蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。

今回の話で50話目。お気に入り登録も100になりました。これまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

さて今回はアンケートの結果、ラグナと友奈ズの絡み。あの世界でも似た顔を持った三姉妹(本当は全員自分の妹のクローン)もいましたが、ここではどのようになるのでしょうか?

ちなみに対と書いていましたが名目上ギャグですので、ガチの戦闘描写はありません。キャラ崩壊とカオスとほのぼのはありますが。そういったものが苦手な方はご注意下さい。それではどうぞ。


花結いの確率事象2.三人の友奈

「『お兄様』、今日も一緒に競い合い(遊び)ましょう~」

「いきなり現れたと思ったらまたそれか、『アカミネ』!!」

 

樹海…ではなく勇者部部室でラグナは赤嶺友奈に迫られていた。彼女は悪戯っぽい目つきで彼に顎クイしている。対するラグナはどこかウンザリした様子で彼女を振り払おうとしていた。神樹内の世界で初めて遭遇してから彼女は何度かこうしているのである。

 

赤嶺が度々勇者部へ訪れる理由。それは敬愛する『古波蔵棗(こはぐら なつめ)』に会えることや勇者たちに試練を与えることだけが関係しているのではない。実は彼女のもう一つの目的はラグナにもあった。そして訪れる度に彼女はこうしてラグナに甘えているような行動を見せている。

 

「つーか何度目だよ、このやり取り!!」

「そうですね~、4回目くらいだったと思いますよ~」

「ちげーよ、3回目だ…テメェで間違えてどうすんだ…つーか俺はテメェみたいな妹を持った覚えはねーよ!!」

 

どうしてこれ程自分に親し気なのかは知らないが、ラグナは内心彼女の行動に肝を冷やしている。というのも後ろで赤嶺を睨んでいる二人の兄妹の視線が怖いのだ。刃は今にも赤嶺に切り掛かりそうだし、沙耶も顔は笑っているがいつの間にかにベルヴェルクを構えている。このまま赤嶺がくっついていたら火色の何かが舞いそうだ。

 

「ったく!!なんで俺にばっか勝負を挑むんだ!!」

「それはもちろん、お兄様と少しでも一緒に居たいからで~す。大丈夫、ちょっとじゃれ合うだけですから」

「そのじゃれ合いをすることが俺にとって命懸けなんだけど!!?」

「貴様、赤嶺友奈!!!兄さんから離れなければ今すぐ氷漬けにしてやる!!!」

「あはは、お楽しみのようですね赤嶺さん…私を差し置きながら敵である貴方が兄さまをお兄様と呼ぶなんて…」

「あ~あ、ヤダヤダ。冗談も通じない上にこれだけ脇がお堅いんじゃあ将来大変ですね~、お兄様」

「今は殆どテメェが原因だろうが!!」

 

ラグナが怒鳴り散らしても赤嶺は彼から離れる様子を見せない。その様子を遠目で見ている他の勇者たちはどうすればいいのか分からなかったり、微笑ましい目で見ていたりしていた。だがそんな中で一人が二人に話しかけてきた。

 

「赤嶺ちゃんは本当にラグナ君のことが好きなんだね!」

「後輩ちゃんだって実はお兄様に甘えたいんじゃないの?ちょっと羨ましそうにこっちを見てたの、分かってたよ~」

「そ、そんなことないよ?確かにラグナ君は大人っぽくて頼りになるな~って思うことはあるけど…」

「おのれ、結城友奈…貴様も兄さんを独り占めするのか!!!」

「友奈ちゃん!!?もしや綾月君に恋慕していたというの!!?」

「違うよ刃君、東郷さん!!?私、別にラグナ君をそんな風に見てないよぅ!!?」

「友奈さんならまだ許せるかな…いや、やっぱり無理…う~んでも…」

「そこは迷うんですね…東郷さんもそうですが、二年で大きくなった刃君や沙耶ちゃんに何があったのかしら…」

 

須美がそんなことを考えていると、事態がさらに混沌とし始めた。赤嶺が背後に回ってラグナに抱き着いてきたのだ。自分の背中から感じる柔らかいものにぎょっとしたラグナは何とか彼女を振り払おうとする。

 

「おい何してんだ!!?」

「あれ~?もしかしてお兄様、動揺してるんですか?やっぱり男の子なんですね~」

「訳分かんねーこと言ってんじゃねーよ!!」

「…こんなこと、お姉様かお兄様くらいにしかやりません…それなのに振り払われるなんて、悲しいです…」

「いや、切なそうに言っても無駄だぞ!!?心の中でほくそ笑んでるの、バレバレだからな!!」

「あれ~、そんなに分かりやすかったのかな~?これでも私、『裏のこと』に関わっていたからその手のことも知ってるんですよ~。やりませんでしたが」

「知るか!!つーかそれ、今俺に仕掛ける理由にならねーだろうが!!?」

「でもこのままお兄様の温もりを堪能させてもらいますからね~」

「人の話聞けよ!!」

 

何とか抵抗する彼だが和んでいる赤嶺も彼を解放しそうにない。そんな二人の様子を見たからか、結城はラグナにある意味かなり困る質問をぶつけてしまった。

 

「えーっと…ラグナ君?」

「なんだユウナ!?わりーけどこいつを引っ剥がすのを手伝ってくれ!!」

「その…男の人って…やっぱり胸の大きい女の子の方が好きなのかな?」

「…………はい?」

 

チラチラと彼の顔とその彼に密着する赤嶺を見つつ結城は顔を赤らめながら聞いてきた。しかしタイミングは最悪と言っても良い。今この部室における男女比のうち、女子の割合が非常に高い。何より弟妹たちと先ほどから動きを見せずに紅茶を飲んでいるレイチェルもいる。彼女は何も言ってこないが、その沈黙は別の意味で恐ろしい。

 

実際のところ、赤嶺は勇者服で強調されているだけで『牡丹餅』のサイズは他の友奈と変わらない。だが結城の表情を見てしまうとここで答えないわけには行くまい。これを聞くのに相当勇気が必要だったであろうことを考えて、頭を抱えながらもラグナは彼女の疑問に答えた。

 

「…少なくても俺はそこまで気にしねえよ…寧ろ見た目が良いのに中身が残念なのをごまんと知っている身としてはそっちよりも別のもんを見ているしな」

「そ、そうなんだね。風先輩が前に男子はそういうのをよく見るっていうからそうなのかなと思って」

「……まあ。そういうことに全く興味がないわけじゃねーが、それだけで女子の良し悪しなんざ決めねーさ」

 

巫女に良くバランスが大事だと耳にタコが出来るほど言われていたことを思い出しながらラグナは素直な感想を述べた。友奈も彼の回答を聞いてどこかホッとしたような、しかし同時に恥ずかしそうな表情を浮かべていた。因みに沙耶もそれを聞いてどこか嬉しそうだった。しかしどうしてか彼の腰がメリメリ鳴りながら締め付けられていった。

 

「ね~、お兄様?それは後輩ちゃんの方が良いってことですか?妬けちゃいますよ~」

「いででで!!?ンなこと言ってねーだろうが!!?『アイツ』もそうだったけど何でこう三人組に一人、そういう奴がいるんだよ!!?」

「貴方、そういえば東郷さんやひなたにはあまり反応しなかったようだけれど、やはりロリコンだったという事かしら?」

「誤解を生むようなこと言ってんじゃねーよ、ウサギ!!」

「良かったわね、綾月君…友奈ちゃんのあんな可愛い顔を間近で見れて…」

「東郷先輩!!?目から光を失いながら銃を構えないでください!!!」

「うわーー!!大きい須美が暴走し出したぞ!!!」

「須美ぃ。流石にそこまでにしておけ~。部室が壊れるぞ」

 

東郷を何とか宥める樹と中学生銀だが、もう一人の問題児が動き出してしまった。

 

「兄さん…さっきの話は本当かい?」

「何言ってんだジン?まあ…そうだな」

「つまりその話から推測するに…兄さんは女が好きなのかい?」

「まあ…少なくてもそういう対象としては女の方が好きだぞ?」

 

それをラグナが言うと、彼の後ろにいる赤嶺に向かって氷柱が飛んできた。赤嶺はラグナを抱きしめたまま横へ飛んで回避したが、それによって力が緩んだところを突いて彼は赤嶺の拘束を振り切った。それに気づいた赤嶺はどうしてか名残惜しそうだった。しかし当のラグナは刃の方に注意を向けている。刃の顔に黒い笑みが広がった。

 

「どうやらこの世界に来てから色んな女の人と出会う中で、兄さんに厄介なバイキンを移した奴がいるみたいだね…」

「いや、俺は元から女の方が好きだからな!!?そっちの趣味はねーからな!!!」

「安心して、兄さぁん。僕が兄さんを正気に戻してあげるよ…」

「それを聞いて安心出来る理由が全く見当たらねんだけど!!?」

「ユキアネサ起動!!!」

「刃兄様、お気を確かに!!!」

「部屋の中で暴れんじゃないわよ、『少佐』!!!」

 

案の定、東郷並の暴走を開始した刃に椿姫と夏凜が急いで止めに入ろうとするが彼はもがき続けた。その様子を見て園子は小中共にビュオオオオオオウと叫びながら夢中でメモを書き記し、『伊予島杏(いよじま あんず)』も荒振り始めた。

 

「これは…禁断の兄弟愛…しかも男の子同士!!そこへ更に妹と自分に懐いてくる双子まで混ざって、しかも相手の男の子にも自分を慕う女の子がいて…全員集合してとんでもない修羅場に発展!!これは良船案件っていうのかな…いやむしろこれは…あああああこんなの、小説の中でも絶対見れない光景だよ!!!一体この後どうなるの!!!?」

「杏ぅ!!!頼むから戻ってこーーーい!!!いくら寛容なタマでも杏がそっち方向のダークサイドに堕ちるなんて嫌だぞーー!!!」

 

ワザリングハイツし出した妹分を見て思わず『土居球子(どい たまこ)』は叫んだ。本来の病弱な文学少女としての彼女はどこに行ったのだろうか、それは本人のみぞ知る。やがて椿姫たちを振り切って赤嶺を切ろうと刃は接近したが、彼の前にラグナが立ちふさがった。

 

「退いてよ、兄さぁん!!!その女を殺せないじゃないか!!!」

「テメェ、馬鹿か!!!こんなところで流血沙汰を起こしちまったらどっちもどうなるか分からねーだろうが!!!」

「うわ~。本当に怖い弟さんだね~。捕まったら大変なことになりそうだよ~」

「ならば今すぐここでその命を散らせろ、女」

「……仕方ねーな」

 

どんどん二人の様子が険悪になっていくのを見てラグナは一つ溜息を吐きながら二人に提案を出した。

 

「分かったよ、遊んでやりゃあいいんだろ!!?だったら望み通りやってやらぁ!!!テメェら二人、まとめて相手にしてやるからかかってきやがれ!!!」

「いいの、兄さぁん!!!?ぃよっしゃーーーー!!!!全力で行くからね!!!!」

「このおっかない弟さんと一緒というのは気に喰わないけど、まあいいか。お兄様と競い合え(遊べ)ますし~」

 

ラグナが彼らと戦うことを渋々承認すると二人は嬉しそうにしながらアップを始めた。そのラグナを心配そうに結城と沙耶がラグナに聞いてきた。

 

「ラグナ君、本当に大丈夫なの?赤嶺ちゃんも多分『アレ』…持ってるよね?」

「相手してやらねーと下がってくれそうにねーからな…それにもう何度か相手しているから心配ねーよ」

「兄さま…あまり無理をなさらないでください。刃兄さまも赤嶺さんもかなりの手練れですから油断すると足元を掬われちゃいますよ」

「大丈夫だ、サヤ。そいつは日頃からあいつらと戦っている俺が一番良く知ってるつもりだ。安心して待っててくれ」

「ではうどんを作って待っています」

「ユウナ、頼む。サヤが万が一家庭科室の台所に行くようだったら全力で阻止してくれ」

「任せて!!その時は何としてでも止めるよ!!」

「え~~~!!?兄さま酷いですよ~!!」

「なんか、流れるように戦うことになったみたいだけど…刃はともかく、あの娘まで乗っちゃうわけ?ていうかラグナ、無事に帰ってこれるかいなこれ?」

「赤嶺友奈が嬉しそうだから、良いのではないか?」

 

二人が校庭へ向かうラグナを追いかけていく姿を見た『秋原雪花(あきはら せっか)』の心配に対して棗が答えた。しばらくして校庭の方から怒号と歓喜の声がこだまする。

 

「兄さぁん、ハァッ!!!もっと激しく殺し合おうよ!!!!」

「ラグナく~ん。お邪魔虫の弟さんなんか放っといて私と舞おうよ~」

「ギャーギャー喚かねーで来やがれ、このじゃじゃ馬共がぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ”~…マジで疲れた…アイツら、また腕を上げてきやがったな…」

「アハハ、ご苦労様ラグナ君」

「というよりなんであの二人の言う事を無視しないのかしら…」

 

二人を何とか退いだラグナは席にドッサリ座り込んだ後で部室のテーブルに突っ伏した。それを見て『郡千景(こおり ちかげ)』が彼の真意を聞いてきた。多くの部員はそれぞれ依頼に向かったため、今部室には彼女を含めて三人だけだ。

 

「ジンの奴とああするのはいつものことだし、アカミネは…なんかな…」

「仕方なく、という訳でもないでしょ?貴方のことだし」

「…さあな。俺にも良く分からねえ、顔は『アイツ』とはちげーのに…けど、なんかあのまま無視するってのもムシャクシャすんだよ」

 

ラグナは樹海での赤嶺を振り返る。そこの彼女はどこか冷たい雰囲気を醸し出していて、しかし無理をしているようにも見えた。それをラグナはどうも他人のようには見えなかった。その姿は別の世界のとある少女を思い出させるものだったからだ。そんな彼に『高嶋友奈(たかしま ゆうな)』は提案を出してきた。

 

「ねえラグナ君、ちょっと良いかな?」

「どうしたんだよ、タカシマ?」

「疲れてるみたいだし、ちょっと横になる?」

「まあ…確かに今日は色んなことがあったからな…」

「それじゃあ…はい!!」

 

そう言うと高嶋は椅子を何個か並べてその端に座り、自分の膝を叩いた。それを見てラグナはすぐ横に千景がいることもあって流石に躊躇ったが、当の千景は少し不服そうにしながらも

 

「今日は貴方も大変だったし、高嶋さんも自分から誘っているからとやかくは言わないわ…好きにしなさい」

「そうか…あとなんだかんだ気遣ってくれてありがとな、チカゲ」

「…そんなことなんてしてないわよ」

「ありがと、ぐんちゃん。後でぐんちゃんもする?」

「…お願いね、高嶋さん」

「じゃあラグナ君、どうぞ」

 

高嶋にそこまで言われた以上、ラグナもその言葉に素直に従った。高嶋の膝枕に寝そべっていると彼女はラグナの頭を優しく撫でながら語り掛けてきた。

 

「ラグナ君。赤嶺ちゃんや刃君のお願いに毎回応えるのってすごく大変だと思うんだ。それなのにいつもラグナ君は断らずに付き合うよね。それってとてもすごいことだよ」

「子供の頃からジンと訓練してるから対人訓練は慣れてるぞ」

「それでも毎回だもん。赤嶺ちゃんが来なくても刃君とはちょくちょくアレをやってるし、樹海でも一番前で戦ってるでしょ?結城ちゃんや沙耶ちゃんほどは言わないけどちゃんと休んでる?」

「なんもねー時は日向で寝てるぜ。後はウサギに色んな場所に連れ回されるって感じだな…服とか茶葉の良し悪しなんて分かんねーよ…」

「レイチェルさんも大変ね…」

 

千景がそんなことを呟いているのを聞いて、高嶋は同意しながらもどこか安心したように見えた。

 

「そっか…実は私、休みが取れないほど毎日あんなに大変なのかなぁ、て思ってたんだよ」

「流石にそこまでじゃねーよ…ジンも休日のときは他の奴と一緒にいることも多いしな」

「あの男でも他の人間と親しくすることがあるのね…」

「ああ見えて刃君も面倒見が良いからね。それに訓練に熱心だから良く若葉ちゃんとも模擬戦してるらしいよ」

「そういやアイツが珍しく負けたって聞いたが…それってもしかしてワカバなのか?」

「う~ん、若葉ちゃんも負けたってひなちゃんから聞いたから戦績自体は互角じゃないかな?」

「どちらにしてもあの乃木さんと同格だなんて大したものね、あの男。あれでブラコ…兄への執着がなければ良いのに…もしや雪女関連で伊予島さんと何か関係が?」

「そ、それはないんじゃないかな…多分…」

 

そんなうっかりすれば球子がショックで絶叫しかねない親友の発言をやんわりと否定しながらもここに来てからの杏の行動を見てきた高嶋はどこかそうではないかと考えていた。

 

「…もういいぞ、タカシマ。大分疲れは取れた」

「分かった…ねえラグナ君」

「あん?」

 

高嶋が改まって何かを言おうとするのを感じてラグナはすぐに起き上がらないでいると高嶋は笑みを浮かべながら話し始めた。

 

「ラグナ君はみんなのことを本当に大切に思ってくれているのは伝わっているよ。でも…ラグナ君はラグナ君も同じくらい大事にしないとダメだよ」

「どういうことだよ?」

「やっぱり気づいてないんだね…ラグナ君って他のみんなを危ない目に遭わせないよう、一番大きくて危険な敵に挑むことが多いよね?それに刃君や沙耶ちゃん、勇者部のみんなのことではとても積極的に動くのに自分のことは後回しにしてばっかりでしょ?身体の傷は蒼の魔道書のおかげで大体すぐに治るけど…それでも心は大丈夫かなって…見ていて心配だよ」

(…昔、巫女…つーかシスターにも似たようなことを言われた気がするな)

「だからね、私はラグナ君に自分をもっと大切にしてほしいんだ。自分の大事な人たちが自分たちを大事にしないで辛い目に遭うのは…見ている人も辛いよ」

「高嶋さん…」

 

彼女の言葉はラグナに向けて発されたもののはずなのに千景はどうしてかそれを他人事には感じられなかった。ラグナは一度目を瞑ってから口を開いた。

 

「…済まねえな、タカシマ。それでも俺は…アイツらが危険に遭うのはもう御免なんだ。もう元の世界では十分ってくらい辛い目に遭ってきてんのにここに来てまでそれに遭うなんざ納得出来ねえ。だから多分、これからも無茶をすると思う」

「…そうだね。ラグナ君ならきっとそう言うと思ってたよ」

「でも…テメェの言う通りだな…もう少し自分のことにも目を向けるか」

「本当!?良かった~」

「それに…」

 

ラグナは二人に言った。

 

「俺の分はテメェらが大事にしてくれている…だから大丈夫だ」

「アハハ!それもそうだね。ぐんちゃんも、若葉ちゃんも、ひなちゃんも、タマちゃんも、あんちゃんも………みんな、私にとって大切な人たちだよ」

「つーかさっきの話。テメェも大概だからな。ユウナのやつもそうだが、テメェもダチのために無理する類の人間だろ?」

「え~と…それを言われちゃったらちょっと言い返せないかも…」

「心配しないで、高嶋さん」

 

千景が高嶋の手を取りながら彼女に少しおぼつかないながらも話し始める。

 

「高嶋さんが無理をしてしまうなら…私がその分、高嶋さんを大切にするわ」

「ぐんちゃん…うん!!!ありがとう、ぐんちゃん!!!」

「良いダチじゃねーか」

「うん!!ぐんちゃんは本当に優しくて良い娘なんだよ!!」

「そんなこと…」

「こう言ってくれてんだから実際にそうなんだろ?俺もそう思うしな」

「…ありがとう」

 

ラグナにそう言われて千景はそっぽを向きながらも小さくお礼を言った。その後、部室に戻ってきた風とひなたに見つけられてしまい、二人に揶揄われるラグナであった。




作者の中の友奈ズと素体組の立ち位置は個人印象では

結城友奈:μ12(ノエル)
高嶋友奈:Λ11(でも書いていたらセリカに近くなっちゃった。高嶋ちゃんってクール系じゃないからしょうがない)
赤嶺友奈:ν13

です。赤嶺ちゃんと結城ちゃんを逆にしてもオーケーだったけど、棗さんに対する赤嶺ちゃんの反応を見たらこうなった。

一応アンケートです。気軽に答えてくだされば幸いです。それではまた

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