ダイゴ
父さんから手紙を託された少女、サファイア君と出会った。彼女から渡された手紙に書かれていた方法を使い、仲間のホウエン四天王達と共にレジスチルやレジアイス、レジロックを解放し、彼等に乗ってカイオーガとグラードンが戦っている海域に移動していく。サファイア君には残ってもらって、救助の方を頼んだ。流石にこちらの戦いに彼女のような子供を巻き込むわけにはいかないからね。
「ダイゴ、目的地はあそこか?」
「ああ、そうだ」
「先客がいるみたいよ」
「報道のヘリか?」
確かにヘリコプターも近くにいるが、あまり近づけていない。激突二匹の間で爆発が起きているようで、爆風だけで吹き飛ばされるので近づけない。だが、そんな危険な領域に先客がいる。
「アレはダイゴ君のと同じ物?」
「確かに……というか、子供じゃないか!」
先客は僕と同じく、メタグロスに乗っていた。どうやら小さな二人の子供のようで、このような場所にいるとは考えられない。しかも片方の女の子がメイド服のようだ。その彼女がこちらに振り返り、もう一人の少女に合図を送る。するともう一人の少女が光る。
「なんだ?」
「え? 服が分解されてる?」
「ちょっ!」
裸のようなシルエットがみえる。光の加減で大事な所は見えないようで、気が付けば光は収まって服を着ていた。意味が分からない。どちらにせよ、メタグロスを使う小さな女の子。その子は知っている。
「おいおい、こんなところに子供がいても大丈夫なのか?」
「おそらく大丈夫だろう。彼女達はポケモン協会から報告のあった者達だ」
「ポケモン協会からとなると、例の伝説ポケモンを連れている子達か?」
「そうでしょうね彼」
「父から聞いた話では、女達もグラードンとカイオーガを狙っている可能性があるらしい」
「なるほど。ここに居てもおかしくないな」
「味方と考えていいの?」
「わからない。だが、被害を抑えるためには協力してもらわないといけない」
「そうだな」
それにもしかしたら、ホウエンの陸地からかなり離れた場所で戦っているのは彼女のお蔭かもしれない。彼女自身もグラードンとカイオーガを狙っていのは確実だろう。アクア団とマグマ団の対処をするには彼女が用意した戦力は多すぎる。話を聞いた限りでは無数のメタグロスにポケモンであろう人形。そして、伝説のポケモンであるルギアの親と子供。そこにマグマ団から奪った伝説ポケモンの鳳凰。後は見たこともないポケモン。確かヒードランと言ったかな。どちらにせよ、彼女達は子供が持つには強すぎる力を持っていることに違いはないが……現状では彼女達と協力すべきだろう。
「まずは交渉か」
「そのまま一気に行くのは?」
「止めておこう」
「了解」
四天王の彼等を置いて、僕は先に進む。するとメイド服を着た女の子が振り返る。彼女は紫色の髪の毛をした女の子だ。
「当空域は現在、大変危険な状況となっております。即時離脱をお勧めします」
「君達はどうなんだ?」
「私達は現在、この海域でグラードンとカイオーガの捕獲作戦を行っております。ですので、撤退するつもはありません」
「やはり、捕獲するつもりなのか」
「はい。ですので大人しく帰ってください」
やはり捕獲が目的か。
「それは断ろう」
「では、戦いますか?」
メイドの女の子がモンスターボールを取り出す。
「メイドが決めていいのかい?」
「ご主人様はグラードンとカイオーガを操るのにお忙しいですから」
「待て。操るだと……」
「……失言でした」
どうやら、彼女達はグラードンとカイオーガを自由に扱うすべを持っているということか。
「シロの馬鹿」
「うぅ、ごめんなさい、ご主人様……」
「まったく……」
薄い茶色の髪の毛をした少女が立ち上がり、彼女達が乗っているメタグロスがこちらを向いてくる。彼女は僕を見詰めてきた。彼女の服装は黒いスーツのようなもので、帽子を被っている。ここまでは父から聞いた通りの容姿だが、彼女の瞳は変化している。右目が紅色の瞳となり、Ωのマークが刻まれている。左目は藍色の瞳でαのマークが刻まれていた。
「まあ、シロはまだ若いから仕方ないよ。経験が足りていない。それで何をしにきたの?」
「決まっている。僕達はグラードンとカイオーガを止めにきた。協力しないかい?」
「協力してもらう必要はない。今行っている作戦を実行していれば捕獲は可能と判断している」
「そうはいかない。被害を出さないためにも早く解決したい」
「わかった。それなら協力しよう」
「本当か?」
「はい。それでは協力して頂きます。その三匹は役に立つ」
レジロック達のことか。彼女、確か愛里寿と言ったか。彼女が掌を上げてこちらを見詰めてくる。
「その子達は捕まえたの?」
「ああ、その通りだ」
古代人が作っていた彼等を操る石板の力で彼等を起こして連れてきた。問題はこちらの情報が知られていたことだ。どこからレジロック達の情報を手に入れたのだろうか?
「では、その子達を貰いましょう」
「何?」
「その三体を渡してください。こちらで運用します」
「何故だ?」
「貴方達が普通の人だから。その三体を使って戦ったとしても、余波だけで死んじゃう」
「まるで君達なら大丈夫みたいな言い方だね」
「この子はポケモンみたいな子。愛里寿も普通の人じゃない」
そう言って彼女はナイフで腕を刺した。噴き出る血はまるで自己再生をするかのように治療された。確かに普通の人ではないようだ。
「この能力があるから、死ぬことはない。でも、貴方達は違う。死ぬ覚悟があるとしても、無駄死にする必要はない」
「無駄死にだと?」
「そう。何故なら愛里寿達の方法ならこのまま順調に倒せる。その三体の力を使えば被害も抑えられるし、丁度いい」
「な、なんだ!? コントロールが効かない!」
「嘘でしょ!」
「貴方達は戻って愛里寿達が失敗した場合に備えて戦力を集めてくれる方がいい」
レジロック達のコントロールが完全に奪われたようだが、何をしたのかはわからない。彼女の言う通り、その方が安全ではあるだろう。
「それに愛里寿達は貴方達に死んで欲しくない。だから、ここは任せくれればいい」
「……では、これだけは答えてくれ。君はグラードンとカイオーガを捕まえて何をする気なんだ?」
「捕まえることが目的。愛里寿はコレクター。伝説のポケモンと準伝説ポケモンを集めるのが目的」
「それだけなのかい?」
「他には犠牲を少なくすること。このまま行けばダイゴさんは死ぬ。それはいただけない。社長とも約束した。だから、ここで帰って避難や救助をして欲しい。それと愛里寿が失敗した時の保険になってくれたら嬉しい」
「悪い事に使う気はないと?」
「ない。むしろいい事に使う。カイオーガとグラードンは特に便利。カイオーガは砂漠化が深刻な問題になっていることを解決できるし、グラードンは陸地を増やせる。これらの力はテラフォーミング、環境の再生にとっても便利な力」
「わかった」
「ダイゴ、いいのか?」
「ああ。それにある程度はグラードンとカイオーガを操れるらしいし」
「それは可能。愛里寿の中には古代人が作った二体の制御装置がある。それを使って二匹に思う存分殺し合わせているところ。弱るところを待って捕獲に入る」
「その制御装置があれば止めることだって……」
「それは無理かな。人の意思では神の意思に飲み込まれる。あくまでも彼等の願いを叶える形で言う事を聞いてもらっているだけ。二匹は元々宿敵同士。だからこそ、この命令が可能になっているの」
完全な管理ではなく、思考の誘導ができるというだけか。それなら確かにこの方法がいいのがわかる。
「では、僕達は一度引かせてもらおう。その三体は好きに使ってくれ」
「被害はできるだけださないようにする」
「頼む」
彼女にレジロック達のモンスターボールも渡して、皆と一緒に戻る。
「ダイゴ、良かったのか?」
「ああ、アレでいい。最悪、僕達はグラードンとカイオーガだけでなく、ルギア二匹にホウオウの相手をしないといけなくなるかもしれない。そうなると負けは確定だ」
「確かにそうだけど、子供に任せるのは……」
「当然だ。だから、僕達は僕達で戦力を用意する。ポケモン協会がもう一匹の古代ポケモン、レックウザをぶつけようとしている。僕達はそちらに力を貸す。その間に彼女が捕獲できていたらよし、できていなければ乱入させてもらう」
「わかったわ」
「任せな」
僕としては彼女の言葉が色々と気になるが、どちらにしろ一度は戻らないといけない。予想以上にホウエン地方から離れていっているから、食事とかの問題がある。僕達はその用意をしてきていないのだから仕方ない。
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