フォーブレイに居た私とお母様は影に知らせられた情報からすぐにメルロマルクに飛竜などを使い潰すような速度で戻った。その途中で教えられたのはお父様と姉上がとんでもないことをしでかした事と、勇者のお二人が民を扇動してクーデターを起こすような発言をした事。これにを潜んでいたシルトヴェルトの影が本国に報告し、シルトヴェルトは戦争を開始する。元々何時でも攻められるように準備はされていたのだけど、波によって中止になっていた。中止の間も波対策ということである程度は維持されていました。それだけならまだどうともなりましたが、シルトヴェルトは他の国々にも伝え、勇者様達が姉上を世界の敵認定したことを理由に連合軍を結成。その上で僅かな時間をもって攻めてきたのです。
私とお母様はそのことを城に到着する直前に知りました。同時に城でも既に勇者様達による戦いが始まっていて、私達が突入するころにはすでに終わっていました。
それからお母様に言われたのは今回の原因の大半がはお父様と姉上にあり、小さな勇者様がうっかりしていたせいでもあるようです。私とお母様、お父様は奴隷になることでなんとかこの国を助けることができるみたいでほっとしているの。
「おい、大丈夫か?」
「は、はい、大丈夫です……」
緊張しながら私を抱きしめている盾の勇者様、私のご主人様に返事をする。私は今、見た事もない使役されたモンスターさんに乗せられ、後ろから抱きしめられるようにして設置された席に座っている。このモンスターさんは空を凄く速くて飛んで驚くことばかり。飛竜よりも速いのがわかる。風圧が凄くて、ご主人様が盾で守ってくれないとすぐに振り落とされてしまいそう。
「そうか。方角はこのまま進めばいいのか?」
「そうです。このまま行けばシルトヴェルトとの国境に到着するはずです……」
ご主人様の手は片手が私のお腹に回され、もう片方の手が手綱を持っています。これからどうなるかと思うと不安でしかなく、とっても怖い。盾の勇者様は姉上の事が大っ嫌いだし、それは私も同じだけれど、姉上にしようとしていた復讐を私が肩代わりしなければいけないとなると、心の底から恐怖が湧き上がってくる。でも、我慢するしかない。私が必死に耐えれば、メルロマルクは生き残り、国民は助かるのだから。それが王族の役目。後、豚に犯されて殺されるのだけは絶対に嫌。それならこちらお方がまし……になるといいな……その前に、確認だけはしておかないと。
「あっ、あの、ご主人様……」
「なんだ?」
「わっ、私の立場でこんなことを言うのは駄目なのはわかっていますが、お願いがあります……」
「なんだ? 聞くだけは聞いてやる。どうせ暇だからな」
「はっ、はいっ、ありがとうございます……」
と、とりあえず、話は聞いてくれるだけの度量はあって良かった。これから酷い目に合うだろうけれど、こればかりは約束してもらわないと駄目だから。
「まず一つ目は亜人の人達だけでなく、人も平等に扱ってください」
「当たり前だ。差別するつもりもない。世界の危機だってのにそんなくだらない事をしている方がおかしいんだ」
「良かった」
ご主人様は怖い人みたいだけれど、優しいところもあるみたいね。敵にだけ容赦しない人なのかも知れない。でも、そうなると一番警戒するのはあの金髪のちびっ子勇者様。子供のせいか、考えが足らずに発言してるし。戦争を起こすつもりがなかったって、それならあんなところで民を扇動なんてしないでよ! せめて城でしなさい! ってすごく言いたかった。
「税金とかは……」
「そのへんのことはわからないから、女王に任せる」
「いいの、ですか?」
「国の事など素人の俺がやるより、アリス曰く優秀らしい女王に任せる方がいい結果になるだろう」
「そっ、それもそうよね! あっ……」
つい敬語を忘れてしまった。これは罰を与えられるかも……
「敬語とかは使わなくていいぞ」
「いいのですか?」
「ああ、構わない」
「ありがとう、ご主人様」
「ご主人様も止めろ。尚文でいい。俺を裏切らなければそれでいい」
「ナオフミ様……」
「様も止めてくれ」
「わかった。それで、もう一つお願いがあるの。私、その、はっ、初めてだから、最初は優しくして欲しいの……その、その後ならひどいことをしてもいいから……」
考えるだけで涙がでてくる。一度、姉上に拷問をしているところを見せられたけど、あんなに鞭を打たれるのなんて身体が震えてくる。
「お前、自分と国民ならどっちを選ぶ? 命令だ。嘘偽りなく答えろ」
「国民だけど?」
「本心でか?」
「うん。それが王女の、王族の役目でしょ?」
「嘘じゃないみたいだな。どうやら、本当にあのビッチとは違うようだ」
「ビッチって姉上のこと? 正直、姉上と一緒にして欲しくないのだけれど……これから姉上のせいで酷い目にあうのに……」
「わかった。名前、なんだったか……」
「メルティ。メルティ=メルロマルクよ」
「わかった。メルティ、お前がどう思っているか知らないが、拷問なんてしない」
「ほ、本当に?」
それが本当なら、凄く嬉しい。後は身体を重ねることだけだし、そっちはいい。子供を生むのも王族や貴族に生まれた娘の役割だし。
「ああ。まあ、それに子供だし手を出すつもりもない」
「待って、それは待って」
「どうしたんだ? お前……メルティも好きでもない男の子供を生むのは嫌だろう?」
「何を言ってるの! それだと駄目なのよ! ナオフミがどう思ってるか知らないけれど、ナオフミとの子供ができないとメルロマルクや私は終わりなの! 盾の勇者様の子供を宿すことで許されるようなものなんだから!」
「だが……」
「それに、好きでもない人と結婚するのなんて当たり前なんだから」
「ああ、貴族や王族って政略結婚が当たり前か」
「そうよ。それにこれからの事を考えると私とナオフミの子供は絶対に必要なの。だから、ナオフミは気にせずに私のことを好きにしていいの。私はちゃんとナオフミと子供に愛情を注ぐから……お願い」
私がナオフミの子供を生まないと、延命だけになって禍根が残る。ナオフミが存命中なら、シルトヴェルトとは戦争は起こらないだろうけれど、それが終わった後は恐らくまた戦争になる。
「未来の事を考えたら必要か」
「ナオフミが嫌なら、子供さえくれたら捨ててもいいから……」
「メルティにとって、本当に国民の方が大切なんだな」
「そうだけど、悪い?」
「いや、悪くないが……王族って大変なんだな」
「大変なのよ……なのに姉上は……」
「たく、わかったよ」
ナオフミが私の頭を撫でてくる。不思議に思って見上げると、怖い顔じゃなくて、優しい表情をしていた。
「望む通りにしてやる。けど、こっちからも条件付きだ」
「なっ、なに?」
「ちゃんと自分の幸せも探せ。いいな?」
「でも……」
「自分が幸せじゃない奴に他人を幸せにできるか」
「……わかったわ。頑張ってみる」
「それでいい」
なんだか心があったかくなってくる。身体を預けて回された腕を握っていると、次第に国境の砦が見えてきた。そこから煙が上がっていて、轟音が聞こえてくる。それにフォーブレイで見た飛行機までやってきている。
「戦争が始まっているのか……というか、飛行機まであるのか。仕事しろよ、ファンタジー」
「ど、どうしよう!」
「突っ込んで止める。ルクス、防御は任せてくれ。メルティは魔法が使えるか?」
「つ、使えるわ。水と土が使えて、水が得意よ」
「なら、水で攻撃してくれ。俺が必ず守ってやるから、安心して攻撃してくれ」
「う、うん……」
守ってくれると言われて少し嬉しくなった。
「ルクス、砦をかすめるように破壊光線を撃ってくれ」
「ガァ」
光が集まって、七色の光が飛んでいって砦をかすめ、地面に着弾して大きな爆炎を巻き起こす。
「メルティ、水を雨の様にしてふらせてくれ。ルクス、そのまま降りてくれ」
「は、はい!」
「ガァ」
言われた通りに魔法を使い、どうにか雨にする。ルクスと呼ばれた子がゆっくりと降下していく。戦っていた人達は全員、こちらを見詰めている。どちらもまとめて攻撃した感じになるから、警戒されている。
「俺は盾の勇者をしている岩谷尚文だ! メルロマルクの王女もいる! 戦闘を中止して話し合いの場を希望する! すでにメルロマルクとは話がついている! 戦う必要はない!」
これで戦争が止まる。そう思ってほっとすると、空から光が降ってくる。
「ちっ」
ナオフミが何枚もシールドを展開して防いでくれる。ただ、高度は下がっていく。周りをみると、砦にいた連中は私達を狙って攻撃してきていた。
「盾の勇者を騙る偽物だ! 殺せ!」
「我等が神の為に!」
「な、ナオフミ……」
「三勇教か。状況のわかってない奴が多すぎるぞ……ちっ」
ナオフミが舌打ちすると、今度はフォーブレイの飛行機からも攻撃された。銃という物から放たれる鉛が飛行機から無数に発射されてくる。ナオフミは私をしっかりと抱きしめて盾で守ってくれる。
「や、やめてっ! 私はメルティ=メルロマルクよ! すぐに戦闘を中止なさい!」
声を張り上げて伝えても聞いてくれない。フォーブレイと三勇教、それにシルトヴェルトの一部が戦闘を開始して、三つ巴になっている。
「奴は盾の勇者を騙る偽物だ! メルロマルクが用意したのだろう! 全軍、攻撃を休めるな!」
聞き覚えがある声がする。これはフォーブレイであったしつこく私に付きまとってきた鞭の勇者ね。
「タクトの声ね」
「タクト……ああ、あいつか。それならいいな」
ナオフミが怖い顔でニヤリと笑う。凄く悪役みたいだけど、頼もしい。
「全員に告げる。俺が盾の勇者であることを証明する。だから、一度攻撃を止めて地上で話し合いをしようじゃないか。それとも、話し合いすらできないということは、貴様等こそ世界の敵だということを認めることになるぞ! それとも、俺達が怖いのか? シルトヴェルトはどうだ!」
「全軍、攻撃停止! 我がシルトヴェルトは話し合いに応じよう!」
「メルロマルクも攻撃を中止しなさい! これは女王陛下の命令です! 逆らうのなら逆賊として処分します!」
「偽物の言う事など無視して攻撃を続けよ!」
「ふざけんな! 本物だったらどうしてくれる!」
「俺達を巻き込むな!」
メルロマルクの砦の方では逆に乱闘が発生しちゃった。これはどうしよう?
「無視だ。今はシルトヴェルトを説得して味方にする。それともう一つ、良い手がある」
「わかった。ナオフミを信じる……はやく、戦争を止めないと……」
「そうだな」
私達は攻撃を止めているシルトヴェルトの近くに降りる。降りる時にナオフミがお姫様抱っこをして飛び降り、地面にしっかりと降ろしてくれた。
「失礼。私はヴァルナール。今回の解放軍を纏めております」
「シュサク種の方ですね。お久しぶりです。私はメルティ=メルロマルクです」
「はい。確かに本物のようですね。それで盾の勇者様かどうかですが……」
「この方で間違いありません。儀式魔法の裁きを一人で防ぎきったのですよ?」
「確かに……」
「まあ、これを見てくれ。盾を変形させる」
ナオフミが皆の前で色々な盾に変えていく。それを見たシルトヴェルトの人達は頷いていきます。
「これで俺が盾の勇者だと認めるか?」
「そうですね」
「待て。盾を変えるだけならトリックかもしれんぞ」
「だが、防御力は確かに……」
「ああ、それならヴァルナールだったか、アンタの武器をかしてくれ」
「わかりました」
ヴァルナールさんから武器を受け取ると、ナオフミが持とうとした武器が弾かれた。
「四聖勇者は違う武器を持てない。これが証拠にならないか?」
「いえ、十分でございます。貴方様は間違いなく、盾の勇者様で間違いありません」
「じゃあ、会談の用意をしてくれ」
「かしこまりました」
「メルティ、後は任せる。俺はアリスを連れてくる」
「あの子が必要なんですか?」
「お前は嫌っているかもしれんが、この場では必要だ」
ナオフミが私の耳元で囁く内容に顔が青ざめる。
「わかったか?」
「は、はい。お帰りをお待ちしています」
「ああ。すまないが、一人勇者を連れてくる。会談の準備をしておいてくれ。メルティが残る」
「失礼ですが、彼女の扱いはどのように?」
「わ、私は……」
睨み付けられて凄く怖い。でも、言わないと駄目なので奴隷だと言おうとしたら、ナオフミに抱きしめられた。
「こいつは俺の女だ。妻として丁重に扱ってくれ。それとメルロマルク側の代表だ」
「かしこまりました」
「じゃあ、すぐに戻る。ルクス、メルティの護衛を頼むぞ」
「……了解……」
ルクスと呼ばれたモンスターが光って人型になる。手足は機械でできているけれど、基本的な部分は女の子で……裸だった。
「これを着ておけ」
「……感謝……」
ナオフミが黄色の外套を渡し、彼女がそれを身に纏う。その後は私のすぐ横についた。
「その方は……」
「こいつは新しく現れた勇者のモンスターだ。移動の為に借りて来た。一時間で戻ってくる。それまでに用意できるよな?」
「もちろんです」
「では頼む。ポータルシールド」
ナオフミがポータルを通ってこの場から消えた。それを見てシルトヴェルトの人達はやはり勇者で間違いないと納得して準備していく。
一時間後。会談場所は砦から少し離れた草原に椅子と机を用意して互いの軍勢で見守るようにして行うことになった。設営が完了し、少しするとナオフミが金髪の小さな女の子を連れて戻ってきた。その後ろには可愛らしい小さな女の子が人形を抱き、メイドさんを連れて現れた。
「お待ちしておりました。こちらにどうぞ」
「ああ、ありがとう」
今回の会談にはメルロマルクとシルトヴェルト、フォーブレイ、その他の方々が座っている。フォーブレイから来た鞭の勇者は私のことをいやらしい目で見てくる。逆に後ろにいる女の子達はこちらを睨んできていた。私達はそれぞれの席に座る。私はナオフミの隣で、魔導書の勇者である女の子も座っている。
「さて、まずは呼びかけに応えてくれたことを感謝する。改めて名乗ろう。俺は四聖勇者の一人、岩谷尚文。こっちは魔導書の勇者アリスだ」
「聞いたことがないな……」
「本当なのか?」
「本当ですよ。もう一つ、この世界では失伝しているようですね」
「それが本当なら探さねば……」
「場所は知っています。ただ、あそこは生半可な手段では突破できません」
「どこにあるのだ?」
「プラド砂漠にあります。空間の幻覚が発生していますので、それを破らない限りは無理です」
アリスちゃんの言葉に皆が騒然としている中、タクトだけはニヤニヤと笑ってアリスちゃんを見ている。流石にアリスちゃんに手を出すのは駄目だと思うのだけれど……
「さて、アリスが魔導書の勇者としての力があるかどうかは確認するといい。アリス」
「はい、任せてください。反転結界、展開」
魔導書が勝手に開き、この辺り一帯を半透明な円形の膜で覆ってしまった。
「これは聖域ですか?」
「それの亜種だと思ってください。これで少なくとも勇者としての実力があると認めてもらえますね?」
「もちろんです」
「ああ」
「では、本題に入らせてもらう。メルティ」
「はい。ご説明させていただきます。まず、我が国は女王陛下と私が外交をしている間に三勇教と我が父、オルトクレイとマルティ=メルロマルクによって乗っ取られました。その後、愚かにも四聖教より三勇教が強奪していた触媒で四聖勇者の召喚を行いました。ここまでは皆様はわかっておられると思います」
皆が頷いたのを確認してから続けていく。
「オルトクレイと三勇教は盾の勇者様とそれを庇った魔導書の勇者様を迫害し、他の勇者様を騙して殺そうとしました。それも波を終息させた宴と称して、お二人を集めて教皇率いる三勇教の信徒達と我が国の兵士を動員しました。しかし、盾の勇者様と魔導書の勇者様によって鎮圧され、首謀者達は捕らえられました。三勇教の者達に関しては四聖教の方やシルトヴェルトの皆様に引き渡させていただきます」
「ああ、わかった」
「しかし、それだけではあるまいな?」
「もちろんです。私と女王陛下、オルトクレイは今回の責任を取って奴隷として盾の勇者様にお仕えします。また、私は同時に盾の勇者様と結婚し、メルロマルクを盾の勇者様に全てお任せすることにしました」
恥ずかしいけれど、胸元を開いて普段は消えている奴隷紋を表して皆に見せる。身体を見られて顔が真っ赤になり、涙がでてくる。
「もういいだろう」
「あっ」
ナオフミが私を抱き寄せて膝の上に乗せて、開けた胸元を隠してくれる。私はそのまま身体を預けて抱き着く。これで私がナオフミの物になったことの証明となる。予想通り、ざわめきが起こった。
「シルトヴェルトは歓迎いたします。盾の勇者様にメルロマルクが治められるのなら、我等に戦う理由はございません」
「はい。シルトヴェルトには後程、正式に平和条約と同盟の締結を打診することになると思われます。その時に互いの国にいる奴隷についてもお話することになるでしょう」
「かしこまりました。そのように調整させて頂きます」
後、伝えないことはあったかな? シルトヴェルトはこれでいいし、あちらも乗り気だ。敵対国がシルトヴェルトの信仰する神が治める国になるのだから、歓迎されるだろうし。でも、タクトはナオフミの事を睨んでいる。
「私としてはメルロマルクとシルトヴェルトが将来的に合併してくれる方が嬉しいですね。尚文おにーさんに獣人の方を娶ってもらえば可能ですよね?」
「確かにそうですね」
「待てよ。それはあくまでもソイツが本物の勇者だったらだろ? 召喚した奴等は偽物だと言っているんだし、本物かわからないだろ?」
「それはそうですな?」
「シルトヴェルトはこの方を盾の勇者様だと認めます」
「シルトヴェルトが言うのなら……」
「フォーブレイは認めないぜ」
「フォーブレイが言うのなら……」
どっちつかずは必ずいるのね。こいつら、駄目じゃないの?
「失礼ですが、誰でしょうか?」
「俺はタクト。鞭の勇者だ」
「そうですか。それがフォーブレイの決定ということですか?」
「そうだ」
「たかだか前線指揮官ごときが決められる内容ではないのですが、断言するということは王の名代としての発言と受け取らざるを得ません」
「なんだと!」
「事実です。勇者様を偽物だと断言するのなら、それは証拠を用意し、フォーブレイの王と四聖教の教皇が調べて宣言することであり、ここに居る者達が判断することではありません」
アリスちゃんが言う事はもっともね。確かにそれは前線指揮官が判断することではない。四聖教の教皇様が決めることよね。そう思っていると、アリスちゃんを護衛していた子達がいない。タクトの近くにいる二人の後ろに回っていた。
「確かにその通りです。今回の話し合いは戦争を止めることについてで、盾の勇者様が偽物かどうかなど関係がありません」
「そうだな。俺は王として要請する。シルトヴェルト以外の軍は即時退却を頼もう。シルトヴェルトに関してはここに残り、警備していただきたい。外交官などを用意して王都にきて欲しい」
「かしこまりました」
「待てよ! メルティちゃんを奴隷にするような奴が盾の勇者なわけないだろ!」
「それとこれとは関係ありません」
「関係なくはないだろう! そいつは盾の勇者としてこの戦いを止めたんだ!」
「そうですね。ですが、すでに解決しておりますし、大義名分はありません。それに我がシルトヴェルトが外交官を派遣する時に内部調査させて頂きます。それでよろしいでしょうか?」
「構いません。むしろ、半分ほど軍を入れて兵力を貸していただきたいぐらいです」
「よろしいのですか?」
「あなた方は盾の勇者様の顔に泥を塗るような事はなさらないですよね? もちろん、監視はつけさせてもらいます」
絶対にフォーブレイは入れない。シルトヴェルトは入れてもいい。彼等はナオフミを盾にすれば、信仰のために変なことはできない。
「いい加減にしろ! そんな奴にメルティちゃんの国を任せられるわけないだろ!」
「だから……」
「どうしても認められないのですか?」
「そうだ!」
「わかりました。では、尚文おにーさんが盾の勇者であることを証明しましょう」
「やれるものならやってみろ!」
「はい。尚文おにーさん、お願いします」
「わかった。だが、本当にいいんだな?」
「くどい!」
「では……眷属器よ。盾の勇者の呼び声に応じ、愚かなる力の束縛を解き、目覚めよ」
「なっ、なんだっ!?」
タクトの身体が光って、眷属器が三つもでてくる。鞭と爪、槌が宙に浮かんでいる。
「さて、どういうことか説明してもらおうか」
「どういうことだと! この盗人めっ! 俺の武器を返せ!」
驚いていると、ルクスと呼ばれた子が腕から七色の光線を連続で出してタクトの後ろにいた女の子の胸を撃つ。引き抜かれた場所にメイドさんが腕を突き入れて何かの欠片を取り出した。
「ガァアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッ!!」
「レールディアっ!」
「あっ、あああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「アシェル!」
もう一人の子は赤紫色の髪の毛をしたいつの間にか現れた女の子が逆さまの状態で宙に浮き、彼女の瞳を覗き込んでいた。すると彼女は頭を押さえてかきむしっている。
「はい、皆様ご注目。眷属器が三つ。それも二つは他の勇者が所有しているはずのものです。つまり、彼が勇者を殺害して奪ったことは明白です。そして、眷属器に命令できるのは四聖勇者のみなので、これで尚文おにーさんは盾の勇者であることが証明されました。続いて、四聖武器以外で眷属器を不法に所持できるのは波の尖兵である敵だけです」
「返せっ、返せぇええええぇぇぇっ!」
メイドさんが奪った石を持ってこちらに逃げてくる。当然、追ってくるレールディアと呼ばれた子は身体をだんだんと肥大化させて竜の姿にしていく。アリスちゃんが何かをすると空間が開いて、メイドさんはそのまま中に入ると彼女も入っていった。
「タクト様! おのれっ!」
「倒せ! タクト様から奪われた物を取り返せ!」
色々な陣営からタクトの方に人が集まってくる。とくにシルドフリーデンからはその国主であるアオタツ種まで参加している。
「お帰り、シロ。首尾は?」
「放置してきました」
「ご苦労様です。それはご褒美です。食べていいですよ」
「ありがとうございます」
結晶のような何かを食べると、メイドさんは蹲った。アリスちゃんがその子の頭を撫でる。
「きっ、貴様、レールディアをどこにやった!」
「この中ですよ。どうぞ助けに行ってきたらどうですか?」
「おい、その中って……」「え、
「うわぁ……」
「あ、私を殺したら閉じて永遠に開けませんからね」
「きっ、きさまあぁあああああああああぁぁぁっ!」
「奴を捕らえろ! 勇者殺しの下手人だ!」
「くっ、離せっ!」
「絶対に逃がすな! いいか、タクトは生かして捕らえろ。そっちの女は……いや、グリフィンか」
「ああ、この子には役目がありますから、殺したら駄目ですよ。ルクス押さえつけてください。手足を塞いでくださいね。ジュカは口を閉じさせてください」
「ガァアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッ!!」
暴れているグリフィンにゆっくりと近づいたアリスちゃんは瞳を見詰めながら、何かをする。すると暴れていたのが嘘のように落ち着いていく。
「お前っ、アシェルになにしやがった! 離せっ、離せぇっ! 俺こそが女神様に選ばれた真の勇者だぞ!」
「あ、その女神様が偽物で波の元凶。つまりラスボスですよ」
「なっ、なんだとっ!」
「あははは、これは傑作だな。なあ、どんな気分なんだ? 女神様だと思ってた邪神に騙され、いいように操られて世界を破滅に導こうとした魔王様。教えてくれよ」
「ふざけんな! 俺は勇者だ! 貴様等こそが邪神の使いだろ!」
「え、尚文おにーさんは違いますよ。私はそうですが」
「「「っ!?」」」
アリスちゃんの言葉に皆が固まった。
「じょ、冗談ですよね?」
「いえ、実際問題、私は波を起こしているのとは別の神様に言われて助けにきましたし、邪神かどうかなんて、そこの信仰している神様によってかわりますよ?」
「あー確かにな。でも、ハスターとかヨグ=ソトースってどう考えても邪神だよな?」
「ですねー。ちなみに信仰してませんけどね!」
「あの、勇者。この方はどういう扱いにすれば……」
「味方だな。こいつは自分の居た世界に帰りたがっている。だから、俺達に協力してくれている」
「なるほど、問題ありませんね」
ナオフミがタクトを殴り倒し、私も援護で攻撃する。他の人達が慌てている中、シルトヴェルトの精鋭達がアオタツ種などを制圧していく。これは事前に通達していたからね。他にも飛行機に襲撃をかけて大人しくさせていっている。中には飛び立とうとしたのもあったけれど、まるで見えない壁に激突したかのように倒れて落ちてきた。それをナオフミが流星盾で防いでくれたのでなんともない。
「そうだ。で、これからの事だが、まずは今回の件を洩らさないでくれよ」
ナオフミがタクトの頭を踏みつけて地面に埋め込みながらそう言うと、皆が頷く。もう盾の勇者様であることは間違いないし、そもそも相手になっていなかった。
「彼の信者は沢山いますから、これからこの子に集めてきてもらいます。そこを一網打尽にします。なので、悪いですが皆さまはこの結界の中に拘束させてもらいますね。なに、タクトの信者じゃなければ大丈夫です」
「かしこまりました」
「我が国は貴方様に従います」
「こちらもです」
「では、アシェル。タクトの関係者全員にメルロマルクを落としたので、祝ってほしいからここにくるように言ってください」
「任せて! タクトとアリスのために行ってくるね!」
「ああ、結界で通れないですから、送って行きますよ。尚文おにーさん、お願いします」
「わかった。ついでに他の勇者達も連れてくる」
「お願いします」
「メルティはどうする?」
「私はここで協議しているわ」
「わかった。だが、勝手に妻を増やすようなことはするなよ」
「わかってるわよ。その、いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」
ナオフミを見送ってから、アリスちゃんと一緒に各国の交渉を開始する。アリスちゃんはタクトに猿轡をして縛り上げ、ゴーレムの中に入れて閉じ込めてしまった。
「は~い、兵士の皆さん! しばらく暇なのでここを開拓しちゃいましょう!」
「え?」
「してくれる人にはご褒美として、アリスとパーティーを組んでダンジョンアタックです! レベルアップ間違いなしですよ!」
「「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!」」」
まったく、好き勝手にやってくれるわね。まあ、私は私で交渉しましょう。
一週間でタクトの仲間を捕まえた。とても沢山の女性が捕まったので、彼女達は全員、フォーブレイの王へ献上して、暗殺計画のことも知らせておく。これで私の国のことは許してもらえた。ただ、タクトを殺す時だけはアリスちゃんが立ち会うと強固に主張したので、彼女に全部任せた。そうしたら、フォーブレイの王と協力して転生者や転移者と呼ばれる波の尖兵を捕まえて処刑したりしだした。その上、ナオフミと一緒にふらっとでかけると、ハクコ種の親戚を見つけてきて、さらに獣人の女の子も連れてきた。彼女達もナオフミのお嫁さんにするらしい。これでラフタリアとフィーロちゃんを合わせると五人。いえ、まだ連れてくるらしいアリスちゃんに呆れていると、次はラフタリアさんのお姉さんを連れてきた。ナオフミがもう勘弁してくれとアリスちゃんに泣いてお願いしたら、やめてくれたので助かった。
オルフェンズのアリス開始時期およびルート
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火星でMAの登場から開始
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ビスケットを助けるため、地球辺りから
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女神Aliceの名の下に人類管理ルート
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マクギリスと一緒。ギャラルホルンルート
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マクギリスの代わりにアリスになるルート