カイオーガとグラードンが復活した。何れ復活させるはずだったけれど、今はまだ早い。何故ならこちらの戦力が整っていないから。といっても、これはもう整えるしかない。
レジロック、レジアイス、レジスチルの三体を急いで手に入れないといけなくなった。ただ、アリスはそれよりもやることがある。
「アリスが命じる。グラードン、カイオーガ、大海に移動。そこで殺し合え」
藍色の玉と緋色の玉を使ってカイオーガとグラードンに命じ、日本でいう太平洋に移動させ。そこの深海で戦わせる。否、殺し合わせる。なりふり構わず全力で。海底での戦いなら、距離が空いている分、被害は押さえられる……はずだ。
「アリス、どうしたの? 裸のまま立って……もしかして……」
「アセロラ、違います。ちょっとやばいことが起きました」
「やばいこと?」
「カイオーガとグラードンが復活しました」
「本当に?」
「うん」
ニュースをつけると、海面温度の急上昇や地震、津波の警報が出されている。それによると、海の近くに住んでいる人達は避難するように伝えられている。
「一応、被害が出さないように移動はさせたから、これからアリスも移動します」
綺麗になった服に着替える。もう女の子の服を着るのもなれてきた。旧アリスの服に着替えてから、ポケモン達の状態を確認する。一応、回復させてはいるけれど、完全ではない。皆をボールに戻して携帯式回復装置に繋げて治療させつつ、進もうか。
「さて、皆。起きて着替えて」
「ん~」
「ふふぁ~」
起きて来た子達を着替えさせ、ルームサービスで食事を用意してもらう。顔を洗ってから急いで食事をとってもらう。
「アセロラ、ここからは本当に危険ですから、逃げ遅れた人を避難させたり、救助をしたりして欲しいんだけど、いい?」
「わかった。海で戦うのならアリスの邪魔になるしね~」
「ルクスはアリスを乗せていって」
「マスターの御心のままに」
「シロとジュカ、上海と蓬莱はアリスの護衛をお願いね。多分、アリスは動けなくなるから」
「任せて」
「お任せください。あらゆる障害は排除してみせます」
「ありがとう」
「皆、ちゃんと戻ってきてね」
「もちろん。では、行きますよ」
「ん」
上海と蓬莱を肩に乗せ、ジュカを抱きしめてホテルの屋上に移動する。そこでルクスが元の姿に戻ってアリスとシロが乗る。用意されている席に座ってしっかりとシートベルトをつける。
「じゃあ、アセロラ。行ってきますね」
「いってらっしゃい~」
「ルクス、海上に向かってください」
「任せて」
「では、私はご主人様が落ちないように抱きしめておきますね」
「お願い」
後ろからシロに抱きしめられ、しっかりと身体を固定される。これでアリスが落ちることはない。ルクスが空へと上がり、海の方へと飛んでいく。
海の方に出ると、高波が何度も港や浜辺に押し寄せているのがわかる。小さなポケモン達が浜辺に押し流され、救助されていたりもするので、本当にやばい状況だと分かる。カイオーガとグラードンはこちらの指示通り、殺し合ってくれている。でも、場所はホウエンからあまり離れていっていない。なのでこちらから念じて指示を出す。
“互いに殺し合いながら移動せよ”
““■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!! ””
それぞれの玉を通して二匹の叫びが入ってくる。身体の底から伝わってくる感情に恐怖を覚え、震えてきた。それに二匹が行使している力を使用するために使われているだろう膨大な情報が伝わってきて、パンクしそうになる。海面の温度とか、相手の攻撃予測とか、それらを惑星一つをまるまる計算してしまっている。それほど膨大な領域の計算を二匹分叩き込まれるのだから、たまったものじゃない。そんなの、色んなアリスを取り込んだアリスでも演算領域が足りずに耐えられない。アリスが耐えられるのはARMSのアリスのお蔭……待てよ?
ARMSのアリスは人類最高の頭脳。これでアリスは耐えられている。ただ、それはあくまで一つのアリスだけ。アリスの細胞はナノマシンによってできている。つまり機械。なら、もう一つのアリスが使えるし、おそらく使われているナノマシンは脳だけ。今は全身が機械でもあるのだからもっと演算できる場所はあるはず。
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫」
AIとしてのアリスを使い、全身の演算領域を解放させ、そちらに情報を回していく。世界が広がるような感じがするけれど、気のせいではないと思われる。どちらにせよ、アリスはグラードンとカイオーガに対応できる。
「目標海域に到達」
「ご苦労様」
空からみるとまず、海水が消滅していて海にぽっかりと大きな穴が出て生きている。穴の底にはグラードンの姿があり、周りの海水の中にはカイオーガの姿がある。
グラードンは体色は赤色で、腹部の方は灰色でところどころに黒い模様がある二足歩行の恐竜のような姿をしている。首と尻尾に3本、腰に2本づつトゲが生えており、腕の爪は4本で、足には3本づつある。
カイオーガはシャチやヒゲクジラ類、ジンベイザメやマンタ、クラゲや深海魚など様々な海洋生物の要素を掛け合わせたかの様な姿をした美しいポケモン。所々に紅いラインの特徴的な模様が描かれていて、大きな胸ヒレの先には2本の大きな手の様なヒレがある。背ヒレは2つ、尾ヒレは4つに分かれている。 体色は青く、腹部は白い。
どちらも巨大で力強い。グラードンの上空は晴れていて太陽の光が降り注いで水を蒸発させていく。それ以外は逆に雨が降り注いでいて大量の水が流れ込んでいる。蒸発と流入が続き、周りには蒸気が立ち込めてしまっていた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!」
グラードンが叫ぶと、海底が隆起してそこから噴火が発生する。内部から放たれたマグマの弾丸がカイオーガへと放たれる。カイオーガはそれを濁流によって押し流してグラードンを逆い攻める。グラードンは地面を踏みしめて地震を発生さて海底を盛り上げて壁を作って防ぐ。それらの攻防がたったの数秒で行われ、余波だけで衝撃波が発せられる。
「ルクス、もっと距離を取ってください」
「了解」
ルクスに離れるように指示を出しながらグラードンとカイオーガに指示を出す。現状を考えるとやはり、海の中ということでカイオーガが有利である。このままではカイオーガが一方的とは言わないまでも楽に勝ってしまう。それは困る。かといって、制止せよと言っても止まらないだろう。
だから、グラードン。あなたに力を貸してあげる。魔法とは神秘。古代の力。それは自然エネルギーにかわりはない。
「原始回帰せよ、グラードン」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!」
腕の模様に
「本当にとんでもないね」
「確かにそう」
「これ、勝てるんですか?」
「頑張れば?」
「うん、頑張れば勝てるよ」
カイオーガも負けておらず、大量の海水を圧縮して放つ。それはグラードンが作った壁をあっさりと貫通し、グラードンに迫るも巨体で飛び上がったグラードンに回避される。しかし、そのまま渦に激突すると周りの海水を吹き飛ばして遥か彼方まで飛んでいく。それはまるでモーゼが海を割ったかのようにすら感じられる。
「このまま見学ですか?」
「しばらくはね。こっちはこっちでやることをやろう」
原始回帰させたお蔭でグラードンはカイオーガとまともに戦えるようになった。けれど、こちらは原始回帰のエネルギーを賄ってあげたのでとても大変。
グラードンは文字通り、島を作り上げて今度はその山を噴火させて無数の岩石に炎を纏わせて隕石のように海に降り注がせる。しかもそれは海の中に入ると爆発までした。ただ、カイオーガも負けておらず、数十メートルもの津波を作り出して島を飲み込もうとする。
グラードンは口から光線を吐いてそれを吹き飛ばす。その間に上を取ったカイオーガの口から高圧縮された水の濁流が放たれ、グラードンを吹き飛ばす。吹き飛ばされたグラードンは島の山に激突してそのまま埋め込まれ、山の反対側に押し出された。
「これでグラードンは不利ですね」
「分析完了。カイオーガが勝つ確率。76%」
「まあ、場所が悪いです。ご主人様、さらに介入なさりますか?」
「……介入したら勝てる」
「そうだね。よし、もう少ししたらグラードンに交渉を持ちかけてみようか」
グラードンとカイオーガの戦いは熾烈を極める。頻発する地震に津波。まるで世界の終わりみたいにすら感じる。神様と呼ばれるだけはある戦いだ。
グラードンとカイオーガ。どちらも化け物です。
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