蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。

前回のやるやる詐欺から一日明けて今回はちゃんとした本編です。

鬱展開が苦手でつい最後の時までギャグっぽくなったかもしれん…

それではどうぞ!

The wheel of fate is turning…


Rebel14.嵐の前の静けさ

()(今朝見た夢…あれはおそらく神託…既に沙耶ちゃんという高精度の神託が受け取れる巫女がいるのにもかかわらず、私にも告げられた)

 

鷲尾須美は今、日課の水浴びをしている。今朝自分に対して神樹は神託を与えた。見えたのは三つの火の玉。それが神樹の方へと近づいていた。

 

(あの火の玉はおそらく敵のこと…でも『アレ』はいったいなんだったの?)

 

須美を悩ませていたのは夢の後半だった。火の玉は確かに神樹の方へと近づいていた。しかしその後、後退しはじめたのだ。そしてその玉を追って神樹から噴き出してきたのが巨大な『多頭の黒い大蛇』だった。後に火の玉を呑み込んだ蛇は周囲を破壊し尽くしながら天へと昇って行った。

 

(あの『黒い蛇』…凄く怖かった…)

 

須美は『蛇』に少なからず恐怖を覚えていた。アレは最早バーテックスなどという枠組みには当てはまらない、正真正銘の怪物だ。しかもその全容を須美は理解できなかった。

 

(いったい何が次に来るというの…)

 

今日勇者たちは新しくアップグレードした勇者システムを貰う。なんでも今回は沙耶も少し関係しているらしい。それが次の戦いでどう彼女たちを助けるのか、気にはなっていた。

 

(そろそろ出発の時間ね…)

 

内なる不安を消して須美は館の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「ようお前ら、元気そうだな」

「あら、綾月君。こんにちは」

「おす、ラグナ」

「こんにちは〜、ラッくん♪」

 

その日の放課後、ラグナは勇者たちとイネスで合流した。理由は決まっている。今回の勇者システムのアップデートで追加された機能の説明するためだ。

 

「おい。ジンのやつはいねえぞ」

「ジンジンならそこにいるよ〜?」

「え?」

「兄さぁん!!!僕に会いたかったんだね!!」

「いい加減それを卒業しろやー!!」

 

あいも変わらず急襲する刃をあしらった後、全員で売り場のほうへと行った。そこではカボチャの置物が売られていた。

 

「わー、みんな見てみて〜。カボチャだ〜」

「確か…ジャック・オ・ランタンと呼ばれているらしいな」

「そっか…もうハロウィンの季節なんだなー」

「外国のお祭りも祝うなんて、我が国の懐の広さに感謝ね」

 

それぞれ思い思いの感想を述べているのに対してラグナはハロウィンと聞いてあることを思い出した。

 

「ハロウィンか…確かウサギのやつの誕生日ってそのくらいの時期だったな…」

「そうだったんだ〜」

「よく知ってるね、兄さん」

「まあ、アイツには色々借りがあったからな」

「私と色々何があるんですって?ラグナ?」

「おわっ!?ウサギ!?」

 

少し話題に出しただけのはずなのに突然のレイチェルの登場にラグナは驚きを隠せなかった。それもそのはず。今レイチェルが立っているのは…

 

「おい!!人の頭の上で何してんだテメェ!!」

「気付くのに遅いわよ。こんなに鈍感ではこの先の戦いも思いやられるわね、この唐変木」

「んだと〜、このウサギー!!」

「まあまあラグナ落ち着けって」

「レイチェンはきっとラッくんに誕生日を覚えていてくれたのが嬉しくて照れてるだけなんよ〜」

 

頭から降りたレイチェルに嚙みつこうとするラグナをなんとか宥める銀と園子。先日あれだけ大変な目にあったのに2人は特に気にしている様子はなかった。さすがは勇者というところか。

 

「園子、冗談はそこまでにしなさい。何故私がこんな単細胞生物に恋慕しなければならないのかしら?」

「ほら、本人はこう言ってんぞ。散々な評価じゃねーか」

「おおー、いいよいいよ〜。お互いツンデレで嫌いあってる…だけど実は…これは打点高いよ〜」

「誰がツンデレだ!!」

「そんな子、ここにいたかしら?」

 

園子がどこから取り出したのか、メモを一心不乱に書き始めた。ラグナとレイチェルはそれぞれの形はそんな彼女の言葉を否定した。

 

「…あの2人、苦労しそうだな」

「そんなに悪くないと思うけど」

「兄さん!まさか…その人とつきあ「虫酸の走ることを言ってんじゃねー、ジン!!!」良かったよ兄さん!!!」

 

そんなことを刃が口走っていると今度は園子の頭上に何かが現れた。見た目は和服を着たカラスだった。

 

「あ〜、急に出てきちゃダメだよ。『セバスチャン』」

「うおっ!?なんだそれは!?」

 

突然知らない何かが現れたことにラグナが反応する。そこで須美は説明し始めた。

 

「今回のアップデートで追加された勇者システムの新しい機能の一つ。神樹様に仕え、力の一部を構成する『精霊』です」

「どうもこいつらには勇者の力を通常よりも何倍も強化してくれる『凄い力』を持っているらしいんだ。まだよくわからないけど」

「因みにこの子は『烏天狗』だよー。烏セバスチャン天狗。ミドルネームつけてみたんよ〜」

「ふーん。よろしくな」

 

ラグナがセバスチャンに触ろうと手を伸ばした。しかし何故かセバスチャンは彼の手をはたき落として園子の後ろに隠れてしまった。

 

「なんでだ!!?」

「哀れね、ラグナ。鳥にすら相手にされないなんて」

「うるせえ!!じゃあテメェはどうなんだよ!?」

「仕方がないわね…ほら、跪きなさい」

 

レイチェルがそう言ってセバスチャンの方へ一瞥すると光の速さで烏天狗は園子の後ろから出てレイチェルの前で跪いていた。

 

「ほらね」

「いや、『ほらね』じゃねーよ!!!テメェこいつにいったい何をしたんだよ!?」

「私が『なんなの』かを知っているならこれくらいで驚かないでほしいわね」

「そうだった…こいつ『アレ』を持っている吸血鬼だから多分霊格は上だった!」

「そういうことよ。あとそこの烏天狗。あまり主人を困らせるものではないわ。お分かり?」

〈御意!姫様の仰せの通りです!〉

「踏むわよ、変態」

「いや、結局テメェの下僕になってんじゃねーか!?」

 

どこからか取り出したプラカードで意思を表明した烏天狗だが、これでは園子の先が思いやられそうだ。

 

「おおー、レイチェンすご〜い!私が言っても全然言うこと聞かなかったのに〜」

「いいこと園子。彼等を従わせたいならそれなりの威厳と態度を示しなさい。さもなくば舐められるわよ」

「わかった〜。参考にするね〜」

「やめてくれ園子!!ウサギなんかを参考にするなー!!」

 

思った以上に気にしていなかったどころかレイチェルを参考にすると言い出した園子。どうやら先が大変なのはラグナの方のようだ。

 

「そういやよくこんな連中を留められるようにしたな。みた限りかなり自由みたいだけど」

「沙耶ちゃんのおかげらしいわねよね」

「ああ。あの娘の協力のおかげで精霊をこちらの世界を呼びやすくなったから、精霊の研究もめちゃくちゃ進んだらしいんだ」

「…そうか。そいつは良かったな」

 

妹の努力が実を結んだことを嬉しく思うラグナだった。

 

「そういやジンはなんもなかったのか?」

「僕のユキアネサにもあったよ。名前は確か…『オーバードライブ』だったかな。なんでも使われている精霊の力を完全に開放させるものらしいんだ」

「なるほどな…術式の向上か」

「そう言うことだよ、兄さん」

「そういえば似たような機能が私たちにも与えられたわね」

「あら。それはどういうものなの?」

「はい。『満開』と呼ばれていました」

「『満開』…ね」

 

須美が発言した機能を聞いてレイチェルは少し考え込んでいた。あまりみられないその様子をラグナは思わず彼女に話しかけた。

 

「おい、ウサギ。どうしたんだよ?」

「…」

「ウサギ?」

「…今は話しかけないで頂戴。少し考えごとをしているの」

「…分かった」

 

真剣に考え込むレイチェルを邪魔しないためにラグナはそれ以上追求しなかった。

 

 

 

 

 

「今日も楽しかったな〜」

「ああ。しかも学校のみんなが応援メッセージまで書いてくれるなんて思わなかったよ」

「家族にも級友にもこんなに温かく見守られながら御役目に就けるなんて、私たちは幸せ者ね」

 

夕方になった頃に彼女たちはそれぞれ帰宅の旅路へと歩んでいた。まだ少しレイチェルは考え込んでいたが、それ以外は特に何もなかった。

 

しかしそんな平和な時間は長くは続かない。周りの風が徐々に強くなっていき、鈴の音が響いてきた。

 

「…来るの?」

「恐らく」

「ここまで来るともう来ている時がわかってくるようにもなっちまったな」

「出来れば一生縁がなくて結構だがな」

 

彼等は戦闘態勢に入る。間も無く樹海が展開されるようだ。その前に園子が髪についているリボンを須美に渡した。

 

「はい、わっしー。これあげるね」

「え、いいの?そのっち?」

「大丈夫だよー。付ける時に見せてくれるなら」

「じゃあその時は褒めてね」

「おーい、アタシはどうなのさ?」

「ミノさんは帰ってきたら一緒に買いに行こ〜」

「よーし、頑張るぞー!」

 

少女たちは戦いの後に想いを馳せる。しかし樹海が展開される前に、レイチェルは5人を呼び止めた。

 

「待って」

「ん?なんだよ、ウサギ」

 

ラグナたちが振り返るとそこには眉を細めるレイチェルがいた。

 

「貴方達、どのような説明を大赦から受けたかは知らないわ。でも、これだけは覚えておいて」

「何かな〜?レイチェン」

「…満開はできれば極力使うのは避けなさい。貴方たちはまだ『こんな』ところで『咲く』には…早いわ」

「…分かったよ。そうならねーよう、俺とジンがあるわけだしな」

「当然だ。僕と兄さんなら誰にも負けん。そうだろう?」

「任せてください!」

「大丈夫だよー」

「行ってきます」

 

そう言って5人は樹海の中へと移動していった。レイチェルはただ彼女たちがいた場所を見ることしかできなかった。

 

 

 

 

「敵は…三体だね」

「あの中心のやつはやばそうだな」

 

大橋にいたのは三体のバーテックス。その内二つは細長く、一体は圧倒的な巨体で存在感を示していた。この中で1人…須美はどこか違和感を感じていた。

 

(あの『黒い蛇』がいない…)

 

夢に出てきた『怪物』らしき存在はいない。ということは『まだ』ここにはいないのかもしれない。なら早急に決着をつける必要がある。

 

「みんな気をつけて。恐らく敵はもう一体いるわ」

「奴らめ…そのような小賢しい策を考えるようになったか」

「じゃあみんな!行くよ〜!」

 

園子の掛け声と共に勇者たちはシステムを起動させて変身した。全員白を基調にそれぞれのイメージカラーも含んだ戦闘服だった。それぞれの武装も変わっており、須美はライフル、園子は伸縮自在の槍、銀は合体して大剣になれる双斧だった。

 

「ユキアネサ、起動!!」

 

刃もユキアネサを召喚する。そしてラグナも魔道書の起動を開始する。

 

「第666拘束機関解放!次元干渉虚数方陣展開!!」

 

方陣が展開されると同時にラグナは叫ぶ。

 

「見せてやるよ…これが…『蒼』の力だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼の魔道書(ブレイブルー )、起動!!!」

 

後に『瀬戸大橋跡地の合戦』と呼ばれる戦いの幕が上がった。




いかがだったでしょうか?

元の世界のラグナとジンの関係を知ったら園子にとってはビュオオオウウウ案件かな?

姫様を参考にした中学生園子様は一体どうなるんだろうか?なんか嫌な予感とラグナの胃痛がマッハになりそうだが…

それでは次回瀬戸大橋の戦い!お楽しみに

それでは

Rebel1…Action!!
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