蒼の男は死神である   作:勝石

17 / 133
どうも勝石です。

なんとこの度感想を二ついただきました。ありがとうございます!

さてと本編に突入!…と、言いたいところですが、その、一個のネタがどうやっても離れてくれないんです。

そのため緊急治療のため、この話を書かせていただきました。

前回に負け劣らずヤバイ回なのですが、暖かい目で見ていただければ幸いです。

それでは…

The wheel of fate is turning…


番外編、確率事象
園子の夢Act01.十号三


「東郷さん!!もうやめて!!『壁』を破壊しちゃダメだよ!」

「東郷!アンタ…自分が何をしているのか、分かっているの!?」

 

神樹によって構成された壁の上で争っているのは讃州中学勇者部に所属する結城友奈(ゆうき ゆうな)三好花凛(みよし かりん)、そして元鷲尾須美の東郷美森(とうごう みもり)だった。

 

勇者システムと自分たちの生きる世界の残酷な真実を目の当たりにした東郷は全てに絶望し、神樹の破壊を画策。壁に穴を開けてバーテックスを結界内に入れるようにしようとしていた。

 

「分かっている…分かっているからやらなければならないの!!!これを見てしまった以上!!!」

 

東郷は友奈たちを壁の外の世界へと誘った。そして大赦によって隠された勇者の真実も全て明かした。東郷の言葉に驚きを隠せない友奈たちだが、目の前の景色は全てを物語っていた。再び結界内に戻ってから東郷は二人の前で宣言する。

 

「私は…全てを終わらせる。大切な人たちを守れないなら…勇者になった意味なんてない!!この『世界』も『勇者』…私が断ち切る!!!」

「そんなこと…させると思ってんのか!!このバカが!!」

 

その言葉と同時にラグナが介入してきた。突如出現した赤コートの一撃に対して東郷は後退する。

 

「綾月…洛奈…いいえ、ラグナ!!!」

「ラグナ君!」

「ラグナ!」

「済まねえ、遅くなった」

 

この中でも指折りの戦闘能力を誇るラグナの到着に友奈と花凛に笑顔が少し安堵する。それに対して東郷はどこか悲痛な表情を浮かべながらラグナを見ている。

 

『あの娘』の話が正しければ、自分がどれだけ勇者の力を使ったとしても、ラグナに勝利するのは不可能だとのことだ。それは彼の戦いぶりを後衛としていつも後ろから見ていた東郷も重々承知している。

 

「綾月君…貴方も…私の邪魔をするの?」

「ああ。悪ぃがテメェの計画はここでオジャンにさせてもらうぜ」

「貴方も分かっているでしょう!!?この世界に未来はない!可能性もない!!私たちから何もかも奪っていくだけの世界よ!!!そんな世界に…何を求めるというの!!?」

 

東郷の嘆きを聞いて、少し動揺しながらも…ラグナは答えた。

 

「ああ、そうだ。こんな世界…俺から言わせてもクソ喰らえだよ。だが…ジンが…サヤが…今も生きている」

 

そう言ってラグナは背中からアラマサを手に取って構える。

 

「だから、まだ終わらせるわけには行かねえ。大赦の奴らは気に入らねえが…それでもここで世界をぶっ壊させるわけには行かねえ!!」

 

そう言ってラグナは右手を翳した。勇者部の誰もが一度は見てきた光景だ。

 

「第666拘束機関解放!次元干渉虚数方陣展開!!蒼の魔道書(ブレイブルー )起動!!!」

 

戦うために蒼の魔道書を起動させるラグナ。東郷は遠距離型。この間合いならば多少妨害にあってもラグナが懐に入れば一瞬で決着は着く。しかも東郷は頭部のリボンによる補助でようやく移動できる。勝敗は誰から見ても明らかだった。

 

「行くぞ!この『泣き虫野郎』が!!今テメェを『助けて』やる!!」

「…っく!!」

 

ラグナが動く前に東郷はラグナの足元前方に銃を向けて、二発撃ち込んだ。それをジャンプで躱して一気に自分の方へラグナが突進する。

 

「甘く見ないで!」

「くっ!衛星かよ!」

 

ラグナに向かって衛星がビームを放ちながら東郷は出来るだけラグナから離れようとする。しかしこの程度で止まるラグナではない。

 

「『デッドスパイク』!!」

 

ラグナの剣から放たれた衝撃波によって衛星は全損。そのまま再び東郷の元へと駆けて行く。東郷も銃で牽制するが、回避したり剣で弾いたりしながらラグナはどんどん東郷に追いつき始めた。

 

「…ああ。…そういうことなのね」

 

東郷はここに来て何故『あの娘』に自分がラグナに勝てないと言われた理由が分かった。

 

「そうね…綾月君。貴方はいつもそう…。例えどれだけの敵と戦うことを知っても…どれだけ残酷な運命を知っても…貴方は立ち上がり続けた…」

 

東郷には小学4年から6年の記憶がない。だが、時々彼からは懐かしい感覚を感じていた。時には痛ましくなる彼の背中を見ると、心のどこかが苦しくなるのを感じていた。それでも立つ彼の背中がとても頼もしく感じることもあった。

 

だからこそそれが今『憎い』。もう終わらせてほしいのにまだこの男は抗う。戦う。ある時、親友である結城友奈は彼を勇者みたいだと言ったことがあるがとんでもない。

 

「貴方は…『絶対に』諦めない人…真の勇者…だから」

 

東郷が目を瞑ると同時にラグナはもう東郷の目の前まだ来ていた。拳を握り、ラグナからの一発が東郷に襲いかかる。

 

「歯を食いしばりやがれ!トウゴォォォ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今…貴方を殺すために『これ』を使うわ」

 

ドス

 

「ガッ…ハッ…」

『ラグナ(君)!!!」

 

拳は東郷には…届かなかった。ラグナの口から突然血が吹き出る。そこに目をやるとラグナは信じられないものを見つけてしまった。

 

「な…んだ…と…!!?」

 

そこには電脳化した大剣のようなものが腹部を貫いていた。ラグナの顔から嫌な汗が出始める。まさか、よりにもよってこのタイミングで『これ』が出てくるなんて想定していなかった。

 

「て…テメェ。どこで…ゴフッ!」

 

意識が朦朧になる中、ラグナは『これ』の出所を東郷に聞く。それに対して東郷は悲しそうな、しかし狂気に満ちた笑顔を浮かべ始める。

 

「…貴方が私の邪魔をするのを想定していなかったとでも思うの?確かに『勇者』の力では貴方には勝てないわ。でもね、あったのよ。大赦に…貴方を倒せる『力』が…!」

 

そう言って東郷は少しずつラグナに近づきながら「その言葉」を言う。

 

「『第六六六拘束機関解放』…」

 

突如東郷の後ろに人の丈はある巨大な剣のような装置が出現した。

 

「『次元干渉虚数方陣展開』…」

 

とうとうラグナの前に着いた東郷はしゃがんでラグナの身体を持ち上げ、最後に告げる。

 

「『叢雲艤装(ムラクモユニット)』…起動」

 

その瞬間、東郷の身は光に包まれた。光が収まった後に現れた姿を見てラグナ、そして友奈と花凛は息を飲む。

 

浮遊している東郷の頭部を除く全身は鎧を含むややピッチリしたボディースーツに包まれており、彼女の巨乳をより強調させていた。手足には鋭い刃物が装着されており、目の部分はバイザーで隠されている。そこからこちらを覗くのは紅のモノアイだ。周りには先ほどの砲撃型のビット兵器とは異なるペタル状の刃が八つ展開されていた。黒く美しいロングヘアーの先端には女子には似つかわしくない太い矢尻のような刃物が付いている。

 

「…ようやく、貴方を『手に入れること』が出来るわ…綾月君♪」

「!!?」

 

甘ったるい声でそう言いながら東郷はまるで長年探していた宝物を見つけた子供のような無邪気な笑顔をしていた。だがラグナから見ればそれは悪魔の笑顔だった。

 

「トウ…ゴウ…止せ!!後戻り…できなく」

 

ラグナが言い終える前に東郷はペタルで容赦なく身体を滅多刺しにしていく。もう見ていられなくなった友奈が東郷へ突貫した。

 

「東郷さん、ダメぇぇぇ!!!」

「ごめんね、友奈ちゃん…そこでじっとしてて」

 

東郷は掌を友奈の方へと向けると巨大な方陣が展開され、その中から複数の剣が出現した。

 

「『古代の刃(レガシーエッジ)』」

 

技の名前を言った後、方陣内の剣は次々と高速で友奈へと放たれた。精霊バリアのおかげで直接的なダメージは友奈へ届くことはなかったが、それでも攻撃の衝撃でノックダウンさせることは十分だった。

 

「止まりなさい、東郷!!」

 

ピン挿しされている友奈とラグナを助けるため、花凛も東郷の元へ駆けるが、東郷は妖艶な微笑を浮かべながら彼女へと手を向けた。

 

「遊んであげるわ、花凛ちゃん…『災禍の劔(カラミティソード)』」

 

すると今度は花凛の頭上から巨大な剣が降ってきて花凛を上から押さえつけた。これで完全に邪魔者はいなくなった。いなくなってしまった。

 

「さあ、綾月君…もう終わりにしましょう」

「やめ…!!!」

 

そうして東郷は自身の髪についている巨大な刃でラグナの心臓を自分ごと貫いた。ピクリとも動けず、目が霞んでいくラグナに対して東郷は赤ん坊をあやすように話す。

 

「ああ…これで…終わるのね…なにもかも…私たちの戦いも…この呪われた世界も…全て…♪」

「あ…が…」

「綾月君…もう何も我慢しなくてもいいのよ。…このまま私たちは…『一つになる』の。そして神樹様も…天の神も…全てを…壊し続けるの…♪」

「…あ」

「さあ…行きましょう…全ての始まり…そして…終わりへ」

 

そう言い終えると東郷はラグナを壁の外へ連れて行き、そのまま火の海へ落ちていった。数分後、樹海全体が揺れ始めた後に東郷たちが落ちた箇所の壁が爆風とともに吹き飛ばされ、大量のバーテックスが溢れ出した。

 

しかしそれは神樹を破壊するためではない。「怪物」から逃げるためである。大切な親友の心を守れず、世界が壊れていく様を見ることしかできずに絶望の闇に堕ちて行く友奈が最期に見たものは樹海を薙ぎ払い、バーテックスを呑み込みながら神樹を喰らい尽くさんと迫る複数の頭を持つ「黒い大蛇』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…という夢を見てしまったんよ…」

「ちょっとそのっち!私をなんだと思ってるの!?」

 

そう。これは全て園子の夢の中の話だった。実際は色々あったものの、世界はあり、誰も死んでいない。平和だ。

 

「でも、あの夢に出てきたわっしー、実感がありすぎてすごかったよ?本当の出来事に見えたもん」

「えー!?東郷さんがラグナ君を殺しちゃうの!?」

「大丈夫よ、友奈ちゃん!そんなことにはならないわ!!」

 

今部室にいるのは園子、友奈、そして東郷だけだ。他の人たちはそれぞれの用事があってまだきていない。流石にこれはみんなの前では言えないから園子は最も付き合いの長い親友の一人にして当事者の東郷にのみ話していたのだ。友奈はそのあとに成り行きで聞いていただけだった。

 

「おう、誰かいるか?」

「あ、ラグナ君」

 

ラグナが部室に入ってきた。始めは学校に通うことが難しいと思われたラグナだったが右往左往しているうちに讃州中学に通うようになっていた。

 

「そういやなんの話をしていたんだ?」

「えっと…そのっちが夢の中で私が世界を滅ぼすのを見たって」

「おいおい勘弁してくれよ。あんなのは二度とごめんだからな」

「その時に一つになろうとか我慢しなくていいとか言って「それだけは本当にやめてくれ」」

 

ラグナがすぐにその話題を却下したことで彼女たちは明日についての話に切り替えた。

 




いかがだったでしょうか?

というわけで他所とのコラボイベントの勇者服姿のリリフレメンバーを見てしまったことにより、東郷さんとνー13という、ブレイブルー とゆゆゆにおける「混ぜるな危険」を思いついてしまったことで生まれたifバッドエンドの話でした。

いや、実際東郷さんにムラクモユニットなんかあげたら誰も勝てませんよこれ。ただでさえ射撃能力の高い東郷さんに高火力+浮遊による高機動力(足の機能は必要なし)の神輝ムラクモがフュージョンしたら下手したらほとんどツミじゃね?攻略の鍵はおそらく樹ちゃん。

あとこの時ラグナ君、東郷さんに抱きつかれていますね。え?そこ代われって?本人は喜んでそうしますよ。その代わり東郷さんのメガロポリスと同時に全身が串刺しにされる感覚に襲われますが。

それでは
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。