空から巨大な炎の塊がふってくる。それを見た瞬間、おぞましい気配を感じた。ただ、それだけ。でも、相手が外からやってきた神だとはわかる。これぐらい、幻想郷では珍しいけれどよくあることだ。問題は次。星と巨大な物体が落ちてきていることに他ならない。それと私達の前にボタンが現れた。この場から即座に撤退し、事が終わるまで待機しているか、このまま参加するかというものだ。
「まったく、巻き戻しができるからってやりたい放題ね!」
「紫、どうするの?」
「こうするのよ!」
スキマが無数に開かれて、里の人やポケモン達を捕まえていく。
「全員、スキマの中にはいりなさい! このままここにいても死ぬわよ」
「撤退~!」
全員でスキマの中に避難し、外の様子を伺う。外では巨大な丸い物と筒状の何かが落ちてくる。量産型西行妖達が止めようと突撃するが、赤く燃えているそれらに触れる前に消失していく。おそらく、神の力と思われる。それらの一撃は西行妖の本体であろう大樹に触れると、それを押しつぶし、粉塵が世界を覆い、続いて光が塗りつぶしていく。
「ここまでね。おそらく、これで西行妖は討滅できたと思われるのだけれど……」
「生命力を吸収するのなら、質量で押しつぶして滅ぼすですか。確かに作戦としてはありですね」
「いやいや、普通に幻想郷の終わりじゃねえか」
「この世界でならありだよ、魔理沙」
「巻き戻るからか……」
「でも、これってマリスは生きてるの?」
「無理だろうといいたいが……」
私の言葉に神奈子が答える。おそらく生きているんでしょうね。
「萃香、集めて粉塵を排除してよ」
「別にいいけど、その必要はなさそうだ」
「?」
スキマを確認すると、急速に桜の大樹へと粉塵などが吸い寄せられて視界が張れてくる。だんだんと桜の大樹が見えて、私達の前にその全貌がさらされる。
「ボロボロだな」
「幽々子は無事でしょうね……もし、なにかあったら許さないわよ……」
紫が言葉を発すると、同時に桜の大樹が半分に割れて花びらが散っていく。その幻想的な姿とは裏腹に恐ろしい気配が漂ってきている。花びらは中心に吸い込まれ、ボロボロの大樹は割れた先から新しい大樹が急速に育っていく。
「マリスが負けて取り込まれたの?」
「安心しなさい。勝つことは勝ったようよ」
「でも、これで終わりじゃないのかもね」
アリスの言葉にレミリアとフランが答えながら、映し出された映像をみていると大樹の中から四枚の翼を持ち、頭に金色の環を持つ幼い女の子がでてくる。
「幽々子っ!」「「マリスっ!」」
マリスと呼ばれた幼い女の子の手には幽々子がお姫様のように抱えられているのが見える。どうやら、無事みたいだけど、彼女の前に誰かが現れる。それは半霊の子のようで、その子に幽々子を渡した。それから片手に剣を持ち、それを海に向けると海が光って分解され、新しい世界……元の世界が構築されていく。
「ここって博麗神社か?」
「みたいね。どうやら、世界……あの子がいう固有結界を解除したみたい」
「じゃあ、異変は終わりか?」
「どうでしょう。まだやる気があるみたいだけど……」
「藍、ちょっと言って空気とかを確認してきなさい。人が問題ないかね」
「かしこまりました」
「汚染されてたら大変だしね~」
ケラケラと笑う諏訪子を全員で睨み付けると、彼女はさっさとスキマを通ってアチラに行ってしまった。
「守矢神社の方でしっかりと躾けておきなさいよ」
「あははは、相手は神様なんですが……」
「関係ないわ」
「まあ、わかりました。神奈子様、お願いしますね」
「仕方ないね」
早苗と話している間に確認が取れたようで、ちゃんと幻想郷で、博麗神社だったみたい。全ては異変が起こる前の状態だった……一部を除いて。何故か家に大きな桜の大樹ができている以外は普通ね。その前に宴会用の祭壇みたいなのが作られていて、お酒や料理が山のように準備されているらしい。
「殊勝な心掛けじゃない」
「そうですね~」
「でも、これで終わりじゃないと思うよ?」
皆でスキマから出ると、人里の人達もポケモンも沢山いた。不思議に思っていると、アリスと魔理沙が歩いて行く。
「あ、お母さん達はちょっと待っててね。まだやることがあるから」
「マリス……」
「ひぃっ!? ま、待って。大事なことだから」
「なに?」
「博麗霊夢と弾幕ごっこをこれからするの!」
「嫌よ」
マリスの願いを断り、近くにある酒瓶からお酒を飲む。流石は神様が用意しただけあって、とても美味しい。鬼達も妖怪達もすでに勝手に宴会を初めている。人里の人達も早苗に促され、神様達に保証されたことでポケモン達と一緒に飲み食いをしだした。
「だって」
「なんで!」
「アンタのせいで疲れたからよ。こんな傍迷惑なことをやってくれて、怒り心頭なのよ?」
「だったら、弾幕ごっこで……」
「それ、喜ばせるだけじゃない。だから嫌。そうね。どうしてもというなら、アリスとやればいいんじゃないからしら? それがいいわ。そうよね、アリス」
「ええ、そうね。私が代わりにやりましょう」
「せ、戦略的撤退!」
逃げようとしたマリス。だけど、彼女の手足がスキマから生えた手によって掴まれ、アリスの前に差し出される。
「な、なんでっ! 約束守って西行妖は倒したし、西行寺幽々子も助けたのに!」
「ええ、そのことは感謝していますとも。でも、あなたはやりすぎたのよ。おいたをした子はしっかりと母親に躾けてもらわないといけないでしょう? あ、霊夢。彼女を封印してくれるかしら? 危なかしくて幻想郷で自由に行動させられないわ」
「いいけど……」
「待って! 代わりにこの大樹を迷惑料としてあげるから!」
「え、要らないんだけど」
「この桜は霊力を対価に願い事を叶えてくれるよ! 食料という形で!」
「まじ?」
「ここの料理やお酒だってそれでだしたんだから!」
「ほほう……」
私は桜の大樹に近付いて霊力を注ぎこんでみる。すると目の前に桜餅が桜の葉に乗せられてでてきた。食べてみると美味しい。これは便利ね。食料に困らない。
「ちなみに料理済みのを出すのはいっぱい霊力がいるからお勧めしないよ。材料なら少なくてすむけど」
「料理済みのは出せないけれど便利ね」
「そして、なんとなんと! 霊力以外にも色々と対応しています! 神力から妖力、はてはカロリーまで対応しているので、里の人でも安心安全! ポケモンフーズだって、木の実だってだせちゃう! むしろ、こっちがメインだからね。つまり、博麗神社でポケモン関連グッズを売れば人が来る上にお賽銭や道具の売り上げで収入が激増! どうだもってけ! そんなわけで許して!」
「持っていくけど許さないわ。はい、封印」
「あいたっ!」
マリスの額にお符だをペタリと貼って力を封じ……ようとしたら御札が崩れ落ちた。こいつ、やっぱり桁違いの力を持ってる。
「ふははは、女神Aliceちゃんを封印しようなど、そんなこと……」
「勝てないとでも思ってるの?」
私は空を飛ぶ程度の能力を使ってあらゆるものから縛られない状態にして、何ものにも触られなくなって彼女の中に手を入れて解除する。
「ねえ、心臓に直接封印を打ち込んだらどうなるのかしら?」
「や、やめて、心臓をにぎにぎしないで! 蘇るけど!」
「……本当に?」
「本当よ。肉片からでも再生するらしいわよ」
「……私が言えたことじゃないけど、反則じゃない」
「本当だな!」
能力を使ってから引き抜くと、心臓までぽっかりと開いていた直通の穴が普通に閉じていく。私の手は血塗れでやばい。
「こいつ、本当に殺せないじゃない。封印するしか方法はないみたいね」
「許して。さもないと全力の抵抗も辞さない所存です」
「……わかったわ。許してあげる。ただし、アリスのお仕置きはしっかりと受けること。それと後で弾幕ごっこを受けてあげるわ。ルールは私が決めるけれど」
「やった」
「アリス、お願いね」
「任せてちょうだい。じゃあ、まずは正座ね」
「ひぃぃぃ」
正座させられてマリスは人形達にチクチク刺されながらお仕置きされている。その光景を見てから、とりあえず能力を使って、血以外のものを透明にして離れた場所で戻す。これで綺麗になったので私も宴会に参加する。
紫は蘇った幽々子にベッタリとくっついて世話をしているので、飲み食いしている魔理沙とフラン達のところに行く。そこには幽香達もいて、みんなで今回の異変について話し合っている。
「魔理沙、アンタは参加しなくていいの? あれ、アンタの子供でもあるんでしょ?」
「私はいいんだよ。そういうのはアリスに任せてるからな。それよりどうすんだ?」
「もちろん、貰うわよ。便利だもの」
座って袖に入れておいたモンスターボールからロロとココをだす。二匹は私に甘えてきてとても可愛い。それにモフモフだしね。
「まったく、今回の異変は大変だったわ。まさかフランを殺すなんて、許されざることよ」
「え~私は久しぶりに本気で殺し合えて楽しかったけどな~」
「そういえばフランは何をしていたの?」
「いっぱいキュッとしてどっかーんしてたの。後、燃やしまくった」
「その点、フランのストレス解消にはなったでしょうね」
レミリアは怒っているけれど、フランは怒っておらず、むしろ楽しそうにしている。まあ、一番楽しそうに馬鹿笑いしながら酒を飲みまくってるのは鬼の連中だけど。
「あ、霊夢。今度マリスに喧嘩売りにいこーって思ってるんだけど、いい? あいつとなら再生するし、がちの殺し合いをしても大丈夫だろ」
「駄目に決まってんでしょう」
「萃香とマリスか。どっちが勝つかね」
「私だ! と、いいたいが、決着がつかないかもしれないな」
萃香の能力ならほとんどの攻撃を散らせられるし、物理攻撃を無効にする方法だってある。確かにそう考えると決着はつきにくいのかもしれない。弾幕ごっこなら時間制限があるから別だろうけれどね。
「そういえば、マリスが怒られている間に新しく来た奴等も紹介してやらないとな。ちょっと呼んで来るぜ」
「わかったわ」
「あのお人形さん達だね~フランと友達になってくれるかなあ?」
「もちろんよ。もし、そうじゃなかったら……ふふ」
やれやれ、相変わらず妹大好きな吸血鬼ね。そうこうしているうちに魔理沙が四人の少女を連れてきた。その子達は一緒に戦っていた子達だから不思議な気分ね。
「シロとクオン、ルクス、ジュカだ」
「シロです。ご主人様のメイドをしています」
「……ルクス……ポケモンのメタグロス……」
「ジュカ、ポケモンのジュペッタ」
「クオン。狐の獣人……です。よろし、お願いします」
「へぇ、人型のポケモンって、私の子達みたいだね」
「魔法で変身してるだけですよ」
シロがフランの質問に答える。私達も気になったことを聞いていく。特になんでマリス側につかなかったのかも気になる。
「ジュカは完全に敵だったよね? 他の人は味方?」
「どちらでもあるけれど、最終的には協力するように言われていた。ルクスはにとりと一緒にいたよね?」
「……ん……一緒にメタグロス達を用意してた」
「私は諏訪子様と一緒でした。クオンは確か、妖怪の山に居たはずです」
「天狗と追いかけっこして、倒してた」
「なるほどね。で、今回の異変の目的って、西行妖を倒すことだったの?」
「それ以外にもあるわよ」
聞いた子達の代わりにレミリアが答えてくれた。そういえばこいつも関与しているんだっけ。
「マリスは貴女達を殺すことで経験値、力を得ていたの。それを使って神の力を手に入れ、西行妖を倒したということね」
「傍迷惑な……まあ、この大樹があればいいわね」
これだけで儲けものよね。一応、幻想郷に被害はないみたいだし。ただ、ポケモンが増えただけ。うん、これだけで大変なんだけどね。
「ん?」
マリスとアリスの方を見ていると、閻魔である四季映姫・ヤマザナドゥまで現れて説教をしだした。それに彼女の手には沢山の紙が握られている。よし、みなかったことにしよう、うん。
マリス(アリス)
やばい。なんか四季映姫まででてきて説教された。痺れる足にチクチクされながら、お仕置きされていたら、膝の上に沢山の書類を乗せられる。
「ナンデスカ、コレ?」
「神が死者を蘇生するさいに書き、関係各所に出さなければならない必要書類です。キッチリと書いてお願いしますね」
「え? え?」
「色々と予定が狂って困るんですよ。いいから書きなさい。さもないとお仕置きです。あなたも神となり、この世界に所属するのならやってもらいます。所属しないのであれば排除するのも辞さないので悪しからず」
「は、はい」
「とりあえず、後はアリスに任せます」
「ええ」
「あ、あの~」
「なに?」
「もう正座しなくていい?」
「いいわよ」
抱き上げられて膝の上に乗せられる。そのまま抱きしめられながら、宴会に参加することになった。
「上海と蓬莱を操って料理をもってきてくれる? 人形の操作がどれだけ上達したか、みてあげる」
「うん」
能力で操作して上海と蓬莱を操り、料理とお酒をもってくる。正直、足が痺れていてまともに操作できないけれど、必死に頑張る。持ってきた料理をアリスお母さんが食べさせてくれる。食べられないなんていえないから、食べるしかない。
「その書類って大丈夫なの?」
「これは……面倒だけど大丈夫です」
書かれている内容はわかる。流石は第一級神、女神Alice。神様の文字もしっかりと理解できちゃう。まあ、内容としては経緯の説明や申請書類に罰金などの支払いとか。ただ、幻想郷以外の場所でやると本当はもっと厳しい罰則が与えられるらしい。幻想郷は今も神秘が生きている神話生物の世界といえる場所だからね。一般人がこっちに来たら、発狂間違いなしともいえる。なので死者蘇生だって、神様なら手続きをふめばできてしまう。その手続きが非常に面倒で、書類がとっても多い上に無料奉仕をさせらせる。なにをさせられるか怖いけれど、まあ頑張ろう。幽々子さんが幸せになれる代償としたら、小さいものだ。
ちなみに博麗霊夢との弾幕ごっこはボロ負けした。制限時間なしの弾幕ごっこの名を借りた公開処刑だったのでした。こちらの攻撃が一切通らないのはずるい。攻撃してくる一瞬の隙をついて大ダメージを負わせられる実戦ならまた違ったかもしれないけれど、弾幕ごっこでスペルカードの時間制限なしは無理ゲーすぎるよ。逆にポケモンバトルだと圧勝したので、悔しそうな霊夢ちゃんの顔がみれて満足。
それと西行寺幽々子を蘇生した罰則として、30日間もの間不眠不休で幻想郷の外の世界で人類の管理のお仕事をさせられたよ。人類管理局の力をみせてやろうとしたら、滅茶苦茶怒られた。ランスシリーズの女神Aliceだから、ちょっと世界に面白おかしく混乱を起こしてやろうとしただけなのに……解せぬ。ま、普通に考えたら怒られて当然なんだけどね。ルドラサウム大陸とは違うのだし、あんな世界の感覚で管理したら、もうね。
あっ、反省したから追加書類増やさないで。サボってる死神の分とかしらないから!
霊夢ちゃん、実は能力封じられなかったやばい人。制限時間がある弾幕ごっこなら勝てる可能性がある。
ルドラサウム大陸。ランスシリーズの世界。クトゥルフ神話世界のようにそこらじゅうに地雷原が埋まりまくっていて、即死トラップいっぱい。男は殺され、女は……という世界でルドラサウムという創造神を楽しませるためだけに悲劇をなんども作り出していく玩具な世界。とっても危険な世界で、そこの人類管理局のトップに勤めているのが女神Alice。
どんな世界か気になる人はランスシリーズをプレイするか、はーめるにあるルドラサウム転生と検索して読んでみるといいと思います。面白いです。こちらはまだ悲劇は回避されている方です。原作はもっと……。
サボってる死神はいったい誰でしょう?
閑話をはさまなければ次回はガンダム。鉄血のオルフェンズに行く予定です。どこから介入するか悩んでます。一番考えているのが第二部の火星にMAが、天使が現れたところ。あそこからならテイワーズの兄貴も助けられますしね。ただ、そうなるとビスケットが助けられないんです。クッキー達が可哀想だし悩ましいところ。あと、本当に最初からやるなら弟君たちも……でも、そこからやりきれるかどうか……最初からになるとかなり飛ばしとばしになるかも。
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