蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。

まず、ネタ箱に投稿していただいた方、ありがとうこざいます!一度本編を交えてから書くので楽しみにしてください!

因みに今回の話では書いている内に二通りのオチを思いついてしまって結局こっちを出した。もう一つはまたの機会と希望があれば書こうと思います。

さて、今回もゆゆゆいのマウンテン回です。それではどうぞ

The wheel of fate is turning...


花結いの確率事象5.ヒマラヤに夢を抱いて

「あー、今日はなんかやることないよな〜」

 

この世界に新しく来た草原瑠奈は廊下を通りながら勇者部の部室に向かっていた。

 

ここに来てからは前の学校ではなく、須美たちと同じ学校に通うようになったが、小学生組とも友達になり、勇者部にも様々な人間が来るようになってからはそこそこ楽しい毎日になった。

 

そんな部室では何やら騒ぎが起こっているようだ。彼女が入室するとそこには駄々をこねている球子と困った顔をした東郷とひなただった。

 

「おいお前ら。どうしたんだよ?」

「おや、瑠奈さんですか?授業の方は終わったのですか?」

「あんなモン瑠奈様に掛かれば楽勝だ!!それよりなんで球子は床に転がってんだ?」

 

瑠奈がそう聞くと東郷もひなたも微妙な表情を浮かべた。それに対して球子が復活すると待ってましたとばかりに説明し始めた。

 

「よく聞いた瑠奈!!タマはな、新境地に立てる予感がするんだ!!」

「え、えと。どういうことだよ?」

「球子さん…まさか小学生の瑠奈ちゃんにまで説明するつもりですか…?」

「おいなんだよ!?瑠奈にも教えてくれ!!」

「瑠奈〜。なんだか僕、凄く嫌な予感がするよ〜」

 

瀬奈は注意するが、瑠奈は球子の話に興味を示したようだ。

 

「タマはな、気づいたんだ…取ることが出来ないなら…挟めば良いんだと!!」

「挟む!!?何でどこをだ!!?」

「二人のメガロで、タマの顔面をだ!!」

「な、なんだってーーー!!?」

 

球子の話を聞いて瑠奈の頭に雷を打たれたような感覚が襲われた。それまでの瑠奈では考えられない発想だった。

 

「そんなことが…て!言うと思ったか!!」

「な、なんでだよ!?」

「そんなふざけたことにこの瑠奈様が賛同すると思ったか!!」

「えーー!!?どうしてだ〜!!?」

「瑠奈はでかおっぱいなんか羨ましくないぞ!!そう、絶対にだ!!」

「マジでか!?」

「素晴らしいわ、瑠奈ちゃん!」

「ええ、本当にです。球子さんに瑠奈ちゃんの爪の垢を煎じて飲ませてあげたいくらいですね」

 

まさかの瑠奈の反論に焦る球子だが、彼女は今度は瀬奈に聞いてきた。

 

「そうだ、瀬奈!!お前はどうなんだ!!?お前だって一度は挟まれたいだろ!?」

「そそ、そんなことないよ〜。僕は変態じゃあありませんし〜」

「……なーんか怪しいぞ」

「おい…瀬奈…まさか…」

「ち、違うよ〜。瑠奈までどうして疑うのさ〜?」

 

球子に同じ話題を聞かれると瀬奈は逆に間を置いてから答えてしまった。少し挙動不審な様子を見せる瀬奈の様子から球子はなんとなく察したのである。

 

「はは〜〜〜ん…さては瀬奈…お前は山が好きなんだな〜」

「ぎっく〜〜〜〜〜!」

「なっ!?本当か、瀬奈!!?」

「いや、その、あの…」

「瀬奈。正直に言うんだ。そうだったら瑠奈は怒らない」

「ほ、本当〜?じゃあ言うね〜。僕、実は巨乳の方が」

 

瀬奈が勇気を出して暴露するといきなり瑠奈は声を上げて誰かを呼んだ。

 

「樹ー!!練習してきた『アレ』をやってくれ!!」

 

その掛け声と同時に引き戸がいきなりガラッと開き、樹が入室してきた。手にはドクロのマークの付いた黒い鐘を先端に付けた鈍器があった。

 

縄で覆われた取手を両手で掴むと、樹は軽やかな声で御呪いを唱えた。

 

「ま、『魔法少女イツキー』、必殺ぅ〜、『死神〜ワイヤ〜』!!」

『ぐふぅ!!?』

 

樹が大きく横に振り回すと鐘は見事に瑠奈と瀬奈の胴を捉え、鈍い音を立てながら激突した。頭で二人は倒れたが、すぐに起き上がった。

 

「怒らないって言ったのに〜…」

「樹さん!?何故そのようなことを!?」

「うぐふっ…気にするな、ひなた…樹は反対したが、瑠奈の方が無理やり頼んだんだ。こうでもしないと…瀬奈が変な影響を受けそうだからな…」

「それでも今のはやり過ぎよ。瀬奈君、大丈夫?ぼた餅食べる?」

「いや、結構です〜…今はちょっと…食べ物は…うぷっ…」

 

ズバリと言われてしまい、慌ててしまった瀬奈。それも仕方がない。瑠奈と違って、瀬奈は男子人格である。つまりそこらの小学生男子と精神年齢はほぼ変わらない。

 

当然少しは異性の身体にも興味を持ち始めるが、まさかこんなところで指摘されるとは思わなかったのだろう。味方を見つけた球子は目を輝かせ始めた。

 

「ほらな!タマだけじゃなかったぞ!やっぱりみんなメガロポリスが好きなんだ!!」

「あのですね球子さん。瀬奈君は男の子ですよ。女の子に興味を示すのは健康的な精神の証拠です」

「ひなたさん〜…ありがとうございます〜…」

「え〜、だったらひなた!瀬奈だったらまだ挟んでもいいのかよ?」

「少なくとも球子さんに比べたらまだマシです」

「そんなーーー!!!」

 

ひなたの宣言に球子は愕然とした。実際はひなたも胸をジロジロ見られるのは好きではないが、少しは異性のそういうことには寛容になった。

 

というのも八割方の原因は刃にある。彼は基本的に女性に対して興味を示さず、兄のラグナにばかり殺し合いという名の戯れ合いをしており、邪魔されると烈火の如く怒る。

 

初めてそれを目撃したひなたはそれに衝撃を覚え、「男が女に興味を示さないとああなる」可能性があることを学んだのだ。その過程で喧嘩する兄弟を止めようとした若葉が刃と凄まじい剣戟を繰り広げることになったのも効いていた。

 

しかし椿姫が来てからは彼も僅かに自制が効くようになった。兄と戦うことはあっても、少なくとも椿姫の前では大きな騒ぎを起こすことは少ない。

 

故に常識の範囲内であれば、男が女に興味を示すことは決して悪い意味ばかりではないと彼女は考えている。

 

「全く…この際ですから、そのメガロというのもやめてください。こんな不埒者を西暦の勇者から出してしまっては、若葉ちゃんの末代までの恥です!」

「仕方ないだろ!!もう出てしまったんだからさ!!」

「そこは諦めるんですね…」

「というかでかおっぱいの何がそんなに良いんだよ!」

 

瑠奈が球子にそう聞いてくると球子は答えた。

 

「何言ってんだ瑠奈!そんなの決まってるだろ!!あのフニフニした感触だ!!」

「そんなの、ただ肉があるだけだろ!?ママなんてもっとすげーことが出来るからな!!」

「どういうことなの、瑠奈ちゃん?」

「何を隠そう…瑠奈たちのママは、胸から猫の鳴き声とか声マネが出せるんだ!!」

『えーーー!!!?』

 

予想外の答えが出てきたことに球子はおろか、東郷たちも驚愕する。そんなことが可能だというのは知らなかった。

 

「ま、マジでか?マジでそんなことが出来る奴がいるのか?」

「瑠奈たちのママだからな!」

「それは説明になってないよ〜、瑠奈〜」

「そ、それはすごいな…はっ!!もしや勇者部の中にも出来る奴が!?」

「そんな人はいません!!全くいい加減にしてください、球子さん!」

「うー!そんなの持ってる者だから言えるんだよ!お前たちは持ってない者の気持ちが分からないからそう言えるんだ!!」

「持たない者って…」

 

地味に瑠奈と樹の心にフェイタルが入ったが、球子は更に続けた。

 

「それにな、ひなた。さっきの話の通りならラグナだってメガロポリスが好きだってことになるんだぞ!!」

「そ、それは…」

 

もし若葉や友奈が話題に出てきたら一蹴する自信はあったが、ラグナの名前が出てしまったことにひなたと東郷は困った。

 

ラグナだって男だ。本人も言っているが、恋愛をするなら女の方が良いとも言っている。球子の言う通り、多少胸が好きである可能性は高い。

 

「で、でも綾月君はそんなこと一言も」

「当たり前だろ!そんなこと言ったら何されるか分からないからな!主に刃に!」

「やっぱり刃先輩が原因なんですか…」

「でも断言するぞ!刃は分からないが、ラグナは絶対にフニフニのメガロポリスが大好きだー!!」

「兄さまがどうかしました?」

 

部屋にいる者たちが声の主の方を見るとそこにはラグナの妹である沙耶がいた。

 

「沙耶さん、お疲れ様です。それと、今は球子さんの話をお聞きにならない方が良いかと…」

「え?兄さまと関係あるのでしょうか?」

「綾月君が胸の大きな女子が好きだと球子さんが断言したの」

「お、おい東郷!?なんで沙耶にそれを言うんだよ!?」

 

刃とは凶暴さのベクトルが違うものの、沙耶もラグナのことが大好きだ。一つ上の兄に比べればまだ大人しいが、彼女も兄に対して侮蔑や攻撃を行うものには容赦はない。

 

これはやばいかもと考えた球子だったが、沙耶は怒る代わりに笑い出し始めた。

 

「フフフ…アーハッハッハッハー!」

「うわ!なんだ!?これが帝モードってやつか!?」

「違いますよ、球子さん。確かに、少し前までの私でしたら怒ったり、泣いたりしていたでしょう」

「じゃあどうしたんだよ?」

 

イマイチ話が見えない球子たちに沙耶は胸を張りながら語り出した。

 

「時代は変わった…歴史は流れた…そして根本に向かって、我々は立ち上がるんです!!」

「ど、どういうことだ!?」

「何故でしょう、先ほどの球子さんに匹敵するものを感じるわ」

「皆さん、思い出して下さい。男は何故女を愛すると思いますか?何を女に求めていると思いますか?」

「だからそれはメガロポリスがあるからだろ?」

 

いつもの論を展開する球子だったが、沙耶はそれに対して強く否定した。

 

「違います!!男が求めるもの…それはズバリ!!ヒップ!!」

『ひ、ヒップ!!?』

「そうです!!真の女性像とは即ち、パーンと張ったヒップラインのある女性です!!胸なんて飾りでしかないんです!!」

 

沙耶が言ったことに球子はどこかピンと来なかったが、樹と瑠奈は目から鱗が落ちたような顔つきになった。

 

「そうか…そうだったのか!!」

「私も…目が覚めた気がするよ!!」

「い、樹ちゃんに瑠奈ちゃん?どうしたの?」

「そうだ…胸なんて所詮はお尻の模倣…真の女性の魅力はヒップにこそあったんだね!!」

「そうだよ、樹ちゃん!!例え胸が無くても、ヒップなら私たちはどこまでも行ける!!東郷さんやひなたさんにも負け劣らない神ボディーにだってなれる!!」

「そうだ!!つるペッタンとか言われてきた気がしたけどぜーんぜん気にする必要は無かったんだ!!」

「そう!!だって」

『ヒップ良ければ全て良し!!』

 

別の境地に立った沙耶たちを見ながら東郷とひなたは困惑しながらも二人が良いならと温かく見守る。

 

「アレ?じゃあ東郷たちは沙耶たちから見てダメなのか?」

「東郷先輩たちはヒップも凄いじゃないですか…」

「全然意味ないじゃないか!」

「良いんです!!とにかく女性は胸じゃなくてヒップの方が良ければ魅力的なんです!!」

「そんなこと言って〜、この前水着のひなたに膝枕されて慌てていたラグナを羨ましそうに見ていたのは知っているぞー、沙耶」

「うぐっ!?」

「そういえばそんなことがありましたね」

 

球子の言う通り、先日勇者部が海へ遊びに行ったとき全員水着で遊んでいた。その時にラグナは休んでいて、日の下で寝ていたのだ。

 

それを見て彼が疲れているだろうと考えたひなたは彼に膝枕をしてあげらたのだ。

 

当然何も知らないラグナは起きた後に大慌てで彼女から離れた。そりゃあ起きたら目の前に女性の胸があれば真っ当な男は慌てもする。

 

「あの時のラグナさんは本当に年相応でしたね〜」

「でもやっぱりヒップじゃないですか!!膝枕だってヒップがパーンと張ってないとダメですよ!!」

「いいや!!ラグナはきっとひなたの山が視界に入ったから慌てたんだ!!」

「なんかもうどっちでもいい気がしてきたぞ…」

 

両者の意見が一向に噛み合わない。そこへもう一人、別の人物が入ってきた。

 

「おや。沙耶ちゃん、どうしたんだよ?」

「『神楽(かぐら)』さん!?珍しいですね、こちらへいらっしゃるなんて」

「いやぁ、どうしても勇者部のみんなに会いたくてな。溜まった仕事を『(ひびき)』のやつに任せてきたんだよ」

「怒られますって…」

 

やってきた黒外套の男はこの世界に来てから大赦中の衛士たちを指揮する衛士最高司令官、『睦月神楽(むつき かぐら)』である。

 

普段は学校の職員の一人として勇者部を見守っているが、有事の際は戦場に出ている。そして無類の女好きで、ある事情で現在禁酒中だ。

 

「こんにちわ、神楽さん。どうぞぼた餅です」

「ありがとう、東郷ちゃん。でも俺は出来ればその下にあるぼた餅二個の方が欲しいねえ」

「ぼた餅の代わりに銃弾を食べますか?」

「ありゃま、こいつぁまた手痛くフラれちまった」

 

笑顔でかなりキツく言われたが、神楽はなんともなさそうに笑いながら引き下がった。

 

こんな調子で周りの女性を口説くものだから軽薄に思われがちである。それでも『黒騎士』と呼ばれるほどの実力者でラグナともタイマンで勝ったことがある。

 

その後も何度か競い合っているが、追い越し追い越されを繰り返すようになった。

 

「そういやひなた嬢。さっきから何を騒いでんだい?沙耶ちゃんと瑠奈ちゃんがほっぺを膨らませながらぷりぷり怒ってるけどさ」

「どうも球子さんがまた低俗なことを言いだしていて…」

「ほお、どんなことだい?」

「…胸を両側から挟むがどうこうと」

「なんだと!!?」

 

神楽がひなたの言ったことを聞いて戦慄していた。どうやら真っ当に彼女を叱れる人間が来たみたいだ。

 

「なあ、球子ちゃん。本当にそう言ったのかい?」

「お、おう」

「…何故そんなことを言ったか、説明できるかい?」

「そ、そんなの…決まってるだろ!!男も女も、メガロポリスが大好きだからだ!!」

「なるほどな…」

 

神楽は目を閉じて一度考え込んだような素振りを見せた後、

 

「よく分かってんじゃねえか球子ちゃん!!」

『ちょっと!?』

「おお!!神楽は分かってくれるのか!?」

「分かるに決まってんだろ!!ボンキュッボンの姉ちゃんに挟まれるなんて最高じゃねえか!!そりゃあ俺だってあの柔らかいお山に包まれたいもんよ!!」

「なーハッハッハッハー!!そうだろ、そうだろ〜?見たかひなたに東郷!!どうやら神楽はタマたちと同じみたいだぞ!!」

「そこは大人として止めるところじゃないんですか!?」

「まあ、神楽さんがそう言うのはなんとなく予感はしていました…」

 

沙耶は苦笑いしていると球子は更に畳み掛ける。

 

「良し!じゃあ神楽!!世界中の山を片っ端からアタックを仕掛けるぞ!!銀も混ざればタマたちに不可能はない!!」

「あははは、流石にそれに俺が混ざっちゃあマズイって〜。でもまあそこまで言うなら俺は最初に球子ちゃんに包んでもらおうかな?」

「え?」

 

神楽は意外にも球子を指名した。何故そんなことを言ったのかは球子にも分からない。

 

自分で言うのもアレだが、球子は全くメガロの類ではない。ペッタンコである。真っ平らである。当然包むものなどないのである。

 

「あ、あはは。冗談が上手いなぁ神楽。そんなことを言ってタマを諦めさせるつもりだろ?そうは行かないからな!」

「俺は今球子ちゃんに包まれたいけどなー?」

「な、何言ってんだお前!?さっき自分で言っただろ!?神楽もメガロが大好きだって」

「そうだよ。どこにあの母性の象徴を嫌う理由がある?俺が言いたいのは、『それだけが』好きなんじゃねえってことだよ」

「ど、どういうことだよ?」

 

球子がそう言うと神楽は笑いながら

 

「俺から見れば沙耶ちゃんや球子ちゃんのような控えめな胸も良いと思っているってことよ」

「は、はあっ!!?何言ってんだお前!!?まさかロリコンか!!?」

「確かにガキどもが笑っている顔を見るのは好きだが、別にそういことじゃねえよ?俺から見れば球子ちゃんだって魅力的な女性だって言いたいのさ」

「で、でもタマはメガロ族じゃないぞ!!それにそういうのはよく分からないし…」

「おや、これは…」

「あの球子さんが押されている?」

 

少しずつグイグイ攻めてくる神楽に球子は狼狽し始める。これまでにない展開にひなたたちも興味津々だ。

 

「だ、大体女の子らしいって言ったらあんずの方だろ!?タマは別にそんなの関係ないし!」

「何言ってんだ。球子ちゃんは十分に女の子らしいところがたくさんあるだろ」

「お、おい!お世辞なんて言ってもタマは下がらないからな!?」

「ははは。そう言って顔が少しずつ鮮やかな朱色に染まっていくのも、可愛らしいと思うぜ?」

「うぬぬっ!?」

「なんだったらお前さんの魅力はまだたくさんあるぞ?小さな身体に秘められたガッツはいつも頼りになるし、それで杏ちゃんを守ろうとするのも実に良いじゃないか?大事なものを守るために立ち上がる女は身体以上にその在り方が美しいと俺は思うね」

「う、うぅ…」

「だが、女の子らしいという点でもちゃーんと魅力的だ。いつもは元気が一杯だが、杏ちゃんのことを心配する時やこうしている時もふと女性らしい側面が見れるんだぜ?」

「……」

「もちろん外身も良いぞ。小さくて愛くるしい姿はみんなを笑顔にさせてくれるし、髪を下ろした時のギャップなんて最高じゃねえか!!あとは「あーーーーー!!!」

 

神楽から次々と出てくる褒め言葉に球子は堪えきれずに外へ飛び出してしまった。その様子に瑠奈たちは唖然としていた。

 

「す、スゲー。あの球子が顔をトマトみたいにしながら出てっちまったぞ…」

「よほど神楽さんの言葉が恥ずかしかったんですね…」

「ははは、あそこまで恥ずかしがらなくても本当のことなのにな?」

 

神楽は決して世辞であの言葉を言ったのではない。殆どは本心から出てくる褒め言葉だ。それが普段自分に女の子らしさがないと考えている球子に効果が絶大だったようだ。

 

「しかし、良くそんな言葉が出ますね。恥ずかしくはないんですか?」

「ちっとも。そもそも俺は本当のことしか言った覚えはないぜ?なんだったら東郷ちゃんのこともここで語っても良いぞ?」

「丁重にお断りします」

「はは、まあそうだわな。なんたって俺よりもよっぽど言われたい人がいるんだし」

 

ニカッと笑いながら神楽はそう言ったが、そこへ再び扉が開いた。もしや球子が仕返しにでも来たのかと思って受けて立つ構えだった神楽だが、その人物の顔を見ると冷や汗が出始めた。

 

「話は『琥珀(こはく)さんから聞きましたよ、神楽さん。こんなところで仕事を放棄していると思ったら勇者を口説いているなんて随分と楽しそうじゃないですか」

「げえっ!?『芽吹(めぶき)』ちゃん!!?」

 

防人隊の隊長の『楠芽吹(くすのき めぶき)』がゴミを見る目で神楽を睨んでいた。

 

防人は一応衛士と同じ管轄に置かれているため、芽吹は謂わば神楽の部下に当たる。

 

当然神楽宛の大赦からの連絡も簡潔な形で彼女へ来る。ただでさえ個性的なメンツの多い防人組のまとめ役なのに上司まで問題児だから芽吹の心労は推して知るべきである。

 

「ほら。早く本部へ戻りますよ。まだ仕事がたくさん残っているようですから」

「ま、待ってくれよ芽吹ちゃん。俺はまだここに来たばかりだぜ?」

「だったら良かったですね。琥珀さんも帰りを待っているでしょうからすぐに行きますよ」

「待ってくれ〜!まだ茶の一杯も飲んでないのによー!!」

「だったら後で持ってきますので机で飲んで下さい」

「いや、出来れば別嬪とお話ししながら飲みたいのであって」

「妄言はそこまでです」

「御堪忍を〜!!!」

 

神楽の弁明を聞かずに芽吹は彼を外へ引っ張りだして行った。洗練された一連の流れを見て、部員たちは後で夏凜にストレスに効くサプリはないか聞こうと考えたのであった。




タマっち、カグラに口説かれて撃沈。部室の外で偶然そんな彼女を見た杏ちゃんは可愛さのあまりにもれなく恍惚の顔でヤムチャしてます。

さて今回のゲストキャラはブラックゲイルことカグラ=ムツキ!!あの藤原啓治ボイスで口説かれたら流石のタマっち先輩も真っ赤だろうな。

実は後になってから思いついたオチは銀と一緒にテイガーとバングに挟まれるものだったけどつなぎが思いつかなかった。こっちの方が良かったりして…

次回は本編!それではまた

コンティニュアムシフト発動

  • 東郷と刃がカオスになる回
  • 魔法少女樹
  • それはいいから早く本編を進めろ、少尉
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