新島真は鳴上悠と出会う。   作:ローファイト

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ご無沙汰しております。
ペルソナ5Sをちょっとやり始めて、書きたくなってしまい。
大分前に考えていた物に修正して投稿いたしました。
ちょっとやって分かった事は……ボスがめっちゃ強いです><
因みに、蓮と春をメインに使ってます。


真と春とおかしな二人。

鳴上准教授の民俗伝承学科特別ゼミ生として、活動するようになって1か月が過ぎた。

鳴上さんには週に1回程度顔を出すだけで良いと言われていたのだけど、つい時間が空いてると、第二考古学資料室に足を運んでしまってる私。

 

当大学の民俗伝承学科の主な役割は、失われた土地の風習や歴史を掘り起こし記録する事、または風化していく風習の保管。または失われた風習や伝統行事の復活など多岐にわたる。

鳴上さんはそのために、全国各地へと自らの足で出向いていた。

鳴上さんや高畑教授が目星をつけてその土地に行く事も在るようだけど、地域の住民の方々に乞われて呼ばれたり、自治体や他の大学や資料館などからも呼ばれる事も多いようね。

 

ここからは他の大学の考古学系とは一線を画している所なのだけど、世の中の不可思議な現象をその土地の歴史や風習や神事から紐解き、解決したりと、現代の物理や科学ではとても証明できないような物を扱う事もあるみたい。

これは鳴上さんや高畑教授の個人の力が大きいようね。

 

更に、その中には大なり小なりはあるのだけど、神や悪魔、この世の裏側の存在が関わるような事柄なども、鳴上さんはペルソナの力で事が大きくなる前に収めて来た。

 

その筋では結構有名らしく、神社仏閣だけでなく地方のお役所などからも、そんな依頼が来たり、時には宮内庁などからも直接調査依頼を受ける事も在るらしいの。

 

また、民俗伝承学の方面以外からも、この前の映画館のように、オカルトチックな事件も呼ばれるようね。こっちは高畑教授のお寺の関係で霊能者としてかしら。

 

高畑教授は全国でも有名な考古学者ではあるのだけど、裏の顔は、実家がお寺さんで、ご本人も僧侶、しかも霊能力者。鳴上さん曰く、霊能力者としても一流だと言っていたわ。

本物の霊能力者という人物に初めて会ったのだけど、実在していた事に驚いたわ。

よく考えてみれば、私達ペルソナ使いも相当眉唾物の存在なのだけど……

高畑教授自身は普段はかなり変わった人で、とても偉い人に見えないし、僧侶や霊能力者と言われてもピンとこないわ。

でも、映画館のあの事件での高畑教授の様子を見れば、納得しないわけにはいかないかしら。

 

鳴上さんは考古学の世界では、若手の最有力者と目される人物で、大学卒業と共に准教授として、大学で教鞭を振るってる。

そしてご本人はペルソナ使いで、しかも蓮と同じく複数のペルソナを操れる。

その力は明らかに蓮と同じ……いえ、もしかしたらそれよりも上かもしれない。

少なくとも経験や熟練度は間違いなく蓮や私達よりも大分上のようだわ。

 

 

 

そして……

「悠さーん。今度、悠さん特製のチーズとトマトがいっぱいのラザニアが食べたいです~」

「またな」

「やったー!絶対ですよ!」

緑のジャージにボサボサの髪、大きな眼鏡をかけたオシャレとは無縁そうな女の子が、この考古学部第二資料室に上がり込み、まったく学科とは関係の無い会話を鳴上さんとし、嬉しそうに楽しんでる。

鳴上さんは苦笑気味に対応しているけど……彼女はこの学校の生徒では無いわ。

彼女の名前は真下かなみさん。

こう見えても私と同じ年で、学年で言うと一つ上。

どう見ても私より年上には見えないのだけど、それが真実だわ。

しかも彼女の表の顔は、キラキラ、キャピキャピとしたというのかしら、あの売れっ子アイドル真下かなみなのよ。

普段のかなみさんの恰好は、アイドルの時とはもはや別人だと言っても過言ではないぐらいのギャップで、この姿のかなみさんは、普通に街を歩いていてもあのアイドル真下かなみだと絶対に気が付かれない。

それどころか、どうやら同じ芸能界の人にも気が付かれてないようなのよね。

かなみさんのそのジャージ姿は、芸能人だという事がバレないように変装してるわけでは無くて、この格好が本当のかなみさんの姿で、楽だからという理由なの。

動きやすい服を私も好んで着てるから、分からないでもないのだけど、流石にその恰好は厳しいわね。

私も杏程にオシャレに気を使ってるわけではないけど、それなりには服装には気をつけているわ。

かなみさんは、少しはオシャレをしたらどうだと言う鳴上さんの意見も全く聞く耳を持たない程に、オシャレに対する年相応の感性は無いみたい。

これで彼女に会うのは3回目、私もついその事を忘れてしまいそうになるのだけど、目の前の彼女は間違いなく売れっ子アイドル真下かなみなの。

仕事の合間をぬって鳴上さんに会いにここへ遊びに来ている。

彼女は鳴上さんの事が好きなのだろうけど、恋人にはとても見えない。

どちらかというと兄妹かな、鳴上さんが優しい兄でお転婆甘えん坊の年の離れた妹の面倒を見ているといった感じにみえるわ。

 

そんなかなみさんなのだけど、驚くことに彼女もペルソナ使い。

彼女のペルソナは補助スキルに特化したペルソナ テルプシコラ。

戦闘は苦手みたいなのだけど、殆どの補助サポート系のスキルを使えるのは凄いわ。

まだまだ未熟なようで、鳴上さんに戦い方などを教わってる段階。

 

 

 

「鳴上さん、新玉市三十木町の地域調査の報告と、伝承や風習の資料をまとめておきました」

「助かる。新島さんがこうして手伝ってくれると、資料整理や論文作りが捗る。俺一人では流石にこの量は厳しかった」

「いえ、前回は同行できなかったので、せめて資料の整理の手伝いだけでもと」

「十分助かる」

鳴上さんの説明を受けながら、資料作りの手伝いをさせてもらってる。

日本の普段よく目にする身近な伝統行事や、慣れ親しんださり気ない風習や挨拶など、知ってたり、実際よく行ってる行動だったりしてるのだけど、改めて説明してもらうと、成り立ちや本当の意味も知らずに今迄生活していたことに、驚きと共に感慨深いものがあった。

それと、難解な歴史的解釈や事柄や、地方の風習とか中々普段目にする事がないような事柄は、今はまだ理解が及ばない事が多いのだけど、徐々に勉強中よ。

 

鳴上さんがいつも私に口癖のように語ってくれるのは『伝統や伝承には意味がある』と、その中でも失ってはいけないものが幾つもあって、それ等を失ってバランスが著しく崩れた際に、この世の裏側から改変、または修正力のようなものが働くと、それが形をとり、厄災へと繋がる。

その改変や修正力が大きい場合、それが神や大悪魔という人智を越えた存在として降りかかると……

そう語ってくれた言葉は、私の中でストンと腑に落ちる。

 

私達が体験したあの怪盗団での日々はまさにそれだった。

伝統や伝承とは直接かかわりが無いのかもしれない。ただ、人々の欲望が肥大化し、世の中のバランスが著しく崩れていたとは感じていた。他者を思いやる心を失い、自らの欲望だけを肥大化させていった。その結果なのではないかと。

 

 

 

私は資料整理とか文章をまとめるのは得意な方だし、なにより鳴上さんの現地調査資料は見やすいし、事細かに書かれてるから、知識の薄い私でもまとめるのにそれほど苦にはならなかったわ。

高畑教授のメモは何を書いてるのか、さっぱりわからないから、手を付けられなかったのだけど。

民俗伝承学科のゼミ生となったからには、私が今できる事は行いたいと思ってる。

 

 

「真さーん」

「なにかしら?」

「ラザニアに合うスープって、コンソメスープとミネストローネ、どっちがいいと思います~」

「うーん、そうね。ミネストローネはラザニアと同じイタリアの伝統料理だけど、ラザニアもトマトがベースだから私はコンソメスープかしら、卵と玉ねぎを足して甘くしたコンソメスープなんて良いと思うわ」

「それです!真さん天才ですか!悠さーん。コンソメスープに卵と玉ねぎ入りのスープもお願いします~」

かなみさんはパソコンで作業してる私の横に座り、足をぶらぶらさせていた。

何気ない会話なのだけど、かなみさんはいつも楽し気ね。

私達はまだ3回しか会ってないのだけど、随分と親しくなったものね。

かなみさんは学年は上なのだけど、感覚としては年下の双葉と会話してるような感じ。

 

「そうだ。真さんも一緒に悠さんのお家でご馳走になりに行きましょう!」

「流石にそれは申し訳ないわ」

「大丈夫ですって、悠さんは何時も一人分作るのも二人分作るのも一緒だって言ってました。だから一人分が二人分、二人分が三人分になっても一緒です~」

かなみさん、それは流石に都合よすぎる理論だと思うわ。

 

「私は……」

私はかなみさんに断ろうとしたのだけど……

 

「新島さんもどう?資料まとめを手伝ってもらってるお礼も兼ねて」

鳴上さんはこの会話を聞いていたようで、資料を腕に抱えながら、そう言ってくれる。

 

「その……いいんですか?」

 

「かなみじゃないが、二人分作るのも三人分作るのも大して手間は変わらない」

 

「……では、お言葉に甘えて」

鳴上さんの優し気な眼差しに、ついそう返事をしてしまったのだけど。

よく考えなくとも男の人の家に、行く話なのに……。

かなみさんも一緒だし、鳴上さん自身、信頼できる人なのだけど、世間ではそうはみられないわよね。

 

「やったー!真さんと一緒に悠さんのごはん!ごはん!ごはん!ご・は・ん!」

かなみさんは嬉しそうに燥いでる姿を見ると、そんな事は些細な事に思えてくるわ。

 

この日の晩、またしても鳴上さんの手作り料理を堪能することに……。

ラザニアはとても美味しい。

プロ顔負けの美味しさ。

お姉ちゃんにも食べてもらいたいわ。

レシピを教えて頂けないかしら?

 

 

 

 

 

数日後。

私は午前中で大学の講義を終え、午後から春が経営してる世田谷にある喫茶店に向かう。

春は父親の遺産の一部であり、祖父の代からあるこの喫茶店の経営者でありながら、アルバイターとして店先に出てるの。

接客業とコーヒーの道を一から学ぶためにと。

 

春と普通に会うためだったら、ルブランや春の家や私の家という事が多いのだけど、

私が春と春の喫茶店で待ち合わせをするのには訳があった。

 

昨日、電話で春から相談があったの。

一週間前のある日突然、喫茶店のアルバイト中に知らない男の人に急に告白されたとか……。

それ以降、何人もの人に結婚やら恋人にならないかなどの告白を受けたと。

前々から、男の人に声をかけられることはあったらしいのだけど、告白までのようなマネは今迄なかったらしいの。

春は全てキッパリ断ったのだけど、流石におかしいと思って、私に相談を……。

もしかしたら、自分が知らず知らずの内に男の人を惑わすような振舞や恰好をしてるのではないかと、気にしてたわ。

春は私から見ても可愛らしいけど、急にそんな事になるなんて、何かあると思って間違いないわ。

もしかすると、春が所有してる父親から相続した莫大な遺産が目当てなのかもしれないわね。

もし、そんな事情であれば、皆に相談しないといけないし、弁護士のお姉ちゃんを頼った方が良さそうね。

 

 

そう言う理由で私はとりあえず、春のアルバイトの様子を見るために、外から窓越しに喫茶店の中の様子を伺っていたのだけど、春はいないわね。休憩中かしら?

 

私は春に電話をかけてみたのだけど、でないわ。

どうしたのかしら?

 

すると、喫茶店の横の狭い路地から、何やら争ってるような声がかすかに聞こえ、気になって、路地に入ったら……

 

ビジネススーツ姿の男の人二人の背中が見え、その奥に困り顔の春の姿が……

まさか、春に強引に迫って…こうしてはいられないわ。

 

私は静かに近づき、背の高い方の男を後ろから腕を取り、関節を決め立ったまま取り押さえる。合気道の基本の型。こういう時は便利ね。

「痛たたたたたたっ、ちょっ?何?痛たたたたっ」

 

「あなた達、何をやってるの!」

私は関節を決め痛がる男を取り押さえたまま、もう一人の金髪の男に凄んだ。

 

「およよよよ?お姉さん急に何するクマか?んん?美人お姉さん登場クマ!」

金髪の男は独特のしゃべり方で、私に抗議……いえ、なんなのかしら?私を見て嬉しそうにしてるわ。

 

「ま、マコちゃん!?……違うのこの人たちは違うのよ!?」

春は何故か慌てて、私を止めようとする。

 

「痛たたたっ、ちょっ、ギブっ、ギブだって!?」

 

「マコちゃん!マコちゃんの勘違い!この人たちは私を助けてくれたの!」

私は春に腕を掴まれ、目を見て訴えかけられる。

 

「えっ?」

 

 

 

この後、春の喫茶店のテーブル席で……

「ごめんなさい。私、早とちりしてしまって」

私は先ほどの男の人二人にテーブル越しに頭を下げる。

どうやら私の早とちりだったよう。

失敗したわ。

 

「はははっ、いいっていいって、痛かったけど」

私が技を決め、取り押さえた男の人は、軽い感じで許してくれた。

 

「お姉さん強いクマね~」

外国の方かしら?金髪碧眼の美少年という感じのこの人、口調もちょっと独特ね。

 

「改めて、花村さんにクマさん。助けて頂いてありがとうございます」

私の隣に座る春は二人に頭を下げ、お礼を言う。

 

「春、この方たちは知り合いなの?」

 

「先月位からの常連さんなの」

 

「ははは、俺、花村陽介。仕事の研修で東京に来ててさ、此処の近くの研修所に通ってるんだけど、この喫茶店気に入っちゃって、コーヒー美味しいし、接客もいいし、なんか落ち着くし」

「そうクマね。クマは熊田クマ。陽介と研修クマ。春ちゃんは可愛いし、いつも研修の帰りに来てるクマ♪」

私が取り押さえてしまった男の人はちょっと軽い感じの花村陽介さんで、もう一人の金髪碧眼の美少年然とした口調が変な人は熊田クマさん。春の喫茶店の常連さんとの事だった。

花村さんは私達より、少し年上に見える。仕事の研修に通ってるという事は大学新卒で新入社員研修ということなのかしら?熊田さんはどちらかというと、私達と同じかそれよりも若く見えるのだけど、話ぶりからすると花村さんと同期みたいね。

 

「私は春の友人で新島真です。改めて、先ほどはすみませんでした」

私は自己紹介をしつつ、再度頭を下げる。

 

「もう、いいっていいって。新島さんは春ちゃんの友達って事は大学の?」

花村さんはネクタイを緩めながら、軽い感じで私達に質問する。

 

「いえ、高校からの友達です」

 

「春ちゃんはプリチーだけど、真ちゃんはビューティー&クールガールクマ~」

金髪の熊田さんは子供っぽい笑顔で、面と向かってこんな事を言うのね。

……この熊田さんって人は、ちょっと気を付けた方が良さそう。

初めて会った女性にこんな事を言うなんて、女性にだらしないのかしら?それとも天然なのかしら?

 

 

お互い自己紹介が終わった所で、春は先ほどの路地裏での経緯を話す。

「実は、裏路地にゴミ出しをしていたら、急に知らない男の人に声を掛けられて、交際を迫られたの。きっぱりお断りしたんだけど、強引に腕を掴まれて……そこに花村さんとクマさんが助けに来てくれて、追い払ってくれたの」

そうだったのね。花村さん達がその男を追い払った後の現場を私が目撃して、春が花村さん達に迫られてると勘違いして、花村さんにあんな真似をしてしまったのね。

私の早とちりもいい所だわ。春の恩人に手を上げるなんて……。

 

「そういや、春ちゃん。この頃男に声かけられる事多いような……」

「でも、春ちゃんはぜーんぶきっぱり断るクマ。ムムムムム、という事は、春ちゃんは彼氏がいるクマね!」

花村さんは真面目な顔で春に何か聞こうとしていたのだけど、熊田さんが横から春にこんな事を聞いてしまう。

 

「え?彼氏なんていませんよ」

 

「じゃあ、クマが春ちゃんにナンパしていいクマね?」

 

「お断りします」

春はにこやかな笑顔できっぱりと断った。

 

「即答クマ!オヨヨヨヨ、雪ちゃん並みにしどい~」

熊田さん、がっくりしてるわね。

春は見た目大人しそうだけど、嫌な事は嫌だときっぱり言えるのよね。

私も声を掛けられる事があるけど、即答できなくて、しどろもどろになるのに。

見習わないといけないわね。

 

「お前バカだろ……。春ちゃんがナンパで困ってるって言ってるそばからナンパする奴がどこに居るんだよ」

花村さんの意見はもっともね。

どうやら花村さんは節度と常識を持った人の様ね。

 

「ここにいるクマ!」

熊田さんはさっきとうって変わって、元気よく返事をしていたのだけど……。

さっきからのは冗談半分だったのかしら?

 

「ああ、わかったからクマ、ちょっと黙ってろっつうの!」

 

うーん。どうやら、熊田さんは相当天然が入ってるようね。

この分だと警戒しなくともよさそうね。

熊田さんの暴走気味な感じを、花村さんがいい塩梅で押さえている感じね。

花村さんと熊田さんはどう見ても、昔からの親友みたい。

竜司と祐介のやり取りを思い浮かべるわ。

 

「じゃあ、真ちゃんをナンパするクマ!」

 

「わ、私もお断りします」

 

「しくしく、連敗クマ」

 

 

 

「はぁ、そういや、春ちゃんの事もそうだけど、この頃あちこちらでナンパする奴が増えてるような気がする」

花村さんは熊田さんの事を余所に置き、ため息交じりに話を元に戻そうとしたのだけど……

 

「はいはいはい!クマはこの辺で前から逆ナン待ってたクマ!綺麗なマダムたちに声掛けられまくりクマ!」

 

「そのたんびに断る俺の身にもなれよ!それに、いちいち話の腰を折るなよな!ちょっと黙ってろって!はぁ、……話を元に戻すけど、それだけじゃない。やたらとカップルが増えた気もするし、なんていうか、この辺りの雰囲気がなんかおかしい感じがするんだよな。この店も以前に比べて、明らかにカップルが多いし、前までは結構お年寄り夫婦とか、常連客ばっかりだったのにさ」

花村さんは見た目は軽い感じの人だけど、気配りが出来る人見たいね。

熊田さんは相当天然が入ってそう。もしかしたら、祐介といい勝負かも知れないわね。

 

「花村さんもそう感じますか?実は私も一週間前ぐらいからちょっと変かなって。私が男の人に声を掛けられるのもそうなんですけど、お客さんの層もちょっと、……それにお店の雰囲気も少し、なんていうのか……」

春も花村さんの意見に同意の様ね。

どうやら、告白騒動は春だけじゃないよう。

確かに、以前このお店に来た時は、落ち着いた雰囲気のお客ばかりだったようなのに……、カップルがやたらと目につくし、そのカップル達のスキンシップもちょっとね。

雰囲気が少しというか、大分違う様に思うわ。

 

「やっぱり春ちゃんも?」

 

「はいはーい!クマもおかしいかなーーーって、感じてたクマ。なんか皆、心に余裕がないクマ。クマみたいに~、いつでもどっしりずっしり構えてナンパすればいいクマ」

熊田さんもよくわからないけど、春や花村さんと同じ意見の様ね。

何かしら、この感じ、何かに似ているわ。

 

私は春にこんな事を聞いてみた。

「春が急に告白されたのが1週間前からって言ってたわよね。その前ぐらいから、この辺で何か変わった事とかなかったかしら?」

 

 

「うーん…何かあったかな?……そう言えば、関係は無いと思うのだけど、この喫茶店の路地裏の奥に古い小さなお社があるの。縁結びにご利益があるとかで、ちょくちょく人が訪れていたのだけど。自治会の会長さんが町おこしの一環で、縁結びの神様として大々的にアピールしたいって言いだして、その小さなお社におっきな看板やら、電飾まで施しちゃって……、風情が無いって、皆反対したんだけど、自治会長さんが強引に……、それが確か10日ぐらい前かしら。それ以外には……うーん」

それって、もしかして……最近鳴上さんに教えて頂いた典型的なパターンじゃないかしら?

その土地に古くからある小さな社や地蔵尊等は何かしら意味があって建てられると。干ばつのための雨乞いや疫病や祟りを静めるためだとか、そう言う負の物を正にただすために建てられる。地を流れる霊脈の流れを正したり、風水に基づいて建てられたり、本当に神様の力を収める器として建てられたりと、いずれにしても、負の物を封印したり、寄せ付けないという意味が込められてる事が多いのだそうよ。

でも、時代と共にいつしかその本当の意味を知る人も居なくなり、人が願いたい物を願う様になり、商売繁盛だとか恋愛成就や、家内安全などに変異していくことが多いのだとか。

お社を変に弄ったり、勝手に壊すと、本来の役目のはずの、負の物の封印が解かれたり、薄れたり、地に流れる霊脈の制御が狂ったりすることで、いろんな影響が出るとか。

 

鳴上さんに出会って民俗伝承学科のゼミ生になにならなければ、春のこの話が怪しいなんて思わなかったでしょうね。

これは鳴上さんに相談した方が良さそうね。

その前に、鳴上さんに状況を説明するのにも、お社の様子を見ておいた方がいいかしら。

 

「春、そのお社に案内してもらえないかしら?」

 

「え?この話、なにか関係あるの?」

春は首を傾げる。

 

「行ってみない事には何ともわからないけど……ちょっとね」

私は含みを持たせた言い方をしながら、春にアイコンタクトを取る。

流石に、花村さんや熊田さんの前で、霊脈やら神様やら祟りだのの話はできないわ。

間違いなくオカルトの部類の話だもの、ペルソナや認知世界を知ってる私だって、鳴上さんに体験させてもらわなかったら、こんな話は信じなかったでしょうしね。

花村さんや熊田さんに、変な目で見られるに決まってるわ。

 

「わかったわマコちゃん。花村さん、クマさんありがとうございました。あの、ここのコーヒーは私からのお礼という事で……」

春は私の意図を理解してくれて、花村さんとクマさんに別れの挨拶をして、席を立とうとしたのだけど……。

 

「俺達も付き合うぜ。ここで友人と待ち合わせなんだけど、まだ時間があるしさ。また、さっきみたいな強引なナンパ野郎が出ないとも限らないしさ。まあ、新島さんが居れば大丈夫そうだけど。これも何かの縁って事で」

「そうクマ、クマの怪しさセンサーがビンビンに反応してるクマ!レッツゴークマ!」

花村さんと熊田さんもそう言って席を立つ。

付き合ってくれる気満々のようね。

どうしたものかしら、花村さんや熊田さんに私の推測のオカルト的な話をするわけにもいかないし、そうかといってご迷惑をおかけしたのに、せっかくの申し出を無碍に断るわけにはいかないし……。

うーん。今はお社の様子を見に行くだけだから、問題はないかな。

春には後で、私の推測の話を聞いてもらえばいいのだし。

 

「ありがとうございます」

私はお礼を言って、お二人の厚意を受け取る事にする。

 

喫茶店を出て先ほどの裏路地へ、春と私が並んで先に歩き、その後ろに花村さんと熊田さんと問題のお社へと向かう事に。

 




前回と同じく前後編になる予定です。
「美少女怪盗!参上!」がやりたいですね。

因みに、陽介とクマはジュネスの正社員設定で、東京に研修に来てる事になってます。
大卒者と混じって研修ですが、2人は現場経験は半端ないんで。
更に、陽介はジュネス経営者の一族の末端てな感じの設定にしようかなと。
そうじゃないと、陽介が経験値が高いアルバイターだったとしても、一店長のコネで息子をジュネスに入れるのは難しいんじゃないかなと。結構店内でも顔も効いていたみたいだし、その辺は陽介の人柄かもしれませんが。
しかも、クマの事もありますしね。


全然進ん出ないけど。
5Sにダウンロードコンテンツでいいんで、番長とかでないかな~

真が次に会うとしたら誰がいいですか?

  • りせとかなみ
  • 直斗
  • 完二
  • 雪子と千枝
  • 天田君かコロマルとモルナガ
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