Lostbelt No.2.5 絶対■■帝国 ■■■ ~最■の男~   作:>=

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六節 カルデアの会議

『シオンズ』を出た二人はすぐにホームズと合流。その後再びベルリンまで三人を送ってくれた老人の車に乗り、ボーダーのある国境付近へ戻った。

 

車内にて藤丸やマシュが老人にベルリンの感想を身振り手振りで伝えている中、ホームズはただ窓の外を眺めているだけだった。

 

 

そうしているうちに到着。老人は三人を車から下ろしたら「残りの期間もたっぷり楽しんでくれよ!」、と明るい笑顔で別れを告げて立ち去った。

 

 

「お爺さん…陽気でとてもいい人でしたね。」

 

「そうだね…これ以上私たちといると迷惑になるだろうし…もう関わらないべきだよね…」

 

「…そうですね。」

 

「…Ms藤丸、Msキリエライト。話はあとにしよう。取り敢えずシャドウボーダーに戻ろうか。」

 

「そうですね。私たちも新情報はかなり手に入れました。ダ・ヴィンチちゃんと所長も交えて情報交換しましょう。」

 

そうして三人はシャドウボーダーへ戻った。

 

 

 

「お帰りみんな!なかなか帰ってこないから心配したよ!」

戻るとダ・ヴィンチが満面の笑みで出迎えた。

 

「はい、心配をお掛けしました。」

 

「敵襲も無く全員無事だよ。」

 

「(私は少々手荒な歓迎を受けたがね。)」

 

「それは良かった!ささ、ずずいと奥まで。こっちも収穫は得たよ。じっくりと情報交換といこうじゃないか。」

 

 

 

そういい4人は操縦室へ向かう。

操縦室へ入るとそこにはムニエルと顔を真っ赤にさせた所長、ゴルドルフがいた。

 

「おいそこの3人!特にそこの経営顧問!所長である私の許可も取らず勝手に敵国の首都へ向かうとは何事だ!大体キミたちは____」

 

「でもその時所長酔い潰れてましたよね?」

 

「よ、酔ってなどいない!あの…その…あれだ!虚数潜航のせいで体調がだな…」

 

「おっさん、今はそんなことよりも状況把握だろ?」

ムニエルが脱線しそうな流れを元に戻す。

 

「おっさん言うな!そんなことは分かっておる!…コホン。では全員着席してくれたまえ。」

 

全員が座ったのをゴルドルフが確認すると再び口を開く。

 

「それではこれより第一回西欧異聞帯対策会議を始める。司会は言うまでもなく所長であるこの私が引き受けよう。それじゃあまず藤丸立香。君から報告してくれたまえ。」

 

「はーい。私とマシュが首都ベルリンを調査して分かったのは主に三つ。

 

この国、少なくともベルリンは汎人類史を上回る街であったこと。

異聞帯の王は三か月前から失踪中であること。

クリプターはアルン・ベッテルハイムである可能性が高いこと。

 

この三つだよ。」

 

「な、何!敵のクリプターが判明したのか!」

 

「立香ちゃん、詳しく説明してくれ。」

 

そして藤丸は語った。

ホームズと別れてから『ZIONs』というレストランで食事をとるまでの全ての行動について、その場にいる全員に説明した。

 

「なるほど…それは実に興味深い。」

 

「ガハハハハハ!!中々の進歩じゃないかこれは。敵の弱みとクリプターについて分かったんだ。よくやったぞ諸君!」

 

「おっさん、都合のいいとこばかりに耳傾けてるけどさ。ベルリンって街はめっちゃ凄かったんだろ?そんな国力持った国に勝てんのか?」

 

「う、うるさいわ!貴様はさっきからねちねちと!」

 

 

「まぁそれはともかくとしてだ。なるほどね、今回のクリプターはアルンくんか~。」

ダ・ヴィンチがため息をつきながらこぼす。

 

「ダ・ヴィンチ、アルン・ベッテルハイムという人物について教えてくれ。」

 

「りょーかい。アルンくんはね、スペックだけで言えばAチームでも屈指の実力を持った人物だよ。それこそキリシュタリア・ヴォーダイムにも匹敵するだろう。」

 

「な、なにぃぃぃ!!キリシュタリア・ヴォーダイムと同格ということか!!わ、私はそんなことは聞かされていなかった!名前だけしか聞いていないぞ私は!」

 

「彼は…ちょっと特徴的だったからね。」

 

「はい。特徴的な方が多いAチームの中でもアルンさんは特に不思議な方でしたから…。あ、いえ!性格的に問題がある方ではなかったんですが…」

 

「そうだな。Aチームの奴らとは普通に会話してたし、他のマスターやスタッフとも交流はあったしな。性格は普通だったな。」

 

「はい。特にカドックさんとはかなり親しくしていました。いつもアルンさんがカドックさんをからかって、ベリルさんが便乗して、カドックさんが激怒して、それをペペロンチーノさんがなだめて…。」

 

「日常と化していたよな、そのパターン。」

 

「そうだね。カルデアのデータにも『性格面に問題は見られない。』とあるよ。」

 

「ふむ。性格に問題が無いというのならば何に問題があったのだろうか?」

 

「あれかな?よくラノベで見る『普段はめんどくさがりだけどいざとなれば…』的な人かな?」

 

「いえ、アルンさんは決してめんどくさがり、という訳ではないと思います。どちらかというと…」

 

「『緊張感が欠如している。』といった感じだよな。何かそこら辺のネジが外れたやつだったよ。」

ムニエルがマシュの言葉を遮って言う。

 

「はい、そうですね。Aチームの任務でとても難易度の高いものがあったんです。私も含めて他の八人も手こずっていて、中には息を切らしている人もいました。ですがアルンさんは……そんな状況下でも…カドックさんの…その…ズボンを下ろしてふざけていました。」

 

少し赤面しながら語るマシュ。

 

「は?ズボンを?」

 

「はい。カドックさんとオフェリアさんはもちろんですが、普段冷静なキリシュタリアさんでさえ少し怒っていましたね。」

 

「ねぇマシュ…それってただのバカじゃ____

「ですがその任務、最大の功労者はアルンさんだったんです。」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

「殲滅数、被害、殲滅速度、どれもアルンさんがずば抜けてトップだったんです。」

 

「な、なに!?じゃあつまり、アルン・ベッテルハイムという男はそんな舐めた態度をとったまま大活躍した、ということか!?」

 

「はい。彼は終始その態度を崩すことはありませんでした。そんな彼が本気になれば…私にも分かりません…。」

 

「「「「「………」」」」」

重い空気が流れる操縦室。

 

 

 

 

 

 

 

 

その空気を破ったのは名探偵の一言だった。

 

「勿論クリプターは脅威であることには間違いないが…絶望的、という訳ではないだろう。」

 

全員がホームズの方を向く。

ホームズは更に続けた。

 

「マスターにとって戦闘力、魔術回路などは確かに大きな武器だ。しかし、実際にサーヴァントを使役するマスターにとって重要と言えるものはそれだけではないだろう。

 

現にMs藤丸に魔術の才能は殆ど無い。しかし彼女は人類最後のマスターとして数多くの英霊を使役し、人理焼却を防いだ。」

 

「そ、そう言われると照れるなぁ…あはは…。」

 

「デレデレするな!…だがまぁ確かにそれもそうだな!たまにはいい事を言うじゃないか経済顧問!」

 

「そうですね!確かにアルンさんは強敵ですが先輩なら…いえマスターならきっと勝てる筈です!」

 

「あはは…流石に魔術師としてはぼろ負けだと思うけどね…。」

 

ホームズの一言によって活気づいた藤丸達。発端であるホームズはその姿を微笑ましく見つつ、考え込む。

 

「(そう。本当に恐ろしいのはアルン・ベッテルハイムではない。本当に恐るべきはこの…)」

 

 

「よし。藤丸立香の報告については了解した。ご苦労だった。

 

さて、次はホームズ経済顧問!君の報告を聞かせてもらうぞ?まさかのんびり散歩でもしていたわけではあるまいな?」

 

司会であるゴルドルフがホームズへ報告を求める。

 

「わかりました。それでは…」

 

そうしてホームズは自らの調査について話した。

住宅街を回って人々の生活について調査したこと。

気になるものも発見したこと。

チンピラに絡まれたこと。

そしてそのチンピラが発した異様な雰囲気、言動について

自らが過ごした半日について全て語った。

 

藤丸達は堂々と家の中に侵入したり、チンピラをボコす等、犯罪紛いのことをドヤ顔で行うホームズにドン引きしつつとある事に引っかかった。

 

「その…不良学生の急に態度が急に変わった、というのはどういうことかね?」

 

「そのままの通りですよ。口調、雰囲気、仕草、全てが別人…いや、人ですらない。まるでロボットになったかのように様に豹変したのです。」

 

 

ホームズの言葉を聞き、マシュが反応する。

 

「あ、あの!それって目の色なども急変したり…」

 

「あぁ、その通りだ。どうやらMsキリエライトにも覚えがあるようだね。」

 

「はい…先ほど話したアンケートを受けていただいた女性なのですが…私が『王の名前は何ですか?』と質問すると、一瞬だけ…そのような雰囲気に…」

 

「なるほど、これはこの国の民に備わっている特徴、と考えた方がよさそうだ。」

 

「なるほどね、まぁそれについては追々調べていくことにしようか。」

 

「そうだな。分からないものを無理に考えた所で答えは出ないしな…

 

 

 

って待て!!!経済顧問!君の報告はそれだけか!?」

 

「はい。これで以上です。」

 

「な、何ぃぃ!!何か判明したこととかないのかね!?藤丸立香たちですら敵のクリプターを暴いたのだぞ!?」

 

「ははは、どうやらMs藤丸は私以上に優れた探偵のようだね。ははは。」

 

「このヘッポコ探偵!!この私が苦しい思いをしていたというのに貴様ぁぁ____

 

「落ち着いて。そもそもキミは一日中酔いつぶれていただけでしょ?」

悪びれる様子もないホームズに憤慨するゴルドルフをダ・ヴィンチがなだめる。

 

ゴルドルフを落ち着かせるとダ・ヴィンチは再びホームズの方に向き直る。

 

 

 

 

 

「ホームズ。キミは世界最高の探偵だ。そんなキミが何の収穫も無しに帰ってくるなんてありえないと思うのは私だけかな?」

 

「と、いうと?」

 

「何かあるんだろう?名探偵であるキミが導き出した真実が。」

 

「………」

 

「………」

 

互いに見つめ合う二人。

その異様な雰囲気に周りも口を開かない。

 

 

 

 

 

先に折れたのはホームズだった。

 

「はぁ、その通りだ。私は一つの結論を導き出した。」

 

「だけど『語るべき時ではない』と?」

 

「あぁ。」

 

「そっか。でも何が分かったのかだけは教えてほしいな。」

 

ダ・ヴィンチがそう尋ねるとホームズは十数秒程考え込む。

そして口を開いた。

 

「そうだね。Ms藤丸。実を言うとだ

 

 

 

 

私はこの異聞帯の正体について確信に近い答えを持っている。無論この異聞帯の王についてもだ。」

 

 

「「「「「「!!!」」」」」

ホームズの放った衝撃の事実に一同が驚愕する。

 

「この異聞帯について分かったのか!?ここは何処なんだ!?は、早く言いたまえ!!!」

 

「ははは、その答えに関しては『今は語るべき時ではない』としか。」

 

「貴様ぁぁ!ぐぬぬぬぬ!!」

 

答えを催促するゴルドルフの問いを笑いながら拒否するホームズ。

ホームズには『確証がない限りは推理を語れない。』という制約がある。

いくら確信めいた答えが浮かび上がっているとはいえ、確証がない限り語ることはできないのである。

 

 

「無論、全てが分かったわけではない。そこについては追々と調べていくことにしよう。」

 

 

そうしてホームズの報告が終わる。

 

 

「ふん!次だ次!貴様を交えて話すと碌なことがおきん!

ダ・ヴィンチ技術顧問、本日の成果を聞かせろ!」

そうゴルドルフがダ・ヴィンチに話を振ると、ダ・ヴィンチは待ってましたと言わんばかりに胸を張る。

 

「ああ!任せてくれたまえ!こっちも中々の収穫だよ!」

そういいながらダ・ヴィンチはマップを起動させる。

 

「これはこの異聞帯の全体図だ。

異聞帯の中心はベルリン辺りだね。大きさも中々のものだ。ヨーロッパの中央を丸々を飲み込んでしまっている。イギリスにもあと少しで届きそうな程だよ。」

 

 

「異聞帯の全体図か…これは使えるな。これだけ広いと自分の位置を把握することが非常に困難だ。」

 

そしてダヴィンチは更に続ける。

 

「この地図が一つ。

もう一つの成果がここだ!」

そういいダ・ヴィンチはマップの一か所を指さして言う。

 

「ここは今いる場所から百キロ程離れた場所にある山だよ。『コシャリン山』と言う。そしてこの山の麓に霊脈の反応を観測した。」 

 

「おぉ!それはつまり___

 

「あぁ!サーヴァントを召喚できる、ということ。明日はこのコシャリン山まで行ってサーヴァント召喚をしてもらおうと思っている。それでいいかな?マスターちゃん。」

 

「うん、了解です!」

 

「うん!いい返事だ。じゃあメンバーは今日の三人と同じでいいかな?」

 

「私はそれで構いません___

 

 

 

「いや、すまない。私は別の行動をとらせてもらうとするよ。」

 

「…その内容は言えないものかい?」

 

「そうなってしまう。なに、今後の為の保険のようなものだ。」

 

「はぁ。まぁ君の言うことだから私は構わないけどね。」

 

「すまない。だから霊脈へは二人だけで行くことになってしまうが構わないだろうか、Ms藤丸。」

 

「うん、大丈夫です!戦闘もなるべく避けるよ。」

 

「それが賢明だろう。いざ召喚さえすればその英霊の助けも借りられる。Ms藤丸なら大丈夫だろう。」

 

「うむ。話はまとまった様だな。明日の方針も決まったようだし会議はこれで解散としようか。」

 

「あれ、所長ホームズに対して怒らないんですね。」

 

「もう慣れたのだよ!!!このヘッポコ探偵の勝手な行動ぶりにはな!!!」

そう顔を真っ赤にさせながら船長室へ戻るゴルドルフ。

 

「ははは、これは手厳しいな。そういえばダ・ヴィンチ。偵察機はあるだろうか?可能ならば私用に一つ用意して欲しいのだが。」

ホームズがそう尋ねるとダ・ヴィンチは気まずそうな顔をする。

 

「うーむ。すまないが偵察機は破壊されてしまってね、残っていないんだ。」

 

「!!!」

その言葉に驚くホームズ

 

「ダ・ヴィンチ、その破壊された場所は?」

 

「ここから北側さ。本当は異聞帯全域を軽く偵察しようと思ったんだ。そこでまずは北側の方へ偵察機を送ったらある場所で破壊されてしまった。恐らく銃による破壊だろうね。」

 

「やはり北側か…」

 

「何か心当たりでも?」

 

「あぁ。だが今はどうでもいいことだ。」

 

そうしてホームズは自身の工房へ戻る。

 

「(Ms藤丸たちの情報がかなり役に立った。『異聞帯の王が失踪中』というのは気になる話だ。また彼女らが言っていた『アレ』は___の可能性が高い。正直一か八の賭けだが…やってみるしか手はないだろう。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッフンフンフンフフフンフンフン♪」

アルンは机に座り、鼻歌を歌いながら手元のノートに目を通していた。

 

そこに一人の男が現れる。

男は2mを超えんばかりの大男で、筋骨隆々とした体つきは軍服からでも容易に分かる。その顔つきは若々しくも凛々しい。男女関係なく惹かれるであろう顔立ちだ。

 

「…アルン様、ご報告が…」

 

男の声を聞くとアルンは目線を男に向ける。

 

「あぁ、お前か。珍しいな、お前が俺に報告とか…。」

 

「そうですか…ところでそれは?」

男がアルンの持つノートについて質問する。

 

「あぁこれ?カルデアについての情報。今までに三人が情報提供してくれてさ、まとめてもらったからそれに目を通しているわけ。」

 

「なるほど…」

 

「ちょっとまずいことになった。どうやら少なくとも一人、奴らの中に知恵者がいるらしい。うちの正体がバレそうだ。」

 

「!それは…緊急事態なのでは?」

 

「いや、まだ大丈夫だと思う。ただ正体がバレるだけなら許容範囲内。正体がバレた後の彼らの策略次第ってこと。

 

ただ、その知恵者に好き勝手動かれると厄介だからさ、出来れば捕縛しておきたい。そしてその役は君に任せたい。どうやら相手も戦闘手段を持っている様だから。」

 

「承知しました。」

 

「うん頼むぜ。似顔絵を後で描いとくから見といて。

それでさっき言ってた報告って何?」

 

「はい。官邸付近にて空間の歪みを観測しました。アルン様の言う化け狐が到着した、と考えてよろしいかと。」

 

「あぁそっか。オッケー。じゃああいつが官邸に押し入る前に、ちょっと出かけるか。」

 

「承知しました。どちらへ。」

 

「こっから離れた所にある山に行ってくる。おじいちゃん連れていくから。」

そういいアルンはコートを羽織り部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

無理な戦闘はしない事・日暮れまでに帰還すること

この二つに注意し、マシュと藤丸は霊脈反応があるコシャリン山へ向かった。

 

ダ・ヴィンチによるナビゲートも受けて、数時間でコシャリン山へ到着した。

 

「やっと着きましたね、先輩。体調は大丈夫ですか?」

 

「うん、アメリカを横断した時に比べればこんなのへっちゃらだよ!」

 

「あの時は本当に大変でしたからね…」

 

『二人とも!思い出話はあとあと!君たちが今いる場所が霊脈だ。じゃあさっそくで悪いんだけど、召喚に取り掛かってくれるかな?二人とも。』

 

「あ、はい。分かりました。それでは盾をセットしますね。少々お待ちください。」

 

『あ、そうそう。今回は『ダ・ヴィンチちゃん特製ブースト』を使ってもらうよ!これを使うとあら不思議、サーヴァントが二体召喚可能、という優れものだ。戦力増強を惜しんでいられないからね。』

 

「おぉー!それは凄い!」

 

「先輩、準備完了しました!」

 

「オッケー!それじゃ召喚しよう。」

 

そういい藤丸は召喚の儀式を行う。

すると盾は光を放ち、その光が盾を覆う。

 

「…今回はどんな英霊の方が来てくれるんでしょうか?」

 

「強くて、頼りがいのあって、常識的な英霊がいいなぁ」

 

「そんな理想的な方は中々いらっしゃらないかと…」

 

「だよねー。そんな英霊いる訳______

 

その瞬間、盾を覆っていた光が消え、二体の英霊が姿を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「問おう。貴方が私のマスターか?」

 

「円卓の騎士、ガウェイン。今後ともよろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わってベルリンの路地裏にポツンとあるレストラン、『ZIONs』

 

ある一人の男性が来客した様だ。

 

「…いらっしゃい。」

中年ウェイターは男を席まで案内する。

 

そして席に着いたことを確認すると、メニューを尋ねた。

 

すると男性は落ち着いた口調で言う。

 

「ポークソテー定食。ライスで。サラダはシーザーでドレッシングは胡麻だ。スープはコーンで肉の焼き加減はウェルダン。弱火で頼もう。他にも………」

男はそう一分以上の時間をかけて注文する。

 

異様な光景の筈だがウェイターはその言葉を真剣な表情で聞いた後、「かしこまりました。」とだけ告げて厨房へ戻ろうとする。

 

しかしそこで男性がウェイターを呼び止めた。

「いや、料理は持ってこなくていいよ。そんな形式上のモノにこだわる程我々に時間はないのでね。」

 

「…何の用だ。」

 

 

 

 

 

 

 

「カルデア、という組織について。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたガウェイン卿?私の顔に何か付いているのか。」

 

「…いえ、決してその様な事は。」

 

「ならばなぜ私を見る。」

 

「…我が王よ。…私は______

 

「以前にも言っただろう。ガウェイン卿、貴公は貴公が是と思う道を進みなさい、と。」

 

「…はい。大変申し訳ありません。」

 

「それに、我らは此度は共にマスターのサーヴァントとして現界したのだ。その様な因縁を抱えて戦いの場に赴いてはマスターの足かせとなるだろう。我らはマスターに召喚されたサーヴァント同士。それを努々忘れるな。」

 

「了解しました。我が王よ。」

 

 

『うんうん。生前因縁のある二人だからちょっと心配だったけど、どうやら杞憂だったようだね。』

 

「二人とも、召喚に応じてくれたありがとう!」

 

「はい。これより私はマスターの剣です。如何様にでもお使いください。」

 

 

 

『それじゃあ今の状況とか説明したいんだけど、いいかな』

 

「そうですね。日も暮れてしまうので帰りながらにしましょう。」

 

「はい。よろしk____

 

 

 

 

そうアルトリアが返答した瞬間、「ズシン、ズシン」といった巨大な足音が鳴り響く。

 

『立香ちゃん!!敵の反応だ!足音で分かるだろうけどかなり巨大な敵の様だ!!』

ダ・ヴィンチがそう焦った様に報告する。

 

「敵って何処に!?」

 

「マスター!後ろです!」

 

ガウェインの声に反応し、全員が一斉の後ろを振り向く。

するとマシュ、ダ・ヴィンチ、そして藤丸にとって信じられない者がそこにあった。

 

 

 

 

「こ、これは…!?」

 

『北欧異聞帯にいた巨人たちじゃないか!!!何でここに!?』

 

「先輩!それだけじゃありません!ロシア異聞帯にいたクリチャーチもいます!」

 

そこにいたのは彼らが以前いた二つの異聞帯に存在する特殊生命体だった。

本来その異聞帯にいる筈のないモノが現れ、動揺する三人。

 

「マスター!考えるのは後です。指示を!」

アルトリアの声に意識を敵に戻す藤丸たち。

 

『そうだね、理由は後で考えるとしよう。今はラッキーと考えようじゃないか。二人の英霊の腕前を測る機会ができたんだからね!』

 

「よし、ガウェイン、アルトリア!一匹残さず倒して!マシュは後方で私を守って!」

 

「そのように。」「承知。」「了解しました!」

 

そうして初手の攻撃を加えるべくアルトリア達が一歩踏み出そうとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

凄まじい轟音が響く

爆風が吹き荒れ、敵の周りには煙が舞う。

巨人、そしてクリチャーチ達が突然爆発したのだ。

 

巨人たちは悲鳴を上げながら消滅した。

 

 

「…これは、一体!?」

 

「ええと…今のアルトリア達の攻撃…じゃないよね?」

 

「…はい。私も我が王もこの様な攻撃手段は持ち合わせていません。」

 

 

 

 

そんな中アルトリアが口を開く。

 

「…他方からの射撃でしょう。…恐らくこの山の頂上から。このような遠距離射撃には見覚えがあります。」

 

『アルトリアの言う通りだろう。こっちでもそういう反応を確認した。このコシャリン山の頂上に恐らくこの攻撃をした犯人がいるだろう。』

 

 

 

「…先輩、どうしますか?」

 

「…行ってみよう。新たな手掛かりを得られるかもしれない。」

 

『そうだね。日が暮れるまでまだ時間はあるし。でも危険と感じたらすぐに逃げるんだよ。』

 

「大丈夫だよダ・ヴィンチちゃん。」

笑いながらそう言うマスター

 

 

 

その姿を見た藤丸は安心したように笑い

「それじゃ行こっか!」

と歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、大丈夫ですか?ペース少し落としましょうか?」

 

「ううん。大丈夫だよマシュ。ありがとう。」

 

『あと少しで頂上だ。頑張って立香ちゃん!』

 

 

「…それにしても今度は異聞帯…ですか。」

アルトリアが口を開く。

山を登る道中マシュから濾過異分史現象について聞き、思う所があった様だ。

 

「マスター、貴方は再び人理の為に戦う運命にあるのですね。」

 

「まぁ…ね。私しかマスターはいない訳だし。私なんかが背負えるのか、今でも不安しかないけどね…」

 

「いえ、きっと、貴方の様な…長所もあり短所もある。そんな普通の人間だからこそ、なのでしょう。」

 

「セイバー…」

 

「何より、貴方は既に一度人理を救っているのです。それは他の誰にもなしえなかった事だと思います。そう、それこそ他のクリプター達にもです。それだけのことをやってのけたのだから、どうぞ胸を張って下さい。

 

私もいつ力になれるか分からない身ですが今回こうして力になれる機会を頂きました。今回は少しでもマスターの負担を減らせる様に精一杯務めさせていただきます。」

 

「うん!改めてよろしくね!」

 

「先輩!そろそろ頂上が見えてきました。」

 

「え!?ホントだ。よし!あともう一息!」

そういいダッシュで頂上へ駆けあがる藤丸。

 

「あっ!待ってください先輩!」

 

 

 

「…お疲れだったのでは…」

 

「行くぞガウェイン卿。頂上に敵がいるかもしれないのだ。二人だけにさせてはいけない。」

 

 

 

 

「やっと着いたぁぁ!」

 

「お疲れさまでした、先輩。」

 

『お疲れ様!早速で悪いんだけど、辺りに人影はいるかい?』

 

「曇りがかっていて少し分かりづらいですね。」

 

「歩き回ってみようか。」

 

そう全員が決めた時、突然人の話し声が耳に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おじいちゃん、どう思うよこのスケッチ。かなり自信作なんだけど。」

 

「私に聞かないでくれ。こんな所まで連れてきて、お前は何がしたい?」

 

「折角こんな山のてっぺんまで来たんだぜ?ここいらの風景を描き止めたくなるのは当然だろ?」

 

 

 

 

その声のする方向を良く見てみると人影が見えた、それも二つ。

一人は腰の曲がった老人。

もう一人は青髪の青年のようだ。

 

 

 

そしてその人影は藤丸達にどんどん近寄っていき、次第にその姿が明らかとなる。

 

「しかし困った。折角の傑作なんだから誰かの感想を聞きたいな。お前はどう思う?

 

 

 

 

 

マシュ・キリエライト。」

 

 

「ッ!アルン…さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

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