もしほんの僅かにでも反応(意味深)をしてしまった人は罰として、ターニャ考案の再教育課程に志願するように。
――私もご一緒しますので。
額に少しひんやりとした感触が伝わって、目が覚める。
目を開く寸前の感覚から察するに、どうやら体調は快復したようだ。
気怠さが消え、さっぱりした感覚にありがたさを感じつつ、ゆっくりと瞳を開く。
「おはよう、ヴィーシャ」
「あ、おはようございます。……起こしてしまいましたか?」
「いや、起こされたというよりは、目覚めへ導かれた、とでも言うべきだろうな」
現に不快感など無く、それどころか目が覚めたことに感謝しているくらいだ。
私の顔を心配そうにのぞき込みながら、額に手を当てているヴィーシャを見ることが出来たのだから。
「お身体の具合はいかがですか?」
「お陰で良好になったようだ。……コーヒーを貰えるか?」
「はい! すぐにお持ちしますね!!」
いつもの朝のお供をねだれば、敬礼して部屋から出て行くヴィーシャを横目で見つつ、ひっそりとため息を――吐息を吐く。
全く、気が付いていないとでも思っているのか……。
熱で朧気ながらも、私の記憶には、寝付くまで頭とお腹を撫で、額に乗せた濡れタオルをこまめに替えてくれていたヴィーシャの姿が鮮明に焼き付いていると言うのに。
額に当てられた体温もだが、何より頭全体に残る温かみを私が理解しないと?
……どうやらかなり気を遣わせてしまったらしい。
前回はお互いの為のようになってしまったが、今度ばかりはヴィーシャのしたいことをしてやろう。
そう決心したとき、脳が覚醒する匂いを連れて、ヴィーシャが部屋に入ってきた。
「お待たせしました!」
「そこまで待っては――いや、心待ちにしていたな」
カップを受け取り一口含み……あぁ、素晴らしきかなコーヒー。
二人きりで静かな朝にいただくコーヒーのなんたる美味さか。
たった風邪で寝込んでいる間飲めないだけで、こうも愛おしく感じるものか。
「本日はいかがなさいますか? まだ快復直後で、出来ることは限られると思いますが……」
「そうだな。――ところで、私が寝込んでいる間、貴官はとてもよく働いてくれた」
「はぁ……」
私の言いたいことが伝わらないためか生返事を返すヴィーシャ。
皆まで言わせる気か……。
「そこで、働きに見合った褒美を与えようと思うのだが、何かやりたいことはあるかね?」
「はへ? ――え?」
「だから、貴官の好きなことをさせてやるぞ、と言っているのだ」
どうにも理解出来ないらしく、直球そのものを結局口にさせられた。
よもや狙ってやっているわけではあるまいな?
「で、では! 僭越ながら――」
*
相手の膝の上に身を委ね、ゆっくりゆっくり、優しく侵入してくる
「急に動かないで下さいね? 危ないですから……」
「重々自覚して……んっ! いるが、どうにも体が勝手に……ひゃう! 反応してしまうな……」
「ただでさえ少佐のは小さいですから、私も慎重になりますよ……」
私の穴に、固く長いものを入れていくヴィーシャによって、嫌が応にも体が反応してしまう。
……とはいえ、嫌でも無ければ彼女の望むことであり、しかも快感までも与えてきているのだからたちが悪い。
声は漏れるし体は跳ねる。例えそれが、仕方の無いことだとしても、正直危ないことであるには変わらない。
「しかし、こんなことで……ひゃっ! よかったのか? ……その、楽しくないだろう?」
「いいえ! とても楽しいです。こうして――少佐殿に
そう、ヴィーシャの願いは私に耳かきしたい。である。
……もちろん膝枕で。
そんな事ならば、と受け入れてみたが、どうにも刺激が強すぎる。
もちろん、耳をかき回される事もだが、顔からダイレクトで彼女の体温を感じてしまえるのだ、膝枕というやつは。
そして横目でヴィーシャを見上げようとすれば、彼女の双璧が視界を塞ぎ、あまつさえ穴の奥をほじくろうと前屈みにでもなろうものなら、私の後頭部に双丘が当たり、柔らかく形を変えるのだ。
――生殺しもいいところである。
そしてさらに言えば、耳かきをするために、そして奥を見やすいようにと穴の縁に添えられた彼女の指は、手は。
時折耳たぶや耳の軟骨を刺激し、さながら耳への愛撫かとすら錯覚する。
私の体が跳ねる理由がおわかりいただけただろうか?
反応するなという方が無理な話なのだ。
「その……まだ終わらんのか?」
壁という壁を掻かれ、もう耳の中は掃除尽くされているはずだが、一向に手が止まる気配が無い。
「あと少し……ここだけ」
彼女の口から漏れ出た吐息は、優しく私の耳を刺激して。
直後、それまで耳の中を蠢いていた耳かきが、唐突に耳の表面。
形状的に溝が出来てしまう耳の部分を優しく引っ掻き始めたのだ。
「――――~~~っ!!」
声を出さなかったことを、褒めて貰いたい。
不意を突かれ、けれども動けず、私に許されたのは足をピンと力一杯伸ばすことのみ。
あまつさえその直後、
「ふぅ」
と耳に息を吹きかけられて私はもはや息も絶え絶え。
「名残惜しくはありますが、これで終わりであります」
双丘越しに私をのぞき込むヴィーシャの口から、ようやく解放宣言がなされホッとしていると――。
「では、反対の耳もしますので、向きを変えて下さい」
と声を掛けられた。
――この時ばかりは、彼女の笑顔が悪魔の笑みに見えてしまった。
……結局、もう片方の耳掃除を終える頃には、私の息は風邪の時以上に不安定で激しいものになっていたことを追記しておこう。
本当は後方勤務になったターニャがヴィーシャと暮らしているIfを書こうとしてたんですけど、せっかくの病気シチュの後って事で作者の暴走で今回のシチュになりました。
上記のIfも書くと思いますので首を長くして待っていて下さい。