蒼の男は死神である   作:勝石

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どうも勝石です。
先日のアンケートテスト、ご協力ありがとうございます。これからの活動とっても非常に参考になりました。

今回から結城友奈の章に入ります。ラグナと彼女たちの出会いによって何が起こるのか…

それではどうぞ

The wheel of fate is turning...


結びの章〜結城友奈の章〜
Rebel17.戦いの花は再び開く


ラグナは今日も丸亀市にある学校が終わって帰宅していた。このところ桜が散ってそろそろ緑も多くなってきた。

 

あれから実に1年が過ぎた。獣兵衛だけでなくヴァルケンハインも交えて訓練したり、レイチェルに蒼の魔道書の制御のためにしごかれたりと色々大変だったが、そのおかげか以前よりかは腕を上げた。

 

ラグナは目を閉じる。修行の日々を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ではいくぞ、ラグナ!!10時間の一対一の組手だ!!』

『おう!!行くぜ師匠!!』

 

『小僧!この皿の山を見事片付けて見せよ!』

『よし!やってやらーってあいてっ!なにすんだよじーさん!!』

『馬鹿者!そんなに力を入れるでない!レイチェル様のお皿に傷が付くであろう!力を加減しろ!』

『お、おう!』

 

『ではラグナ。このタイニー・ロベリアの雨を剣だけで防ぎ切りなさい』

『上等だ!!うおぉぉ!!』

『『ソード・アイリス』』

『んがーー!!?いきなりなにしやがんだ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

(おかしい…修行…師匠ぐらいしかまともにやってなくね?つーかウサギ、ドサクサに紛れてドS発揮しただけじゃね?)

 

思い返して見たら修行と呼ぶには若干難しい気がしてきた。一応獣兵衛は真面目に稽古をつけてくれたし、確かに魔道書の制御や知識を教えてもらったから全く無駄ではなかったことは間違いない。ただふざけたときの印象が強過ぎただけだ。

 

そんなことを考えていたところでラグナの頭の上に日傘をさした誰かが現れた。現在の彼の保護者であり監視者であるレイチェル = アルカードだ。突然の少女の登場に下校中の生徒たちは困惑していた。

 

「はあ…退屈だわ」

「だったら人の頭の上に乗ってんじゃねーよ、ウサギ!」

 

ラグナがレイチェルを自分の頭から振り払うとレイチェルは傘で使い魔のギィをラグナに向かって打ち込んだ。それをラグナは受け止めた。

 

「あら、いい反応ね。以前よりかはよくなったのではなくて?」

「そう何度も遊ばれてたまるか!」

 

レイチェルの攻撃をいなしたラグナは早速彼女に噛み付くように文句を言う。対するレイチェルは何事もなかったかのように笑っていた。

 

「姫様…だずげて…ぐるじい…」

「…っち!」

 

握りしめられるギィをラグナが投げつける。それをレイチェルがひらりと躱す。哀れギィはそのままどこかへ飛んでしまった。

 

「で、何の用だよ。ウサギ」

「貴方に知らせがあってきたのよ」

「なにがあった?」

「『奴ら』が動き出したわ」

 

「奴ら」と聞いてラグナの気が引き締まる。とうとう連中が再びこの四国に攻めてくるのだ。

 

「奴らが来るっつーことは、勇者も来るんだよな…そんなすぐに見つかるものなのか?」

「今回は以前行った大規模な調査から元々勇者適正の高い子供を選別して、各地にその娘たちを一つの班に集めて勇者として全員覚醒させる方針にしたのよ」

「それって…元々関係のねー連中も巻き込んでいるってことかよ」

「勇者はすぐには現れない以上、やらざるを得なかったのでしょうね…なにせ勇者になれる女子そのものが希少なのだから」

 

大赦の事情をある程度説明してくれるレイチェル。しかし、やはりラグナは大赦のやり方には納得できなかった。

 

「アイツら…」

「あまり暴れないで欲しいものね。ただでさえ『第一級危険人物』として大赦に目をつけられているんだから」

「…わかってるよ」

「ではもう言うべきことは知らせたし、もう帰るわ。貴方のことだからまだぶらぶらするつもりでしょう?」

「まあな。今日は久しぶりにかめやに寄るつもりだ」

「わかったわ。ヴァルケンハインにも伝えておく」

 

そう言ってレイチェルは去っていった。通行人が呆然としている中ラグナは彼らを意に介さず、近くのかめやで好物の天玉うどんを食べにいった。

 

数日後、ラグナが授業を受けている時だった。その時は退屈な授業を聞いてラグナは眠くなっていく中で、眠気を吹き飛ばしたのが「携帯のアラーム」だった。

 

「この音は!!」

 

ラグナは戦闘の準備を行う。気づけば周囲の時間は流れなくなり、人も微動だにしなくなった。窓の向こうから白い光が迫る。樹海化が始まったのだ。

 

「…行くか」

 

手に使い慣れたアラマサを取って、ラグナは席から立ち上がって、光のある方向へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海の中でラグナは佇む。2年前、あの日から肌に付くこの世界の感覚はいつになっても慣れない。ここに奴ら、人類に仇なす敵、「バーテックス」がやってくる。

 

前回の戦いで大橋が破壊されてしまったため、今回からバーテックスはこの四国内で戦うことになる。そのため、被害は直接街などに出る可能性があるのだ。

 

「…取り敢えず来たはいいものの、まず連中はどこにいやがるんだ?確かウサギの言う通りならこいつでわかるみてーだが」

 

そう言ってラグナはポケットから携帯を取り出した。マップアプリを開くとそこには自分の位置を示すアイコンと一緒に敵であるバーテックスのアイコンが表示されていた。

 

そこから少し離れた位置に四つの点が集まっている場所があった。それぞれ名前が記されており、バーテックスのアイコンに比べると少し小さく表示されていた。

 

「こいつらが今回の勇者…全員で4人か」

 

このまま留まっても仕方がないし、バーテックスもいつ彼女たちと接触するかはわからない。少しでも協力することになるであろう彼女たちとコンタクトを取るため、ラグナは彼女たちの方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風先輩…ここは…何処なんですか?」

 

現在、「讃州中学勇者部」の面々は樹海の陰で集まっていた。部長である「犬吠埼風(いぬぼうざき ふう)」に問い詰めるのは部員の1人である「東郷美森(とうごう みもり)」。彼女と家が隣同士の親友、「結城友奈(ゆうき ゆうな)」は中学入学時に風に誘われて勇者部に入部した。

 

その後は楽しかった。毎日友奈たちと何気ない日常を過ごし、楽しい思い出もたくさん出来た。これもやはり新しい環境で生活することになって不安を感じていた自分を元気付けた友奈の存在が大きいだろう。

 

東郷には中学以前の2年間の記憶がなくなっており、足が動かない身体だ。医師や家族の話では「交通事故」に巻き込まれたためだと説明されている。家も讃州市へ引越すことが決まり、知り合いが1人もいない中で心細く感じていたときに友奈に出会ったのだ。

 

彼女はとても明るく前向きな性格で、彼女の側にいるといつも自分も元気が出てきた。いつしか2人は日常のほとんどの時間を共に行動するようになり、お互いのことを大親友と呼ぶ仲にもなった。

 

東郷は不安になっている。もしここが危ない場所なら友奈や風、そして風の妹である「犬吠埼樹(いぬぼうざき いつき)」などが危険な目に遭うかもしれない。自分たちの日常が終わってしまうかもしれない。

 

「みんな、よく聞いて…あたしは…大赦から派遣された人間なんだ」

 

風は3人に説明する。この樹海のこと。勇者部の本当の目的のこと。そして、何故自分たちがここにいるのかも。その説明の後、風は更に続けた。

 

「みんな、携帯のアプリを見て」

 

風は全員にアプリを見るように一同に指示した。自分たち勇者部のアイコンと敵であるバーテックスのアイコンが表示されていた。そしてもう一つ、別のアイコンが見えた。アイコンが指されている名前は「死神」と書いてあった。

 

「風先輩…この『死神』って…一体何ですか?さっきの風先輩の説明には出てきませんでしたが…」

 

東郷がそう聞くと風は苦い顔をしながら答えた。

 

「実はあたしがここにいるのにはもう一つ理由があるんだ。あたしも詳しくは知らないけど…ある人がここに来たときの様子を監察しなきゃいけない、とも言われてるの」

「その人が…この人ですか?」

 

友奈は思わずその人物について聞いてくると、風は重々しい口調でその名を告げた。

 

「大赦内でも色んな呼び方を聞いたわ。『第一級危険人物』とか、『血塗れの刃』とかいろいろ。でもあたしが一番よく聞いた名前は…『死神』」

 

死神。そんな恐ろしい名前を付けられている人物を姉が監視することになっていた事実に樹は恐怖を覚える。

 

「お姉ちゃん…大丈夫なの?その死神って人…聞いている限りでは凄く怖そうな人だけど」

「…正直会ったこともないからなんとも言えないわ。ごめんね樹。黙っていて…」

「風先輩…その死神さんって…何が目的でここにいるんですか?」

 

友奈は風に死神の存在の是非を聞く。もし危険な人物なら皆んなを守らないといけないからだ。

 

「分からない…ただあたしが聞いた話だとアイツは…神樹様を傷つけたことがあるそうよ」

「神樹様を…それってやってることがバーテックスと一緒ってことじゃ…」

「…可能性はあるわ。だから出来る限りそいつとの接触は避けて」

 

風は全員に死神と会わないように念を押した。他の部員も納得した様子で答える。そうすると東郷が何かの異形の姿を見つけた。異形は人間よりもはるかに大きく、体の周囲のヒラヒラはドレスに身を包んだ「乙女」のように見えた。

 

「とうとうここまできたか…」

 

風がそういうと開始早々その乙女、「ヴァルゴ・バーテックス」が攻撃を開始した。体の下にある器官から爆弾を放出し、それが勇者部へと放たれた。着弾によって発生する轟音と爆風が容赦なく彼女たちを襲う。

 

「みんな大丈夫!?」

「うん…何とか…」

「はい…大丈夫、東郷さん!?」

「ダメ…怖い…あんなのと…戦える訳ない…」

 

風の声に返事した友奈は東郷の方へ顔を向ける。東郷は蹲っており、恐怖のせいで体が震えていた。

 

「…友奈。東郷を連れてここから逃げて。アレはあたしが何とかする」

「そんな!!風先輩、一人で戦うんですか!?」

「いいから行きなさい。ここにいたら東郷も危険よ」

「…分かりました」

「樹、あんたもよ」

「嫌だよ!!」

「樹…」

 

樹は姉の言葉を跳ね除ける。彼女にとってたった一人の家族をこんな場所に置いていけるわけがないのだ。

 

「言ったはずだよ。付いて行くって、どこまでも」

「…分かったわ。じゃあ変身す…え!?」

 

風が樹に変身の手順を教える前にヴァルゴの方が先に手を出してきた。こちらの事情など知ったことではないと言わんばかりに放たれた第2射は勇者部を襲う。それぞれが各々を庇って目を閉じる。しばらくすると大きな爆発音と共に男の野太い声が聞こえた。

 

「カーネージシザー!!!」

 

煙が晴れて行く中、風たちは声がした方を見た。そこにはバーテックスともう一つ、一人の男が立っていた。

 

男は赤いコートを着た白髪で、かなり身長が高かった。右手に持っているのは先ほどの攻撃を防ぐのに使った大剣だろう。

 

東郷はその背中を見た瞬間、体から震えが少しずつ治ることを実感した。その背中を見ていると、何故か小さな安心感が生まれていくことを感じた。

 

この男が誰なのかは分からない。でも一つだけ、わかることはある。この男は味方だということだ。

 

「東郷さんどうしたの?もしかして今の攻撃で…!?」

「え?私、どこか変かしら、友奈ちゃん?」

「だって東郷さん、泣いているよ?」

「え…」

 

東郷が顔の横を触れると濡れた感触がするのがわかった。気づけば東郷の目から涙が流れていたのだ。男は少し後ろへ振り向くと、東郷の顔を見て目が丸くなり、しかし直後に何故か苛立たしげに顔を顰めた。

 

「本当に怪我はない、東郷さん?」

「違うの、友奈ちゃん…私でもわからないの。あの人を見たらどうしてか…安心して、でもどうしてか…いて欲しくなくて…なんで?」

「『なんで』も、『どうして』も…こっちが聞きてーよ」

 

男が不機嫌そうに東郷の方へと顔を向けた。その顔を見て、友奈も小さく息を飲む。どこで会ったかまでは覚えていないが、どこかで見た顔だった。

 

「なんで『テメェ』が、どうして『こんな』所にいやがるんだ!!!」

 

男は思わず東郷に怒鳴りつけた。慣れない男性からの大声に彼女は身体を震わせた。それを見たからか、男は少しバツの悪い顔をすると、その後一番年上だと判断した風に顔を向けた。

 

「アンタがこいつらのリーダーみてーだな」

「…ええ、そうよ」

「だったら話がはえー。こいつらを連れて逃げろ」

 

男はそう風に急かせると風も言い返す。

 

「あんた、もしかして『死神』?」

「…!テメェ、大赦の」

「…まあ、そういうところよ」

「…そうだよ。んで?なに?俺を取り押さえるってわけか?」

「まさか。悔しいけど戦ったところであんたには勝てそうにないわ。それに」

 

風はほかの部員の方を見る。目の前の男が自分が監視する対象である死神なら本来はなるべく接触を避けるべきだった。しかしここにいる部員は事情を今知らされたばかりの者しかいない。

 

それに対して目の前の男は明らかに自分たちよりかは戦闘経験がある人物だ。実のところはまだ信頼はできない。だが

 

「みんなを守るためにも…あんたの力が必要なのは間違いないのよ」

「…テメェもアイツと戦うってか?」

「ええ」

「…好きにしやがれ。俺は先に行くぞ」

 

そう言って男は去っていった。風も樹の方へ振り向く。

 

「樹…あの人もどうやら加わるみたいよ。引き返すなら」

「なに言ってるの、お姉ちゃん」

 

風が離脱のための最終勧告を樹に告げても樹の意思は曲がらなかった。

 

「何度でも言うよ。付いて行くって」

「そう…分かった。じゃあ、変身するわよ!!」

「うん!!」

 

そう言って彼女たちは勇者システムを起動させた。風は「オキザリス」を模した黄色の衣装に変化し、男の得物よりも大きな大剣を振り回して戦闘態勢に入る。樹は「鳴子百合」を想起させる緑の衣装を纏い、手には四つの花がついたハンドギアのようなものをつけていた。

 

「さあ、行くわよ樹!!」

「わ、分かった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ…まさか『また』アイツがここに来るなんて!!」

 

先ほど勇者部を助けた男、ラグナが苛立ちながらもバーテックスの方へと近づいていた。原因は言うまでもなく、東郷美森の存在だった。

 

「もうアイツは…十分戦っただろ!この調子じゃあジンたちも来るかもしれねーってことじゃねーか!!」

 

今文句を言っても仕方がないが、それでもやはり言わずにはいられないラグナだった。そこへ犬吠埼姉妹が合流した。

 

「あんた!一人で突っ込んだら危ないわよ!」

「どのみち戦うんだから突っ込むしかねーだろ」

「いや、そりゃあ、そうだけど…」

「…それにそいつのことを考えたら俺が近くにいちゃ迷惑じゃねーのか?」

「だ、大丈夫です!」

「…わーったよ。お前がいいならこれ以上はいわねー」

「あんた随分と樹には優しいわね…はっ!!ダメよ!!あたしの妹はあげないから!!」

「誰がテメェの妹取るっつたよ!!?」

「お、お姉ちゃん!死神さん!前、前!!」

『え』

 

樹がそういって改めて前へ向くとヴァルゴがまさに攻撃を出していたところだった。前に出るラグナは剣を大鎌に変形させて降りかかる爆弾を一気に薙ぎ払って相殺した。

 

「ブラッドサイズ!!」

 

なんとか攻撃を防いだラグナの様子を見て風はあることに気づいた。ラグナの服の一部に「焦げ跡が付いていた」のだ。

 

「あんた…まさか精霊がいないの!?」

「まあな…俺は勇者じゃねーからそんなもんは持ってねー」

 

精霊は勇者に力を貸し、守る存在だ。それを目の前の男は持っていないという。

 

(こんな状態で戦っている人間がどう神樹様を傷つけたってのよ!?)

「おいアンタ、何ボーッとしてんだ!」

「あ、ごめん!なんでもない!」

 

考え事をしていた風の意識をラグナの一声が現実へ引き戻す。

 

「野郎…爆弾を撒き散らしやがって!!」

「このままだと、友奈さんと東郷先輩が!!」

「ユウナ?トウゴウ?アイツらのことか?」

「は、はい!みんなまだ勇者になっていなくて…」

「一度無事かどうか連絡を取るわ。一旦下がるわよ」

「いや、俺が足止めしておくから早く連絡を取れ。あっちも心配してんだろうよ」

「私もいるよ、お姉ちゃん!」

「…ありがとう」

 

それを聞いて風は友奈たちの安否を確認するために一度後退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、風先輩からだ!」

 

友奈は風から掛かってきた電話に出た。側にいる東郷も心配そうに友奈の方を見る。

 

「風先輩!大丈夫ですか!?今戦っているんですか!?」

「こっちの心配より、そっちは大丈夫!?」

「はい、大丈夫です!あの、死神さんもそこにいるんですか!?」

「ええ。驚いたけど、今のところは一緒に戦っているわ」

 

一先ず風たちの無事を確認することができて安心する友奈。その後、風が電話越しに謝罪してきた。

 

「友奈…東郷…黙ってて…ごめんね」

「…風先輩はみんなのことを思って、黙ってたんですよね。ずっと一人で…抱え込んでたんですよね」

「…」

「それって…勇者部の活動目的と同じじゃないですか!」

「!」

「風先輩は…悪くない!!」

 

友奈の力強い言葉に風は心から後輩たちに感謝した。しかしそこを敵が付け入ってきた。どうやらラグナと樹が突破されてしまったようだ。

 

大剣でガードしようとする風だったが、それよりも早くヴァルゴの攻撃が決まってしまい、風はクリーンヒットをもらってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風先輩!!樹ちゃん!!」

 

電話の向こうから聞こえる爆音と眼に映る煙で風たちが攻撃されたことを知り、彼女たちの名前を友奈は呼びかけた。するとヴァルゴがこちらに向いていることに彼女と東郷は気づく。次の標的は自分たちになったようだ。

 

「友奈ちゃん…私を置いて、ここから逃げて!!」

「何を言っているの!?友達を置いていくなんて…!!」

 

友奈は思い出す。自分は勇者に憧れて、この勇者部に入った。誰かの力になれると思ったから。誰かが困っているならその力になりたい。そう思ったからこの部にいるんだ。

 

「うぐッ…うおぉぉぉッ!!」

 

赤コートの男が剣を樹海に刺して立ち上がる。剣を引き抜いて構えると、真っ直ぐ目の前の怪物を睨みつけ、その進路に立ち塞がる。

 

「そうだよ…」

 

友奈の決意は固まる。勇者なら。自分が憧れる勇者なら、親友を置いて逃げることも、誰かが傷ついていくのをそのまま放っておくことも

 

「絶対にしない!!」

 

友奈はヴァルゴに向かって歩を進める。それを止めようと東郷が呼び止める。

 

「ダメ!友奈ちゃんが死んじゃう!!」

「嫌だ…ここで逃げるような奴は…勇者じゃない!!!」

 

それに気づいたヴァルゴは雨あられのような数の爆弾をばら撒いた。男も大鎌で対抗するがヴァルゴも彼を触手で妨害し、それによって何発かは友奈の方に飛んでしまった。そのうちの一個が、友奈が歩き出している方向に着弾した。

 

「友奈ちゃん!!!」

 

爆風に晒されながら親友の名を叫ぶ東郷。すると煙の中から友奈が右手に手甲をつけた状態で現れた。

 

「嫌なんだ…」

 

友奈は自身に襲いかかる他の爆弾を蹴りで弾く。その度に足にもプロテクターが出現する。

 

「誰かが傷つくこと…辛い思いをするくらいなら…!」

 

友奈は飛翔する。髪は伸びて桜色に変色し、握りしめる拳にオーラが集まる。ヴァルゴは迫り来る彼女に気づくがもう遅かった。

 

「私が…頑張る!!!」

 

そういうと友奈は一気にヴァルゴに接近し、渾身の一撃を決めた。

 

「うおおおおぉぉぉぉ!!『勇者、パーーーーーンチ』!!!」

 

友奈の必殺の一撃はそのままヴァルゴの後方部を射抜き、爆散させた。勇者部、そしてラグナは戦慄する。彼女の力は予想の斜め上だった。「ヤマザクラ」の勇者、友奈は敵へ振り向き、強く宣言した。

 

「私は讃州中学勇者部、結城友奈(ゆうき ゆうな)!!!」

 

 

ー私は、勇者になる!!!ー




いかがだったでしょうか?

友奈の変身シーンが仮面ライダークウガのものにそっくりだと聞いてYoutubeとかで見たけど、結構まんまだったのが驚きでした。

今回のアンケート結果ですが、まあレイチェルと銀はある程度予想していましたが意外にも須美にも入っていました。刃との絡みかな?

因みに今回のゆゆゆ時点の勇者部のメンツのまだ登場していないキャラも込みでのブレイブルー のBGMの個人的なイメージは以下の通りです。

結城友奈 : Crstal Forest (セリカ = A = マーキュリー。ノエルとも迷ったけど曲調がこっちの方がもう少し緩やかだから)
東郷美森 : Bullet Dance 〈CS以前のバージョン〉(ノエル = ヴァーミリオン。暴走する青い銃使い)
犬吠埼風 : Oriental Flower(ライチ = フェイ = リン。マコトと迷ったけどお姉さんということで決定)
犬吠埼樹 : Active Angel II (プラチナ = ザ = トリニティ。無兆鈴を振り回しそうだから)
三好花凛 : Bushin (アマネ = ニシキ。原作終盤の彼女の活躍からのイメージ)

次回から原作2話。お楽しみに

それではまた
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