専用魔導服(魔導具)

 スキル 《捨食》《捨虫》《魔力Lv.9》《人形を操る程度の能力Lv.10》《魔術刻印Lv.1》《プロイキャッシャーLv.1(左目)》《魅了の魔眼Lv.1(左目)》《運動音痴Lv.6》《鏡の世界の紅き祭典》《2回行動・強》《滅殺・魔族キラー》《滅殺・ウォーリアキラー》《神話知識Lv.10》《風神》

 魔法 《バリア(反射)Lv.4》《弾幕Lv.1》《マッドスウィートケイクLv.10》《真っ赤なお口のトナカイさんLv.10》

 

「どうなんですか?」

「予想通り、や、やばすぎる……」

「そんなになのか?」

「俺達が瞬殺されるレベルだ。今、彼女には神様が宿っている。絶対に手を出すな」

「いやいや有り得ないだろう」

「神様って、ロリコンの神様ですか?」

「こほん。それで神というのは間違っているとしても、勇者だったのか?」

「それは間違いない。魔導書の勇者と表示されている」

「そんな勇者は聞いたことがないが……」

 

 議論を仕出す王様達。俺達はその間にメイドさんに別の部屋に案内された。ハスターは女の子なので別の部屋で助かった。俺達は与えられた部屋で、召喚される前のことについて話していく。それから、俺達は日本人ではあるが、別々の時代から召喚されたことが判明し、彼女について話していく。

 

「お前達はクトゥルフ神話というものを知っているか?」

「いや、知らない」

「俺も知らない」

「僕もです」

「そうか。それならあの態度も納得できる。いいか、クトゥルフ神話というのはだな……」

 

 彼等にも詳しく説明し、旧支配者である邪神ハスターに憑依されていることを伝える。すると、樹達は彼女を助けようと話し出す。

 

「無理だ。俺達ではどうあがいても勝てない。それにハスター自身が親類だといった。つまり彼女も人間でない可能性が高い」

「それがどうした! 可愛ければいいじゃないか!」

「元康さんはどうかと思いますが、事実なら力をつけて助けましょう。いいじゃないですか、邪神討伐」

「ああ、燃えるな」

「ああ、もう。真面目に考えろ! 世界の危機だぞ!」

「いやいや、冗談もそこまでいくと笑えませんよ?」

「冗談だと思っているのか?」

「はい」

「……わかった。もう好きにしてくれ。俺は彼女のご機嫌をなんとかとってみる」

 

 頭の痛い展開だが、こいつらは全然信じていない。何故わからないんだ。神様が転生した子供に憑依してついてくるとか、よくある展開だろうが! 

 

 

 

 

 次の日、俺達は王様の前に集められて旅の仲間を紹介された。俺達が選ぶのではなく、相手が選んでいくとのことで俺とハスターは何故かゼロだった。アリスの方はいったが、彼女は生贄かと言ったのが原因である。俺の方には全然こない。

 どうやら、昨日の話を聞かれていたみたいで、俺の事をこの世界の理、ゲームに詳しくない存在な上、助けてやったのに幼女に土下座したりしたことで評価が下がったようだ。狂信者だと思われた可能性すらある。俺のところには一人、きてくれた。その女性と一緒に旅をすることになり、ハスターもついてくるとのことで、一緒に街を案内してくれるらしい。鍛冶屋でくさび帷子を購入し、街の外に出る。

 

「あ、良い物を作ってやるからお金を渡せ」

「良い物?」

「ああ、とっても良い物だ」

「わかった」

 

 俺は残った金から少しを除いて全てを渡す。

 

「勇者様、子供にお金を渡すなんて危険です。ここは私が……」

「必要ない。俺達は外で戦えばいい」

「それは……って、もういない」

 

 それからオレンジバルーンと頑張って戦ったが、滅茶苦茶大変だった。その日、ハスターは戻ってこずに二人で食事をして眠ったら、俺はくさび帷子が盗まれてあの女、ビッチに嵌められて強姦した犯罪者とされた。ハスターも行方不明で、ハスターことアリスにも資金持ち逃げの嫌疑がかけられた。

 

 

 

 

 

 鍛冶屋に外套を貰って外に出て、連中を恨みながら必死に倒していると何時の間にか夜になっていた。

 

「随分と惨めだな」

「お前は、ハスターか」

「そうだ」

 

 風が吹いて集まると、そこにはアリスの姿をしたハスターが木の枝に座ってこちらを見降ろしていた。

 

「どこに行っていたんだ?」

「少し我が星や寄るべき所に戻っていただけだ。ここで作れなかったのもあるしな」

「そうか、騙したわけじゃなかったんだな……それよりも……」

「ふむ。願うのなら、この世界を滅ぼしてやろうか?」

「……いや、いい。それよりも作った物をくれ」

「いいだろう。提供できる品は二つ。我が願いを聞き届け、信者として我が恩恵を受けるか、我が願いを聞き届け、ましな装備を受け取るか、だ」

「願いを聞くのは確定なのか」

「直接の神託である。それにあの程度の金では足りぬ。そもそも、アレはあの女の企みに関する意趣返しである」

「待て。その言い方だと知っていたのか!」

「当然だ。この地上で風が吹かぬところはあるのか?」

「そういうことか! 何故教えてくれなかった!」

「聞かれなかったからな」

「くそっ」

 

 確かにそうだ。聞かれなかったら答えなかった。そう言われば仕方がないのかもしれない。相手は神である超越存在だし、人間のことなどわからないんだ。

 

「信徒になったら、俺の魂を喰らうのか?」

「貴様が我が願いをしっかりと聞き届ければに何もせぬ」

「なら、その願いを教えてくれ」

「簡単だ。この身体の持ち主、アリスと話し、世話をしてくれればいい。後はこのブローチを必ず着けさせろ。それだけでいい。簡単なことだろう?」

「世話と言っても、俺達勇者は互いに一緒になれないだろう」

「言い換えよう。彼女にはこの世界における目標が与えられる。その達成を手伝ってくれればいい」

「そういうことなら、わかった。ただ、死んでもしらないぞ」

「死んだところで我が甦らせるだけだ。この小娘はすでに二回死んでいるからな」

「そうか。じゃあ、俺も信者になってやる。で、何をくれるんだ?」

「アリスと同じ黄衣の外套をくれてやる。死んでも復活ができる力を付与してある。ただし、一度だけだと心得よ」

「蘇生アイテムか。それは確かにありがたいな。でも、何度も使えないのか?」

「何度も使えるが人からグールに変化する。後遺症がないのは一度だけだ。もし使ったのなら、我に祈り続けろ。そうすればほんの100年ぐらいで回復するだろう」

「いや、死んでるって」

 

 流石は神様だな。しかし、これであの糞ビッチに金を奪われることがほとんどなく、いい装備が手に入ったな。蘇生アイテムなんて神話級の物だろう。

 

「さて、我は帰るとしよう。この愚かな小娘に我をちゃんと信仰するように言い聞かせてくれるとありがたい」

 

 トランクケースを渡されたが、この中に報酬も含めて入っているとのことだ。ただし、開けられるのはアリスだけなので起きたら開けさせろとのことだ。

 

「親類と言っていたが、どんな関係なんだ?」

「直接の関係はないが、人間でいう娘が養子にした孫にあたるか。本人は孫とは思っていないがな」

「なるほどな。そういうことなら理解できる。頼まれよう」

「では、さらばだ」

 

 ハスターが魔導書を取り出し、そこに仮面を入れる。すると身体から力が抜けたのか、倒れてくる。受け止めて地面に寝かせていく。

 

 

 

 

 彼女の傍で寝ずの番をしていると、ようやく目覚めたようだ。

 

「だ、だだだだだ誰ですかっ! もしかして、アリスにエロいことをする気ですか! エロ同人みたいに! 駄目ですからね! アリス、こう見えても男なんですから!」

「やかましい!」

「痛いっ!」

 

 容赦なく拳骨を入れて落ち着かせる。誰かに聞かれたら困るからな。

 

「んで、落ち着いたか」

「ごめんなさい。でも、アリスは悪くありません。起きたら知らない男性に抱きしめられていたんですよ? 直前の記憶は……なんとなく殺されたのだけは覚えていますが」

「死んだの二回目らしいな」

「なんで知っているんですか? ストーカーですか? いくらアリスが可愛くても……」

「餓鬼に興味はない。それよりも……」

 

 ハスターから聞いた話をしていくと、印が刻まれたブローチを着けて何度も謝りだすアリス。どうやら、良い子ではあるみたいだ。彼女の話を聞いてみると、俺と似たような感じな上に召喚されたのはクトゥルフ神話の世界。そこでTS転生させられたとのこと。こちらも話していると、お互いに苦労しているんだなって意気投合した。それに聞いた限り、だいたいアリスとして侵食されている感じは35%らしい。50%までは平気だろうと言っていたが、それは本当だろうか? 

 まあ、とりあえず一緒に活動することになった。

 

「さあ、尚文さん。アリス金融にようこそ! トランクケースの中を漁ったら、お爺ちゃんからお小遣いか知りませんが、金塊がでてきましたよ! あと名状しがたき魔導書たち!」

「いや、待て。金を借りるのは流石に……」

「今なら融資を受ける条件にこの世界の理を教えちゃいます! 楽してレベルアップとか!」

「……乗った」

 

 俺は邪神と小悪魔との契約を行った。

 

 

 

 

 

オルフェンズのアリス開始時期およびルート

  • 火星でMAの登場から開始
  • ビスケットを助けるため、地球辺りから
  • 女神Aliceの名の下に人類管理ルート
  • マクギリスと一緒。ギャラルホルンルート
  • マクギリスの代わりにアリスになるルート
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