蒼の男は死神である   作:勝石

114 / 133
どうも勝石です。

石紡ぎの章では謎の感動が起こった早食い&大食い。トリの風先輩の精霊はいつから星の〇ービィになったの(違う)。うどん34杯+パフェ約700gを一気食いとか流石勇者としか言えない…

さて、今回の話では婆裟羅祭が始まる。原作だと描かれることなく、例のアレになりましたが、こちらではネタが満載な回になります。それではどうぞ。


Rebel97.婆裟羅祭

八体の完成体との戦いが過ぎて八月も末になり、腕を骨折した友奈も二週間以上掛けて漸くギプスを外せる許可を貰うことが出来た。それでも医者には激しく動かさないようにとの連絡を貰った。

 

若葉たちにも後遺症などが心配されたが、それ以外は目立った異変は無く、主に打撲や切り傷、火傷などの敵側が原因の傷が殆どで、それも養生している内に回復した。

 

「千景、失礼するわね」

「構わないわ、どうぞ」

 

千景の様子を見ようといつものツインテールを二つの御団子状に纏めたレイチェルが部屋に入って来た。部屋の主である千景はというと現在、大社が用意してくれた浴衣の着付けを終わらせ、鏡と睨めっこしていた。

 

「とても綺麗な紅ね。似合っているわ」

「ありがとう。そっちも気品があって素敵よ」

 

レイチェルの浴衣は黒紅色で足の方では紅い薔薇が描かれているのに対して、千景は白い波上の線が描かれた緋色の浴衣を着ていた。

 

千景は今、祭りへ行く際の髪型のセットをしていた。普段の長い黒髪を纏めているところだったが、中々上手く行っていなかった。それを見かねてレイチェルが彼女に聞いてきた。

 

「良かったら手伝おうかしら?」

「…そうね。お願いするわ」

「分かったわ。それでは失礼するわね」

 

レイチェルが千景の後ろに回ると髪から一房、包むように手で取る。その瞬間、千景は一瞬震える。それを手肌で感じ取ったレイチェルは彼女の肩に優しく手を置いてから語り掛けた。

 

「千景、目を瞑って会話でもしましょうか」

「え?」

「大丈夫、世間話をしている内にすぐ終わるわ」

 

レイチェルが自分を気遣っていることを理解した千景は言われた通りに眼を瞑る。手際よく髪をまとめ始めるレイチェルに千景と話を始めた。

 

「こういうことはヴァルケンハインさんに任せていると思っていたけど、自分でも出来るのね」

「ヴァルケンハインの方が上手だから任せているけれど、今日は呼べないから自分でやったわ」

「何かあったの?」

「お父様を迎えに行っているのよ。せっかくだから花火を見に行きたいと」

 

車いすを使っているクラヴィスが出かけるための準備をするのに、現在ヴァルケンハインはアルカード城へ戻っている。そのため、レイチェルは自分で自分の髪をセットしていた。

 

「城にいた時の彼も来るのね…そういえばもうあの家から貴女の家の養子になったから改めてクラヴィスさんに挨拶しないと」

 

養子縁組のための裁判が終わったことで千景の身は後見人がレイチェルという形でアルカード家の保護下に置かれるようになった。だからせめて顔を合わせた方が良いと千景は考えていたが、レイチェルは笑う。

 

「そこまで緊張する必要はないわ。結構気さくだから」

「ヴァルケンハインさんにも悪いから」

「貴女はラグナと違って元々礼儀正しいから余程失礼を働かなければヴァルケンハインも気にしないわよ」

 

ラグナを例に出されて千景も少し笑う。確かに普段の言葉遣いをクラヴィスにも平気で使っている彼の姿は割と簡単に想像出来たのだ。それに対して余裕たっぷりで接しているクラヴィスと青汁を飲んだ直後のような苦い顔をしたヴァルケンハインも然り。

 

「ふふ…そうね。あの人は誰に対しても口調を変えないからヴァルケンハインさんが怒っても無理はないかも」

「そればかりは二人の気質だから仕方がないわよ。ああ見えてもヴァルケンハインは熱くなる時は熱くなるから」

「そうなの?」

「今はお父様に仕えているけど、昔は対立していたそうよ。その後はなんだかんだあって和解して忠誠を誓うようになったの」

「へぇ…そんなことがあったのね」

 

勇者たちの前にいる時は大体ニコニコしているナイスガイなおじさんだったのでそんな彼の過去は少し新鮮だったりする。アルカード家の話が出てきたからか、レイチェルが千景に尋ねてきた。

 

「そういえば千景。これからどんな苗字を名乗るのか、決めたのかしら?」

「…まだ決めてないわ。自分で名前を決めるのは初めてだから…」

 

正式に郡家から出たことで千景は苗字を変えることが決まった。その話を周りにするとどんな名前にするべきかで以前話し合ったことがある。

 

「ぐんちゃんの上の名前、どんなのが良いのかな?」

「どうせならかっこいい奴はどうだ?天ノ矛坂(あまのほこさか)とか!!」

「タマっち先輩…敵が天の神なのにその名前は問題だと思うよ…」

「じゃあ杏はなんて付けるんだ?」

「私なら輝弥(てるみ)とかかな?いつまでも千景さんのこれからに光が満ちていますようにという願いを込めて」

 

杏の案自体は悪くなかったが、『てるみ』という名前の呼び方にラグナは嫌な顔をした。

 

「どうしたんですか、ラグナさん?」

「…すまねぇ、アンズ。その名前は止めてくれ」

「そうですか?かなり良いと思ったのですが」

「テメェが悪いわけじゃねぇんだ…ただ、本当に個人的な理由だが、その名前を聞くとどっかのヒャッハーうるせぇニラ頭の蛇野郎を思い出しちまうんだ…」

「どんな人なんですか、その奇天烈人間は?」

 

結城とかだったらまだあちらの時代の友奈のことを連想するからマシだったが、もろにテルミである以上、ラグナの拒否反応は凄まじかった。それに対して若葉が案を出してきた。

 

「なら暗闇を照らす明かりになるという意味で(かがり)なんていうのはどうだ?」

「それ良いね、若葉ちゃん!!すごく呼びやすいし!!」

「友の名前だからな。呼びやすいのもあるが、杏のように意味合いがあってもいいだろう。友奈はどうなんだ?」

早見(はやみ)ちゃんというのを考えてみたよ!覚えやすいし、ぐんちゃんの元の名前とも呼んだ時の感じが似てるから!」

「早見…か…」

「苗字が変わってもぐんちゃんはぐんちゃんって呼ぶよ!」

「ありがとう、高嶋さん」

 

名前が変わった時に友奈がいつもの渾名を呼んでくれなくなるのではと千景は少し心配したが、そんな必要は全くなかったようだ。

 

「私は姫鶴(ひめづる)という名前が気品があって良いと思ったのですが、若葉ちゃんの案も友奈さんの案も良いですね~」

「いや、ひなたのも良いと思うよ」

「雪花さんはどうですか?」

「うーん…私なら黒鉄(くろがね)とかかな?黒は千景のイメージに合うし、友奈と一緒だけど呼びやすいしね」

 

雪花が自分の考えた苗字を言うと、水都が歌野に聞いてきた。

 

「うたのんはどんな名前が良いと思う?」

「私ねぇ…確か英語の名前はダメなのよね?それならマーキュリーが良いと思うけど」

「水星は占いでも知性やコミュニケーションを司る星ですし、悪くないと思いますよ」

「そんなことも知ってたのか、アンズ?」

「ちょっとそういう本で見たことがあるだけですよ」

 

ラグナに博識を称賛された後、杏は改めて歌野に聞いてきた。

 

「それで歌野さん、日本語であればどのような名前を付けますか?これからの千景さんの人生を考えるならそちらの方が都合が良いかと」

「だったら、御剣(みつるぎ)という名前はどうかしら?字もかっこよくて強そう!」

「字のインパクトで決めちゃったんだ…」

「みーちゃんならどんな名前を付けるの?」

「私だったら久音(くおん)さんかな。永遠じゃなくて音のある方。音が鳴り続けているなら寂しくなることはないかなって。どっちかというと下の名前っぽいけど」

「私なら海月(みづき)と名付ける。全てを受け入れる海とその上から見守ってくれる月をイメージしてみた」

「月という言葉もレイチェルちゃんを連想出来て良いと思うよ、棗さん!」

 

その後も考えてみたが、中々決めることが出来ずにこの話題は一旦保留になったのであった。

 

「まぁ、ゆっくり決めなさい。名前なんて一生ものだから、変に急ぐ必要はないわ」

「ありがとう…アル…ううん、レイチェルちゃん」

「あら。貴女に名前で呼ばれるのは初めてじゃないかしら?」

「そうね…でも家族だから…苗字で呼ぶのもおかしく感じるわ」

「そう…」

 

素っ気なく聞こえるが、レイチェルの顔は少し綻んでいた。

 

「そういえば髪型のセットは友奈に頼まなかったの?」

「今は上里さんが乃木さんの分と一緒に高嶋さんのセッティングをやっているの。それまで待とうか迷ったけど…間に合わないと思うから自分でやろうかなって…」

「そう遠慮することはないわよ?杏や雪花もきっと頼めばセットしてくれたわ」

「ええ…でも、ごめんなさい。個人的な理由だからどうしても…」

「…そう」

 

それを聞いてレイチェルの手は一旦止まる。小学校にいた頃、千景はよく長い髪を引っ張られたり、一度耳ごと鋏で切られたことがあって、他人が無暗に自分の髪を触ることに恐怖を感じていた。無論友奈のように一部の例外は存在するが、それでもやはり緊張してしまうのだ。

 

故郷での千景の扱いを知っているレイチェルとしてはどんなことが起こったのかを想像するのは難しいことではなかった。しかし、だからこそ彼女には自分に自信を持ってほしかった。

 

レイチェルは道具を横に置き、千景の両肩に手を置くと彼女に語り掛けた。

 

「…大丈夫よ。今の貴女を見たらきっと友奈たちはおろか、皆が見惚れてしまうわ」

「そう…かしら?」

「ええ。これだけ美しい娘は滅多に見れないもの。ほら、目を開けてみなさい」

「…わぁ…」

 

レイチェルが作業を終わらせたらしいので千景は目を開けると口から吐息を漏らした。そこではばっちりとセットされた自分の髪とそれを留めるために彼岸花の飾りを付けた簪が挿されていた。

 

「すごい…これだけ早く纏めることが出来るなんて…全然痛くなかったのに」

「貴女の髪の状態が良かったからやりやすかっただけよ。さぁ、行きましょう」

「ええ」

 

二人は丸亀城の敷地で待っている仲間たちの元へ向かっていった。既に殆どが集まっていて、ひなたが皆の浴衣姿の写真を夢中で撮ったりと少女たちの間ではウキウキした空気を肌に感じる。二人に真っ先に気付いた友奈は手を振っていた。

 

「あ、ぐんちゃんにレイチェルちゃん!こっちこっちー!」

「高嶋さん、お待たせ。待たせてしまったかしら?」

「ううん。ちょうど私と若葉ちゃんも終わったところなんだ」

「やはりひなたの着付けも素晴らしいわね」

 

友奈は桜の花びらが舞っているようなデザインをした桜色の浴衣を着ていて、髪もいつものリボンではなく、櫛で後ろに止めていた。

 

「とても可愛らしくて素敵よ、高嶋さん」

「ありがとう!ぐんちゃんもすっごく綺麗だね!いつもよりも大人っぽく見えたよ!」

「ふふ、ありがとう」

 

二人が楽しそうに互いの浴衣姿についての感想を言っているとレイチェルが一つ聞いてきた。

 

「そういえば友奈。もう皆は集まっているのかしら?」

「ラグナはまだ来てないよ。そろそろ来ると思うけど…あ、来たみたい!」

 

友奈が指摘するように向こうからラグナが走ってきた。彼は玄色の甚平の上にいつもの赤コートを着ていた。しかし、流石に靴ではなく草履を履いていた。

 

「悪ぃ、遅れちまったか?」

「高嶋さんが言うにちょうど集合したところみたいよ」

「そいつは良かった」

 

安心した様子でラグナは汗を拭っている時、千景は少しソワソワしながら自分から彼に聞いてきた。

 

「えっと…どうかしら…この浴衣…」

「浴衣…お…」

 

息を整えたラグナは改めて千景の方を見ると、感嘆の声を漏らす。いつもの彼女とかなり雰囲気が違うこともあって、少し動揺してしまった。もしや変なところがあったのではと千景が考えているとラグナが感想を述べた。

 

「…いつもより大人っぽくて良いじゃねぇか」

「そんなことない…わよ…」

 

ラグナから素直に感想を述べられて千景もついそっぽを向いて否定してしまったが、満更でもなさそうだった。友奈は横で「ぐんちゃんは大人っぽくなってるよ~」と励ましているとレイチェルはラグナの恰好について突っ込んだ。

 

「そういう貴方はいつものコートまで着ているのね」

「良いじゃねぇか。別に減るもんでもねぇだろ」

「風情がないって言っているのよ。せっかく浴衣を着ているからせめて腰に巻くなりして見せられるようにしなさい」

「赤コートを着ているのも似合うけど、私もラグナの浴衣の方を見たいな~」

「それは同感ね…」

「分かった分かった。ちょっと脱ぐから待ってろ」

 

そう言ってラグナはいつものコートを脱ぎ、袖を結び合わせて腰に巻いた。中の斜め向きの縞模様が露わになり、これはこれで中々似合っている。

 

「ラグナも浴衣、かっこいいよ!」

「案外着崩している方がらしいわね」

「まぁ、さっきよりかは大分マシになったわ」

「ありがとな。それとウサギにユーナ。テメェらも似合ってるぜ」

「えへへ、ありがとう!」

「あら、珍しいじゃない。素直に称賛を贈るなんて」

「ンだよ、悪いか?」

「ふふ。いいえ、賛辞は受け取るわ」

 

そうして四人は他の勇者たちのいる方へ集まっていく。自身の勇者服を思わせるような桔梗色の浴衣に身を包んだ若葉が点呼を取って全員がいることを確認した。

 

「これで全員集合だな。では早速向かうとしよう」

「よーし!!タマが一番乗りだ!!待ってろー、お菓子に焼きそばとたこ焼きー!!」

「あ、おい球子!あまり離れるな!転ぶぞ!」

「すみません、若葉さん。私、心配なので先に行ってきます」

「あ、ああ。頼んだ…」

 

姫百合が何個も描かれた蜜柑色の甚平を着た球子が開始早々我先にと駆け出していくのを見て、白百合色の浴衣をした杏が若葉に断ってから球子を追いかけた。

 

一足先に会場へ向かう二人を見届けつつ、ラグナたちは世間話をしながら祭りの会場へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ~、人がいっぱいいるね!!」

「本当に人気のある祭りなんだな」

 

着いた祭りの会場は人に溢れていた。広場の方で若者たちは激しく踊り、路地の方では屋台で様々なものを売っていた。それを輝くような眼をしながら夢中になって子どもたちは集まる。たくさんの笑顔に溢れていた。

 

「それにしても、タマコの奴。どこに行ったんだ?」

「さっき電話したらもう焼きそばを買っていたって。アンちゃんも一緒だし、大丈夫じゃないかな?」

「それもそうか…一人ならまだしも、二人ならそうトラブルに巻き込まれねぇな」

 

それに祭り会場を巡っている内に会う可能性もあるだろう。だったら今は精一杯楽しむこととしよう。

 

「皆さん、こんばんは。これはまた色とりどりで大変可愛らしいですな」

「お父様こそ、お元気そうで何よりです」

 

少女たちの方へクラヴィスとヴァルケンハインが歩んできた。二人とも落ち着いた雰囲気の漆色の浴衣を着ており、クラヴィスは羽織を着ていた。

 

「ヴァルケンハインさんもとても似合っていますよ」

「ひなた殿の浴衣の色は紅桔梗ですかな。こうして若葉殿と並んで見ますとお似合いですぞ」

「うふふ。ありがとうございます」

 

ヴァルケンハインの言葉にひなたも笑いながら礼を返す。髪はかつての鷲尾須美と同様に後ろに結い、簪を挿していた。

 

「それで皆さん、球子殿と杏殿が見当たりませんが…」

「球子なら先にこちらへ来て屋台で買い食いしているそうですが、お二人は見かけていませんか?」

「いえ、我々は先刻来たばかりで二人とは御会いしていません」

「そうですか…」

 

どうやら二人は現在球子と杏のいる場所は知らないようだ。

 

「…仕方ねぇな。ま、ここにいるなら歩き回っている内に会うだろ。一旦ここで別れたらテメェの見てぇモンを見て回って、最後に花火大会が始まるときに集まろうぜ」

「そうですね。では若葉ちゃん、私たちはどちらへ向かいましょうか?」

「そうだな…では型抜きをしに行こうか?」

「はい。他についてくる人はいらっしゃいますか?」

 

それに対して黄浅緑色の浴衣を着た歌野が青柳色の浴衣を身に包む水都の手を取りながら答えた。

 

「私もみーちゃんも若葉たちに付いて行くつもりよ」

「お。歌野も型抜きに興味があるのか?」

「いいえ。この祭り、今年も四国外の土地に関するご当地フェアみたいのをやってて、若葉たちの行こうとしている方だとちょうど諏訪関係の出店があるところなのよ」

 

7.30天災以後、婆裟羅祭りでは四国外から来た者たちで自主的に自分たちの故郷での郷土品や作ったものを売ったり、展示したりするようになった。そうして故郷で盛り上がるようにしていた。

 

「私は金魚すくいにも行きたいなと思って。ひなたさんたちが行こうとしている道だとちょうど近くにあるんです」

「なら一緒に行きましょう。他の皆さんは?」

「そっちの方は確か、射的があるのよね…私もそっちに行こうかしら」

「私は美味しいものをいっぱい食べられたら良いなぁ~。せっちゃんは?」

「私は反対方向の方でブラブラしようかなと考えてるわ。北海道のコーナーもあっちみたいだし」

 

友奈の問いにいつもと違う色のカチューシャを付け、京紫色の浴衣に身を包んだ雪花が答える。それに紗綾形が彩られた月白色の浴衣を着ている棗たちも賛同する。

 

「そうだな…あっちの方では踊りをよく見ることの出来る場所があるみたいだから、私はそっちを見に行きたい」

「俺は適当にブラブラするつもりだ」

「私もそうするつもりよ」

「ならば、我々は先に花火の見る場所を下見しに行くとしよう、ヴァルケンハイン」

「畏まりました」

 

話がまとまった一同はそれぞれの目的地へと向かっていった。若葉たちとは逆方向の場所へラグナ、レイチェル、雪花、そして棗は歩いていく。クラヴィスとヴァルケンハインは花火が見やすい場所へ向かった。

 

若葉たちは型抜きの出店に着くと早速若葉たちは代金を払って始めた。型抜き板に意識を集中して慎重に作業を進めていく。その横でひなたが写真を撮りながら見守っている。

 

「ひなた、お前はやらなくて良かったのか?」

「私はこうして写真を撮っている方が好きですので」

 

カリカリと型抜きを進めていく若葉と千景の様子をカメラに収めるひなたは実際、とても楽しそうだった。若葉たちは板を割らないように注意しながら彫り進めていった。しかし、暫くしてパキッと嫌な音が立った。

 

「あ~、割っちゃったよ~!」

「もう少し丁寧にやらないといけないわ。私がやっているところを見て参考にして」

「わかったよ、ぐんちゃん!」

 

そう言って友奈は千景が型抜きを進めていく様子を見守る。やがて二人はほぼ同時に板から模様をくり抜くことが出来た。

 

「よし、出来たぞ!」

「こっちも完成したわ」

「お見事です。それにしても、お二人が彫ったこれは何なのでしょうか?ワニ…ですか?」

「頭だけの?…いや、どことなく彼のデッドスパイクに似ている気がするわ…」

「デッドスパイク、ですか?」

「ああ。ラグナの技で、瘴気を飛ばした時にアレと似たようなモノの頭になるんだ」

 

ひなたは魔道書の力に作用することが出来るため、ラグナは基本的に彼女の周りで瘴気を用いた攻撃は使わない。だから彼のデッドスパイクがどのようなものなのかは分からない。

 

しかし長い付き合い故に若葉が差しているアレが何なのかがすぐに分かった。なのでそれについてはそれ以上何も言わなかった。

 

「そうなんですね…ですがアレではなく、この小さなワニもといデッドスパイクさんがラグナさんの大剣から出てきたら可愛いかもしれませんね」

「確かに!ちょっとナマモノ感はあるけどそれもマスコットみたいで可愛いと思うな~、デッドスパイクさん!」

 

仮称『デッドスパイクさん』はひなたや友奈から好評のようだが、実際に使われているところを想像した若葉と千景は苦笑いしていた。

 

「いや…流石に戦闘中にこれが出てきたら拍子抜けするだけだろ…」

「…ビジュアルは可愛いから平時に出す分には良いかもしれないけど、威力が無くて戦いでは使い物にならないかもしれないわね…」

「お、若葉!お前やっと着いたのか!」

 

若葉たちがデッドスパイクさん談義していたところへ球子と杏がやってきた。球子は思う存分祭りを堪能している様子で、焼きそばを持ちながら美味そうに食べていた。杏はというと綿飴を食べながら球子に後ろから付いて行っていた。

 

「今回はタマの勝ちだな!見ろこの焼きそば!こいつのソースがまたタマらんのだ!」

「お前が先走って会場へ行ってしまうからだろ…全くお前は…」

「まぁまぁ若葉ちゃん。こうして合流出来たから良いじゃないですか」

「ほらタマっち先輩、顔に青のりが付いちゃってるよ。ふき取るからちょっとじっとしていて」

「ちょ、あんず!タマは子どもじゃないぞ」

「良いから良いから。じっとしててね」

 

杏が持っているポケットティッシュで球子の頬を拭く。これで勇者たちは全員合流することが出来た。

 

「あ、タマちゃん。その焼きそば、美味しそうだね。どこで買ったの?」

「あっちの奥の方で売ってたぞ。諏訪から来た人たちが自家栽培で育てた野菜を具剤に使ってんだ」

「じゃあ、諏訪方面の人たちが開いている出店はあっちね」

「では歌野さんたちと一緒に行きましょう。お二人ならそろそろ終わっているところではないかと」

 

若葉たちと向かい側の出店で諏訪組は金魚すくいをしていた。器用にポイを使って歌野が水槽の中の金魚たちを次々と桶に入れていた。

 

「ふっふっふっふ~…これで10匹目よ!」

「うたのん、こっちにも集まってきているよ!」

「まっかせなさーい!これもキャプチャーしちゃうわ!」

 

手に取っている黄色のポイが使う紙にはグラサンを掛けた謎の生物の顔が描かれていた。持ち手の方も鍵の歯のようなものが付いていた。

 

「歌野さん、調子はどうですか?」

「グレートよ、杏さん!ちょっとストレンジなポイだったから慣れるのに時間が掛かったけど、今はもう慣れたから一回掬うだけでかなり捕れるわ!」

 

朗らかに答える歌野に対して出店の長らしき若い男性が訂正した。

 

「これはポイではありませんよ。しゃもじ君です」

「しゃもじを使う金魚すくいなんて聞いたことありませんよ…」

 

こればかりは水都も突っ込まざるを得なかった。日本のどこにそんな金魚すくいがあるのだろうか。歌野がその後7匹ほど捕まえた後、ポイの紙は破れてしまった。

 

「あー、ここでフィニッシュねぇ…」

「残念だったね。でも君、上手だったよ。動きも速いし、結構大きいのも捕れてるし。やっぱり部活とかでスポーツをやってたりしてるのかい?」

「部活…ええ、確かにそれに近いことをやっています」

 

流石にここで勇者だと言わない方が良いだろうと考えた歌野は男性にそう答えた。それに対して彼はニコッと笑った。

 

「そうなんだね~。それじゃ、そっちは部活の友達?」

「はい。とても頼りになる仲間たちです」

「良いね~、学生の青春って感じで。僕もあの頃が一番楽しかったよ~」

 

自分の学生時代を思い返す男の言葉を聞いて少女たちは自分たちのこの四年を思い返した。

 

思えばあの日から自分たちはバーテックスとの戦いに身を投じ続けてきた。それぞれ違った方法とは言え、多くの人々を守っており、それが勇者や巫女たちの御役目だ。

 

だが偶に考えることはある。あの日、バーテックスが襲来しなければ。平和な日常が続いていたとしたら。自分たちは学友たちと他愛もない話をして、部活に打ち込んで汗を流し、馬鹿な騒ぎに巻き込まれて先生に叱られたり、もしかしたら素敵な男性と出会って恋をしたり…そんな未来があったのかもしれない。

 

「そう…ですね…」

 

どこか寂しそうにしている歌野たちを見て男性は一度話を止めてからもう一度話を始めた。

 

「…そうだね。確かにこの御時世だから普通の学生生活を送ったというのは…決してないと思う」

「…はい」

「でも…こんな時だからこそ、得られた出会いが、経験があるのだと僕は思うんだ」

「店長さん…」

「きっと君たちはこれまでの大人たちが全く観測()たことのないものを経験してきたのだと思う。その中でも楽しいものだけでなく、辛く、苦しいものも多かったのだと思う」

 

彼の言葉に少女たちは頷く。その後、男性は話した。

 

「でも、その『場』で共にかけがえのない『時間』を過ごしてきた友達…こんな時代だからこそ観測ることが出来、感じることが出来たもの…色んなものがあったと、僕は思う」

「…はい…その通りです」

「そこに無駄なものは一個もないんだよ。それら全部が、君たちの『現代()』を作り、『未来(これから)』を形作っていくんだ。それはこれからも続いていく」

 

少女たちはそれを聞いて改めて自分たちのこれまでを思い返す。そうだ。確かにバーテックスが来なければもっと平和な形で出会っただろう。傷つきながら辛い思いをしながら戦うこともなかった。その可能性を考えなかったことはなかった。

 

しかし、この時代だから出会えた者たちがいて、観測えるようになったものもあり、そして感じてきたものもある。それにこの四年、苦しいことばかりだけではない。忘れたくない、大事な思い出もたくさん出来た。

 

「とても素敵な考えですね…」

「あはは、こんなこと言ってるけど僕もそこまで大層な人間じゃないよ。周りから教え上手だって言われてきたこともあって、今は高校で教師をやっているだけさ」

「良いことじゃないですか。自分の経験を次の世代へ伝えていく、素晴らしい仕事だと思いますよ」

「次の世代へ…か…確かにそうとも言えるね」

 

歌野の言葉に男性は何かを思い出したのか、少し嬉しそうに笑った。

 

「何かおかしかったのでしょうか?」

「いや、お嬢ちゃんの言葉を聞いたら確かにそうかもしれないと思ってね」

「失礼でなければ聞かせてもらえませんか?」

「はい。良いですよ」

 

水都にそう促されて男性は話し始めた。

 

「担当教科が情報通信というのもあって今、僕はパソコン部の顧問も兼任しているんだ。そこで会っ子たちが面白くてね。今はゲームのプログラミングとかも教えているんだ」

「ゲーム制作…!」

 

ゲームという単語に千景が反応する。勇者になってからはそれなりに外へ出かけるようになったが、幼少より培ってきたゲーマー魂はいつになっても消えたりはしない。実はラグナが丸亀城へ来る前に一度作って友奈たちとプレイしたこともあったりする。

 

「君、ゲームが好きなのかい?」

「は、はい!特に…ガンシューティングとかが得意です…」

「へ~、そうなんだ。僕は格ゲーが好きで、放課後に暇があればいつもゲームセンターに行って、ずっとアーケードと向かい合っていたな~」

「それじゃあぐんちゃんと一緒ですね!一緒に行くことも多くてすごく上手なんですよ!」

「それだけやり込んでもらっているならクリエイター冥利に尽きるね」

 

男性はうんうんと感慨深そうにうなずく。その姿勢を見て、ひなたが何かを察した。

 

「もしや、ゲーム制作に携わったことがある方なのですか?」

「そこまで大それたものじゃないよ。丁度君たちくらいの年齢の時だったかな。一時期興味があって、夢中になって作ってた時期があっただけ。その後は色々と事情と挫折があって、教職に就いたって感じかな」

「そう…だったんですね…」

「はは、気にしないで。僕は今の道を進めて良かったと思っているから」

「それは何故ですか?」

「あの時の僕の『願望(ゆめ)』は、ゲームを作る人になることだった…自分なりに頑張ったけど、実力が足りなくて挫折した…それは事実だ…」

 

そう語る男性は少し切なげでどこか寂しそうだったが、その後、すぐに明るくなった。

 

「でも、その後、心から愛している人、僕にしか守れない人、僕の教えを聞いてくれる人たち…色んな人に会えたんだ。それは偶然なのか、運命なのか、僕が願望(ゆめ)を追いかけたからこそ、出会えた人たちだった」

願望(ゆめ)が店長さんを色んな人たちへめぐり合わせてくれたんですね!」

「そんな感じ。だから、僕は自分が歩んできた道を誇らしく思うよ」

「でも…自分の願望(ゆめ)は叶わなかったのに…無念ではなかったんですか?」

 

若葉は恐る恐ると聞いてきたが、男性は頷きながら肯定した。

 

「そうだね。もし、僕が願望(ゆめ)を失って、そのまま自分一人の殻に閉じこもっていたら、こんなことは思えなかったのかもしれない」

「では何故?」

「かつての僕と同じ願望(ゆめ)を持った生徒たちに出会えたから。彼らも熱意をもって取り組んでいるし、いずれ自分たちの願望(ゆめ)を実現しようと努力している。だから僕は彼らに…未来を担う世代に自分の願望(ゆめ)を『託す』ことが出来るんだ」

 

そう語る男性の目には強い光が宿っていた。

 

「まぁそんなところかな?他に聞きたいことはないかい?」

「いえ、大丈夫です。寧ろ貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございます」

「いえいえ。いつもこの四国を守ってくれている勇者様、そしてあの時、私と妻にまだ生まれていない子どもを助けていただいた若葉様がこの話に耳を傾けていただいただけでも良かったです」

「え?」

 

男性の最後の言葉を理解する前に若葉達の横から声が聞こえてきた。

 

「貴方~!調子はどう~?」

「ああ。繁盛しているよ。ほら、お客さんも来ている」

「あ、本当…って勇者の皆様じゃないですか!」

 

現れたのは赤ん坊を抱っこ紐で抱えた若い婦人だった。その中でも若葉は彼女に見覚えがあった。

 

「あ、貴女はもしかして、以前赤子を抱かせてくれた方ですか…?」

「覚えていてくださったんですね、ありがとうございます。あの後も大変でしたが、大丈夫でしたか?」

 

恐らく、黒き獣のことを差しているのだろう。ここ最近で民衆に伝わりやすい勇者の戦いはアレくらいのものだ。

 

「はい。そちらこそ大丈夫でしたか?」

「私たちは避難することが出来たので。子どもの方も無事です」

「そうでしたか…良かった…」

 

知り合いが生きていると知っただけでも安心できるものだ。若葉を認識した赤ん坊も笑いながら彼女に向かって手を伸ばしてきた。若葉もそれに応えるように指を出し、赤ん坊はそれを掴んだ。

 

「アハハ!この子、若葉ちゃんに懐いているみたい!」

「私たちがよく皆様の話をこの子にしていますし、若葉様や伊予島様とは一度お会いしていますから」

「そういえばそんなこともありましたね」

 

かつて野外に出て地域のゴミ拾いを協力したことを思い出しながら杏は赤ん坊と遊ぶ若葉を見ていた。

 

「でも良いですね、こういうの。ひなたさんはどう思いますか…ひなたさん?」

「見ていますか、杏さん!若葉ちゃんが!若葉ちゃんが楽しそうに赤ん坊と戯れていますよ!」

「お、おい!どうしたんだ、ひなた!?」

「ダメだなこりゃ、興奮しているぞ」

 

赤ん坊と触れ合っている若葉の様子はひなたにとっては刺激の強いものだったようで、目を輝かせながら興奮していた。スマホを出して撮影しないところを見る限り、赤ん坊やその両親を配慮してくれているが、おかげで本人は悶えていた。

 

「そうだ、ひなた。お前も赤ん坊と遊んでみないか?」

「え?その、良いでしょうか?」

「構いませんよ。ほら若葉、挨拶して~」

「若葉ちゃんと同じ名前なんですか?」

「はい。二人を守ってくださった勇者様にあやかって、名付けさせてもらいました」

「そうだったんですね…親友としても鼻が高いです。うふふ♪」

 

若葉と同じ名前の赤ん坊にひなたも指を出す。赤ん坊も何回かそれを掴もうと空を切るように手を振る。その様子にひなたは癒されていった。

 

「ひ、ひなたさんが今までにないくらい上機嫌だわ…」

「乃木さんと同じ名前だから…かな?」

 

そんなこともありつつ、少女たちはしばし赤ん坊と時間を過ごすと、親子に別れを告げて改めて諏訪の出店へ向かっていた。その時の別れ際に男性は自分たちにお礼を述べた。

 

「ありがとうございます、皆様。貴方がたのおかげで、四国に生きる多くの人々と願望(ゆめ)は守られています」

 

祭りを楽しむ自分たちに気を遣って、無暗に名前を言わなかったらしい。それでも最後にお礼を言いたくてつい呼んでしまったそうだ。幸い、周りは祭りに夢中だったようで大きな騒ぎになることはなかった。

 

歩きながら若葉たちは考え込んでいた。その理由は男性が話してくれた言葉にあった。

 

「未来に願望(ゆめ)を託す…か…」

 

若葉たちは未来からやってきた戦友の顔を思い浮かぶ。未来で生きる彼の話によると、四国は今よりかは平和ではあれど、まだ人類はバーテックスと戦っているそうだ。

 

(私たちにも…何か残せないのだろうか…未来で生きている世代のために…)

 

これまでは主に四国を守ることに意識が向いていたが、男性の話を聞いて少しばかり自分たちの後のことに視野を入れ始める勇者たちだった。

 

「なぁ、ひなた」

「これからのこと、ですよね?」

「やはり気付いていたんだな」

「はい。あの話を聞けば若葉ちゃんもきっとこれからのことを考えるでしょうから」

 

親友であるも自分と同じことを考えていたらしい。若葉はそれを頼もしく思った。

 

「恐らくだが、バーテックスはまたこの四国へ攻め込んでくる。ラグナたちの時代でもまだ戦っているようだしな」

「そうですね…そのためにも、私たちもしっかりと勇者システムや精霊などについて研究しないといけません。恐らくですが、術式なども勇者システムと関係している可能性があります」

「そうだな…恐らく、我々の戦いが終わったとしても、人類の戦いは終わらないだろう。そのためにも私たちの代でも出来ることをしなければな」

 

そう意気込む若葉だが、彼女の眉間にひなたが指を押し当てる。

 

「お、おい!何をする!?」

「ほ~ら、また難しい顔になっていますよ?真面目さんなのは若葉ちゃんの美徳ですが、一人で背負い込む必要はありません」

「…そうだったな。大変だろうが、皆と力を合わせれば、きっと成せるはずだ」

 

そう言う若葉は笑っていた。他の仲間も彼女を心配した様子で話しかけてきたが、彼女は笑顔で返した。

 

「私なら大丈夫だ。それにせっかくの祭りだ、楽しまないわけにはいかないだろう。これもまた、私たちにとっては重要な青春の一部だからな」

「貴女の口から青春なんて言葉が出てくるなんて思わなかったわ…」

「そんなにらしくないのか!?」

 

生真面目を絵に描いたような若葉から意外な単語が出てきたことに千景は驚いたが、別に嫌ではなかった。

 

「いいえ。以前のアヴェンジャーっぷりに比べればずっと良いわ」

「あ~…その、あの頃は悪かった」

「良いわよ。私も似たようなことになってしまったから」

 

実際今の落ち着きのある若葉を千景は好ましく思っていた。そんなことを言っていると友奈があることを打ち出した。

 

「そういえばあのお兄さん、私たちが勇者だって言う前に部活の仲間みたいだって言ってたよね?」

「実際そうとも言えますよね。活動内容がちょっと大変ですけど」

「だったら名前は何だ?」

 

若葉が友奈に聞くと割り込むように球子が案を出してきた。

 

「何言ってんだよ、若葉!そんなものはただ一つ!勇者部だ!」

『勇者部?』

「だって四国の平和を守っているし、間違ってないだろ?」

「でも球子さん、ひなたさんと私は巫女だよ?それなら別の名前にした方が良いのでは?」

 

水都は球子に別の名前に変えてもらうように進言してみたが、球子はその返事が来ることを分かっていたようだ。

 

「何言ってんだよ、水都。ひなたもお前も、レイチェルもラグナも皆、勇者部のメンバーに決まってるだろ!」

「そうだよー!水都ちゃんもヒナちゃんも立派な勇者だよ!」

『私たちも?』

「そうよ、みーちゃん。二人がいなかったら、私たちはここまで戦う事なんて出来なかったわ。それにラグナや若葉だって言ってたじゃない。誰かのために行動出来る人間こそが、勇者だって。巫女だって皆のために頑張っているから勇者よ」

「歌野の言う通りだぞ、水都、ひなた。私たちの勇者部の部員表にお前たちの名前がないなど考えられるか」

 

自分たちは単に勇者部なのに巫女ではややこしいのではないかと思っただけなのだが、自分たちを想う仲間たちの温かい言葉に心が熱くなった巫女たちは球子の付けた名前に賛同した。

 

「…ふふふ、ありがとうございます。では私たちは勇者部です。巫女も勇者も吸血鬼も未来人も関係なく、皆が勇者です」

「そうですね…ひなたさんの言う通りです」

「おお、ひなたに水都!タマの言いたいことが分かったんだな!」

「はい。でもありがとう、球子さん。改めてそう言われると、すごく嬉しいです」

「それじゃあ、後は棗さんとせっちゃん、後レイチェルちゃんとラグナを見つけたら丸亀城勇者部は全員集合だね!」

 

友奈の言葉を否定する者は誰もいなかった。先の未来について少し考えさせられながらも、少女たちは祭りを満喫するために次の出店へ向かった。




ぐんちゃんの苗字候補ですが、皆さんはいくつ元ネタが分かりましたか?因みに名字はこの中のどれかから決定されるかもしれないし、されないかもしれない。

次回ではまだ婆裟羅祭です。やりたいことが多すぎて一つの回に纏めるのは出来なかった…今度はラグナたちの方で何があったのかをやる予定です。

と、ここで次の番外編のゲストキャラに誰が良いのか、アンケートです。それではまた。

どのゲストキャラが良い?

  • BB組にビバーク!タオカカ
  • 第七機関の一日、ココノエなど
  • 幼女パニック、アマネ
  • 若葉たちの修行、十兵衛
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。