マグマ団 カガリ
あ~くそっ、ホウオウのモンスターボールを奪われた。せっかく木の実とホカゲの炎を使った奴を組み合わせて作った特別製ポロックで捕まえたってのに……運がない。探知機を盗んだ意趣返しをされたってわけだ。
「これからどうするんだよ、頭領。皆捕まっただろ」
ホムラが隠れ住んでいる家に私達は逃げてきた。包帯を巻いて療養しているホムラが、片手で飲み物を用意してくれている。私は何もやる気が起きない。
「決まってるだろ。グラードンの復活を目指す」
「それは放っておいても、あの子がやってくれるんじゃない?」
「何?」
「だって、あの子の目的もグラードンとカイオーガって言ってたし……」
「確かにそうだが、アイツは蘇らせた後に叩き潰すつもりだろう」
「おいおい、グラードンとカイオーガを叩き潰すって、その餓鬼やばいな」
「実際やばいわよ。ルギアを二匹も持ってたし、それに今度はあっちにアタシのホウオウと頭領のヒードランがいるわけだし」
「伝説ポケモンを使ってくるわけか……なら、確かに勝てるかもしれないな。そいつに頼んで土地を広げてもらうのはどうだ?」
「無理だ。あの餓鬼は伝説ポケモン相手にポケモンを使った戦争をやろうとしてやがる。そうじゃないとあんな運用の仕方はしない」
「あ~」
こっちには被害がなかったけれど、横で見てて寒気がした。絶え間なく上空から放たれる破壊の力。地上に居たら対処なんてできない。ましてや、一つの生命のように完全に統率されていた。それをチャンピオンのポケモンと同種でやられたんだから、たまったもんじゃない。
「少なくともこちらも同じ規模の戦力が無いと話し合いにすらならねえよ」
「それでも目指すのか」
「ああ」
「わかった。俺は協力する。カガリはどうする?」
「アタシは……」
正直、勝てる気がしない。それこそ伝説ポケモンを数体用意するレベルだ。正直、それは無理だろう。捕まえられてもエンテイくらいか。他に伝説ポケモンって、別地方に遠征するしかない。いや、いるにはいるし、そいつらを狙いに行くにしても出会う運と捕まえる実力がいるし、無理でしょ。
「悪いけど、アタシは一旦ここで抜けさせてもらうよ」
「なんだと?」
「ヒードランしか居ないんだ。勝てない戦いに参加するつもりはない。そもそもアタシの目的は暴れたかっただけだしね」
「てめぇ……」
「まあまあ、どっちにしろ考える時間は必要だろう。俺だって身体を治さないといけないし、頭領だってポケモンを集めないと無理だろ」
「ちっ」
「正直、今は何もやる気も湧いてこないし、適当に旅して考えてみようと思ってる」
「まあ、それがいいだろうな」
「旅に行くのは良いが、ポケモンは置いていけ」
「やだね。これはアタシのだ」
「あ?」
「やるっての?」
頭領と睨み付けてあっていると、ホムラがアタシ達の間に入ってくる。
「カガリ、旅に行くのならさっさと行け」
「おい、ポケモンをどうするんだよ!」
「カガリが置いていくはずないって。それに戦いになったら、ポケモンのない頭領や俺の手持ちじゃカガリには叶わねえよ」
「ちっ。覚えてろよ」
「やだね。んじゃ、世話になったねホムラ」
「おう」
外に出てからオオスバメを出そうとして、囮にしたことを思いだした。まあ、あのポケモンはマグマ団から貰ったものでアタシの自前ではないから別にいい。気にはなるけれど。
「リザードン、お願い」
取り出したリザードンに飛び乗って空を移動する。しばらく飛んでから適当な人が居ない所でマグマ団の服を脱いで着替える。服は燃やして処分し、今度はキュウコンに乗って移動する。
「こん?」
「ああ、どこだっていいよ。適当に頼む」
キュウコンの背中に顔を埋めてそのまま眠る。本当にやる気が起きない。このまま何処かで隠遁生活するのもいいかもしれない。いや、あの小娘との決着はつけないといけないけど。
「お姉さん、大丈夫?」
気が付いたら眠っていたみたいで、何処かの誰かに声をかけられて身体を起こす。すると目の前には身覚えるのある奴がいた。
「アンタは……」
「ボクはルビー。お姉さんが大丈夫ならいいけど、いくら炎ポケモンの上だとしても寝てたら風引くよ」
「ああ、そうだね……ん~ここ、何処?」
「カイナだけど」
「そう。それでアンタは……」
「ルビー」
「ルビーは何しているの?」
「コンテストの練習だよ。ちょっと前にポケモン達と一緒に大怪我したし、勘を取り戻そうと思ってね。お姉さんは?」
「ボロ負けした上にポケモンを奪われてね。その傷心旅行」
「酷いね」
「まったくだ。今度会ったら取り返してやる。まあ、その気持ちも湧き上がってこないんだけどね。自業自得の部分もあるし」
「そうなんだ。まあ、暇だったらボクの演技を見てくれない?」
「いいけど、辛辣だからね」
「経験者?」
「何個かリボンも取ってるよ」
「それはラッキーだ。じゃあ、行くよ。RURU!」
ルビーの演技を見て、容赦なく駄目だししてやり、改善点も教えてやる。生意気な事を言ってきたから、キュウコンで本物の演技を見せてやる。九つの尻尾から炎を出して空中で爆発させて花火みたいにしてやればとっても嬉しそうにした。
「もっと教えてくれない?」
「それはいいけど、何か飲み物を買ってきてから……」
ポケットから財布を取り出そうとして気付いてしまった。やばい。やばいやばいやばいやばい。
「どうしたの?」
「……ちょっと着てた服を燃やしたんだけどさ……」
「なんで燃やしたのかは知らないけど、まさか財布も一緒に燃やしたなんてことは……」
「……」
「……」
「し、仕方なかったんだ。何も気にせずやっちゃったから」
「ぷっ、あははははははっ!」
「笑うな!」
顔が真っ赤になってきて、思わずキュウコンに指示しようとしたら、真顔になって地面に正座した。
「お姉さん、お願いがあります!」
「なに?」
「師匠になってくれない?」
「やだ」
「お願い」
「面倒」
「授業料を出す」
「……」
「三食と宿賃とかも出す。それとボクの護衛代も出すよ。両親が次に旅に出る時は強い人を護衛につけるって言われててさ、お姉さんなら丁度いいかなって」
「なんでアタシが強いってわかるんだ?」
「さっきの演技もそうだけど、キュウコンの状態を見ただけでわかるよ。これでもジムリーダーの息子だから、その子が激戦を潜り抜けて来たってね。それにお姉さんならコンテストの事も教えてくれるでしょ?」
「だけど……アタシは引退してるしね」
「それでもいいから。それにやる事もなくて、お金もないんだよね? 身分証もないんじゃない?」
「……まあいいか。考えるのも面倒だし。契約内容は緊急時の護衛とコンテストバトルに関して教えること。代わりに金銭とアタシの世話。これでいいんだね?」
「それでいいよ」
つまり、適当に喰っちゃ寝しながら教えるだけ教えて身の回りの世話を全部してもらえば……凄く楽そうだ。考える気もおきないし、もう面倒なことは任せてしまえばいい。これはアタシにとって得だな。ジムリーダーの子供なら、アタシの保証にもなる。
「じゃあ、契約成立だ」
「お姉さん、名前は?」
「カガリ。よろしく、ルビー」
「こちらこそ。じゃあ、ちょっと両親に、母さんにお願いしてこよう。行くよ」
「ちょっ、いきなり!」
手を握られてそのまま連れていかれる。キュウコンもやれやれといった感じでついてくるし、助ける気はないみたい。というか、どことなく嬉しそうにしている。もしかして、キュウコンもアタシをコンテストに復帰させたいのか?
「母さん、紹介するね! カガリさん! ボクの大事な人!」
「え? ルビーがお嫁さんを連れてきたの!」
「「違う!」」
アクア団 アオギリ
「それでは無事に潜水艇を奪えたのですね?」
『はい。幾度も邪魔をしてきた水色の髪の毛をしたルクスと呼ばれていた子供が居なくなり、アセロラと呼ばれていた子供もいませんでした』
私達アクア団は二人の子供によって、潜水艇の奪取を阻まれていました。彼女達の一人は人形劇をしていた子供の一人で、もう片方の子供はわかりませんが、普通の人間ではありません。ポケモン達を普通に殴り飛ばし、制圧していましたからね。実力もジムリーダー以上で、まともに戦えばかなりの戦力を消費することになりますが、倒せないことはないと思っていました。ただし、その場合は彼女達が背後にして戦っている潜水艇を傷付けることになります。ここで問題なのは彼女達が
「艦長の方はどうでしたか?」
『すいません。見つかりませんでした。どうやらポケモン協会に匿われているとの情報は入ってきました』
「わかりました。ご苦労様でした。イズミさんはそのまま潜水艇を持ってきて、ドッグに入れておいてください」
『了解です』
さて、次の問題はウシオさんですね。連絡を入れてみます。
「ウシオさん、煙突山の件はどうなりましたか?」
『失敗しました……サファイアとかいう子供は始末できそうな時にジムリーダーの連中が全員で押し寄せてきまして……』
「ジムリーダーが全員ですか……」
これは情報が漏れている事を考えないといけませんね。
「残っている人数は?」
『9人です』
「わかりました。戻ってきなさい」
『わかりました』
どちらにせよ、戦力がかなり減りました。補充を考えないといけませんね。
「総帥」
部屋にスキンヘッドの男性が入ってきました。なにやら慌てているようです。
「どうしましたか?」
「マグマ団が壊滅しました」
「本当ですか? マツブサは?」
「幹部の一人と逃げたようですが、一人は殺されました。残っているのは幹部二人と本人だけかもしれません。それ以外はポケモン協会に捕まりましたので」
「なるほど、吉報ですね。彼等に私達の邪魔をする力はなくなったのですから」
「はい。戦力が回復するまで時間がかかるでしょう」
「では、これより海底洞窟に向かいます。準備なさい」
「はっ!」
これで私の願いがもうまもなく叶いますね。
すぐに準備をして、部下達と共に潜水艇に乗り込み、起動部品をセットして深海へと目指します。しばらくして目的地に到達しようとした時、起動部品が停止しました。
「どういうことですか?」
「プログラムは正常に動いているはず……」
「なんだこれ!」
「どうしました?」
部下の一人がモニターを指差しています。そこを覗き込むと、モニターには姿を消した人形劇の少女の姿がありました。
『潜水艇をご利用の皆様。潜水艇は禁止海域に到達しました。パスワードを入力してください』
「ぱ、パスワード?」
「誰かわかりますか?」
「い、いえ……」
『パスワードが確認できません。これより、自壊シークエンスを開始します。自壊シークエンスを停止するにはパスワードを入力してください』
モニターにタイムリミットであろう五分が表示されていますね。電気が消えて赤いランプが点滅しています。
「コントロールはできますか?」
「可能ですが、浮上はできないようにロックされています」
やられました。ここで私達を皆殺しにするつもりですか。窓を確認すると、外にはポケモン達がやってきています。彼等は野生ではありえないように隊列を組み、動きの遅いポケモンを背中などに乗せてこちらに向かってきています。明らかにトレーナーの指示を受けています。
「水ポケモンで脱出しましょう。酸素ボンベも持ち込んでいます」
「そういうわけにはいかないようですよ。窓を見なさい」
「あれはギャラドス?」
「他にも色々といるようです。普通にでた所で襲われるでしょう……海底洞窟までの距離は?」
「まだかかります」
「ふむ。確か、脱出艇が用意されていますよね?」
「あります。ですが、とても全員が入れる物じゃないです」
「わかりました。賭けになりますが、まずは上を海底洞窟に向けてください。それから酸素ボンベを装着して脱出します」
「ですが、そうなると深海に向かうことに……」
「それでいいのです。このままでは脱出できません。でしたら、一か八か海底洞窟を目指しますよ」
「「「了解です!」」」
「メンバーを決めます。残念ですが、ウシオさんは無理です」
「な、なんでですか!」
「大きさを考えてください。脱出艇に入れません」
「っ! い、嫌だ、死にたくない!」
「ドククラゲ」
ウシオさんに毒を打ち、動けなくします。これで邪魔者はいなくなりました。
「では、皆さん。覚悟を決めてください。カイオーガを解放したら助けに来ます」
「……はい……」
全員が準備し、潜水スーツに着替えてから脱出艇に乗ります。五人ぐらいが無茶しては入れるぐらいです。それ以外の人には眠ってもらいました。進路を固定し、脱出艇の発射用意をします。
最大船速で海底洞窟に向かうと、外のポケモン達から攻撃して船体に穴が空いていく。その状況で海底に垂直に突き刺さりました。そのまましばらく待ち、ポケモン達が離れてから脱出艇の起動スイッチを押します。すると発射された脱出艇はそのまま海底洞窟に向かっていきます。
海底洞窟の底に到着し、扉をポケモンで壊してからゆっくりと慎重に浮上します。しばらくすると灯りが見えてきました。浮上すると、そこは洞窟の中で空気もあるようです。
「どうやら無事に到着できたようですね」
「総帥、これからどうしますか?」
「まずは探索しましょう。誰からいきますか?」
私は後に回りましょう。あの悪辣さから言って、彼女達が既にここに到達していれば絶対に何かを仕掛けています。すくなくとも私ならそうします。外のポケモンは陽動でここが本命でしょう。
「ここはレディーファーストで」
「ではイズミさん、お願いします」
「ええ、ありがとうございます。では行きます」
彼女が陸に上がり、しばらく歩くと爆発した。こちらに飛んできた彼女の下半身は存在していなかった。
「総帥、これは……」
「わかりません。ですが、トラップが仕掛けられているようです。彼女には悪いですが、陸に上がって彼女の死体を転がしてください。地面の爆発から言って、埋まっているみたいです」
「重量に反応ですか」
「シズクさん、指示をしてください」
「わかりました」
死体を転がすと、案の定、爆発しました。予想通り重量で爆発するのでしょう。
「ポケモン達に水鉄砲で地面をぬかるませなさい。それでおそらく大丈夫でしょう」
「わかりました」
部下の一人が先に進み、埋められている物を水で吹き飛ばして爆発させる。次第に感覚がわかってきたのか、埋まっている物を回収してみます。部下がそれを持ち上げると爆発した。重量ではないはずなのに、まさか空気ですら反応するのですか?
「全員、酸素ボンベを着用しなさい! 毒がきます!」
急いで残り三人で着用し、しばらく待つ。
「毒はなさそうですね」
「流石に洞窟で毒を使うことはありませんでしたか」
「とりあえず、遠くから処理していきましょう」
「そうですね」
時間をかけてゆっくりと処理をしていく。ただ、中には外れもあったし、毒物のような煙を出す物まであった。三つに一つが本物でそれ以外は偽物という悪辣さ。必死に処理をしていくと、ようやく別れ道までやってこれました。
「ここからが問題ですね」
「そうですね……」
「どうしますか?」
「行きますよ」
まず右からですね。右に移動すると、そこにはカイオーガが眠っていた。ついについにやって来ました!
「さあ、眠りから目覚めるのです、カイオーガ!」
「「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!!!!」」
地雷原「人海戦術とポケモンの力には勝てなかったよ」
海底のポケモン達「倒したと思った。司令塔がいないから、悪い」
アリス「自爆特攻で到達するなんて思わなかった」
地雷原の処理なんてポケモン居たら対処簡単だよね!
ルビーとカガリは私がこの二人が好きなだけです。ルビー君がどっちとくっつくかはわかりません。二人かも知れないし。
カガリさんとルビー君は洞窟事件の前なので、敵としてちゃんと会って居ません。なのでこんな感じになっております。
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