蒼の男は死神である   作:勝石

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どうもみなさん勝石です。

ゆゆゆいのリリフレとのコラボが始まりましたね。正直小説が原作のゆゆゆシリーズにそういうのができるとは思ってませんでした。(刀使の巫女は多分パラレルワールドかな?やっていないのでわからん)

今回の話は日常…というよりギャグ全開の話です。中には百合っぽいネタ、ヤンデレ、キャラ崩壊が多く発生します。各キャラクター、特にわすゆ組のファンの皆様、ごめんなさい。

それでも許せるという方、どうぞ


Rebel13.脅威の眼鏡

「どうぞラグナ様、沙耶様。到着しました」

「あ、ああ。ありがとう…ございます」

「ありがとうございます」

 

今日、ラグナは沙耶と一緒に園子の家へ遊びにきていた。今日も勇者たち三人が集まっており、刃も任務の関係上ここにいた。

 

「おうソノコ。遊びに来たぞ」

「あら。来るとは聞いていたけれど、遅かったわね。ラグナ」

 

ピシャン

 

「…」

「兄さま?どうかしたのですか?」

「いや…済まねえサヤ。どうやら俺は目がやられたみてーだ。何故かウサギの幻覚が見えちまった」

「ウサギ?…ああ、あの小さい娘ですか…。確か兄さまに右腕を上げた人ですよね。名前は…」

「レイチェル=アルカードだ。四国一の性悪ウサギだよ。まあぜってーあそこにいるのは違うけど」

 

そう、あれはレイチェルではない。レイチェルの姿をした別人。もしくはレイチェルを模した何かだ。きっとそうだ。あそこにいるのは決してヤバイことを思いついた時に出る最高に愉悦に満ちた笑顔をした金髪ツインテールロリの吸血鬼であるはずがない。

 

(頼むよ神樹様!アイツがここにいませんように!)

 

ラグナはおそらく人生で初めてガチに神樹に願いながら扉を再び開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私を『四国一』の『性悪』ウサギと呼ぶだけにとどまらず、扉を閉めて無視するなんて。貴方も随分と偉くなったものね。この駄犬」

「クソがーーー!!!」

「煩いわよ、ラグナ」

「なんでここにテメェがいるんだ、ウサギ!つーかまだそれを言うか!」

「犬のようにそうやって大声で叫ぶからでしょう?少しは声の大きさを落としなさい。品格を疑われるわ」

「くっ…」

「そもそも貴方。園子から聞いているでしょ?私は時々こうして彼女とお茶をしているの」

「…そういやこの前言ってたな」

 

ラグナとレイチェルはまた口論をしていると沙耶が少し拗ねた顔をしながら二人の会話が落ち着くと二人の間に割って入った。

 

「…兄さまとその人は仲がいいんですね…」

「これのどこが仲が良いように見えたんだ、サヤ?」

「だって兄さま。そこまで誰かと喧嘩するところを見たことがありません。しかもあっちも兄さまもお互いとの言い合いに慣れているようにも見えるし…」

「ただの腐れ縁だ…」

 

ラグナはつまらなさそうに説明する。世界の垣根を越えてまであるこの吸血鬼との縁は「斬魔・鳴神(ざんま・おおかみ)」を以ってしても断ち切れそうにない。

 

「…で。何の用だウサギ。テメェがいるってことはどうせろくなことじゃねーと思うが話だけは聞いてやるよ」

「そうね…ねえラグナ。貴方、初陣の祝いはまだだったわね」

「あれを祝う必要もねーだろ。何かあるってのか?」

「実は今日貴方が来ると聞いて『プレゼント』を用意したのだけれど「じゃあな」」

 

レイチェルが『プレゼント』を言及した瞬間、ラグナは回れ右してすぐに部屋から退散しようとした。彼女があれだけ楽しそうに話しているのを見てその『ブツ』を受け取るなんて冗談じゃない。そんなことをさせないと転移で回り込むレイチェル。

 

「悪ぃな。俺、急に家で飼ってる『デッドスパイクさん』の様子が気になってきたわ。それ、後で貰うよ」

「その心配は要らないわ。既にヴァルケンハインを貴方の家に向かわせて世話するように指示したから」

「じいさんをそんなくだらねーことでひとんちに向かわせんなよ!」

「貴方がそんな頭の悪い嘘を吐くことが原因でしょう?分かったならこれをありがたく受け取りなさい」

「うるせえ!!あんなやべー笑顔をしてた奴からのプレゼントなんて受け取れるか!」

「仕方がないわね…ほら、あげるのはこれよ」

 

そう言ってレイチェルが取り出したのはフレームがハート状になった全体的にピンク色の眼鏡だった。レンズまでご丁寧にピンク色でテンプルも小さな針状になっている。見るからに怪しげな眼鏡だった。

 

「…なあ。俺、これどこかで見たことある気がすんだけど…」

「はっ!!」

「なんとー!!」

 

眼鏡を見ようと顔を近づけたラグナにレイチェルが高速で突きつけて着用させようとした。しかし咄嗟にラグナが横へ飛んだことで眼鏡からの被害を回避することができた。

 

 

ラグナ「は」

 

「おーい。もうきたの…ガッ!?」

「ギン!?」

「銀さん!?いつの間に!?」

「あら。ラグナに付けようと思ったら思わぬ人に付いてしまったわね」

「おいウサギ!!ギンに何をつけたんだ!」

「銀さん、しっかり!」

「う…うん。アタシにいったい何が…?」

 

部屋に入ろうとした銀の眉間にレイチェルが手に持っていた眼鏡がハマってしまった。レイチェルはあまり動揺していないが、ラグナと沙耶は友人の側に駆けつけた。

 

「え!?何これ!?なんか変なものが顔についてる!!つーかこめかみ痛い!」

「ごめんなさいね、銀。それ、本当はラグナに付けようと思ったけれど貴女に付けてしまったわ」

「ああ、大丈夫ですよ。まあ、元々トラブルには慣れっ子だし」

 

レイチェルの謝罪に対して銀はなんでもなさそうに言う。銀は生来あまり幸運に恵まれていない、というより巻き込まれ体質の気がある。基本的には他人の厄介ごとに巻き込まれては放って置けずに助けたり、それで自分が損することも少なくない。それでもなんでもないと言い切れるから彼女は勇者として選ばれたのだろう。

 

「ところでレイチェルさん。これはなんなの?」

「これはね、『モテメガネ』と呼ばれる魔道具よ」

「モテメガネ?なんだそりゃ?」

「名前の通りの代物よ。これを掛けた人間はあらゆる異性に好かれる、つまりモテモテになるの。この眼鏡にはラブ魔力という強力な魅了効果が付加されていて、普段はなんとも思っていない人はおろか、憎くて仕方がない敵であっても、この眼鏡を掛けていれば忽ちその人を好きになってしまうのよ」

「そうなんですか!?まあ、好かれるというのはそこまで悪い気はしないけど…なんか騙しているみたいでちょっとな〜」

「貴女…呑気にそう言っていられるのは今のうちよ。その眼鏡。かなり危険な代物だから。ほら、貴女の隣。どうやらもう眼鏡の力が働き始めているわ」

「え?」

 

それを聞いて銀は隣へ顔を向けるとそこには先ほどレイチェルと言い合って興奮していたはずのラグナだった。なぜか知らないが今の彼は黙り込んでいて、自分と目を合わせないようにしているようだった。

 

「大丈夫かラグナ?なんか急に静かになったけど」

「な、なんでもねーよ。それよりお前、怪我はねーか?」

「まあ、なんともないけど…お前ホントに大丈夫か?顔真っ赤だけど」

 

ラグナの様子が若干おかしいことに勘付いた銀は熱を測ろうと額をラグナのに近づけようとしたが、何があったのか。ラグナは急いで銀から距離を取った。

 

「い、いきなり何すんだよ!?」

「いや、お前に熱があんのかと思って測ろうとしただけだけど」

「だ、大丈夫だ!気にすんな!」

「わ、私!ちょっと冷えるものを取りに行ってきます!」

 

そう言って沙耶は部屋からダッシュで出て行った。ラグナが突然声を上げたりモジモジしたりする理由がさっぱり理解できない銀だったが、レイチェルは興味深そうに今のラグナの様子を見ていた。

 

「へえ…。ラグナって結構奥手なのね」

「…レイチェルさん。これってどういう…」

「貴女の想像通り…とだけ言うわ」

 

どうやらラグナにはバッチリモテメガネの力が掛かってしまったようだ。銀も予想以上に眼鏡の力が強力だったからか、少し戸惑っていた。

 

「…ねえレイチェルさん。これ…どんな男に対しても効果があるんだよね?」

「そうよ」

「もしかして…刃も?」

「そうでしょうね」

「ひょっとして…跳び掛かったりとかは…」

「あれが彼なりの愛情表現ならあり得るでしょうね」

「…」

 

少し考えた後、銀はそっと窓から逃走を図ろうとした。普段からラグナにあれだけ激しいスキンシップを取っている刃だ。絶対ラグナよりもヤバい。

 

「あ、アタシ。ちょっと弟の様子が気になってきたな〜…」

「貴女、自分の弟たちも男の子であることを忘れていて?」

「いや、流石に自分の姉貴にそういうことは…」

「言ったでしょう?『あらゆる異性』に好かれると。それは貴女の姉弟も例外ではないわ」

「だ、大丈夫だって。好かれるって言ってもきっと姉弟愛的なもので」

「貴女がここから逃走しようとしている原因がなんなのか、忘れたのかしら?」

「あっ」

「そもそもこの眼鏡は無差別に周囲に対して働くから外に出るという選択自体はあまりよろしいものではなくてよ」

 

確かにレイチェルの言う通りだ。全ての男子にアタックを仕掛けられてしまう今の銀では行く先全てが大パニック待った無しだ。それに万が一無事に帰ってこれてもレイチェルの指摘した通り、弟たちは男子だ。

 

金太郎はまあ赤ん坊だからそこまで心配はいらない。ただ上の弟である鉄男は少し心配だ。もうそろそろ彼も恋の一つや二つくらいはする年頃。十中八九ラグナと同じような反応だと思うが、もし刃と同じような反応が返ってきたらいくらかわいい弟でも正直キツイ、というか想像したくない。

 

「…やっぱここで待機します」

「賢明な判断ね」

「それで?これ、どうすれば外れるんですか?」

「そうね。一つは相手を怒らせること。もう一つは愛の量が眼鏡のキャパシティを超えることね」

「うえ〜。怒らせるのは嫌だな…」

「それよりもこれからのことを心配したほうがいいわよ。ほら噂をすれば貴女のことが恋しくて仕方がない男子がたくさん」

 

廊下から聞こえる足音が聞こえてくると三人の『女子』が入ってきた。全員銀のかけがえのない仲間であり、友達である。ただ何故か全員疲労困憊の様子で息を荒くしていた。

 

「男子がたくさん…じゃないわね」

「いや、全員女の子!!つーか友達!!」

 

まさかの同性の登場に驚きを隠せないレイチェルと銀を他所に園子が突然銀に何かを突き出した。

 

「ミノさん!!お願い!!私がミノさんを一生養うからこれに判子押して!!!」

「園子?えーとなになに?…ってこれ!?婚姻届じゃん!!!」

 

園子が銀に出したのは婚姻届だった。この世界での同性婚は認められているかは知らないが乃木家の権力を使えば多分可能だろう。

 

「待て待て園子!!早まるな!落ち着け!!」

「早まってないもん!!私、ミノさんのことが大好きだもん!!」

「うん、ありがとう!でもできればその言葉は別のシチュエーションで聞きたかったよ!!」

 

完全にどこかがおかしくなった園子を必死に止める銀だが何者かが二人の間に割って入り、婚姻届を奪い去った。

 

「…どうして邪魔をするの…サッちゃん!」

「…ごめんね園子ちゃん。でも私、これだけは譲れないんだ」

「…本気なんだね」

「うん…私は退かない。例え相手が友達であっても…兄さまであっても!!」

 

なんと沙耶もモテメガネの力にやられていた。相対する二人。もはやそこには普段姉妹のように仲のいい彼女たちの姿はなく、お互いの出方を見て牽制しあっていた。

 

「やめろ二人とも!それ以上はまずいって!取り返しがつかなくなるって!」

「そうよ二人とも!いい加減にしなさい!」

「そうだ須美!もっと言ってやってくれ!」

「銀の味噌汁を毎日作る役目は私よ!!!」

「あ、ダメだこれ!須美も壊れてた!!」

 

やはり須美もモテメガネの力に抗うことができなかった。普段は落ち着いている須美だが、彼女も一度たかが外れると中々止まらない傾向にある。しかも好きなものに対する愛情がかなり深い(重い)ため、ある意味刃並みに警戒する必要があった。

 

「ていうかレイチェルさん!全く男子が来る気配がないんだけど!?」

「安心して銀。貴女目当てで来た男たちは今少し眠ってもらっているわ。貴女には誰も傷つけさせない…」

「原因須美かよ!さっきまで始末屋みたいなことしてた奴に言われても一片も安心できる要素がねーよ!!」

 

目がグルグル回っているような状態の須美は銀の手を引いて何処かへ連れて行こうとするが、扉から冷気で出来た風圧が発生。部屋にいる全員が吹っ飛ばされた。

 

「お前たち…何をしている…」

「げっ!?刃!?」

 

ここで銀が今最も会いたくなかった如月刃がとうとう参入してしまった。刃が銀の方へ赴くと手を差し伸べてきた。

 

「な、なんだよ?」

「怪我はないようだな銀。立てるか?」

「あ…ああ」

 

刃が銀を立ち上がらせると少女たちの前に立ち塞がる。いつもの兄さん狂ではない、真剣な表情だ。それに対して少女たちも驚いた。

 

「悪いが…ここから先は通すわけにはいかない」

「まさかジンジンまでミノさんを盗ろうとするの…」

「どうやら刃兄さまは痛い目に遭わせないといけないようですね」

「残念だわ刃君…貴方なら理解してくれると思ってたのに」

 

その言葉を聞いても刃は涼しい顔をしていた。

 

「ふん…勘違いするな」

 

そう言った後に刃は言い放つ。

 

「確かに僕は兄さんのことが好きだ…だが同時に僕は…三ノ輪銀のことが『もっと好きだ』。彼女に危害を加える以上、僕も退くつもりは無い…!!」

「…………は?」

 

刃の言葉が理解出来ない銀は呆気にとられ、少女たちは対抗心に燃え盛る。

 

「ジンジン…容赦はしないよ」

「刃君…お覚悟を」

「さようなら…刃兄さま」

 

少女たちも応戦しようと身構えた。だがその時、刃の側にもう一人参加した。

 

「待てよジン。一人で戦うつもりか?」

「兄さん…悪いけど例え兄さんであっても今回は」

「バーカ。いいんだよ今回は」

「え?でも兄さん」

「ああ。俺にとっても…あいつは大事な人だ。だがだからこそ俺は今回テメェの側に立つ。なんつーか…お前がそこまでギンのことを大事に思っているなんてな」

「兄さん…」

「こいつらを抑えたら次はテメェとの決着だ。それまでは…やられんじゃねーぞ!」

「ふっ…兄さんこそ…簡単に倒れないでよ。まだ決着はついていないからね!!」

「おう!!いくぞ、ジン!!!」

「いつでもいけるよ、兄さん!!!」

 

何故か男たちが勝手に盛り上がり始めた。色々ともうカオスな状況におかれる中、一人置いてけぼりの銀に対してレイチェルは面白い物を見ているかのように微笑んでいた。

 

「良かったわね。大人気な上にプロポーズ紛いなことまで言われたじゃない」

「……いや」

 

確かにあの台詞はカッコよかった。場面も完璧だった。2人の兄弟愛も美しい。だが

 

「誰だアレぇぇぇ!!!!」

 

普段の彼から天地がひっくり返ることがあっても絶対に出ることのない臭い台詞の数々に対して当事者の銀は全く喜んでいなかった。

 

「いや、カッコいいよ!?確かにタイミングも台詞も良かったよ!?でもさ、お前誰だよォォォ!!お前そういう台詞言うタイプじゃないじゃん!!!どっちかというと『ふっ…仕方がない』とか言ってさり気なく参戦する方じゃん!!!いつものブラコンで時々辛辣な如月刃はどこにいったんだよ!!!」

「元々彼、兄に対する愛情がちょっと特殊でも物凄かったからその反動でああなったのではないかしら?」

「だとしたらアイツどんだけ普段ラグナのことが好きなんだよ!?つーか普段のアイツがアレだから今更あんなこと言われても全く気持ちが靡けないよ!!」

「普段の彼通りなら靡くの?」

「普段通りてことはあのフライングじゃん!!それも嫌だよ!!」

 

どうやらせっかくモテメガネの力によってどう言うわけか正統派イケメンっぽくなった刃に対しても普段の行動を知っている銀からすれば最早別人であるため、素直に喜べなかったようだ。

 

「それにしても実に恐ろしい魔道具ね、モテメガネ。本来なら温厚な勇者が凶暴化するだけでなく、蒼の魔道書を持つラグナすらも虜にしてしまうのだから」

「冷静に分析しないでなんとかしてくださいよ!」

 

そんなこんなを言っている内に部屋にいる5人はいつのまにか外へ移動してそれぞれ戦闘準備に入っていた。

 

「ユキアネサ…起動!!」

「第666拘束機関解放!次元干渉虚数方陣展開!!蒼の魔道書(ブレイブルー )起動!!!」

「ちょっと!?アイツら本気で闘うつもりなの!?」

 

ラグナと刃がそれぞれの武器を呼ぶ為の言葉を叫び、勇者たちは勇者システムを起動させていた。

 

「おっしゃー!!テメェら覚悟はできたんだろーな!!」

「さあ、そろそろ始めようか!!」

「そのっち、沙耶ちゃん。一時休戦よ。まずはあの人たちを倒してから!!」

「今回の相手はあの2人だからね!わっしー!サッちゃん!手を抜いちゃダメだよ!!」

「全く…このような俗な遊戯のために降ろさせた以上、余のものになってもらうぞ…三ノ輪銀」

「いや神樹様(アンタ)は出てきちゃダメだろぉぉ!!!!」

 

沙耶はこんなことのために神樹のうちの一柱をワザワザ呼び出すという暴挙を行なったことでますます大変なことになってしまった。

 

「レイチェルさん!!」

「ふふふ…大変面白い物を見せてもらったわ。それでは銀。私は城へ帰るわ。御機嫌よう」

「そんなー!!」

『行くぞ(よ)!!!』

「やめろー!!!」

「『ガントレットハーデス』!!!」

「氷翼月鳴!!!」

灯雷の矛(とうらいのほこ)!!!」

「八百麗槍刃!!!」

「正鵠穿通矢!!!」

「ぎゃーーー!!!」

 

銀の制止も虚しく、両勢力は遂に激突した。

 

 

 

 

 

「あ"ぁー、疲れたー…もし仮に目が悪くなってもアタシは絶対コンタクトをつけてやるぅ…」

 

結局あの後銀は勇者に変身して第三勢力として参戦した。5人を相手取るのはかなりきつかったが、そこは気合いと根性とヤケクソで無事に乗り切って全員沈静化させた。

 

外を確認すると確かに様々な年齢層の男性たちと何故か安芸先生がいたが、全て例外なく気絶していた。原因は恐らく口に詰められた劇物だと思われるが、これ以上詮索してもロクなことにならないと判断した銀はそのまま見なかったことにした。最後にはなんとか無事に帰宅することができ、今は倒れこむように居間で寝そべっていた。

 

「にしてもあの眼鏡、どこにいっちゃったんだろ?」

 

因みにモテメガネは闘いの余波を受けたからかいつのまにかなくなっていた。お陰でスムーズに家へ帰ることができた。

 

「あ、姉ちゃん。おかえりー」

「ただいま、鉄男…」

「大丈夫?なんかスッゲーぐったりしてるけど…」

「…なあ、鉄男」

 

銀は意を決して鉄男に「あの」質問をしてみた。

 

「アンタ、アタシのこと好きか?」

「当たり前じゃん。そりゃあ姉ちゃんは俺の自慢の姉ちゃんだし」

「…家族的な意味だよな?」

「何言ってんの?ていうかそれしかないだろ?」

「だ、だよなー」

「なんか今日の姉ちゃん、変だぞ?なんかあったの?」

「いや…なんというか…アンタが、その、アタシに抱きついたり、イイ顔をしながら『姉ぇぇさぁん!!』とか言いだしたりとかしない…よな?」

「姉ちゃん、俺をなんだと思ってんの!?」

 

どうやら鉄男はその気はなかったようだ。一安心したのか一気に銀の体から緊張が解けていった。そんなとき、鉄男が神妙な顔で言葉を付け足した。

 

「まあ…でも」

「ん?何?」

「いつか俺も姉ちゃんを助けられるようになりたい、かな」

「…」

「俺からすりゃ俺の名前に自分と同じ『鉄』の字を使ってくれて、いつも働いてる父ちゃんや御役目で頑張っている姉ちゃんはヒーローだからさ。いつか俺もそれ報いたいんだ。まだ無理かも知んないけど…なんとかしてみるよ」

「鉄男マジ愛してる!!!」

「え!?何!?」

 

弟の言葉に元気を取り戻す三ノ輪銀であった。翌日、銀は眼鏡事変の当事者全員と会ったが、誰一人その時の記憶を持っていなかったとさ。

 

 

 

 

「全く…恐ろしい代物ね。『お父様』が封印していた理由が少し分かったわ」

 

月夜の中、レイチェル=アルカードは使い魔と共に問題の眼鏡を見つめていた。どうも自分には銀への魅了は効かなかったようだ。

 

「まあ…そもそも私にはそういった趣味はないからなんとも言えないけど…」

「姫様。なんかあったんスか?」

「ええ、あったわ。とっても面白いこと。あの子たちはいつの時代でも騒動に囲まれているわ」

「その割には姫様、少し怒っているようにmっででで!!」

「あら?誰が不機嫌だというの、ギィ?私は平常通りよ」

「ハアハア…だったら引っ張らないでくださいよー」

「アンタもいつまでも学習しないね〜。姫様は確かに楽しかったけど別のことを期待していたのよ」

「あ、そういうことっスね!」

「二人とも。後でお仕置きよ」

『Oh…』

 

察しはいいが自身の主人の怒りには鈍感な二匹はこれから行われるであろう罰を想像しながら倒れこんだ。

 

(それにしても…)

 

レイチェルは一人、思いにふけていた。思い出すのは銀に照れまくるあの赤コートの少年。あの時の彼は普段とは考えられないくらい初心で恥ずかしがっていた。そんな彼を見て口角が上がるのがわかると同時に、それが自分に向いたものでないことを自覚したときに胸の中で鬱屈したものを感じていた。

 

(千年以上生きてきた吸血鬼である私でも…知らないことがあるのね…)

 

その正体が分からぬままレイチェルは使い魔たちを連れて『城』へと戻っていった。

 

 




いかがだったでしょうか?
今回の話はコンシューマー版ブレイブルー のギャグシナリオの中でも指折りにカオスなモテメガネ回を元に書いています。もうちょっと他のキャラも出したかったから…

ただラグナそのままだとなんかあれだよな…そういや銀ちゃんけっこーモテたよな…ピッカーンと閃いた〜(裏声)

そんな感じのノリで生まれたのがこの話です。次回は本編!

それではまた
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