テケテケに似てるらしい。
ホラー?
いや、これは…。
ある日のこと。
夜も大分更けてきた時のことだ。執務も粗方片付いて、そろそろ就寝しようと席を立つ。すると不意に執務室の扉をノックする音が聞こえた。
そして扉を開けるとそこには…。
香取型練習巡洋艦、二番艦の鹿島がその頬を染め、静かに佇んでいた。
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提督さん…。こんな夜遅くにごめんなさい。でもどうしても相談したいことがあって、こうして参上してしまいました…。本当にごめんなさい…。迷惑ですよね?
…え?
聞いてくれるんですか!?
提督さん…!
嬉しい!鹿島、本当に嬉しいです…!!
★
提督さんは「鹿島さん」っていう話をご存知ですか?
え…?
私のことじゃありませんよ!?最近、鎮守府で囁かれている噂話というか、オカルト話というか…とにかく鹿島のことじゃないんです!!
紛らわしいから一人称を「私」にしてくれ…ですか?
うぅ…鹿島は鹿島なのに…。
…でも分かりました。提督さんには相談に乗って頂いていますし。
それでですね…。その「鹿島さん」という話がですね、鎮守府で聞かない日は無いってくらいに大流行しているんですけれど…。あ、そもそも提督さんはその「鹿島さん」の話を知らないんですよね?じゃあ、まずはそれについて少しお話ししましょうか?
「鹿島さん」という話には幾つかの種類があるみたいですね。それでこの鎮守府で流行っている「鹿島さん」の話は、大きく分けて二つに分かれるみたいなんです。
内容をサクッと説明致しますと、まず一つ目は…。「鹿島さん」という女性が男の人に襲われてしまうんです。
…内容がいきなり重い、ですか?うーん、でもご安心下さい。この話は重巡、戦艦、空母の皆さんの間で流行っているお話しですので、駆逐艦とか軽巡の娘たちは知りませんよ?…え、そういう問題じゃない?
コホン、話を元に戻しますね?
それでですね…その「鹿島さん」は、悲痛な想いを胸に列車に飛び込んでしまうんです。
そしてもう一つ、駆逐艦の娘たちの間で囁かれているのが…。え…?列車に飛び込んでどうなったのかって?
…あぁ、もちろん。ちゃんと続きがありますよ?
ですけど…この「鹿島さん」という話は大きく分けて二つに分かれると私が言ったのを覚えていますか?
…実はこの「鹿島さん」という話は、バリエーションこそ幾つか存在するものの、その話の結末は全部一緒なんです!
…ですから内容が異なるのは、話の冒頭部分だけなんですよ。
…分かって頂けたみたいですね。それではもう一つのパターンについてもお話ししますね?
駆逐艦や軽巡の娘たちの間で流行っている方では「鹿島さん」という女性が、深海棲艦の放った流れ弾に当たってしまうんです。なんとか一命を取り留めたものの、彼女は手足を失ってしまいました。
もうお分かりですね?
…そうなんです。ここから枝分かれになっていた話は、同じ内容を辿っていくことになるんですよ!一つ目の話でも、二つ目の話でも…。
「鹿島さん」という女性が、その体を欠損させたことが分かって頂けたと思います。まぁ…話は流転するものですから、尾鰭が付いて、胴から下が無いって場合もあるみたいなんですけれど…。「鹿島さん」は大体手足を脱落させた姿をしているらしいんです。
そして、この話を聞いた者の前に彼女が現れると言われているんです…。それが現実世界になのか、夢の中になのか…話を聞いた限りではマチマチですけれど…ね。
それで現れた鹿島さんは問い掛けるそうです。
「その脚、頂戴?」…と。
そして「鹿島さん」の望む答えを返せなければ…。
その者は脚を奪われてしまうそうです。
…ん?
そんな話を俺にして鹿島は何がしたいのか…ですか?
はい、そうですよね…。これだと私が提督さんに、ただオカルト話をしただけになっちゃいますよね…。
でもちゃんと理由があるんです。
私が提督さんに「鹿島さん」の話をした理由…それは!
鎮守府の皆が!
話に出てくる「鹿島さん」を!!
私だと思っているんです!!!!
…え?
ふざけてないですよ!?
鹿島は大真面目です!!!
…もうこうなったら、提督さんには最後まで聞いてもらいますよ!!私の悩み、その全てを!!!
…そんなに意気込む必要はない?普通に話してくれ?
ごめんなさいっ!ちょっとはしゃぎすぎましたね…。
鹿島、反省します…。
★
…誰が言ったのかは分かりません。ですがある時、第六駆の娘たちが私に聞いてきたんです。
「鹿島さん…辛かったね」…って!
最初は何のことやらさっぱりでした。
でも暁ちゃんや雷ちゃん達が真剣な眼差しを向けて言うんです。
「一人で悩んじゃダメよ?脚がなくたって、腕がなくたって…生きてれば絶対良いことがあるんだから!」
いや、ありますけど!?
脚も手もちゃんとあるんですけど!?
…じゃあ今、私が動かしてるこれは何なんですか!?
でも。
まだこれはいい方で…。
多くの駆逐艦や軽巡の娘たちは、私を見ると目をそらすんです。さらに私が食堂に行くと、みんな席を立つんです!!いじめですか!?
そしてこの前聞いてしまったんです。
「鹿島さんは夜な夜な鎮守府を彷徨って、手足を探してる」
「鹿島さんと言葉を交わしたら声を奪われる」
「鹿島さんと目を合わせると石像になってしまう」
「ちくわ大明神」
「鹿島さんの好物は駆逐艦の娘たち」
…どういうことですか、これ!?!?
私、とんでもない化け物に仕立てあげられているんですけれど!?
…これだけじゃありません。
重巡、戦艦、空母の皆さんはもっと酷いんです!
「…鹿島、辛かったな」
これはまだ許せますよ?
「鹿島さん、夢に出てこないで下さい」
「鹿島さんの望む答えって何なんですか?!」
…もう悪口じゃないですか、これ!
でもまだ…!まだ私は…!!!
「鹿島さん…その、なんと言ったらいいか…。本当に御愁傷様です」
「鹿島さん。体はちゃんと労らないとダメですよ?もう貴方一人だけの体じゃないんですから…」
「鹿島さん!私の親戚に産婦人科をやってる人がいるんだけれど…。何かあったら遠慮なく相談してよ!」
…どうしてそうなったんです!?もう意味不明なんですけど!!というか、私はまだ処…あぁ、もうっ!提督さんのバカ!!
そして終いには香取姉に言われたんです。
「…鹿島!あぁ、私の大事な大事な鹿島!私を置いて、貴方は遠くに行ってしまったのね…。いいでしょう!この香取、妹の新たな門出を全力で祝福致しますとも!」
それから香取姉は出撃する度に、ベビー用品とかオムツとか色々買ってくるんです。
「私ももう叔母さんかぁ…フフッ」
そう呟きながら微笑んでる香取姉をもう私見てられないんですけど!?
…というか、もう「鹿島さん」の原型ないじゃないですか!やだー!!
提督さん。
鹿島は…。
鹿島は一体どうしたらいいんでしょうか?
前アンケートの話を幾つか書けてきたので、次のアンケートを募集致します。お気軽にどうぞ。前回同様、作品投稿がいつになるかは分かりません。そして艦娘が主人公になるか、それとも怪異自体になってしまうかはこちらで決定します。ま、大体いつも思い付きですけど笑。それと思ってたのと違う…ってのはご容赦下さい。
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手紙×曙
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土砂降り×時雨
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人形×神通
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トイレの花子さん×雪風
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ターボばあちゃん×島風