―――これは数ヵ月前の話なのです…。
その日はすこぶる快晴で、私の頭上を、澄んだ青空がどこまでも広がっていたのです。照り付ける太陽に、思わず私は目を眩ませていたのですが、僚艦の皆さんも私と同様の反応をしていました。
そして私がビュウビュウと風を切って、海上を進んでいた時のことです。私は不思議な声を聞きました。
「…こっちにおいで」
はっきりとした声が私の耳に届いたのです。でも辺りを見回してみても、僚機の誰かが私に声を掛けたような感じはしませんでした。
…私たちは、司令官から船団の護衛を承っていました。しかももうすぐ、護衛対象の艦船と合流するポイントが見えてくるはずです。
例の声は気になっていたのですが…私は作戦を完遂することだけを考え、海を進むことにしました。
ですが海をグングンと進む中、私の頭からはあの声が離れませんでした。そして―――気付いた時には、私は僚艦とはぐれ、海を彷徨っていたのです。
驚きました。そして同時に怖くなりました。
あれほど良いお天気だったのに…いつの間にか私の周りには、濃霧のようなものが発生していました。
私の視界は白一色になってしまったのです。
そして再び聞こえたのです、例の声が。
「こっちに…おいで」
「おいで」
どんどん声は大きくなっていきました。
そしてその声はまるで山びこのように反響して、私の不安を煽るようにこだましたのです。
「また、会えた」
ふと私の耳元でそんな声が聞こえました。
驚いた私は海上に尻餅をついてしまったのですが、私はその声の主の顔を見ると、涙してしまったのです。
―――そこにいたのは、ちょうど一年前に轟沈してしまった私の姉妹艦でした。
そして彼女は私の手を取って起き上がらせると、私を優しく抱き締めたのです。
私は泣いたのです。
たくさんたくさん。声を枯らすまで泣いたのです。
そして私も彼女の体を抱き締めたのです。
―――それ以降のことはよく覚えていないのです。
気付いたら私は海上にポツンと立ち尽くしていました。訳が分からず、私は一時鎮守府に帰投することにしました。そして私は再び驚いてしまいました。
なんと数日の間、私は行方不明だったようなのです。
私は戸惑いながらも、自分が体験した出来事を必死で皆さんに伝えました。
ですが結局…司令官は、あの海域に濃霧など出ていなかったし、疲れて幻覚でも見たのだろうと取り合ってはくれませんでした。
そして最近になって私も、あれは夢だったのではないかと思い始めているのです。
でも。
これだけは忘れないでしょう。
彼女は私を抱き締め、小さく囁いたのです。
「ずっと一緒だよ」
―――そんな言葉を。
★
あ、そう言えば…。
私が例の体験を話した時、司令官や鎮守府の皆さんは様々な反応を示していました。
ですが唯一、口裏を合わせたように同じ言葉が皆さんから発せられたのには、私も驚きました。
皆さんは口を揃えて言ったのです。
「―――響、口調変わった?」
次の題材について。お気軽にお答え下さい。多分ご存知だと思いますけど、完全にネタで書いてるのでガチホラーとか求められても、作者の力量では到底書けませんので悪しからず。作品投稿いつになるかは未定です。思ってたのと違う…っていうのはご容赦下さい。ちなみに回答の○×○は艦娘が主人公の場合もありますし、艦娘自体が怪異になる場合もあります。
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テケテケ×漣
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