アリスと不思議な世界達   作:ヴィヴィオ

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第25話

 

 

 私、アリス。気が付けば殺されていて、知らない人の前にいた。だから、つい色々と言ったらぐーで殴られた。私の記憶からしたら、執務室に入って何かがぶつかってきた瞬間。死んだと確信したらここに居た。ここはどこで、なんなのかわからないので目の前の大学生くらいの男の人に聞いてみた。

 すると、ここはどうやら、メルロマルクという国みたいで、私も召喚された勇者らしい。勇者、わくわくする響きだ。だけどそんなことは知らないので、更に詳しく聞いていく。私はハスターに身体を乗っ取られたみたいだ。その理由も納得できるものだったので私が悪いのだろう。確かに恩恵だけ受けるのは許されない。それにハスターからしたら、私は娘の子供みたいな扱いのようらしい。確かによくよく考えたら、あの黄衣の外套だって次のアリスに託されたものなのだ。おかしくはない。しかし、何も企んでいないということはないとは思う。

 さて、色々と話を聞いた限り、私への説明役として彼を利用したみたいだ。そのおかげで私は助かった。ハスターから預かったというトランクケースは私が持っていた物に違いない。中を開けてみると、大人用の黄衣の外套と縞瑪瑙のブローチがあった。これは話を聞く限りは彼の物なので、そのまま譲り渡す。嘘かも知れないけど、私には必要がない物だからだ。

 一応、自分の黄衣の外套にも縞瑪瑙のブローチが取り付けられている。他にトランクケースの中身には、見たことがない金塊と替えの下着を含めた服などがあった。モンスターボールなどはほとんど無くなっていた。あるのは二つだけで、ダンバルとカゲボウズだけが入っている。マザー達はもちろん、ファイヤー達もない。それに加えて上海や蓬莱達、人形も全て無くなっていた。

 絶望を感じる中、服に手紙が入っていた。それによるとアリスお母さん達が預かっているらしい。どうやらハスターが届けてくれたみたいだ。意外と優しい。ちなみにアリスお母さんはお怒りで、ハスター曰く修行としてこの世界に送り込んだらしい。戻るには一定の成果をあげればいいらしい。ただ、トランクケースの中に宿題として大量の魔導書が入っていた。その中にはクトゥルフ系の魔導書もある。黄衣の王とか、セラエノ断章とか、ナコト写本とかがあった。オリジナルだったら無茶苦茶怖い。だから押し付けることにした。

 

「さあ、尚文さん。アリス金融にようこそ! トランクケースの中を漁ったら、お爺ちゃんからお小遣いか知りませんが、金塊がでてきましたよ! あと名状しがたき魔導書たち!」

「いや、待て。金を借りるのは流石に……」

「今なら融資を受ける条件にこの世界の理を教えちゃいます! 楽してレベルアップとか!」

「……乗った」

 

 相手も乗り気みたいだから、やったね。

 

「今ならなんと、黄衣の王、セラエノ断章からお好きな方をプレゼント!」

「いらんわっ!」

「やっぱり?」

「それが世界の理というのなら、要らないぞ」

「まあ、正直に言いましょう。尚文おにーさんは倒したモンスターを含めた様々な素材を伝説の武器である盾に吸収してその力を高めていきます。それなら、魔導書を叩き入れてもいいと思います」

「それは嫌だな。何が起こるかわからない」

「なら、私が倒したモンスターを引き渡してもいいですよね?」

「だが、それだとそちらにメリットはないじゃないか」

「まあ、そうですね。もう一つ提案なんですが、やはり仲間を入れてはどうですか?」

「裏切られらるのは御免だ」

「でしたら、魔物とか奴隷とかを使うのはどうでしょう」

「あるのか?」

「あると思いますよ。中世なら普通にあることですし、魔法がある世界ですから、裏切り防止機能とか絶対にありますよ」

「子供のくせにえげつないことを考えるな」

「見た目は女の子、中身は男性。その名は不思議なアリス!」

「コナンかよ」

「それはあるんですね」

 

 さて、そんな訳で話しながら地面に敷物引いて座り、トランクケースの中を整理する。食料もあるし、テントとかもちゃんと入っている。ただ、人形達はやっぱり一切無い。道具も無いので頑張って自分で作るしかないみたい。

 

「まあ、この金塊で奴隷を買えば使えるんじゃないですか?」

「おい、お前、何してやがる!」

「え? セラエノ断章とかをコピーしています。せっかくもらったので」

 

 セラエノ断章や黄衣の王、ナコト写本を突っこんでいく。伝説武器は勇者が所持した当初、弱い初心者用の武器の形をとっているが、魔物や素材を吸収することで新たな武器が解放され、その武器に変化する事ができる。

 他にもウェポンコピーという既製品でも同じ系統の武器を手にすることでコピー可能な機能がある。また同じ武器でも品質の良い武器をコピーするとボーナスが掛かる。開放した武器はステータス画面で、スキルツリーとして表示されている。ただし武器を開放するには、必要なLvや必要個数があり、数回吸わせる必要がある。魔物によっては細かく解体することで部位ごとの武器が解放される。

 武器ごとに技能やスキル、ステータスアップ等の装備ボーナスがあり、一定の熟練で能力開放され、永続的なボーナスを得る。技能等が他の武器で重複している場合、ステータスアップ等に置き換わるらしい。今回の場合は武器のコピー機能を利用する。

 これらの知識は全部、この世界の原作で知った情報だ。私はこの世界のことを知っていた。彼、尚文の名前と伝説武器の盾から、この世界が盾の勇者の成り上がりという作品だと理解した。実際にコピーできたので間違いない。私というイレギュラーこそ存在するが大筋は変わっていないようだ。ちなみにこの世界を知っているといっても、私はそこまで詳しくは知らない。途中で読むのを止めたからだ。ただ、それで色々な強化法は覚えている。

 確か、伝説の武器には精霊がいるらしい。私の伝説の武器はGrimoire of Alice(アリスの魔導書)。つまり、精霊=私である。あはははは、ナンダコレ! そのせいか、吸わせた魔導書の知識が頭の中に強制的に入り込んでくる。

 セラエノ断章。プレアデス星団の恒星セラエノ(ケラエノ)の大図書館にあったらしい破損した石板。石板には外なる神やその敵対者に関する秘密の知識が刻まれていた。内容は、旧き印やクトゥグア召喚の術法、黄金の蜂蜜酒の製法が記載されている。蜂蜜酒は美味しそうなので作ってみよう。クトゥグアさんには会いたくないので放置。

 黄衣の王。美しくも恐ろしい言葉で埋め尽くされた一種の詩劇であるとされ、ヒアデス星団のカルコサの地を舞台にした、黄衣を着る王の存在が書かれている。この黄色の装丁の本は、読む者を狂気へと誘うと言われており、特に第二部まで目を通した者には恐ろしい運命が待ち受けていると言われている。本当になんで書いた。

 ナコト写本。クトゥルフ神話で言及される書物の中でも最も古いもの。人類の誕生するおよそ5000年前に地球を支配していた種族の残したもので、内容はイースの大いなる種族やツァトゥグァ、イタカ、カダスに関する言及、後催眠による精神操作の方法、時間遡行薬の製法、アフーム=ザーの地球到来までの詳細、写本の一部には外なる神(蕃神)の印やナコト五角形といったものが記されていて、第八断片には無窮にして無敵の神性ラーン=テゴスに関する詳細な記述が存在する唯一の書物でもある。

 

「ど、どうだ?」

「あばばばばばば」

「SANチェックに失敗しやがったか」

 

 全てを理解した私は漏らしてしまっていた。恥ずかしいので、すぐに移動して着替えてから戻る。尚文は紳士だったようで、場所を移動してくれた。

 

「で、それは言ってた理か?」

「まず、伝説の武器にはコピー機能があります。触るだけでこの通りコピーが可能です。質の良い物ならボーナスがつきますし、武器ごとに熟練度が存在します」

「本当なのか?」

「信じてください。いいですか、信じないとできません。強化法を知っていると、それだけで強化される比率が上がりますからね。それに私が尚文おにーさんを騙す必要はありません。私は貴方の味方ですよ。なんなら、私がその女を呪ってあげましょう」

「わかった信じてみる。武器屋の親父のとこに行ってみるか」

「この金塊を処理したいですしね」

「本当に貸してくれるのか?」

「いいですよ。私もやらなければならないことがあるし、それの協力をしてくれたらいいですから」

「了解だ」

 

 この世界から抜け出す条件はまだわからないけれど、最低でも波は経験しないといけないだろう。その為に力をつける。今の私ははっきり言うと魔術師としても魔法使いとしても三流や四流だ。下手をしたらそれ以下ですらありえる。私が魔法をちゃんと使えていたのは、アリスお母さんという稀代の人形師が作り上げた上海と蓬莱という賢者の石を搭載した補助機があったからこそだ。それがなくなった私など膨大な魔力をろくに制御できない小娘でしかない。だから、これは私に対する罰であると同時に試練なのだろう。だから、頑張って試練を終え、イエローさんやアセロラ、アリスお母さんや魔理沙お母さんに会いに行こう。それまで絶対に死ねない。

 

「あ、尚文おにーさん。おんぶして」

「はぁ? 何を言ってんだ?」

「いや、私って今、お金を持ち逃げした犯人として追われているんですよね?」

「ああ、糞ビッチのせいでそうなったぞ」

「うん。後でキッチリお返しはするとして、その被害にあったのっておにーさんですよね?」

「そうだな」

「で、私ことハスターはただ装備を作りにいっていただけでおにーさんにもう渡している。でも、このまま街に行っても捕まると思う。そこで私がおにーさんに乗っていたらどうかな? ただの勘違いで終わるよね? だって、あのお金はおにーさんの支度金なんだから」

「それもそうだな。だが、俺が誘拐したと思われないか?」

「私がおにーさんに頭の上で本を読むから大丈夫」

「それっておんぶじゃなくて肩車だろう。まあ、いいか」

 

 朝になったので草原を二人で歩く。オレンジ色のボールみたいなのが浮遊して複数現れたので、風の魔弾を放って叩き斬る。一撃で倒れたので魔導書に吸わせてみる。すると浮遊魔法1/100とでてきた。私の魔導書はその名の通り、魔法に関する技能が増えるみたい。ちなみにナコト写本とかはまだレベルが足りなくて解放されていないし、使えない。ただ神話知識だけは手に入った。ちなみに最初の魔導書は初心者用魔導書だった。

 

「どうだ?」

「経験値は入っていないけれど、素材を入れたから浮遊魔法を覚えさせられるみたいです。でも後九十九枚必要とのことです」

「魔法だから必要数が多いのか」

「かと思います。よっと」

 

 尚文おにーさんに肩車をしてもらいながら、初心者用魔導書を読んでいく。

 

「人の上で本を読むというのはどうなんだ?」

「まあまあ、いいじゃないですか。邪魔な敵は迎撃しますから」

「それもそうだな」

 

 鬱陶しい奴を弾幕で滅ぼし、一部はおにーさんの希望で身体の下に入れて移動していった。

 

 

 

 

 メルロマルクの城下町に到着すると、門番が私とおにーさんを見て驚いた表情をするが、無視して一緒に入っていく。街の人々が凄く注目してきて鬱陶しい。

 

「おにーさん、凄く見られてますね」

「そらそうだろうよ。性犯罪者の俺が幼い女の子を肩車しているんだからな」

「ましてやこの可愛らしい容姿ですからね」

「自分でいうのか」

「事実ですからね。あ、問題が発生です」

「どうした?」

「この魔導書、この世界の言葉で書かれていますね。読めません」

「おい、だったらどうやって魔法攻撃をした」

「私、これでも魔法少女なので、別世界の魔法なら使えます」

「……中身が男なのに言ってて悲しくならないか?」

「あははは、なるに決まってるじゃないですか。嫌ですね~もう」

「だろうな」

 

 そんな話をしながら、武器屋を目指している街中を歩いていると、前方に兵士達がやってきた。そいつらが私達の前にやってきて、包囲してくるが無視しておにーさんと話す。

 

「この国って亜人をあんまり見かけませんね。もふもふしたいのに……」

「ケモナーかよ。まあ、触ってみたいのは確かだがな」

 

 一応、危ないかも知れないからバリアを張っておこう。今だとシールドでもいいんだけどね。あ、槍の勇者とビッチ姫が来た。

 

「尚文、マインの次はアリスちゃんまで犯すつもりか!」

「その者は資金を持ち逃げした犯人です。引き渡してもらいましょうか」

「阿保か、お前達は」

「なんだと!」

「なんですってっ!」

「こいつは資金を持ち逃げなんてしてない。その証拠に俺の上で本を読んでるだろうが。それにこんな餓鬼とやる趣味なんてない。お前と違ってな」

「俺だって子供には手を、手を……」

 

 槍の勇者が私の顔を見てくるので、私は小首を傾げて可愛らしく笑ってみる。

 

「て、天使だ……」

「お前、何かした?」

「? 何もしてないですよ? 笑ってあげただけです」

 

 でも、たしか槍の勇者ってフィーロのことが好きなんだったな。だったら、同じ金髪で天使のように可愛いアリスに見惚れても仕方ない。

 

「どうでもいいわ。そんなことより捕まえるわよ!」

「だからなんでだよ」

「資金を持ち逃げした罪だと言っているでしょう!」

「いや、アレは俺が依頼した品物を作るのに離れていただけだしな」

「そうなのか?」

「そうですよ? 設備も何も無いところで作れるわけないじゃないですか」

「ぐっ……」

「それに俺の資金を持ち逃げしたというのなら、お前もそうだろが。むしろ、お前を捕まえないとなぁ」

「なんですって!」

「俺の金を持っていったのは事実だろう?」

「それはあなたが……」

「そうだとしても、没収するのはお前ではなく判決がでた後の事だ。だから、あの時点でお金を持っていったお前は犯罪者なんだよ」

「確かにその通りですね」

 

 そう言いながら、おにーさんから降りる。しかし、いっそ魅了して白状させてやるのも面白い。いや、もっと虐めてやろう。尚文おにーさんの唯一の仲間、マイン・スフィアとして旅立ち、おにーさんをその日に眠らせて全財産と装備を奪い取った後、おにーさんを強姦魔にでっち上げた張本人だから。

 

「そもそも、その強姦って本当なんですか? 私、おにーさんがそんなことをする人には思えませんが……」

「そんなことはない! そうだろ、マイン!」

「はい。私は犯されそうになりました。事実です。うう……」

「そうなんですね。可哀想です」

「おい」

「それが本当なら、ですが」

「マインが嘘をついているとでも言うのかな?」

「私にはわかりませんが、あなたの評判は調べた限り、とても悪いですよ。人を騙して貶めることが大好きなようですね。マイン・スフィア。いえ、メルロマルク第一王女、マルティ=S=メルロマルク」

「嘘よ! 私はそんなことをしません! 信じてください!」

「ああ、もちろんだ。嘘はよくないよ、アリスちゃん」

「第一王女なのに第二王女の方が王位継承権が高いということから、事実でしょう。実際に調べてみましたか? もっとも、口止めはしているでしょうが」

「それは……」

「後、証拠はでたんですか? 例えばその人が処女喪失しているとか、尚文おにーさんが童貞であるとか」

「おい」

「それはないが、されていないならマインが悲しむはずないだろう!」

「いえ、人を騙して陥れることが好きなら普通にやりますよ」

「私はしていないわ! そっちこそ、そう言うのなら、私が嘘をついているって証拠を出しなさいよ!」

「わかりました。証拠は出せませんが、嘘をついているかどうかは判明できます」

「え?」

「本当か?」

「ええ、本当です。というわけで、やってみせましょう。そこの兵士の人、少し借りますね」

 

 おにーさんに持ってもらっていたトランクケースの中から、ただのお水を取り出します。

 

「では、すいませんがこの水を飲んでください」

「は? なんで俺が?」

「大丈夫です。少し手足が動かなくなるぐらいですぐに回復する濃度にしておきますから」

 

 ニヤニヤしていたビッチの取り巻き兵士の人に魅了の魔眼を使って支配する。

 

「わかった」

 

 水を飲ませてからしっかりと質問する。

 

「あなたは人間ですね?」

「そうだ」

 

 この質問には何もしない。

 

「あなたはモンスターですか?」

「違う」

 

 そう答えた瞬間に身体の自由を奪う。

 

「な、なんだ、身体が動かないっ!」

「では、次の質問です。今回の尚文おにーさんによるそこの人の強姦事件はでっち上げだと思いますか? あ、嘘をついたら自分の顔を殴ってください」

「でっち上げじゃな――ぐはぁっ!?」

 

 思いっきり殴った。ガントレットを装備しているので、歯がボロボロになったね。

 

「ああ、なんてことなんでしょう。やっぱり嘘だったんですね!」

「ちっ、違うわっ! そいつがおかしいのよ!」

「でしたら、続いての質問です。彼女はこういうことをよくしますか? あ、次は強力な物で自分を刺すことになります。場所が悪ければ死にますよ? 正直に答えてくださいね?」

「うわぁ、鬼だな。いい気味だが」

「や、やめたまえ!」

「何故ですか? 冤罪を証明してみせろと言ったので、証明しているだけです。私は何も悪い事をしていませんよ?」

「だが、自分で自分を刺すなんて……」

「そうですね。ここはご本人にしてもらいましょう」

「ふざけないで! そんなの飲めるわけがないでしょう!」

「何故ですか? あなたが言っていることが事実であれば、なんの問題もないことは最初の質問で証明されています。つまり、飲めない理由はあなたが嘘をついているからということですね。以上、QED。証明終了です」

 

 両手をあげてできていた野次馬の皆に宣言する。

 

「なななっ!」

「今回の事件はマルティ=S=メルロマルクのでっち上げによる冤罪です。性格が悪くて王位継承権を下げられたのも納得ですね。第二王女は素晴らしい人だと聞いているのですが、なんでこんなのが生まれたんでしょうか。残念でありませんね」

「ふざけんな! 私はやってない!」

「なら、飲んで証明してください。私は言われた通りに証明しました。反論があるのなら、次はそちらが証明してください。できれば、ですが」

「お、おい……」

「えっと、アリス?」

「あはははは、できないですよね? もうこうなったら幽閉でもされるか、死刑になってください。貴女がやったことはこの国どころか、全世界に対する反逆ですよ? 波による世界滅亡の危機にただの嗜好によって勇者の関係を崩壊させる。ましてや協力し合わないと勝てないと伝承に残っている終末の波へと着々と時間が過ぎているという時に、自分の嗜好を優先して世界中の人々や動物達を危険にさらして道連れに死のうとするなんて、あなた正気なんですか? 自殺したいなら勝手に一人で死んでください。それともここに居る皆さん自殺志願者なのでしょうか? それだったらごめんなさい。私とおにーさんは付き合いきれないので、皆さんの敵になります。生き残りたいですから、当然ですよね?」

 

 大勢集まった民衆の前で堂々と宣言し、流布する。自らを自殺志願者だと言われた民衆はどうなるかと言われたら、当然のように否定する。

 

「死にたくないなら、そこの元凶を皆さんでどうにかしましょう。王様は家族には甘いですから、おそらく注意だけするか、それともこのまま野放しにして世界滅亡まで放置するでしょう。ですから、皆さんでこの国の真の支配者である女王陛下のところまで届けてやろうではありませんか! 民の総意として世界を危機にさらした大罪人として処刑しろと! そうすれば勇者達は互いに協力して世界を救ってくれるでしょう!」

 

 くるくると回るように話し、片っ端から反論しようとする三勇教の連中であろう連中を魅了し、サクラに変える。三勇教は本来なら、四聖教という宗教だ。だが、数代前の盾の勇者が人族と対立する亜人に味方したため、メルロマルクでは四聖教から分派して他3人の勇者を神格化した三勇教という宗教が成立しており、盾の勇者だけは一段低くみられている。極端な三勇教関係者からは悪魔呼ばわりすらされている始末である。そして何より、波に関することは誇張でもなんでもなく、事実である。本当に世界滅亡の危機なのだ。

 

「ふざけるなぁあああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!? 私は王女なのよ! それを処刑ですって!」

「では、貴女は自分の命よりも世界の方が軽いというんですね?」

「そうよ! 私が――」

 

 私が聴いた言葉がなんだったのか、はっとして気付いたようだ。でも、もう遅い。

 

「聞きましたか? この人、今、自分で認めましたね。世界を滅亡させることよりも、自分の嗜好を優先すると!」

 

 上げ足を取って論点をすり替える。先導した民衆たちは憎悪を滾らせ、王女や兵士に向かう。いや、兵士も王女に武器を向けている。

 

勝った

「悪魔か、お前」

「私は本気ですよ。この世界と心中する気はありませんからね。いざとなればハスターだろうが、クトゥグアだろうが召喚してやります」

「頼もしい限りだな」

 

 槍の勇者はオロオロして、どうしたらいいのかわかっていない。今や、城下町のほとんどがビッチを排斥しようとしている。

 

「そこまでだ! 何をしている!」

 

 城から沢山の兵士達が来たので、私は尚文おにーさんと一緒に前に出る。ついでに魔弾を配置して何時でも潰せるようにする。コントロールはできなくても、過剰魔力で爆発させるぐらいはできる。

 

「お前達は……これは貴様等の仕業か!」

「いえ、王女の自爆ですね。私は彼女が盾の勇者の無実を証明しろと言われたので、しっかりと証明しました。その結果、彼女は世界を滅亡させようとする敵の先兵であることが判明しただけです」

「なんだと?」

「違うわ!」

「ですが、自らの嗜好で世界を滅ぼそうとしているのは事実です。ですから、女王陛下に直接引き渡してお願いしようと皆で話していました。王様はこの現状を放置するという甘すぎな判断をしました。それによって世界が滅亡することが確定しかけているなど、失礼ですがさっさと引退なさったほうがいいでしょう」

「きっ、貴様等っ、不敬であるぞ!」

「不敬もなにも、世界が滅んだらそれどころじゃないでしょう? それとも、貴方達が責任をとってくれるんですか? それならどうぞ、次の波の時にその先に行って敵を滅ぼしてきてください」

「っ!?」

「な、なにもそこまで言わなくても……」

「槍の勇者。貴方はこの世界がゲームだと思っているのですか? 言っておきますが、本当に死にますよ? それに生半可なことでは勝てません。敵は波なんて次元を操れる神様のような存在なんですからね? 言ってしまえば初期装備でラスボスに挑むようなものです。ご都合主義なんてありませんよ? もし、そう思っているのなら、今すぐ死んでその武器を次代に託してください。邪魔です」

「そ、そんな……」

 

 いざとなればそれも視野に入れて行動する。仮死状態にしておけば、保存は容易だ。だから、尚文おにーさんだけ助けて、他は殺してもいい。こっちは遊びじゃない。Grimoire of Alice(アリスの魔導書)によって強制的に戻されるかどうかもわからないんだ。だから、生き残るために必死に頑張る。

 

「そこまでにしておけ。お前が俺のために色々と言ってくれたのは助かった。でも、このままじゃクーデターにならないまでも、反乱になるぞ」

「それも必要でしょう。女王陛下が戻れば全てを任せればいいのです」

「そんなに凄い人なのか?」

「ええ、とっても優秀な人です。第二王女もそうです。彼女達は味方だと思っていてください。ただ、王女の方は甘いですが……」

「よく調べられたな」

「ハスターからの情報ですからね」

「なるほど。でも、これどうやって収めるんだ?」

「私に考えがあります。女王陛下に仕える影。今すぐ女王陛下に伝令を送って帰還してもらうようにしなさい! さもないとこちらの判断で世界の敵を処理すると。それと今回の件は他の国にも通達させてもらいます! そうなれば勝手に四聖勇者を召喚してこの国はどうなるか、聡明な女王陛下ならお判りになるでしょう! さて、皆様。今回は女王陛下にご判断を仰がせてもらいましょう。それまでこの女は彼等に任せましょう。彼等の行動次第で私達勇者は世界の為にこの国を討つことも検討します」

 

 というわけで、尚文おにーさんを連れてさっていく。武器屋に入ると、私はへたり込む。

 

「あ~疲れました」

「やりすぎだろ、アレ」

「聞いてたが、そこの嬢ちゃん。やばいな」

「詐欺師だな」

 

 詐欺師とは失礼だが、こちらの手札を知っているのだから、尚文おにーさんは間違っていない。アリスちゃんは悪い子です。

 

「ふっふっふっ、クトゥルフ神話の魔導書三冊分に冒されたアリスちゃんが良い子だと思ったのですか?」

「あー発狂状態か。精神分析がいるな」

 

 正気なんて時の彼方ですよ。だって、この場で殺さない限り、ビッチ姫はこれからどんどん酷い事をしてきます。まず、第二王女の暗殺。勇者が駄目だとみると、三勇教と組んでクーデター。その後も鞭の勇者と組んで色々とおこす。本当に、まごう事なき世界の敵なのだ。そんな奴がこれからどうするかなんてわかりきっている。私達を暗殺しようとしてくるだろう。

 

「ああ、もう。本当にどうしましょう? 暗殺者が送られてきますよ? いや、尚文おにーさんへの敵意を分散できましたし、街の人は味方につけましたけど……」

「魅了して送り返すか、手駒に加えたらいいじゃないか。というか、俺の為だったのか」

「それもありますよ。私は多分、死なないですからね。痛くて怖いですが、頑張ってみます」

「アリス……」

「この嬢ちゃん、いろんな意味で本当にすごいな」

「はいはい、この話は終わりです。それよりも、次の話をしましょう。おにーさんに盾を見せてあげてください。それと奴隷商を教えて欲しいの。えっと、黒い帽子を被った眼鏡をかけた人で、服も黒いタキシードで、羽がいっぱいついている人」

「そいつは多分、アイツだな。しかし、奴隷を買うのか?」

「私達は一緒に居ても経験値が入らないし、おにーさんは攻撃力がないから奴隷を使うしかないの。仲間はあの糞女の手が入ってるかもしれないしね。私は魔物を使うつもりだから」

「まあ、それなら教えてやるよ。で、盾を見せるのって……」

「コピーするんだよ」

「なんだと……金払えよ」

「まあまあ、触れるだけだから安くしてください。銀貨1枚くらいで」

「勝手にコピーされるよりは保管代として考えたらいいか。だが、もうちょいくれ」

「贔屓にしてやる。だからタダで見せてくれ」

「出世するからお得ですよ?」

「嬢ちゃんなら、本当にそうなりそうだから、いいか」

 

 それから、武器屋の親父さんことエルハルトさんに尚文おにーさんが武器を見せてもらい、私達は奴隷商に向かっていく。外では討論が繰り返され、ビッチの王女のことが話し合われて彼女の罪が色々とでてきている。何時襲われてもいいように反射のバリアだけは使っておく。コントロールが難しいし、倍以上の魔力を使うけれど仕方がない。

 

 

 

 奴隷商は大きなテントがある場所で、まるでサーカスみたいなところだった。

 

「いらっしゃいませ。これはこれは今を時めく盾と魔導書の勇者様ではないですか! 先程の演説を聞かせていただき、とても感銘をうけました。彼女は確かに世界の敵ですな」

「そういう貴方は女王陛下の手の者ですよね」

「そうなのか?」

「おやおや、これは末恐ろしいお嬢さんですな。その通りです。私は女王陛下から盾の勇者様達を支援するように仰せつかっております。ですので、色々と勉強させていただきますとも、はい」

「まあいい。俺は奴隷が欲しい」

「私は魔物を使役しているので、魔物紋とかに使うインクが欲しいです。それと換金をお願いしますね。こちらです」

「金塊ですね。かしこまりました。すぐにご用意させて頂きます。それと魔物を見せていただけますかな?」

「わかりました」

 

 トランクケースに入っていた二匹のポケモン。その子達を呼び出して見せてあげる。

 

「おお、このような魔物は見たことがございません! できれば売っていただきたいのですが!」

「絶対に嫌です」

「そうですか。しかし、不思議な物に入れておられるのですね。魔導具でしょうか?」

「そんな物です。魔物紋がなくても言うことを聞いてくれますよ」

 

 二体を撫でながらそういうが、奴隷商の人は顔をしかめる。

 

「失礼ですが、魔物紋は入れなければなりません。これは法律で決められておりますし、街に入れることができなくなります」

「なるほど。痛いけど我慢できる?」

 

 二体が頷いてくれたので、入れてしまおう。

 

「それ、ポケモンか?」

「知っているんですか?」

「ああ、俺もやったことがある」

「そうです。ポケモンです、この子達は6Vかどうかわかりませんが、親は6Vメタモンです」

「廃人じゃねえか」

「あっはっはっ、現実になった状態で伝説ポケモンに挑むんですよ? 選別しないとやばいです」

「……ご愁傷様」

「なんのお話をしているかわかりませんが、ご案内いたしてよろしいでしょうか?」

「ああ、頼む」

 

 そのまま奥に行って奴隷を見せてもらう。中にはラフタリアもいたけど、お金に余裕があるからか、どうするか悩んでいる。ここは手助けをしないと駄目かもしれない。

 

「あ、尚文おにーさん。私が貸すお金であの子を買ってあげてください」

「あの女の子か?」

「はい。尚文おにーさんの盾なら、治療できるはずですし、いいと思いますよ」

「だが、お前はどうするんだ?」

「私は魔物しか買いません。そういうわけで、魔物を見せてください」

「かしこまりました」

 

 さて、何の魔物を買おうか。竜帝狙いでドラゴン? 空を飛ぶのは便利だけど、それって私にはこの子がいるし、進化したらいらなくなる。じゃあ、チョコボっぽいフィロリアル? ちょっと、かなり興味がある。でも、フィロリアルクイーンになったら少し困るな。ドラゴンが嫌いだし、ボーマンダとかも嫌いなんだろう。竜帝の核だけ集めた方がいいかも。うん、やっぱりドラゴンにしよう。尚文おにーさんがフィロリアルに行くし、私はドラゴンだ! 

 

「ドラゴン、いますか?」

「ドラゴンはお高いですよ?」

「ですよね。おいくらですか?」

「そうですなあ、金貨が必要ですな」

「よし、買います」

「残念ながら、他の勇者様が買っていかれました」

「そうなんですね……」

 

 やっぱりフィロリアル買おうかな。いや、ここは卵ガチャをしようかな。

 

 

 

 




なんでこうなった。気が付いたら扇動していました。アリスちゃん、発狂モード。

魔物ガチャどうしようかな。



 ―――――――――――――――――――――――――――――



 ネーム:Grimoire of Alice
 ベーシック:東方・旧アリス
 アリスポイント:0
 スキルポイント:0
 アリス(東方旧作):《捨食》《捨虫》《魔力Lv.9》《人形を操る程度の能力Lv.10》《バリア(反射)Lv.4》《弾幕Lv.1》
 久遠寺有珠(魔法使いの夜):《魔術刻印Lv.1》《プロイキャッシャーLv.1(左目)》《魅了の魔眼Lv.1(左目)》《運動音痴Lv.6》
 聖夜の旅人アリス(幻獣契約クリプトラクト):《鏡の世界の紅き祭典》《マッドスウィートケイクLv.10》《真っ赤なお口のトナカイさんLv.10》《2回行動・強》《滅殺・魔族キラー》《滅殺・ウォーリアキラー》
 魔導書の勇者:《神話知識Lv.10》《セラエノ断章》《ナコト写本》《黄衣の王》


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オルフェンズのアリス開始時期およびルート

  • 火星でMAの登場から開始
  • ビスケットを助けるため、地球辺りから
  • 女神Aliceの名の下に人類管理ルート
  • マクギリスと一緒。ギャラルホルンルート
  • マクギリスの代わりにアリスになるルート
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