それか毎回エモい絵を、漫画をかかれるみやち様に『生きる糧!』なり『神!尊い!』とリプを送ろう(提案)
「中々に難しいものだ……」
教わった通りに作れたと思い、いざオーブンを開けてみると、そこには残念ながら理想とはほど遠い――綺麗な焦げ目とはお世辞にも言えない焦げが目立つシュトルーデルが。
何を間違ったのかと自問するが、当然答えは出ないわけで。
時間を確認するとあまり余裕もなくなってきた。
何としてもヴィーシャが来るまでに満足いく物を作っておかねば……。
*
「少佐殿のお宅に……ですか?」
「そうだ。風邪を引いたときやハーブを貰ったときなど何かと世話になっていると思ってな。ささやかながら恩返しでもと考えている……迷惑か?」
「そ、そんなっ!! 迷惑だなんて滅相もありません! むしろ呼んで頂けるという事実が嬉しすぎて――」
純粋な好意。あるいは喜び。
それを真っ直ぐに振りかざす彼女の笑顔は、私にとって破壊力抜群。
例えそれが、上司が部下に貸しを作りっぱなしでは顔が立たないのではないか? と言う考えから来た提案に対しても、である。
「で、ではあれから作り続けているハーブティーと、何かお茶菓子を用意しよう。……構わないか?」
「はい! 次の休暇日ですね! 心待ちにしておきます!!」
*
などというやりとりをしておきながら、肝心のお茶菓子にこうも失敗するとは。
現世ではもちろん、この世界に来てからも少しは料理をしておくべきだったと後悔せざるを得ない。
とりあえず後は焼くだけだが……毎度火加減を間違える。――このくらいか?
と、残りは焼き上がりを待つだけになって少しすると、家のチャイムの音が響き渡る。
「お邪魔します! 少佐殿!」
「いらっしゃい。貴官はいつも元気だな」
扉を開けると、思った通りの元気を振りまく笑顔のヴィーシャがこんにちは。
普段と違うのは軍服か私服かという程度であろう。
――――とてつもない破壊力ではあるが。
「少佐殿のお手製のお菓子が食べられると聞いて、昨晩はあまり寝付けませんでした!!」
「それは果たしてどうなんだ。部下の健康を阻害するならあまり行うべきでないような気もするが……」
家に上がるよう手招きをし、他愛ない会話をしていると……。
「? 少佐殿? 何やら焦げ臭いような――」
――ッ!?
言われて気付き、脱兎の勢いでオーブンへと向かうがもはや手遅れ。
残念ながら最後のシュトルーデルも焦げてしまっていた。
文字通り膝をつき、がっくりとうなだれる私だが、ヴィーシャはというと――。
「私も何度も同じ失敗しましたよ。砂糖が入ると焦げ付きやすいんですよね」
私に構わずオーブンからシュトルーデルを取り出して……。
「食べましょう、少佐殿。料理は何を思って作ったかですよ! 私のためにと作って頂いたのであれば、私は必ず完食しますので!!」
あぁ、ヴィーシャよ。今はその優しさが痛い。
「というのは冗談で――」
?
「実は、薄い生地を重ねているので焦げているのは表面だけなんです。なので、表面さえ削ぎ落としてしまえば全く気にならないんですよ」
と言って近くにあった包丁を手に取ったヴィーシャは、驚くような速さで焦げている表面だけを削ぎ落としてしまい……。
「ほら、全然大丈夫でしょう!?」
と満面の笑みで手直しされたシュトルーデルを見せつけてくる。
全く、上司の失態を部下に尻拭いさせたのでは、本当に立つ瀬が無いでは無いか。
「感謝するよ。――ありがとう、ヴィーシャ」
耳元で囁き、ハーブティーを準備しに行くと、後ろでヴィーシャが腰砕けになったりしていたが、特に私は気にしなかった。
*
「ん~~~。美味しいです!」
「作っておいてなんだが、意外にイケるな」
包丁で切り分け、ハーブティーと合わせて優雅にティータイム。
シュトルーデルを口に入れたヴィーシャは開口一番に舌鼓を打ってくれた。
「リンゴとアーモンド、さらにはチョコレートが絶妙にマッチしてます! 嗜好品のチョコをコレに使うなんて発想、私にはありませんでした!!」
「はは、貴官のことだ。貰ったその日に食べきってしまっていそうだな」
「どうして分かられたのですかっ!?」
シナモンティーを用意したこともあり、何を入れるか迷った挙げ句に、そう言えばヴィーシャはチョコに目がなかった事を思い出して軽い気持ちで入れたのだが……。
いや、そもそも現世でもチョコとの組み合わせを多数目にしてきていたのだから、合わないとは思わなかったが――。
よもやここまで好評とは……。
「はふぅ~。シナモンティーも鼻をくすぐる香りがたまりませんね~」
「本当はレモングラスとミントで作りたかったのだが、生憎材料が手に入らなくてな」
美味しそうに食べ、幸せそうにくつろぐヴィーシャの表情を
「いいんですよ。相手を思いやり、作った料理は全てご馳走です。私は少佐の手料理のご馳走が頂けて大満足ですよ」
カップを握り、温かい表情でそんなことを言われ、一瞬告白とすら錯覚してしまいそうになり首を振る。
「ふふ――」
「何かおかしいか?」
唐突に笑い出した彼女の真意を探るべくした質問は――。
「いえ。どうやら少佐殿も、誰かに料理してみたいという第一歩を踏み出したようなので嬉しく思いまして」
心の中で色々と理由を付けてきた今回の件を、たった一発で崩すものであり。
「本日はお招き頂き、ありがとうございました。今度お返しをしようと思うので、是非私の家にいらしてください!」
この者の、ヴィーシャの笑顔を見たいが為の料理なのだったと、事実を確信として、私に掲示する物だった。
……もちろん、ヴィーシャのこの誘いも、私を笑顔にしたいが為の事なのだろう。
――この連鎖は、ちょっとやそっとでは……収まりそうにない。
掃除をしてようやく掘り起こした幼女戦記食堂が記憶よりも同人誌だったから書いた。
あんなのが公式にあるのが全面的に悪く、私は悪くない。
などと供述しており――。